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高齢者専用賃貸住宅とは?サ高住との違いも解説

高齢者専用賃貸住宅(高専賃:こうせんちん)とは、2005年(平成17年)に導入された高齢者の住まい制度です。2011年(平成23年)10月に改訂された、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)により廃止され、新たに「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)の仕組みとして、制度に組み込まれました。正式に運用されているサービス付き高齢者向け住宅の前身とも言える制度のため、自立した高齢者の住まいという位置付けが特徴です。高齢者専用賃貸住宅の旧制度の仕組みから見た特徴、サービス内容、設備、入所条件、費用、現行のサービス付き高齢者向け住宅に移行した社会的背景などについてご紹介します。

高齢者専用賃貸住宅とは

高齢者専用賃貸住宅は、60歳以上の介護を必要としない元気な方や、要介護レベルの軽い人を対象とした賃貸住宅で「高専賃」と呼ばれています。一般的な賃貸住宅と同じですが、対象者が高齢者に限定されているところが特徴です。

高齢者専用賃貸住宅の概要
特徴 ・老人専用の住宅
・公的サービスを受けることに対する柔軟な対応が可能
・暮らしを一切拘束しない
・住まいとケアを明確に切り分けている
サービス 生活相談、24時間の随時対応、見守り、
20分以内の短時間介護(生活支援サービスに含まれる)、
定期訪問介護(必要に応じて)、医療ケア(必要に応じて)
入居
条件
自立~要介護5
費用 入居
一時金
平均0~数千万円
月額
利用料
平均100,000~400,000円

サービス付き高齢者向け住宅の仕組みとして引き継がれた内容も数多く見られます。例えば、サービス付き高齢者向け住宅最大の特徴でもある生活相談と安否確認は、高齢者専門賃貸住宅における生活支援サービスに含まれていました。

高齢者専用賃貸住宅のサービス内容

高齢者専用賃貸住宅は、厚生労働省が公示する規定により、生活支援サービス、介護保険サービス、医療サービスを基本とすることが定められています。

高齢者専用賃貸住宅のサービス内容
生活支援
サービス
見守り、生活相談、24時間の随時対応、
20分以内の短時間介護
介護保険
サービス
20分を超える介護サービス
医療
サービス
外部の医療機関と連携して緊急時に対応

高齢者専用賃貸住宅では介護サービスが充実しておらず、簡易的なサービスしか受けられません。そのため、20分以上の介護を必要とする場合は、外部事業所のサービスを利用する必要があります。現行のサービス付き高齢者向け住宅では、高齢者専用賃貸住宅のサービス内容のうち、見守りによる安否確認と生活相談サービスが引き継がれました。

高齢者専用賃貸住宅の設備

施設の設備

高齢者専用賃貸住宅では、各居室にキッチン、トイレ、洗面、浴室、収納が設置されている点が特徴。施設によっては、食堂、大浴場などの共有スペースが備わっていることもあります。

ただし、バリアフリーに関する規定はなく、施設によって対応が異なるため、介護度によっては手すりや段差などが設備されている高齢者専用賃貸住宅を選ばなければなりません。

個室の床面積は原則25㎡ですが、共同利用部分が多い施設の場合は18㎡以上でも良いとされています。

高齢者専用賃貸住宅の入所条件

高齢者専用賃貸住宅は、原則として60歳以上の方が入所できます。介護度の幅も広く、自立した方から要介護5の認定者まで受け入れが可能。また、民間法人が主体となっている形態から、独自規定に基づき60歳未満でも特例として要件が緩和されているところも特徴です。ただし、前払い金の保全措置や賃貸契約書の締結が義務付けられています。

高齢者専用賃貸住宅の費用

おすすめの施設

高齢者専用賃貸住宅の入居一時金は0~数千万円、月額費用は100,000~400,000円程度が相場です。

月額費用は家賃、共益費(管理費)、生活支援サービス費などが発生します。その他、必要に応じて介護サービスや医療ケアを受けた場合に限り、別途一部負担で費用がかかることは注意しなければなりません。

高齢者専用賃貸住宅の制度とは異なり、サービス付き高齢者向け住宅では特定入居者生活介護の指定を受けられるようになったため、住まいとケアを明確に分離できるようになりました。これにより、入居者様が要介護になったときのみ、外部サービスの介護事業所を利用できる仕組みになっています。

高齢者専用賃貸住宅のメリット・デメリット

メリット

高齢者専用賃貸住宅のメリットは、家賃と共益費(管理費)が有料老人ホームよりも格安で、入居条件も緩和されているところです。もともと1986年(昭和61年)に高齢者が地域で安心して暮らせるように、高齢者住宅という考え方で位置付けられました。高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃:こうゆうちん)と高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃:こうえんちん)の特性を引き継いでおり、高齢者が住みやすい住宅環境が整っているところは大きなメリットです。

デメリット

高齢者専用賃貸住宅では、充実した介護サービスが受けられません。そのため、要介護度が重くなった場合、転居の必要性が生じるのです。要支援者か、軽度の要介護者であれば、包括型の高齢者専用賃貸住宅内での措置が可能ですが、応急処置程度しか行えず、人員も設備も最低限となっています。

高齢者専用賃貸住宅は廃止になっている

2011年(平成23年)10月、高齢者住まい法の改正により、高齢者専用賃貸住宅の制度は廃止され、サービス付き高齢者向け住宅として一本化されました。廃止の主な理由は、次の4点です。

1特定施設以外に多種多様な住宅が増え、利用者にとって分かりづらくなった
2医療や介護サービスとの連携も、行政の指導も不十分だった
3民間法人の積極的な参入を促すため
4介護保険法改正に伴う定期巡回随時対応サービスの普及促進

一本化されたのは、福祉業界に民間企業を誘致する目的と、介護保険法改正に伴う制度改正が大きな要因。旧制度の高齢者専用賃貸住宅で提供されていた生活支援サービスは、サービス付き高齢者向け住宅への移行とともに介護保険制度へと組み込まれました。

高齢者専用賃貸住宅を検討中の方におすすめの施設

高齢者専用賃貸住宅は現行の制度として存在しないため、後継のサービス付き高齢者向け住宅をおすすめします。

一人暮らしは不安だけど自由度の高い施設を希望するなら、
サービス付き高齢者向け住宅がおすすめ

サービス付き高齢者向け住宅には、一般型(自立型)と介護型があります。一般型は、基本的に介護不要の自立した高齢者が対象ですが、介護型は施設内に介護職員が常駐しているため、介護を必要とする高齢者でも入所可能です。注意したいのは、一般型は要介護度が上がると住み続けられません。しかし、介護型なら介護度が上がっても住み続けられるため、入居を考える場合はそれぞれの施設の特徴を確認するのがおすすめです。

高齢者専用賃貸住宅に代わる選択肢を持とう

元気な高齢者にとって、プライバシーが尊重されつつ生活支援を受けられる高齢者専用賃貸住宅は人気の施設でしたが、2011年(平成23年)10月の法改正により制度が廃止されました。以降は、サービス付き高齢者向け住宅に仕組みが引き継がれています。高齢者が居住に困っていた時代から比べると、高齢者住まい法の存在によって大きく改善されました。高齢者向け住宅という枠組みで様々な仕組みが誕生しているため、生活環境や介護度を考慮しながら、自分に合った住居を選ぶことが重要と言えます。

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