デイサービスに行きたがらない母|送り出しが大変な場合の説得方法を紹介
デイサービスは、食事や入浴、日常生活上の支援、生活機能訓練などを受けられるサービスです。デイサービスセンター、特別養護老人ホームなどの日帰り介護施設に通い、他の利用者と過ごします。母のためを思い、デイサービスの利用を検討しているものの、「母がデイサービスを拒否するので困る」という方は珍しくありません。母親がデイサービスに行きたがらない場合に考えられる理由、拒否した場合の対処法、デイサービスを利用するメリットについて解説します。
母親がデイサービスに行きたがらない理由

母親がデイサービスに行きたがらない場合、まずは母親の立場になって考えてみることが大切。デイサービスに行きたがらない場合に多いのが、4つの理由です。
- 1慣れない環境が不安
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母親の性格にもよりますが、慣れない環境が不安に感じる場合、デイサービスに行きたがらないケースは少なくありません。
高齢者は、1日の大半を自宅で過ごす人がほとんどです。また、体の衰えを自覚して消極的な性格になる人も少なくありません。年を重ねた母親の性格の変化に理解を示し、配慮する必要があります。デイサービスという、普段と異なる環境に不安を感じる母親の気持ちに寄り添うことが大切です。
- 2人間関係に対する不満
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デイサービスに集まる人は、母親と気が合う人ばかりではありません。そのため、人間関係の不満もデイサービスを拒否する理由のひとつとして考えられます。デイサービスの利用者の中に、どうしても性格が合わない人や、会いたくない人がいるのかもしれません。また、スタッフが高圧的だったり、日常生活上の援助が雑だったりすると、「デイサービスに行きたくない」と拒否につながりやすくなります。
デイサービスといっても、施設によって雰囲気は様々。人間関係に不満がある場合、担当のケアマネジャーに相談して、デイサービスの利用日や施設を変更するのもひとつの方法です。
- 3外出が面倒
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母親がデイサービスを拒否する理由に、外出が面倒なケースがあります。年を重ねると、身体的・精神的な変化によって、体力や気力が若い頃よりも低下。何をするのもおっくうになったり、筋力の低下によって疲れやすくなったりするため、外出自体を面倒に感じるケースは少なくありません。
外出が面倒な場合、送迎サービス付きのデイサービスを利用するのも有効な手段のひとつです。利用者の自宅を巡回して送迎してくれるため、移動する必要がありません。また、外出を面倒と感じる要因に、認知症や老人性うつなどの心の不調が隠れていることもあります。まずは食生活に気を配り、睡眠と休養を十分に取ったり、絶えず手足や脳を刺激したりして、認知症や老人性うつを予防することが大切です。
- 4デイサービスの内容が苦手
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デイサービスには、入浴介助やレクリエーションなどのサービスがあります。母親の性格や趣味・嗜好などによっては、デイサービスの内容に苦手意識があり、拒否する場合があるのです。
例えば、デイサービスの入浴介助において、「男性スタッフが担当するのがいやだから行きたくない」、「そもそもお風呂に入るのがきらい」というケースも。また「みんなでわいわい楽しむのが苦手」、「ひとりで静かに読書しているほうが良い」など、性格によって受け止め方は異なります。
デイサービスでは、入浴やレクリエーションを必ず受けなければいけない訳ではありません。そのため、母親が拒否する場合は、サービス内容が強制ではないと伝えておくことが大切です。
母親がデイサービスを拒否した場合の対処法
母親がデイサービスを拒否した場合の対処法として、以下の3つが挙げられます。
- 1母親の趣味に合ったデイサービスを探す
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デイサービスは、事業所によって規模やサービス内容が異なります。主なサービス内容は、以下の通りです。
- 入浴介助
- 食事提供、介助
- 排泄介助
- リハビリなどの機能訓練
- 生花や囲碁、歌などのレクリエーション
- 外出レクリエーション
- 看護師の健康観察
人の性格や趣味は様々。母の性格や趣味を把握すれば、適したデイサービスを探しやすくなります。担当のケアマネジャーや、地域包括支援センターに相談してみるのがおすすめです。
- 2家族が同行する
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母親がデイサービスを拒否する場合、まずは家族が同行してみるのも有効な手段のひとつ。特に、母親が人見知りをしやすい性格だったり、慣れない環境に不安を感じやすかったりする場合、特に効果的です。何度か家族が同行すれば、次第に利用者やスタッフの雰囲気に馴染みやすくなります。
- 3デイサービス以外の介護サービスも検討する
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母親がデイサービスを拒否する理由が、人間関係やサービス内容の不満、外出がおっくうである場合、デイサービスにこだわる必要はありません。まずは、デイサービス以外の介護サービスを導入するのもひとつの方法です。例えば、訪問介護や訪問リハビリテーション、訪問看護など。住み慣れた自宅をスタッフが訪問してくれるため、母親は自分のペースを保ちやすくなります。何度か利用すれば、次第に信頼関係も構築されやすいのが特徴のひとつです。
事業所によっては、訪問看護ステーションとデイサービスを1ヵ所で提供しているケースがあります。その場合、訪問したスタッフとの信頼関係が生まれれば、デイサービスに行ってみようという気持ちが起こることも。デイサービスを拒否する母親をせかすことなく、ゆっくり時間をかけて、本人の気持ちを尊重することが大切です。
デイサービスを利用するメリット
デイサービスを利用するメリットは、主に以下の2つがあります。
- 1心身の健康の維持・向上につながる
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デイサービスで行われるレクリエーションは、加齢とともに低下しがちな身体機能や認知機能の向上が目的。そのため、デイサービスでは、他の利用者との交流や、心身の健康の維持・向上を図ることが可能です。
また、定期的な外出の機会を持てるのもメリットのひとつ。デイサービスに通うことで脳や身体機能が刺激され、引きこもりの防止や老人性うつ、認知症予防につながります。
- 2家族の負担軽減につながる
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介護をしている家族は、介護に時間を割くあまり、自分の時間を確保するのが難しくなります。母親がデイサービスに通っている間は、用事を済ませたり、趣味に時間を費やしたりすることが可能に。また、デイサービスの時間を活用し、家族以外の人に介護の悩みや愚痴を話すのも、心の健康を維持するためには大切な時間です。
困ったときは専門家に相談しよう
母親がデイサービスを拒否する理由は、人間関係に不満があったり、馴染めるか不安だったりと、人によって異なります。デイサービスに通うのは、家族ではなく母親である本人。まずは、母親の気持ちを尊重することが大切です。対処法を講じてもなお、母親がデイサービスに行きたがらない場合、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談すると、解決につながりやすくなります。