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四十肩・五十肩とは?原因・症状・治し方・予防方法を解説

肩に痛みや硬さを感じると、「四十肩」(しじゅうかた)、「五十肩」(ごじゅうかた)の可能性が考えられます。四十肩・五十肩 は、「腕が上がらない」、「背中に手が回らない」といった症状が多く、40~60代から発症。特に60代の高齢者に多く見られる傾向です。四十肩・五十肩の症状は適切な治療と対応で、痛みを和らげるだけでなく、再発のリスクも低減することができます。四十肩・五十肩の原因、症状、改善する方法について詳しく解説しましょう。

四十肩・五十肩とは

肩を痛がる高齢者

四十肩・五十肩は、医学的には「肩関節周囲炎」(かたかんせつしゅういえん) や「腱板炎」(けんばんえん)とも呼ばれる疾患です。

多くの場合、40~60歳の間に発症するため、一般的に「四十肩・五十肩」と呼ばれています。なお、四十肩は40代、五十肩は50代で症状が現れることから、これらの名前が付けられましたが、四十肩と五十肩の症状に違いはありません。

四十肩・五十肩の症状

四十肩や五十肩の症状は、肩甲骨と上腕骨を繋ぐ部分の「肩甲上腕関節」(けんこうじょうわんかんせつ)に痛みをもたらします。この痛みにより、腕を上に上げる動きが困難に。特に、腕を外側に向けて回転させる動作をするときに、痛みが強くなる傾向です。また、「結滞動作」(けったいどうさ) という手を背中に回す動きが難しくなることもあります。

なお、四十肩・五十肩は、①「急性期」、②「慢性期」、③「回復期」という3段階に分類。順に見ていきましょう。

1急性期

四十肩・五十肩の初期段階では、激しい炎症が発生。この状態は数週間から数ヵ月続き、痛みは肩甲上腕関節を中心に腕全体に広がっていきます。家事をするとき、洋服の着脱時など、腕を活発に使う場面において痛みは増加。

さらに夜間に痛みが激しさを増すことから、痛む側の腕を下にしての睡眠が困難になり、日常生活にも次第に影響を及ぼすようになります。夜間に痛みがある状態は、肩甲上腕関節が炎症を起こしている状態です。

2慢性期

慢性期に突入すると、静止状態での痛みは大幅に軽減されます。それでも、腕を前方に伸ばして直角に持ち上げると、鋭い痛みが走ることも。急性期に発生した強烈な炎症の影響で、筋肉は硬直し、縮んでしまいます。

その結果、肩甲上腕関節の可動域が狭くなり、腕の動きが大幅に制限。慢性期の段階で最も顕著な症状として、「腕が思うように上がらない」という状態を感じる人がほとんどです。

3回復期

回復期に突入すると、肩関節の硬さが少しずつ緩和され、腕を動かすことが楽になります。これらの症状による変化は段階的に進行。完全に回復するまでには軽度の場合は約半年、重度の場合には1年程度の時間が必要となります。

四十肩・五十肩の原因

四十肩、五十肩の原因

四十肩・五十肩は、正式には肩関節周囲炎と呼ばれており、肩甲上腕関節の周辺組織に炎症が発生している状態です。

この状態は、肩の筋肉、腱に炎症が生じることで、痛みや肩甲上腕関節による動きの制限を誘引。医学的に四十肩・五十肩の原因は明らかにされていません。

しかし、要因のひとつとして、長い間使用してきた関節や腱が摩耗し、変性することで、組織間の摩擦が生じ、炎症を引き起こすと考えられています。

また、加齢、運動不足により、関節周りの筋肉、腱の柔軟性が低下すると、筋肉は硬くなり、日常の動きによるストレスが蓄積。それにより、突然の炎症が発生することも四十肩・五十肩の原因として上げられます。

その他、 猫背や巻き肩のような不良姿勢は、肩の筋肉に不要なストレスを加え、筋肉の緊張や血行不良を引き起こす要因。血流が悪化すると、身体のストレスを修復するための栄養が不足し、結果的に炎症が生じるリスクも上昇するのです。

四十肩・五十肩の治療方法

四十肩・五十肩は、時間と共に治ることがほとんどです。しかし、炎症が治まれば痛みは軽減しますが、適切なケアやリハビリテーションを行わなければ、正常な肩の動きが回復しません。

四十肩・五十肩の対応において、急性期から適切な治療を受けることで、完治が期待できます。四十肩・五十肩の主な治療方法は以下の通りです。

1消炎鎮痛剤の内服・注射

肩の強烈な痛み、特に夜間の不眠、可動域の制限は、肩の内部で活発な炎症が発生している兆候と言えます。

この状態では、炎症を最優先で鎮めることが必要です。もし、この段階で肩を無理に動かすような指示を受けて実行すると、炎症はさらに悪化し、痛みも増すリスクが高まります。

炎症を抑えるためには、「消炎鎮痛剤」の投与が一般的。ここで使用されるのは、ステロイド、非ステロイド系の消炎鎮痛剤です。ステロイドは強力な消炎作用を持っていますが、副作用のリスクも伴います。

このため、四十肩・五十肩の治療でステロイドを使用する場合、関節内に直接注射する方法が選ばれるのです。しかし、繰り返しの注射は、関節や腱への悪影響のリスクがあるため、注射の回数、強度には注意が必要となります。

2リハビリテーション

炎症が和らぎ、痛みも緩和された段階でも、多くの方が肩の動きに制約を感じることも。例えば、肩を上げる動き、肩を回す動きが困難になることで、さらに肩は硬くなってしまうのです。

肩の硬さや痛みを緩和するために、リハビリテーションが欠かせません。特に、自宅で行う運動が重要。リハビリテーションの過程では、徐々に肩の可動域を広げていくことが大切です。

最初の段階では、どのようにリハビリテーションを行えば良いのか迷うこともあります。そのため、理学療法士からの指導を受け、適切なリハビリテーションの方法を学びましょう。

3手術

リハビリテーションを経ても、肩の動きが制限されている、または痛みが持続する場合もあります。

その際に、動きの制約を解消することを目的として、「鏡視下関節授動術」(きょうしかかんせつじゅどうじゅつ)という手術が適用されることも。この手術は、硬くなった関節包を内視鏡で直接観察し、特定の器具によって剥離や切開を行うことで、肩の動きを改善するものです。

多くの場合、鏡視下関節授動術により肩の動きはかなり改善。手術の翌日からは、新たに取り戻した肩の動きを維持、強化するためのリハビリテーションが始まります。

このリハビリテーションは手術とセットで行われる治療の一部として非常に重要。四十肩や五十肩の治療として手術を選択することに驚く人も少なくありません。しかし、この手術は短時間で行われ、回復も早いため、長期間にわたる症状の改善を求める人には効果的な選択肢となるのです。

四十肩・五十肩を予防する方法

四十肩・五十肩の予防

四十肩・五十肩を予防するためには、日常生活の中における姿勢がポイントです。

デスクワーク、スマートフォンを使用する際、猫背になると、首や肩周りの筋肉にかかる負荷に大きな影響を与えます。

これが筋肉の緊張、炎症を引き起こす原因になるのです。そのため、常日頃から姿勢を正して、背筋をしっかりと伸ばすことを意識することが重要と言えます。

また、筋肉や関節の柔軟性を保つためには、適度な運動が欠かせません。特に加齢や生活習慣による運動不足は、四十肩・五十肩のリスクを高める要因となるため、日々のストレッチ、ウォーキング、エアロビクスなどの軽い運動を取り入れ、筋力を向上させましょう。

さらに、ストレスの蓄積は、血流の悪化、筋肉の緊張を引き起こし、四十肩・五十肩の原因となり得ます。定期的に自分のリフレッシュ方法を見つけて、ストレスを解消することが大切です。特に入浴は、ストレスの発散だけでなく、血流の促進にも効果的で、四十肩・五十肩の予防策としても有効と言えます。

まとめ

本記事では、四十肩・五十肩について解説しました。主に40~60代の間に発症する四十肩・五十肩は、肩関節周囲炎や腱板炎と呼ばれる状態です。肩の痛み、可動域の制限といった症状がありますが、多くの場合は自然に回復するとされています。しかし、放置し続けると、肩の関節が固まってしまい、さらに動きづらくなる可能性も。したがって、四十肩・五十肩の症状が現れた際は、整形外科を受診し、適切な治療を受けましょう。

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