文字サイズ
標準
拡大

history閲覧履歴

メニュー

ヒートショックとは?症状やなりやすい人、起きた時の対処法を簡単に解説

「ヒートショック」は、急激な温度の変化によって、身体が適応できずに生じる健康障害のことです。例えば、冷房の効いた室内から高温・高湿度の環境に出た場合、冷たい水を浴びたあとに高温のサウナに入る場合などに、ヒートショックは起こります。特に高齢者はヒートショックが起こりやすい傾向です。冬の入浴時にはリスクが高まるため、その原因や予防方法をしっかり理解し、事故を防ぐことが大切だと言えます。ヒートショックの特徴、原因、主な予防方法について詳しくまとめました。

ヒートショックとは

ヒートショックとは

ヒートショックは、温度差による急激な血圧変動が原因となって、心臓や血管の問題を引き起こす現象です。

血圧の変動により、脳出血、大動脈の破裂、心筋梗塞、脳血栓などの重篤な疾患が生じる可能性もあります。

厚生労働省によれば、ヒートショックによる死者は、交通事故の死者数に比べて約2倍に及ぶことが判明。特に、冬の暖かい居間から寒い脱衣室や浴室への移動時にヒートショックは生じやすいとされています。

ヒートショックが起こる仕組み

ヒートショックは、急な温度の変動によって体がストレスを受ける現象のことです。例えば入浴前に部屋を出るとき、体は寒さに適応しようとして血圧を上げます。

しかし、浴槽に入ることで急に体が温まれば、逆に血圧は低下。特に温度差が10℃以上のある環境では、ヒートショックを起こすリスクも高くなります。ヒートショックは、11~2月の間に発生しやすいと言われていますが、これは浴室や脱衣室の温度が低下していることと、寒さにより長湯になりやすいことが、大きな理由です。

なお、温度が大きく変わる場所を繰り返し移動すると、血圧は短時間で急上昇したり、急降下したりすることがあります。このような血圧の急激な変動は、心臓に過度なストレスをもたらし、脳卒中や心筋梗塞などの疾患を高めるリスクがあるのです。

ヒートショックの症状

ヒートショックは、立ちくらみやめまいなど、軽い症状のときは、しばらく休むことで回復するケースがほとんど。しかし、これらの軽い症状の場合にも、深刻な健康問題が進行している可能性も考えられます。したがって、寒暖差のある場所を頻繁に移動したあとや入浴後に立ちくらみやめまいを感じるような場合は、安全のために、かかりつけの医師に相談しましょう。

ヒートショックになりやすい人

65歳以上の高齢者、動脈硬化のリスクが高い糖尿病や高血圧の人は、ヒートショックになりやすいため、注意が必要です。また、肥満者、睡眠時無呼吸症候群の患者、不整脈の症状がある人もヒートショックの影響を受けやすいとされています。

その他、沸かし立ての熱いお風呂を好む人もヒートショックのリスクが高い傾向です。なお、飲酒は血圧が下がりやすく、飲酒後の入浴はヒートショックの原因に。温泉地などで入浴を楽しむ場合は、飲酒前に入浴することをおすすめします。

ヒートショックを防ぐには?予防する方法

ヒートショックは、短時間における急な温度の変化から引き起こされます。特に、温度の変動が10℃以上ある場合は、ヒートショックを引き起こす恐れが高まるため、十分な注意が必要となるでしょう。ここでは、入浴時におけるヒートショックを防ぐ方法について解説します。

脱衣所と浴室を温める

脱衣所や浴室に暖房器具を取り付けることで、寒暖の差を最小限に抑えることが可能です。浴室に暖房がない場合は、入浴の5分前から浴槽の蓋を開けたり、高い位置からシャワーを使って浴槽の湯を張ったりすることで、浴室全体を温めることができます。浴室の床にマット、すのこを置くこともおすすめです。

食後すぐに入らない

食後は、体の消化活動が活発化するため、消化器官へ血流が増加。これにより、血圧は一時的に低下します。この状態で入浴するなど血圧を上げる行動を取ることで、血圧は急激に変動し、ヒートショックのリスクを高めてしまうのです。

風呂の温度は38~40℃に設定する

浴槽の湯温が高すぎると、心臓へのストレスは増加します。理想的な湯温は38~40℃の範囲です。冷たすぎず、熱すぎない温度帯から入浴を開始し、徐々に湯温を上げることで、体への負担を最小限に抑えることができます。風呂の温度を適温に設定することで、心臓への過度な負担を回避し、安全な入浴を楽しみましょう。

かけ湯をしてゆっくり温まる

入浴する際、急に浴槽に入るのではなく、まずは手足など、心臓から離れた部位から湯をかけて、体を温めていくことが肝心です。体を段階的に風呂の温度に慣らしていくことで、血圧を急激に上昇させるリスクを低減させることができます。

ゆっくり立ち上がる

浴槽から出るときには、慌てずに行動することが大切です。急に立ち上がることによって、血圧の急な低下が引き起こされ、立ちくらみやめまいを感じる可能性もあります。特に高齢者の場合、このような状態で転倒してしまうと、重大な怪我につながりかねません。そのため、浴槽からゆっくりと体を起こし、しばらくそのままの姿勢で安定を取ったあとに、立ち上がるように心がけると良いでしょう。

ヒートショックが起きたらどうする?

ヒートショックが起きた場合、どのようにすれば良いかについてまとめました。

ふらつきを感じた場合、しばらく安静に過ごす

ヒートショック時の対応

ヒートショックの症状は、軽度な場合にはめまいや立ちくらみのような症状が現れます。

もしこのような症状を感じた場合は、急に立ち上がったりせず、しばらく安静に過ごすことが大切。転倒のリスクを避けて、その場にゆっくりと座るか、横になるようにしましょう。

症状が改善しない場合は、119番に通報するか、救急安心センター「#7119」(または地域ごとに決められた電話番号)に連絡。救急安心センターには、医師、看護師などの専門家が常駐しており、症状の緊急性や受診のタイミングなどのアドバイスを受けることができます。救急安心センターは、ヒートショックだけでなく、様々な症状に対する相談も可能ですので、覚えておくと良いでしょう。

ヒートショック状態の人を見つけたら救急車を呼ぶ

ヒートショックが重度になると、失神、激しい頭痛、吐き気、嘔吐、胸の痛み、言葉の不明瞭さ、四肢の弱さ、麻痺などの症状が現れることもあります。

特に、失神の場合、意志の疎通が取れないため、周りの人による適切な対応が必要です。浴槽などで意識を失っている人を見つけたら、大声で助けを求め、すぐに119番に通報。その際、可能であれば、浴槽の中にいる人を外に移動させます。なお、意識がない状態でむやみに体を揺さぶってはいけません。頭部を動かさずに水平に保ち、頭を高くする行為を避けることが重要です。

もし、嘔吐している場合は、気道を確保し、窒息を防ぐために顔を横向きにします。ヒートショックの症状が重度である場合、迅速な対応が命を救うことも。疑問に思った際は、すぐに119番通報をしましょう。

介護施設なら安心して入浴できる

介護施設では、利用者の安全が最優先されるので、安心して入浴することができます。入浴を行う前後には、各利用者の体調を慎重に確認するための健康チェックを実施。具体的には、目視による視診、体温測定、脈拍数の計測、血圧の測定などを通じて、利用者が安心して入浴できる状態であるかを評価します。

さらに、介護施設内では、脱衣場と浴室の温度差が最小限に抑えられており、ヒートショックのリスクを減らすことが可能。また、介護施設の浴室は、滑りにくいマット、安全な手すり、シャワーチェア、入浴台などの安全対策などが整っています。これらの設備と併せて、介護職員としての研修を受けた専門家が利用者のサポートを行うため、入浴時の転倒や事故のリスクも回避できるのです。

まとめ

本記事では、ヒートショックの仕組みと予防法について解説しました、ヒートショックは、短時間の急激な温度差から引き起こされます。血圧の変動により、脳出血、大動脈の破裂、心筋梗塞、脳血栓などの重篤な疾患が生じることもあるため、注意しましょう。ヒートショックは、主に入浴時に発生しやすい傾向です。脱衣所や浴室に暖房器具を設置したり、湯温を38~40℃に設定したりするなど、できる限り、温度差を抑えることをおすすめします。

ページトップへ
ページ
トップへ