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有料老人ホームと養護老人ホームの違いとは?一覧表で分かりやすく比較

「有料老人ホーム」と「養護老人ホーム」は、どちらも高齢者の養護を目的とした施設ですが、その特徴と提供するサービスには大きな違いがあります。有料老人ホームは自立から要介護まで様々な要望に応える一方、養護老人ホームは、経済的に困窮している高齢者の一時的な支援が目的です。有料老人ホームと養護老人ホームの特徴、サービス内容、費用の違いについて詳しく解説します。

有料老人ホーム、養護老人ホームの違い

有料老人ホームと養護老人ホームで提供されるサービスには大きく違いが存在。有料老人ホームは介助、介護サービスの提供が目的です。対して、養護老人ホームは生活環境に問題がある、もしくは経済的に困窮した高齢者の社会復帰支援が目的とされています。有料老人ホームと養護老人ホームの違いについては、以下の通りです。

有料老人ホームと養護老人ホームの違い
有料老人ホーム 養護老人
ホーム
介護付き 住宅型 健康型
(自立型)
特徴 24時間介護スタッフが常駐。掃除や洗濯など身の回りの世話、食事、入浴、排泄などの介助サービスが受けられる。 主に自立、要支援または要介護度が低い高齢者の方を対象にした施設。介護は外部サービスを利用。 介護が必要ない方でも入所可能。 生活環境、経済的に困窮している高齢者を対象に社会復帰の促進、及び自立のため、指導や訓練を行う。




・介護
・生活支援
・食事
・健康管理
・リハビリ
・医療ケア
・安否確認
・生活相談
・介護
・生活支援
・食事
・健康管理
・リハビリ
・医療ケア
・安否確認
・生活相談
・生活支援
・食事
・健康管理
・医療ケア
・安否確認
・生活相談
・生活支援
・食事
・健康管理
・社会復帰の支援

レクリエーション ・生活支援サービス
・レクリエーション
・看取り
レクリエーション 介護




あり なし 施設による なし
施設

設備
・浴室
・洗面設備
・便所
・食堂
・医務室
・介護職員室
・機能訓練室
・談話室
・応接室
・洗濯室
・汚物処理室
・健康施設
・浴室
・洗面設備
・便所
・食堂
・医務室
・介護職員室
・機能訓練室
・談話室
・応接室
・洗濯室
・汚物処理室
・健康施設
・リハビリ室
・浴室
・洗面設備
・便所
・食堂
・医務室
・介護職員室
・機能訓練室
・談話室
・応接室
・洗濯室
・汚物処理室
・健康施設
・食堂
・リビング
・集会室
・浴室
・医務室
・調理室
・洗濯室
入所
条件
原則65歳以上
自立~要介護
原則60歳以上
自立~要介護2程度まで
経済的理由で困窮している65歳以上の高齢者で、かつ身体的には自立していること
根拠
法令
老人福祉法、介護保険法 老人福祉法







0~数百万円 0~数億円 なし




15~30万円 10~40万円 0~10万円

なお、有料老人ホームは「介護付き」、「住宅型」、「健康型」の3種類に分けられ、さらに介護付き有料老人ホームには「自立型」、「混合型」、「介護専用」の3種類があります。介護付き有料老人ホームにおける自立型、混合型、介護専用の特徴については以下の通りです。

介護付き有料老人ホーム3つの特徴
自立型 ・健康で自立した高齢者のための施設
・露天風呂やトレーニングルームなど設備面が充実
・入所後に介護が必要になった場合、退去が必要になる可能性
混合型 ・要介護認定を受けている方、受けていない方どちらも入所可能
・夫婦のどちらかが要介護であっても、同時に入所ができる
・入所中に介護が必要になっても、入所をし続けることができる
介護型 ・要介護1以上の方を対象
・介護度が高い人を対象にしているため、スタッフの配置や設備の設計が手厚い

有料老人ホームと養護老人ホームの違い①サービス内容

有料老人ホームと養護老人ホームにおけるサービスには、どのような違いがあるのでしょうか。

有料老人ホームのサービス

介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホームでは、それぞれで提供されるサービスに違いがあります。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、介護保険における「特定施設入所者生活介護」に基づいたサービスを提供。具体的には食事、入浴、排泄の介助から機能訓練まで、専門知識を持ったスタッフによる24時間体制の介護サービスです。

また、健康管理や緊急対応を担当する看護師が常駐し、日常の健康チェックから褥瘡(じょくそう:とこずれ)などの皮膚疾患の処置、医療機関との提携による定期的な健康診断、訪問診療が行われます。食事は入所者の状態に合わせて提供。理学療法士や作業療法士によるリハビリも実施され、日常生活の自立を促進します。加えてレクリエーションやイベントも豊富に行われ、高齢者の心身の活性化を図っているのです。さらに家事や買い物、行政手続きの代行といった生活支援サービスも充実しており、要介護状態の方でも質の高い生活が可能になります。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、自立から軽度の要介護状態の高齢者を対象とし、日常生活のサポートを中心に提供。基本的に介護サービスが含まれていません。介護サービスが必要な場合、介護業者との契約を通じて外部からのサービスを受ける形となります。

食事面では栄養士の監督の下で提供され、入所者の健康状態に応じて食事を調整。医療面では、法的に看護職員の配置は義務付けられていないため、施設によっては外部の医療機関との連携を取りながら、必要な医療サービスが提供されるのです。看取りに対応している施設もあるため、施設と相談しながらサービス内容を確認しましょう。

健康型有料老人ホーム

健康型有料老人ホームでは、自立した健康な高齢者を対象にしているため、サービスは食事、生活支援などを提供。日中は「コンシェルジュ」(管理者:介護・医療などの専門スタッフ)が常駐し、入所者の安全が保たれています。健康な方が集まっているため、レクリエーションやイベントが充実しており、ときにはコンサートや運動会などアクティブな生活を送ることが可能です。

なお、介護や医療サービスは提供されておらず、必要に応じて外部サービスを申込むことになります。総じて、健康型有料老人ホームは自由度が高い施設なのです。

養護老人ホームのサービス

養護老人ホームのサービス

養護老人ホームは、高齢者の社会復帰と自立を支援する施設のため、提供されるサービスは食事、健康管理などの生活支援、経済的な相談などの「社会復帰のサポート」が中心。基本的な日常生活は入所者自身が行い、施設のスタッフは生活のサポートを行います。

介護施設ではないため、基本的に介護サービスは提供されません。しかし、2005年(平成17年)の介護保険法改正により、外部の提供事業者と契約することで介護サービスを受けることが可能となりました。とは言え、介護自体は施設のサービスではないため、要介護度が高まると他の施設への移動が推奨されることもあるのです。

有料老人ホームと養護老人ホームの違い②設備

有料老人ホームと養護老人ホームの設備の違いについては、以下の通りになります。

有料老人ホームと養護老人ホームの設備基準
有料老人ホーム 養護老人ホーム
居室面積 13㎡以上 10.65㎡以上
居室の設備 ・一般居室
・介護居室
・一次介護室
・地階に設けてはならない
・入所者1人当たりの床面積は、10.65㎡以上
・1ヵ所以上の出入口は、避難上有効な空地、廊下または広間に直接面して設けていなければならない
・入所者の寝具、及び身の回り品を各人別に収納することができる収納設備を設ける
共用部分 ・食堂
・医務室または健康管理室
・看護、介護職員室
・機能訓練室
・談話室または応接室
・洗濯室
・汚物処理室
・健康
・生きがい施設
・リハビリ室
・浴室
・洗面設備
・便所
・居室
・静養室
・食堂
・集会室
・浴室
・洗面所
・便所
・医務室
・調理室
・宿直室
・職員室
・面談室
・洗濯室または洗濯場
・汚物処理室
・霊安室

有料老人ホームの設備

有料老人ホームは、高齢者が安心して生活できるように様々な設備を整備。入所者には個室が用意され、床面積は13㎡以上を確保。全館はバリアフリー化されており、廊下の幅は1.8m以上確保されているため、車椅子の入所者も安心して移動できます。共有スペースの設備は、食堂やリビングの他、洗濯室、理美容室、娯楽施設、リハビリを行う機能訓練室などが存在。

介護付き有料老人ホームでは、健康チェックや服薬管理を行う健康管理室、寝たきりの方でも利用できる機械浴、特殊浴などの医療系の設備が充実しているのです。一方、住宅型有料老人ホーム、及び健康型有料老人ホームでは、図書館、シアタースクリーンなどの娯楽施設が設置されていることもあります。しかし、施設によって設備に大きな差があるため、自分の希望や条件に合った施設を選びましょう。

養護老人ホームの設備

養護老人ホームは、困窮した高齢者の社会復帰を支援する施設で、基本的な生活環境が提供されています。居室は1人用で10.65㎡以上の広さを確保。特別な理由で夫婦などが入所する場合は、2人部屋も選択可能です。居室は一人ひとりに与えられますが、有料老人ホームと異なり、浴室、洗面所、トイレは共用の場合があることに注意しましょう。

また、看護や医療の設備は限定的で、体調不良の際は静養室や医務室で対応します。食事は栄養士が在籍しており1日3回提供され、理美容室やリハビリ施設はないものの、社会復帰に関する相談設備は充実しているのも特徴です。

有料老人ホームと養護老人ホームの違い③入所条件

有料老人ホームの入所条件

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームでは、自立型、混合型、介護専用において、それぞれ入所条件が異なります。自立型は、要介護や要支援認定を受けていない方が入所できる施設です。混合型は、自立している高齢者から要介護5の高齢者まで幅広く受け入れており、夫婦での入所も、要介護度が異なっていても可能。介護専用型は、要介護1以上の高齢者を対象としていますが、夫婦どちらかが自立している場合は入所できません。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、原則として60歳以上の方を対象としており、自立から軽度の要介護状態の方が入所できる施設です。施設内で介護サービスが提供されないため、介護が必要な方は原則として入所できません。また、施設や入所希望者の状況に応じて、60歳未満でも入所できることもあります。さらに、認知症の状態が軽度であれば受け入れてくれる施設もあるため、事前に確認しましょう。

健康型(自立型)有料老人ホーム

健康型(自立型)有料老人ホームでは、明確な入所条件を定義していません。一般的には、おおむね60歳以上であり、自立~要介護1、2程度までの方を対象としています。施設により入所条件が異なる可能性があるため、事前確認が必要です。

養護老人ホームの入所条件

養護老人ホームの入所条件は、原則として65歳以上で、自立または軽度の要介護状態の高齢者が対象。また、経済的な困難を抱えている方、例えば生活保護受給者や低所得により自宅での生活が難しい方も対象となります。

入所を希望する場合は、自治体の「入所の措置判断」が必要です。市区町村における役所の窓口での申込み後、入所判定委員会によって審査が行われます。この審査では入所条件に加え、生活環境や経済状況などを厳しく評価。得られた情報をもとに、入所判定委員会が最終的な判定を行います。災害、虐待など緊急性が高いと判断される場合は、入所判定委員会を経ずに入所が決まることもありますが、基本的には審査が必要と考えておくと良いでしょう。

しかし、養護老人ホームの施設数や定員には限りがあり、一般的に入所は難しいとされています。入所を検討する際には、役所や地域の支援機関にまずは相談し、困窮している状況をしっかりと理解してもらうことが大切です。

有料老人ホームと養護老人ホームの違い④費用相場

費用相場の違い

有料老人ホームは、それぞれのタイプによって費用は様々ですが、介護サービスが付帯しない住宅型有料老人ホームは安く、施設やサービスの充実している健康型有料老人ホームが高くなる傾向。

一方で、養護老人ホームは困窮者を対象にしているため、入所一時金がなく、月額利用料も過去1年間の収入をもとに、無理のない範囲で設定されます。

有料老人ホーム

入所一時金

有料老人ホームは、初期費用として入所一時金が必要。入所一時金とは、入所時に一定の期間分の家賃をまとめて支払うお金を指します。家賃や月額利用料が払えなくなった場合に、補てんとして入所一時金を充てるのです。入所一時金の費用は、施設によって様々。なかには入所一時金が0円の施設もあるため、初期費用を抑えたい方は個別に調べてみることをおすすめします。

月額利用料

介護付き有料老人ホームは、24時間の介護スタッフ、ケアマネージャー、看護職員などの専門家によるサービスが提供されるため、月額利用料が住宅型の有料老人ホームよりも高くなる傾向。毎月の介護費用は、要介護度に基づき定額で設定するため、どれだけ利用しても費用が変わらないのはメリットです。しかし、特定施設入所者生活介護の指定を受けている施設の場合には、上乗せ介護費として月額利用料に含まれることもあります。

住宅型有料老人ホームは、介護や医療体制が整っていない施設が多いため、初期費用や月額利用料は、介護付き有料老人ホームよりも安くなる傾向。しかし、入所者が介護サービスを必要とする場合は、訪問介護や通所介護などの外部サービスの別途契約が必要です。外部サービスを利用すると介護利用費が上乗せされるため、結果として介護付き有料老人ホームよりも高額になる場合があります。

健康型(自立型)有料老人ホームは、基本的に富裕層を対象としており、設備や体制が充実。介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームよりも高額になる場合がほとんどです。

養護老人ホーム

入所一時金

養護老人ホームは、入所一時金を徴収しないことが法律で定められており、支払う必要がありません。これは困窮者を対象としているためで、利用者は月額利用料のみ支払います。

月額利用料

養護老人ホームの月額利用料は、前年度の収入に基づいて、0~14万円の範囲で設定されるため、入所者ごとに異なるのです。収入が低い場合や生活保護を受けている場合、入所費用が徴収されないこともあります。ただし、入所者だけでなく家族や扶養義務者からも費用を徴収されることがあるので注意が必要です。

また、市区町村によって月額利用料は異なります。例として、横浜市の養護老人ホームの費用は、前年の収入から各種控除を受けたあとの額に基づき、39段階に区分け。年27万円以下の収入の場合は無料となり、それを超えると段階的に費用が増える仕組みです。150万円以上の収入の場合には、最大で14万円の負担となります。

有料老人ホームと養護老人ホームのメリット・デメリット

有料老人ホームは、提供されるサービスが幅広いことがメリットです。一方、養護老人ホームは生活に最低限の設備を利用し、安価に社会復帰支援が受けられるのがメリット。それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

有料老人ホーム

メリット

メリット・デメリット

有料老人ホームのメリットは、施設数が豊富で入所者の身体状況、希望に合わせて施設を選べる点です。特に介護付きの老人ホームは医療体制が整っており、介護度の高い方、医療ケアが必要な方でも安心して生活できる環境が整っています。

なお、有料老人ホームは生涯にわたって住むことが前提。そのため入所者が楽しく過ごせるよう、充実したイベントやレクリエーションがあったり、他の入所者とのコミュニケーションがとれたりするような環境が用意されています。

デメリット

有料老人ホームのデメリットは、費用がやや高いという点です。サービスや設備が充実している施設ほど費用も高くなる傾向。しかし、すべての有料老人ホームが高額なわけではなく、予算に合わせて選べる施設も存在します。

特に入所一時金が不要な施設は、初期費用が抑えられるためおすすめです。さらに、住宅型や健康型の老人ホームでは、要介護度が高まると施設の対応が困難となることがあり、退去を求められることも。また、基本的に集団生活を行うため、コミュニケーションが苦手な方は施設に慣れるまで時間がかかることもデメリットとされます。

養護老人ホーム

メリット

養護老人ホームの最も大きなメリットとしては、経済的な負担が少ないことです。前年度の収入に基づき料金が設定されるため、生活保護を受けている方でも入所が可能となっています。そのため、特に収入が低い方でも利用できるのです。例として、年収150万円の場合では、月額8万円程度で入所が可能。また、養護老人ホームでもイベント、レクリエーションが行われており、他の入所者との交流を通じて孤独感を軽減できます。さらに、職員が常駐しているため、非常時のサポートも万全なのです。

デメリット

養護老人ホームのデメリットで最も大きいのは、入所の難易度の高さです。公的施設であるため、入所するには厳しい審査を通過しなければならず、入所判定委員会による審査が必要となります。自身が困っている状況であっても、入所判定委員会が認可しない限り入所することはできません。さらに、養護老人ホームの定員数は限られており、今後増加する見込みも少ないため、入所を希望する多くの高齢者にとって大きなハードルとなっています。

すぐに入所できない場合、ケアハウスも検討

ケアハウスも検討の中に

有料老人ホームを検討していたり、養護老人ホームを検討していたりしても、すぐに入所できるとは限りません。そんな方には「ケアハウス」がおすすめです。ケアハウスの月額利用料は、10~30万円前後と金額に幅はありますが、基本的に有料老人ホームと比べて安価な傾向。さらに、所得に応じて事務費が軽減されるため、低所得の方でも安心して入所できます。これは、ケアハウスが国、自治体から補助金を受けて経営されているためです。

また、ケアハウスでは、有料老人ホームと同様に入所者には個室が与えられ、自宅での生活と同じような日常を過ごせます。食事、洗濯などの生活支援サービスを受けつつ、生活の自由度も高いのが魅力です。レクリエーション、囲碁、将棋、カラオケ、クイズ大会など、様々なアクティビティが行われており、孤独を感じることなく充実した生活を送れます。さらに、介護型のケアハウスも存在し、介護サービスを施設内で受けることも可能です。

まとめ

有料老人ホームと養護老人ホームは、どちらも高齢者のための施設ですが、その目的や提供するサービスには大きな違いがあります。有料老人ホームは、介護や介助サービスを提供することを主な目的とし、介護付き、住宅型、健康型(自立型)の3種類が存在。24時間体制でのサポートと生活支援を受けつつ、安心した老後を送ることが可能です。一方、養護老人ホームは社会復帰を目的としています。生涯ではなく一時的なサポートになるため、社会復帰を目指す方々に適した施設です。これらの違いを理解して施設選びを行いましょう。

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