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脱臼の症状と予防|対処方法も解説

「脱臼」(だっきゅう)は、関節が外れ、骨の位置がずれてしまう症状のことです。スポーツを行う若者だけでなく、筋力が衰え転倒しやすくなった高齢者にもよく見られる外傷のひとつ。場合によっては、手術が必要になったりすることもあります。「脱臼の症状と予防|対処方法も解説」では、脱臼の症状や予防法を詳しく解説。また、実際に脱臼してしまったときには、どのようにすれば良いかなどをまとめました。

脱臼の症状

脱臼とは何か、具体的にどういった症状が起こるのか見ていきましょう。

脱臼とはどういう状態?

肩の脱臼が最も多い

脱臼とは、骨と骨を繋ぐ関節において、本来の位置である関節面から完全に離れてしまっている状態のこと。完全に離れず、部分的にずれているという状態は、「亜脱臼」(あだっきゅう)と呼びます。

最も多く脱臼が発生する関節は肩ですが、肘、指、膝、足首、股関節、顎など、すべての関節で発生。脱臼の主な原因は、転倒や衝突といった外部からの強い衝撃が挙げられます。また、疾患や筋肉の麻痺、人工関節への置き換えなどが原因で起こることも少なくありません。

いずれも、関節が外れるときに「ガクッ」という音や感覚などで、脱臼したことを自覚する場合がほとんどです。

脱臼の主な症状

脱臼すると、患部に強い痛みを感じ、腫れが起こります。これは靭帯(じんたい)を損傷するなど、周囲の組織にも強い負荷がかかるためです。

同時に患部に力が入らず、いつも通りに動かせなくなる「機能障害」(きのうしょうがい)が起こります。患部が肩であれば、腕がだらりとしたまま上げられなくなり、顎であれば口を開けたまま閉じることが困難に。脱臼した患部を無理に動かしたり、体重をかけたりすると激しい痛みが生じます。

また、脱臼時に周囲の神経を傷付けてしまった場合、しびれなどの感覚異常が現れることも。他にも、関節が外れた部分が不自然に歪んだり、内出血が起こって皮膚にあざ、変色が現れたりと、外見的な症状が見られる場合もあります。

なお、脱臼と同時に骨折など他の怪我を起こす人も少なくありません。ぱっと見ただけでは分かりにくいため、X線検査で確認が必要。場合によってはCT検査やMRI検査を行うこともあります。

一度脱臼すると、「関節包」(かんせつほう)という関節を覆っている組織や靭帯などが緩んでしまい、再び脱臼しやすくなる可能性も。特に肩や顎の関節は癖になりやすく、小さな動きでも脱臼しやすくなるため、しっかり治療しましょう。

初めて脱臼した場合、基本的には外れた関節を手で戻していく方法を採りますが、すでに脱臼癖が付いてしまった場合や骨折を伴う場合などは、手術による治療が必要です。

脱臼を予防するには

脱臼を予防するには、リスクの高い動きを避け、関節に負担をかけずに日常生活を送ることが肝心です。ここでは、具体的な予防法を見ていきましょう。

脱臼しやすい動き、姿勢を避ける

地面に手を突く、ジャンプする、大きく肩を動かす、大きな口であくびをする、といった何気ない行動が脱臼の原因となることがあります。各関節の可動域に合わせ、無理をせずに動くことが大切です。

肩の関節

肩の脱臼を予防するには、肩甲骨よりも後ろで手を動かす動きを避ける必要があります。後ろにある物を取るときには体ごと向いたり、座った状態から立つときには後ろに手を突いたりしないなど、何気ない動作も気を付けましょう。

股関節

内側に足を捻る姿勢は、股関節を脱臼しやすくなる原因になりかねません。なるべく足を伸ばした状態で靴下を履いたり、足の爪を切るときには、膝を外側に向けて曲げたりするなど、体を捻る動作を避けましょう。

顎の関節

顎を脱臼しないためには、大きく口を開けないように意識することをおすすめ。特に食事やあくびの際は、注意が必要です。歯科医院などで口を開けなくてはならない場合は、あらかじめ、歯科医師に相談しましょう。

転倒しないように工夫する

加齢に伴い、バランス感覚や筋力は衰えていきます。そのため、歩く際は手すりや壁を支えにする、外出する際には杖を使用するなど、転倒から身を守る工夫を取り入れていきましょう。

また、家の中では、つまずき防止のために障害物を片付けておくことも必要です。立ったり座ったりするときは、ゆっくりとした動作を心がけます。

他にも、歩く力を保つために、下半身の簡単な筋トレもおすすめ。椅子に座ったまま、つま先とかかとを交互に上げる動作など、無理のない範囲で取り組んでみましょう。

テーピングやサポーターで固定する

あらかじめ、首や膝など負担がかかる関節を、テーピング、サポーターなどで固定する方法もおすすめです。

また、高齢者で片腕に麻痺がある方は、腕を伸ばした状態のままにしておくと、腕の重みで脱臼してしまうことも。その場合、布などを使って腕を固定することで予防になります。介護の際は、腕を強く引っ張ったりしないように注意しましょう。

脱臼したらどうすればいい?

いくら気を付けていても、脱臼してしまう可能性は常にあります。ここでは、脱臼した場合、どのようにすれば良いかについてまとめました。

受診前の応急処置

脱臼した場合の応急処置

脱臼した際、まずは慌てず、氷や冷感スプレー、冷感湿布などを使って患部を冷やしましょう。

そして、関節が動かないように包帯などで固定。包帯以外にもタオル、棒、雑誌など、関節を固定できる物なら何でも利用できます。このとき、なるべく痛みの少ない楽な状態を保てるように固定することが重要です。

なるべく早く接骨院、整骨院、整形外科へ

ずれてしまった関節の骨を正しくもとの位置に戻すことを、「整復」(せいふく)と呼びます。脱臼してしまったら、なるべく早く整復しなくてはいけません。脱臼したまま放置しておくと、ずれたままの位置で新たに関節が形成されたり、もとの位置に戻しにくくなったりするためです。

しかし、整復を自分で行おうとすると、骨の一部が欠けてしまったり、神経や靭帯を傷付けてしまったりすることも。余計にひどくなってしまう前に、なるべく早く接骨院整骨院、整形外科を受診し、整復してもらいましょう。

場合によっては、麻酔を使用しながら整復することもあります。また、骨折など他の怪我も併発していないかを確認してもらうことが必要です。

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しばらくは安静に

整復を行ったあとは3~4週間程度、患部を固定し、安静にしていなくてはいけません。痛みがないからと言って、自分の判断で勝手に動かしてしまうと、充分に治りきらず、脱臼が癖になることがあります。

脱臼癖が付いてしまうと、手術が必要になることもあるため、無理をせず、専門家の指示に従いましょう。その後も適切なリハビリを受け、関節周辺の筋肉を回復させていく必要があります。

まとめ

脱臼は、転倒などちょっとしたきっかけで起こりやすい外傷です。高齢者の場合、脱臼して動けない時期が続くと、若者よりも急速に筋力が衰えたり、回復が遅くなったりすることも。リハビリ期間が長くなり、日常生活に戻るまで時間がかかることもあります。

いつまでも健康的に暮らしていくためには、脱臼を起こさないように普段から予防することが大切です。無理な姿勢を取らない、障害になりそうな物を片付けるなど、できることから始めていきましょう。

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