グループホームのサテライト型とは?認知症向けと障害者向けの違い
グループホームには、認知症患者を対象にした「認知症グループホーム」と、障害者を対象とした「障害者向けグループホーム」の2種類があり、それぞれ「サテライト型事業所」または「サテライト型住居」と呼ばれる施設が存在します。サテライトは元々「人工衛星」という意味で、日本では、本部から離れた場所に位置する建物も意味するのです。サテライト型事業所・サテライト型住居は、グループホームの本部から離れた場所に位置する建物を指しています。認知症グループホームは共同生活のみ可能で、サテライト型事業所と主要施設である「本体事業所」で受けられるサービスには違いがありません。一方、障害者向けグループホームには、一人暮らし用としてサテライト型住居があり、本体住居よりも自立した生活が可能です。各グループホームにおけるサテライト型の特徴、提供されるサービス、費用相場について見てみましょう。
グループホームとは

グループホームには、「認知症グループホーム」(認知症対応型共同生活介護)と「障害者向けグループホーム」(共同生活援助)の2種類があります。
認知症グループホームは、認知症のある高齢者が共同生活を行い、認知症の進行緩和を目的としている施設。
障害者向けグループホームは、身体的・精神的障害のある方が共同生活をする施設です。介助が必要な入居者に対しては、日常生活上の援助や介護サービスを提供しています。就労先や日中の活動サービスとの連絡調整、余暇活動の支援など、社会生活上の援助も行われるのです。
認知症グループホームのサテライト型事業所とは

認知症グループホームのサテライト型事業所は、本体事業所の分校のような施設です。本体事業所から10~20分の場所に位置し、サービス内容は通常の認知症グループホームと同じ。入居者は1ユニットあたり5~9人で共同生活を行い、自立した生活を送ります。
認知症グループホームのサテライト型事業所は、厚生労働省により、2021年(令和3年)度に創設。認知症グループホームのユニット数は、元々1施設につき2以下と定められていましたが、認知症グループホームの需要が高まることが見込まれていたため、より多くの人を受け入れられる体制づくりが必要でした。そこで、サテライト型事業所を創設し、サテライト型事業所と本体事業所あわせて最大4ユニットが暮らせるようにルールが変わったのです。
この制度では、認知症グループホームの管理者は、本体事業所とサテライト事業所を兼任可能。計画作成担当者は、必要な研修を修了していれば、介護支援専門員でなくても良いことになりました。スタッフを大幅に増員しなくても、より多くの入居者を迎え入れられるようになったのです。
障害者向けグループホームのサテライト型とは

障害者向けグループホームのサテライト型は、一人暮らしをしたいけれど不安な方や、地域とのかかわりを大切にしながら暮らしたい方のための施設。本体施設とは別の、サテライト型住居と呼ばれる建物(民間のアパートが一般的)で一人暮らしをします。入居期間は原則3年間とされており、一般住宅へ移行することが目標。ただし、施設によって規則が異なるため、入居期間は利用したい施設に問い合わせましょう。
普段は、一人暮らしの部屋であるサテライト型住居で生活をします。食事やレクリエーションに参加するときは、本体施設にある食堂や共有スペースでサポートを受けられる仕組みです。
認知症グループホームの提供サービス
認知症グループホームでは、食事の準備と片付け、掃除、洗濯などの支援を受けながら生活ができます。また、入浴や排泄などの介助や、レクリエーション、リハビリテーションがあるのが一般的です。
可能な限り自立した生活を送れるよう、スタッフが支援してくれるため、入居者は自分らしい生活を送りやすいうえ、認知機能の低下が緩やかになることが期待できます。食事の準備や片付けなど、入居者が自分でできることは自分で行い、できないことをスタッフがサポートする体制です。
認知症グループホームには医師や看護師の配置義務がないため、入居後に医療ケアが必要となった場合は、医療機関や医療従事者が配置された施設への転居が必要となります。
認知症グループホームの費用相場
グループホームの費用は「初期費用」と「月額利用料金」の2つに大別されます。
認知症グループホームの費用相場 | ||
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入居一時金など (初期費用) |
0~数百万円 | |
月額利用料 | 居住費(家賃) | 3~15万円 |
管理費・共益費 | 0~2万円 | |
食費 | 4万円前後 | |
水道・光熱費 | 1~2万円 | |
日用品費 | 1万円前後 | |
介護サービス費 | 2万円前後(要介護度によって異なる) |
初期費用の相場は0~数百万円程度で、入居一時金や敷金(保証金)が含まれます。月額費用の相場は15~30万円程度です。居住費(家賃)、管理費・共益費、食費、水道・光熱費、日用品費が含まれます。なお、月額費用のなかの介護サービス費は、要介護度が高くなるほど上がる傾向です。
グループホームで自立した暮らしを
グループホームには、「認知症グループホーム」と「障害者向けグループホーム」があります。どちらも、入居者が自立した生活を送りながら、必要なサポートを受けられる施設です。認知症グループホームと障害者向けグループホームでは、サテライト型施設の仕組みが異なります。認知症グループホームのサテライト型事業所は、本体事業所の分校のような施設で、受けられるサービスは本体事業所と同じです。障害者向けグループホームのサテライト住居は、一人暮らしの住居のことで、食事やレクリエーションなどのサービスは本体住居で受けられます。