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介護とは?定義からどんなことをするのかまで簡単に解説

「介護」とは、日常生活に支障がある方に対して最適なサポートを行うことです。高齢化の進む日本では、介護の需要がますます高まり続けています。しかし、介護とは具体的にどのようなことをするのか、具体的な知識を有している人が、まだまだ少ないのが現状。「介護とは?定義からどんなことをするのかまで簡単に解説」では、介護の具体的な内容、費用、制度について解説します。

介護とは

介護とは日常生活の援助

介護とは、自力で日常生活を送るのが困難な人に対して、生活全般のサポートを行うことです。介護は身体的なサポートだけでなく、精神面や経済面を含めて自立するために様々なサポートが行われます。

現在の日本では全人口において、65歳以上が21%を占める「超高齢化社会」となっており、高齢者が生活していく上で介護は非常に重要な課題なのです。

なお、介護以外に、高齢者の生活を支える用語として「看護」、「介助」があります。それぞれの違いを知ると、介護に対する知識が一層深まるでしょう。介護について正しく理解するために、「介護と看護の違い」と「介護と介助の違い」について解説していきます。

介護と看護の違い

介護と看護における決定的な違いは、「医療行為の有無」です。介護の役割は、排泄介助、入浴介助などの生活援助。看護は介護で行う生活援助に加えて、病気や怪我の治療を目的として服薬管理、注射などの医療行為をします。どちらも対象者を援助するという目的は同じですが、介護は日常生活面でのサポート、看護は治療面でのサポートの意味合いが強いのです。

また、介護と看護の違いは、保有資格によっても定められています。介護で行われる内容は、大きく分けて「身体介護」と「生活援助」の2種類。身体介護は、直接身体に触れ日常生活のサポートを行い、生活援助は身体には触れずに家事や買い物など生活に必要な作業をサポート。生活援助で行われる介護には、資格が必要ありません。

一方、看護で行われる医療行為には、看護師や准看護師の資格が必要です。注射や点滴などの医療行為は医学的な知識が必要になるため、介護の範囲では行えません。しかし、介護者を必要とする方は、何らかの医学的な問題を抱えているケースが多く、介護を行う上で看護とのかかわりも重要な点なのです。

介護と看護には、資格や行為で異なる部分がありますが、要介護者を援助する目的は同じ。実際の現場においては、介護と看護の両方の専門性を活かし、協力して治療や日常生活のサポートをしているのです。

介護と介助の違い

日常生活全般の動作で、利用者が行えない部分を手助けする行動そのものを「介助」と呼びます。一方、日常生活を送ることが難しい利用者に対して、身体的な介助や精神的なサポートを通して支援をするのが介護。介護の中の手段として、介助が含まれます。介助は介護を行うための手段のひとつであり、具体的に行われる介助は、以下の通りです。

  • 食事介助
  • 入浴介助
  • 歩行介助
  • 更衣介助
  • 排泄介助
  • 起居動作介助
  • 買い物介助
  • 通院介助
  • 食事介助
  • 入浴介助
  • 歩行介助
  • 更衣介助
  • 排泄介助
  • 起居動作介助
  • 買い物介助
  • 通院介助

要介護となるきっかけ

要介護は認知症、脳卒中が
きっかけになることが多い

要介護が始まるきっかけの多くは、怪我や病気、認知症の進行による、日常生活における機能の低下によるものです。

2022年(令和4年)の厚生労働省が行った国民生活基礎調査の結果によると、介護が必要となった主な原因として、以下の内容が報告されています。

  • 1位:認知症(16.6%)
  • 2位:脳血管疾患(脳卒中)(16.1%)
  • 3位:骨折・転倒(13.9%)

特に認知症は、進行により記憶力や判断力の低下が生じると、自立した日常生活を送ることが困難。通院や買い物など身の回りのことだけでなく、食事、排泄など基本的なことができなくなり、介護が必要になるケースが多いのです。

認知症以外に、脳血管疾患(脳卒中)、骨折・転倒も要介護になる大きな要因とされています。脳血管疾患、骨折・転倒は徐々に起こるのではなく突発的に発生するため、介護がいつ始まってもおかしくありません。さらに、入院による筋力及び認知機能の低下も要介護の原因となります。

また、加齢による体力の低下も要介護状態になる原因のひとつ。国民生活基礎調査で報告された2022年(令和4年)の要介護者の年齢割合は、以下の通りです。

2022年(令和4年)要介護者の
年齢割合
年齢 要介護者の割合
40~64歳 2.6%
65~69歳 3.4%
70~74歳 7.1%
75~79歳 12.9%
80~84歳 20.9%
85~89歳 27.1%
90歳以上 26.2%

要介護者の割合は、年齢を重ねるごとに増加し、後期高齢者になる75歳以上で大きく増えているのが分かります。

介護は誰が行うのか?

介護は家族やヘルパーが行う

介護を行っているのは、主に家族、あるいは介護サービスを提供している介護士・ヘルパーです。

2022年(令和4年)における国民生活基礎調査の結果では、主な介護者は要介護者の同居家族が45.9%と大きな割合を占めています。

同居家族のなかでも、配偶者が最も多く22.9%、次いで子が16.2%、子の配偶者が5.4%、父母0.1%、その他親族が1.2%。同居家族の次に多いのは別居の家族等で11.8%、事業者が15.7%、その他0.6%、残りの26.0%は主な介護者が不明です。

要介護者が自宅で生活している場合は、家族が介護を担っているケースがほとんど。一方で、「サービス付き高齢者向け住宅」、「介護付き有料老人ホーム」といった高齢者施設で生活している人は、介護士やヘルパーから介護を受けています。また、在宅でも介護保険制度を利用した「訪問介護」による介護士・ヘルパーのサポートが可能。さらに「デイサービス」、「デイケア」といった外部の介護サービスも利用できるため、在宅においても家族だけですべての介護を担う必要はありません。

介護保険サービスとは

「介護保険サービス」とは、要支援・要介護状態にある方が、日常生活で支援を受ける介護保険制度を利用したサービスです。65歳以上の高齢者と、40歳以上の「特定疾患」を有している方が、介護保険サービスの利用対象になります。

介護保険サービスの種類

介護保険サービスには、以下の通り、在宅、施設への通所、施設への入所など、要介護者の生活に合わせた様々な種類があるのです。

介護保険サービスの種類
種類 具体例
訪問
サービス
  • 訪問介護
  • 訪問入浴
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリ
  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
通所
サービス
  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリ
  • 地域密着型通所介護
  • 療養通所介護
  • 認知症対応型通所介護
施設入居
  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 介護療養型医療施設
  • 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)
  • 介護医療院
地域密着型サービス
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護

なお、介護保険サービスは、誰もが利用できる訳ではありません。「要介護認定」を受けた上で、介護度により利用できる介護保険サービスが異なります。要支援1・2の方は介護予防を目的としたサービス、要介護1~3は介護度が上がるにつれて利用できるサービスの範囲が拡大。要介護3以上になると、ほとんどの介護保険サービスが利用可能です。

また、在宅での介護サービスや施設での入居・通所サービス以外にも、福祉用具の貸与や特定福祉用具販売があります。介護に必要な物品をレンタルしたり、介護保険制度を利用して購入したりすると、少ない自己負担額で自宅の環境を整備することが可能。介護保険制度で貸与・購入可能な福祉用具は、以下の通りです。

介護保険制度でレンタル・購入できる
福祉用具
福祉用具貸与
  • 特殊寝台及び付属品
  • 床ずれ防止用具
  • 体位変換器
  • 手すり
  • スロープ
  • 車いす及び付属品
  • 歩行器
  • 歩行補助杖
  • 移動用リフト
  • 徘徊感知機器
  • 自動排泄処理装置
特定福祉用具販売
  • 腰掛便座
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 入浴補助用具
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具の部品

福祉用具は、月々数百円から数千円の自己負担額でレンタル可能。腰掛便座などの特定福祉用具も、介護保険制度の範囲内であれば、定価における10分の1程度の値段で購入できます。

要介護認定とは

要介護認定とは、どれぐらいの介護が必要かを7段階で数値化した指標です。「介護の手間」を時間に換算して評価した「要介護認定等基準時間」をもとに、要支援1・2から要介護1~5に分類。要介護度が高いほど、生活の自立度が低いことを示し、受けられる介護保険サービスの範囲も広くなります。要介護認定に使用される、要介護認定等基準時間は以下の通りです。

要介護認定等基準時間
要支援1 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満
またはこれに相当すると認められる状態
要支援2
要介護1
要介護認定等基準時間が32分以上50分未満
またはこれに相当すると認められる状態
要介護2 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満
またはこれに相当すると認められる状態
要介護3 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満
またはこれに相当すると認められる状態
要介護4 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満
またはこれに相当すると認められる状態
要介護5 要介護認定等基準時間が110分以上
またはこれに相当すると認められる状態

要支援2と要介護1は、要介護認定等基準時間が同じですが、認知症の有無や状態の安定性によって分類。なお、状態の安定性は、病状の進行の可能性、症状の変化を主治医の判断によって決められます。

また、要介護認定等基準時間に含まれる項目は、以下の5分類。日常生活に関連する項目から認知症に関連する項目まで幅広く評価します。

要介護認定等基準時間の項目
分類 定義 具体的な
内容
直接生活介助 入浴、排泄、食事等の介護 洗顔、更衣、排便、体位変換など
間接生活介助 洗濯、掃除等の家事援助等 食事の準備・後始末、コミュニケーションなど
問題行動関連介助 徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等 不潔行為への対応、暴力行為への対応など
機能訓練関連行為 歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練 寝返り訓練・起き上がり訓練など
医療関連行為 輸液の管理、褥瘡の処置等の補助 中心静脈栄養の管理、座薬の挿入など

在宅での介護の特徴

在宅での介護は、自宅で日常を過ごし、ひとりでは困難な生活動作がある場合、サポートを受けながら生活する状態です。家族が主に介護をすることや、要介護者が住み慣れた場所で生活できることが、在宅介護の大きな特徴。

具体的には福祉用具のレンタル・購入を活用しつつ、食事や着替え、トイレ動作などの介護を家族が行います。この在宅介護におけるメリットは以下の通りです。

  • 施設介護と比較して経済的負担が少ない
  • 住み慣れた自宅で生活ができるため、安心して生活できる
  • 家族と一緒に過ごす時間を多く取れる

在宅介護の最大のメリットは、介護費が安いこと。施設介護では月々の入居費用がかかるため、在宅介護と比較して多くの費用が必要です。在宅介護は自宅なので、経済的負担を抑えられます。また、利用者の住み慣れた自宅で生活できるため、環境の変化もなく、精神的にも落ち着いて生活が可能です。

一方、在宅介護のデメリットとしては、家族が主な介護者なので、仕事やプライベートの時間と介護の両立をしなければならず、負担が増加すること。なお、在宅介護において考えられるデメリットは、以下の通りになります。

  • 介護度が上がるほど、介護を担う家族の時間的、身体的、精神的負担が増加しやすい
  • 医療的なケアが必要な場合、ケアの知識が必要になる
  • 家族に負担をかけていると感じ、要介護者本人が精神的負担を感じやすい
  • 要介護者が家族としか接しないため、社会的な交流が減少する

在宅介護で最大のデメリットは、何よりも介護を行う家族の負担が大きいことです。介護度が上がるにつれ、介護に費やす時間と身体的・精神的な負担が増加します。そのため、介護保険サービスによるデイサービス、「短期入所施設」などを活用して、介護者の負担を軽減する工夫が必要です。

また、在宅介護を選択する人の中には、日常的な医療ケアが必要なケースもあります。その際は、介護者である家族が医療ケアを覚える必要もあるのです。また、要介護者本人も家族に負い目を感じ、精神的な負担を負うこともあります。

在宅介護を選択する際は、これらのデメリットを考え、どのように対応するのかを事前に計画しておくことも重要です。

介護施設での介護の特徴

介護施設での介護は、日常生活に必要なサポートを施設スタッフが行います。施設介護の最大の特徴は、1日中介護が必要な方、専門的な医療ケアが必要な方に対応できることです。施設介護の主なメリットは、以下の通りになります。

  • 家族の時間的、身体的、精神的負担を減らすことができる
  • 24時間介護を受けることができる
  • 施設スタッフ、他の利用者など家族以外の人との交流がある
  • 専門的な医療ケアが行える

施設介護には様々なメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあるのです。

  • 在宅介護と比較し、経済的負担が大きい
  • 住み慣れた家ではない施設で生活するため、本人の精神的負担になる可能性がある
  • 希望してもすぐに入所できない可能性もある

在宅介護と比較して、施設介護では入所費用が最大の負担となります。毎月決まった月額費用がかかるため、要介護者本人の収入では賄えないことも。また、住み慣れた自宅や地域を離れることも、要介護者にとっては大きなストレスです。さらに、施設での介護は日によって担当スタッフが違うことも多く、要介護者の不安が増える可能性もあります。

介護にかかる費用

介護にかかる費用の目安は、在宅介護で月50,000円、施設介護で月100,000円程度。なお、在宅介護・施設介護ともに、利用できる介護保険サービス、給付限度額、自己負担額は要介護度によって変動します。

在宅介護における費用

在宅介護の費用の平均は、1ヵ月50,000円が目安。介護保険サービスの利用料で16,000円、介護サービス費用以外で34,000円が、平均的な費用となっています。介護度別の月額費用平均は以下の通りです。

要介護度別の月額費用平均
全体平均 50,000円/月
要介護1 33,000円/月
要介護2 44,000円/月
要介護3 60,000円/月
要介護4 59,000円/月
要介護5 74,000円/月

要介護度が上がるにつれて、介護に必要な費用は高くなっていきます。在宅介護の場合は、介護に関連する費用以外に食費、光熱費、住居費など生活費も必要。そのため、1人あたり月額約80,000~100,000円の費用がかかります。

また、在宅介護の場合は月々の料金だけでなく、自宅の改修工事(介護リフォーム)、福祉用品のレンタル・購入が必要です。なお、介護リフォームなどによる一時的な介護費用の目安は、平均740,000円とされています。

施設介護の費用

施設介護における費用は、1ヵ月約150,000~300,000円です。施設の種類や提供される介護保険サービスによっても金額が異なります。施設介護を受ける際に必要とされる出費は、入居一時金と月額利用料金で、それぞれの内訳と平均費用は以下の通りです。

施設介護の費用目安
内訳 平均費用
入居
一時金
100,000~
1,000,000円
月額
利用料
  • 賃料
  • 管理費
  • 食費
  • 水道・光熱費
  • 介護サービス利用費
  • その他
150,000~
300,000円

施設介護は、居住費や管理費などが生じるため、在宅介護よりも費用が当然高くなります。月額料金の平均は、公的な施設である「特別養護老人ホーム」に入る場合は約150,000円、民間が運営する「有料老人ホーム」では200,000~300,000円程度です。

施設介護は在宅介護と比較して、介護負担が少なくなる分、経済的な負担が重くなるので要注意。また、設備やサービス内容が充実するほど、費用は高額になります。要介護者の状態、経済状況を考慮して最適な施設を選ぶのが大切です。

介護保険サービスにおける、負担軽減制度

介護保険サービスにおける自己負担額では、所得が一定以下の方に対して「負担軽減制度」が設けられています。具体的には、介護保険サービスを利用した際に支払う1割負担分の4分の1、施設入居の際の居住費及び食費が、4分の1程度に軽減。この負担軽減制度の対象となる介護保険サービスの種類は、以下の通りです。

  • 訪問介護
  • 通所介護
  • 短期入所生活介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 夜間対応型訪問介護
  • 地域密着型通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 複合型サービス
  • 介護福祉施設サービス

負担軽減制度は、国の制度に基づいて各自治体が行う制度であるため、住んでいる自治体によって条件や軽減額は異なります。年金を含めた世帯収入、預貯金によって判断されるため、負担軽減制度の詳細は、住民票がある自治体での確認が必要です。なお、軽減の対象者の条件は以下の基準で定められています。

  • 年間収入が単身世帯で150万円、世帯員がひとり増えるごとに50万円を加算した額以下
  • 預貯金等の額が単身世帯で350万円、世帯員がひとり増えるごとに100万円を加算した額以下
  • 日常生活に供する資産以外に活用できる資産がない
  • 負担能力のある親族等に扶養されていない
  • 介護保険料を滞納していない

以上の条件を満たせば、負担軽減制度を利用することが可能。介護において経済的に厳しい場合は、負担軽減制度について市区町村の窓口で相談してみましょう。

介護保険サービスを受けるには

介護保険サービスは申請が必要

介護保険サービスを受けるためには、以下の手続きを行います。

①要介護認定の申請
②主治医の診断・意見書の作成
③訪問・調査
④認定
⑤介護サービス計画書(ケアプラン)の作成

1要介護認定の申請

介護保険サービスを利用するために要介護認定が必要。各自治体に設置されている地域包括支援センターや窓口で申請を行います。本人が入院中や、外出が難しい場合などは、家族や介護施設、居宅介護支援事業所のスタッフが代行して行うことも可能。

要介護認定の申請を行う際に必要になる書類は、申請書、病院の診察券、介護保険被保険者証、医療保険被保険者証、マイナンバーカードです。また、申請する自治体によって、必要な書類は異なるため、自治体への確認が必要になります。

2主治医の診断・意見書の作成

要介護認定の申請を行うには、主治医による診断・意見書が必要。主治医の意見書は、要介護度の判断をする際、身体状況を把握するために使用されます。

主治医への診断・意見書提出依頼は、申請を受けた市区町村が行うため、申請者から依頼する必要はありません。窓口で介護保険サービスの申請をする際、かかりつけの病院・住所・主治医の名前といった情報を伝え、それをもとに市区町村が依頼を代行。

主治医がいない場合は、市内の医療機関での診察を受ける必要があります。なお、意見書の作成にあたって自己負担はありません。

3訪問・調査

各自治体から認定調査員が自宅を訪問し、申請者本人の身体状況や日中の生活状況について伺い、認定調査票を作成します。申請者本人が入院中の場合も同様に、認定調査員が入院中の医療施設を尋ね、身体状況の確認を実施。認定調査では、以下のことが行われます。

  • 身体機能・起居動作:寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行など
  • 生活機能:移動、食事摂取、着替えなど
  • 認知機能:意思の伝達、短期記憶など
  • 精神・行動障害:物忘れ、作り話、物の破壊など
  • 社会生活への適応:薬の内服、金銭の管理、簡単な調理など

調査項目に関しては、聞き取りと実際の動作を見て判断。認知症などにより正確な回答ができない場合は、家族や親族などの同席が必要です。

4認定

認定調査の結果と主治医意見書の結果に基づき、以下の2つの手順を踏んで要介護認定が行われます。

  • 一次判定:認定調査・主治医意見書の内容をコンピューターに入力、判定
  • 二次判定:介護認定審査会での要介護度の判定

一次判定、二次判定を経て、要支援1・2、要介護1~5に分類。申請から認定の通知までに要する時間は、30日程度です。

5介護サービス計画書(ケアプラン)の作成、介護保険サービス利用開始

要介護認定を受けたのち、介護保険サービスの利用を開始するには、まず「介護サービス計画書」(ケアプラン)の作成が必要。このケアプラン作成については、介護度によって以下の通り相談場所が異なります。

  • 要支援1・2:地域包括支援センター
  • 要介護1~5:居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)

地域包括支援センター、あるいは居宅介護支援事業者にて、要介護者と家族がケアマネジャーと必要な介護サービスについて面談。面談内容に基づいて、ケアマネジャーは目標を設定し、ケアプランの原案を作成します。

原案を作成したのち、専門家による「サービス担当者会議」が行われ、ケアプランが交付。ケアプラン交付後に、介護保険サービスの利用が可能です。利用する中で困ったこと、疑問点がある場合には、担当のケアマネジャーに適宜連絡し、ケアプランの見直しが行われます。

まとめ

介護とは、自力で日常生活を送るのが困難な人に対して、生活全般の支援を通して、自立をサポートすることです。認知症や疾患が原因で介護が必要になるケースが多く、在宅や施設など介護の手段は様々。

身体的なケアから精神的な援助まで、多様な支援が必要になるため、介護保険サービスの利用や医療機関との連携が必要不可欠です。介護負担を軽減する制度や介護保険サービスを受ける手順を理解して、スムーズな介護が行えるようにしましょう。

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