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閉塞性動脈硬化症(ASO)とは?原因・症状・予防する方法を解説

「閉塞性動脈硬化症」(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)とは、動脈の内側の壁にプラーク(脂質、コレステロールなどからなる堆積物)が蓄積して動脈が狭くなる、または完全に詰まって血流が著しく悪くなる疾患です。この閉塞性動脈硬化症により、足の末端への血液供給が不足する、「下肢虚血」(かしきょけつ)を引き起こします。また、閉塞性動脈硬化症は高齢者において多く見られ、介護保険制度の特定疾患に指定。閉塞性動脈硬化症の概要、治療方法、そして日常生活での注意点について詳しく解説していきます。

閉塞性動脈硬化症とは

閉塞性動脈硬化性とは

閉塞性動脈硬化症は、 動脈の硬化によって下肢の血管が狭まり、完全に詰まることで、血流が不十分となる疾患。

主な要因としては加齢に加えて、糖尿病、高血圧、慢性腎臓病などが挙げられます。

現代の日本は超高齢社会となり、生活習慣病の増加に伴い、閉塞性動脈硬化症の患者数も年々増加の傾向。この状況を鑑み、健康的な生活習慣の維持と早期の診断、治療が求められています。

閉塞性動脈硬化症の原因

閉塞性動脈硬化症の原因は、生活習慣、健康状態の蓄積によるものです。肥満、高血圧症、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病、さらに喫煙、運動不足、ストレス、偏った食事といった不健康な生活習慣が、動脈の硬化を促進させる主な要因。

また、加齢も動脈硬化を進行させる要因であり、血管の老化によっても収縮性が低下します。これらが積み重なることで次第に動脈が堅くなり、最終的に閉塞性動脈硬化症を引き起こすのです。

さらに閉塞性動脈硬化症が進行すると、血流不足から全身の組織、臓器への酸素、栄養素の供給が不十分となり、健康上の様々な問題を引き起こすことになります。

閉塞性動脈硬化症の症状

閉塞性動脈硬化症の病状は、段階的に進行し、それに伴って症状も変化。初期段階では、多くの場合において無症状です。

しかし、進行するにつれて下肢に痺れ、冷えを感じることが増えていきます。なお、閉塞性動脈硬化症における進行の度合いは以下の4つです。

Ⅰ度(初期症状)

Ⅰ度では無症状、あるいは軽い足の痺れ、冷えを感じるなどが起きます。しかし、これらは健康的な方でも経験することであり、閉塞性動脈硬化症の兆候であると気づくのは難しいのです。しかしながら、高齢者で持続的な足の異常を感じた際は、すぐに医療機関での診察を受けましょう。

Ⅱ度

Ⅱ度では、「間欠性跛行」(かんけつせいはこう)が出現。間欠性跛行とは、痛みによって歩行が困難になるものの、少し休息すると治まる症状です。進行が進むと、その痛みの間隔が短くなっていきます。間欠性跛行は、閉塞性動脈硬化症における特徴的な症状のひとつですが、腰痛症、脊柱管狭窄症などによっても引き起こされることがあるため、医師の診断を受けましょう。

Ⅲ度

Ⅲ度では、「安静時痛」が出現。安静時痛は閉塞性動脈硬化症が進行し、血流の低下がさらに悪化した状態を示唆しています。つまり、安静時にも十分な血流が供給されなくなったことで痛みが生じているのです。また、足の変色及び傷の治りにくさも、十分な血流や酸素が皮膚、組織に届かないことによるもので、この状態が続くと皮膚の壊死、潰瘍が発生するリスクが増えていきます。

Ⅳ度(末期症状)

Ⅳ度では、閉塞性動脈硬化症のさらなる進行により、血流が大幅に低下し、足先への酸素や栄養の供給が不十分に。その結果、皮膚は薄くなって乾燥し、些細な摩擦でも容易に傷がつき、その傷が悪化します。傷によって皮膚の壊死、潰瘍が起こり、最悪の場合は下肢の切断もあるのです。

閉塞性動脈硬化症の治療

閉塞性動脈硬化症は、初期において自覚症状が少ないため、診断が難しい疾患。早期発見と治療の開始は、この疾患の予後を大きく左右するため、定期的な健康チェック、自身の体調の変化に敏感になることが求められます。

薬物療法

「薬物療法」として「血管拡張剤」を用いて血管を広げ、血流を良くする治療を実施。また、血管が狭くなった部分で血液が滞留し、血栓ができやすくなるため、「抗血小板薬」による血栓のリスクを低減させる治療も行われるのです 。

運動療法

運動療法は、運動によって身体の機能を維持し血流の改善を図る治療法。この取り組みにより、生活の質の向上も期待できます。

しかし、Ⅲ、Ⅳ度と判定されるような、安静時に痛みがある状態、潰瘍が出現しているケースでは、運動療法は適していません。このような状態の場合においては、血行を直接改善する手術療法が優先されます。

手術療法

閉塞性動脈硬化症の進行によって、血管が著しく狭まったり完全に閉じてしまったりした場合、その部位を迂回する形で血流を確保する「血行再建術」が有効です。

血行再建術のなかでも「経皮的血管形成術」は、バルーンを血管内に挿入して膨張させることで血管を広げます。

また「バイパス術」は、患部となった血管を迂回する形で、新たな血流ルートを作成する手術。他の健康な血管、人工血管を用いて血流を再確保して改善します。

閉塞性動脈硬化症を予防するためにできること

閉塞性動脈硬化症を予防するために大切なことは、以下の3つです。

禁煙

喫煙は、たばこに含まれる化学物質により動脈の硬化、血液の粘着性を上げ、血栓を形成する危険性があります。

禁煙を行うことにより、これらの影響を減少させることが可能。血液の流れが改善され、閉塞性動脈硬化症のリスクが低減します。

運動を日常生活に取り入れる

日頃から適度な運動を行うことで血流を良くし、さらに筋力アップによって血管の柔軟性も保つことが可能。

日常の中で取り入れやすい軽い運動、例えばウォーキング、エレベーターを避けて階段を使うことなど、自然と体を動かす習慣を持つことが推奨されます。

生活習慣を改善する

偏った食事が多い現代では、高コレステロールの状態になりがち。高コレステロールによって、コレステロールが血管の内壁に蓄積し、血管が狭くなっていく可能性があります。

高コレステロール、高脂肪、高塩分の食事を避け、野菜と果物、穀物、魚、鶏肉、豆類からの良質のタンパク質を多く含む、バランスの良い食事を心がけましょう。また、バターなどの飽和脂肪の摂取を減らして、オメガ3脂肪酸などの健康的な脂肪を適切に取り入れることも重要です。

まとめ

閉塞性動脈硬化症は足の動脈が硬化して、血流が妨げられる疾患。動脈の内部が狭まることで、血液の供給が足の末端に届きにくくなり、下肢虚血を引き起こす可能性があります。病状の進行に伴い、症状は悪化し、最悪の場合、下肢の切断が必要になることも考えられるのです。閉塞性動脈硬化症は、早期の発見と適切な治療が重要であり、日常においても運動を伴う健康的な生活、バランスの良い食事が必要不可欠とされています。

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