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老人ホーム・介護施設で受けられる医療行為(医療的ケア)一覧

医療行為、医療的ケアは、高齢者が入所する介護福祉施設で受けられる治療や医療にかかわるケアを指します。施設に入所する高齢者は、健康状態に不調をきたしている方もいるため、入所中も、治療や身体のケアを受ける必要があるのです。施設で受けられるケアには、医師、看護師など医療従事者にしか行えない「医療行為」と、介護士や入所者の家族が実施できる「医療的ケア」の2種類。言葉は似ていますが、実施できる内容には基準があるため、入所する施設選びのポイントになります。高齢者が施設で受けられる医療行為と医療的ケアの違い、職種ごとに実施できるケアの違いについて解説しましょう。

医療行為・医療的ケアとは

医療行為と医療的ケアとは?

高齢者が介護福祉施設等で受けられる「医療行為」と「医療的ケア」は、似た言葉ですが、内容はまったく異なり、受けられるケアや治療にも違いがあります。詳しく見ていきましょう。

1医療行為

厚生労働省によれば、医療行為は、「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、または危害を及ぼす恐れのある行為」とされており、医師または医師から指示を受けた看護師のみが実施できる行為となります。

具体的には、注射、点滴の管理、創処置(そうしょち:傷口のケア)などです。なお、介護施設などでは、看護師が24時間常駐しない施設もありますが、なかには、衛生的な生活をするために必要なケアもあります。

そのため、2005年(平成17年)から、介護職も実施可能な「医行為」(医師、歯科医師、看護師等の免許を有さない者による行為のこと)が示され、特定の行為のみを「医療的ケア」とすることとなりました。

2医療的ケア

医療的ケアは、介護施設や自宅で、介護士または家族によって行われるケアのこと。経管栄養、痰の吸引、気管切開部の衛生管理など、生命活動を継続するために日常的に必要な行為が医療的ケアに当てはまるのです。

老人ホームで受けることができる医療行為・医療的ケア

介護福祉士・看護師・医師等、介護にかかわる職種ごとに、実施できる医療行為、医療的ケアは異なるのです。施設に所属している職員ごとに受けられる医療行為、医療的ケアについて詳しく解説しましょう。

看護師ができる医療行為

看護師が実施できる行為には以下のようなものがあります。

老人ホームでのケア

①インスリン注射
②痰の吸引
③在宅酸素療法
④人工呼吸器の管理
⑤中心静脈栄養
⑥ストーマの交換
⑦経管栄養
⑧褥瘡(じょくそう)の処置
⑨尿カテーテルの管理

ひとつずつ見ていきましょう。

1インスリン注射

インスリン注射は糖尿病患者の血糖値を下げるために行います。糖尿病患者に対しては毎日における空腹時血糖値の測定、適切な量のインスリン注射が求められるため、医師、看護師が実施する必要があるのです。血糖値の管理を誤ると、患者は低血糖状態に陥り、悪寒や倦怠感が生じ、命にかかわってしまうことも。生命にかかわる処置であるために、施設では看護師が実施しているのです。

2痰の吸引

呼吸器疾患や神経筋疾患の患者は、痰を自分で排出する機能が低下するため、他動的に吸引する必要があります。痰の吸引は、気道にチューブを入れる必要があり、かつ患者の呼吸を一時的に制限しなくてはならないため、安全に行えるように、知識と経験が必要です。そのため、看護師か一部の研修を受けた介護士のみが実施できるケアとなっているのです。

3在宅酸素療法

在宅酸素療法は、病院外で酸素を吸入する治療法。臨床現場では「HOT」と略して呼ばれます。「慢性閉塞性肺疾患[COPD]」の患者、「心不全」、「神経筋疾患」などにより、呼吸不全、酸素の交換が上手く行えない患者に対して実施。在宅酸素療法では、安静時、運動時、睡眠時の血中酸素濃度などから酸素の吸入量を決めなければなりません。検査結果から適切な酸素量を決定しなければ、危険であるため、看護師が実施することになっています。

4人工呼吸器の管理

人工呼吸器は、重度の呼吸器疾患、循環器疾患、神経筋疾患によって著しく呼吸機能が低下している方に対して使用。在宅で行う人工呼吸器(HMV)においても、酸素量、吸入方法の管理が必要となり、生命にかかわるため、看護師が実施することになっています。

5中心静脈栄養

中心静脈栄養とは、食事による栄養摂取、胃ろうなど消化器官からの栄養が難しい方に対し、静脈に直接栄養を供給する治療法です。中心静脈栄養は専用の輸液を使用し、必要に応じて複数の輸液を組み合わせます。成分や組み合わせの良し悪しを把握する必要があるため、医療知識のない者が行うと危険であると言えるのです。

6ストーマの交換

大腸がんなどにより、肛門から排泄することが困難となった方に対し、ストーマ(人工肛門)を腹部に取り付けます。ストーマは排泄物を管理する治療器具であるため、衛生的に使用するために交換が必要です。感染症、脱腸、造設部周囲の皮膚トラブルリスクなどがあるため、医療知識のある者が交換を管理する必要があります。

7経管栄養

経管栄養は、経鼻栄養、胃ろう、経腸栄養など消化管に直接栄養を送り込む治療法です。食事の経口摂取が行えない方、消化器官の働きが弱っている方に対して実施。経管栄養もまた、衛生面への配慮やチューブが抜けた際の対応を求められるため、医療知識のある者が行う必要があります。

8褥瘡(じょくそう)の処置

褥瘡とは床ずれのことであり、長時間寝たきりになった方が陥りやすい皮膚障害です。長時間圧迫された皮膚は血流が悪くなり、栄養が行き渡らず、組織は壊死(えし)してしまいます。褥瘡ができた場合、適切な処置と日中のケアプランの確認をしなければ、最悪の場合感染症でなくなってしまうことも。そのため、看護師による創部の処置と指示をしなければなりません。

9尿カテーテルの管理

尿カテーテルとは、尿道にカテーテル(細い管)を挿入し、膀胱から尿を排泄する方法です。自力で排尿ができない方に施行される方法であり、尿路感染症を防ぐために看護師や医師などが管理しながら行う必要があります。

介護職員ができる医療行為・医療的ケア

介護職員が実施できる医療行為、医療的ケアは以下の通りです。

  • 血圧測定
  • 体温測定
  • 動脈酸素飽和度の測定
  • 絆創膏処置など
  • ガーゼ交換
  • 軟膏の塗布
  • 湿布の貼付
  • 軽い傷への処置
  • 内服薬を飲むときの介助
  • 目薬の点眼
  • 座薬の挿入
  • 鼻腔粘膜への薬剤噴射の介助

これらは研修や講習を受けていない介護職でも実施可能。また、施設、在宅でも受けられる内容です。感染症の危険性が高いケア、生命活動に直結する医療的な行為は含まれていないため、介護職が実施しても安全なケア内容と言えます。

研修を受けた介護福祉士ができる医療的ケア

介護福祉士が行える医療ケアには、特別な研修を受けた方のみが行えるものが存在。これを「認定特定行為業務事業者」と言い、指定された医療的ケアを実施するには、都道府県から認定証を受ける必要があります。認定を受けた介護士が実施できる医療的ケアは以下の2つです。

1喀痰吸引

喀痰吸引は、看護師の行う痰の吸引と同様の処置を行います。チューブを挿入していく方法やリスク管理などの研修を受けることで、介護福祉士でも実施が可能です。呼吸機能の低下している方は、1日のうちに数回痰の吸引を行う必要があるため、看護師が24時間常駐していない施設などで介護福祉士が実施します。

喀痰吸引は、過去に酸素マスクを使用している方に対して方法を誤ったことで、裁判になった事例がありました。吸引は呼吸機能を確保し、酸素を全身に回すための重要なケアです。その分リスクを伴うため、介護福祉士が吸引を担当する場合は十分な研修を受けた上で実施しなければなりません。

2経管栄養

研修を受けた介護福祉士であれば、胃ろうや経腸栄養の方に栄養を注入することが可能です。衛生面、皮膚トラブルなどのリスクについても研修を行い、様々な状況に対応できるようにしているため、夜間など看護師や医師がいない場合でも対応が可能。経管栄養についても、患者の状態を把握した上で介入することが求められます。

認知症や経管栄養に抵抗のある方は、経管栄養のチューブを抜去(抜いてしまうこと)してしまう方もいるのです。指示された栄養を投与すること自体は認められていますが、抜去された場合などは医師や看護師の対応が求められます。

患者の状態と性格を把握し、アクシデントが発生した際の対応などをきちんと理解する必要があるのです。介護福祉士の行う医療的ケアの幅が広がったことを受け、2015年度(平成27年度)以降は、介護福祉士の養成学校においても、認定特定行為業務事業者の内容を教育する体制ができています。

介護施設における介護福祉士の役割を広げると共に、施設に入所する多くの方が安心して生活できるような環境にするため、このような制度が設けられました。介護福祉士が医療的ケアを担当することは大きな責任も伴います。

自身が行って良いケアの範囲の把握、アクシデント発生時の対応方法の把握、自身が行うケアに関するリスクなどを熟知していなければ、認定特定行為事業者としては活動できません。認定を受けている介護福祉士が在籍している介護施設は、他の施設と比べて安心して入所できると言えるのです。

医師のみができる医療行為

医師による医療行為はどれも医療知識の専門性が必要であり、よりリスクの高い医療行為となっています。ただし、いかに医師とはいえ、介護施設で行える医療行為には限界がある場合も。病院で行うような精密な検査や治療は実施できないため、状態が思わしくない場合は病院への紹介と搬送が必要です。

施設内で医師から受けられる医療は、あくまでも状態の観察と健康状態を維持するための治療行為と考えましょう。老人ホームに常駐している医師が実施する医療行為は以下の通りです。

1診察と経過の観察

介護施設では医師からの診察や経過観察を受けることが可能。定期的に診察を受けることで、自分の状態が安定しているかどうか把握でき、安心して施設内での生活を送ることができます。医師は常勤の施設と非常勤の施設があり、施設によってはいつでも診察が受けられるとは限りません。状態が不安定な方、もしくは心配な方は医師が常勤の施設への入所をおすすめします。

2注射と点滴

薬の注射や点滴による投与は医師の役割です。医師の監視下であれば看護師でも注射や点滴が可能ですが、点滴液の選定、関節腔への注射、筋肉注射など、リスク管理が必要な行為となるため、基本的には医師が行うこととなっています。

3処方箋の発行

医師が施設内で診察を行った場合、薬の処方箋を発行することが可能です。状態を観察した結果、必要であると判断した薬の処方箋を発行。施設では利用者のお薬手帳を預かっていることも多く、処方箋の内容を手帳に記載されることもあります。入所していながらも適切な薬を使用できるため、長期にわたっての入所も安心して生活することができるのです。

4人工透析

人工透析とは、腎臓病により血液を自分でろ過できない方に対し、血液を綺麗な状態にする治療となります。専用の医療機器とスペース、医師の指示が必要であるため、すべての介護施設で受けられる医療行為ではありません。

透析が必要な方は施設に医師が常駐していること、透析用の設備があることを確認し、入所することが重要です。人工透析の設備がない施設に入所する場合は、外部の医療機関に通院して実施する必要があります。その場合も、入所中における健康状態の観察は、医師に依頼しておくと安心です。

医療行為・医療的ケアから見る施設選びのポイント

ケア内容から施設選びを

入所する施設選びの際は、その施設で受けられる医療行為、医療的ケアをチェックすることが重要です。

入所する方の健康状態や必要な処置は、施設によっては提供していない場合もあります。施設を検討するときは、所属している職員の配置、施設で提供しているサービスをよく調べることが重要。ここでは、施設選びのポイントを詳しく解説しましょう。

1施設によって職員の配置が異なることを把握する

高齢者が入所する施設は、施設の種類によって医師や看護師 の配置義務があります。配置義務のない施設では、医師や看護師からの医療行為を受けることができない可能性があるのです。健康状態を見たときに、特に医療行為が必要な方は施設の配置義務を確認しておくことが重要となります。

施設ごとの職員配置
医師の
配置義務
看護師の
配置義務
介護士の
配置義務
グループホーム なし なし あり
有料老人ホーム なし あり あり
特別養護老人ホーム あり
(非常勤も可)
あり あり
介護老人保健施設 あり あり あり
2送迎の対応をしてもらえるか

施設内で受けられる医療行為や医療的ケアでは健康状態を維持できない方は、施設外の医療機関を受診しなくてはなりません。家族が送迎を行える場合は問題ありませんが、難しい場合は施設に送迎を協力して貰う必要があります。施設によっては送迎サービスを実施していないこともあるため、医療機関にかかる必要がある方は事前に確認しましょう。

3併設・提携している医療機関はあるか

入所する施設が特定の医療機関と提携、もしくは施設に医療機関が併設されているかどうかも、施設選びのポイント。入所中に病気やケガを患ったり、もともと経過を追っていた病気が悪化したりした場合に、提携、併設されている医療機関があるとスムーズに医療行為を受けられます。状態によっては、提携先の医療機関に入院などの対応を取ってもらえることも。施設選びの際は、医療機関との関係も調べることをおすすめします。

4入院時はどのような対応になるか

施設に入所中、病気を患ったり、大きなケガをしたりする場合には、病院に入院することも。その際、どのような対応を取って貰えるかも、施設選びのポイントです。利用者が入院した場合、入院中に必要な日用品や着替えなどは、家族が持っていくのが一般的ですが、施設によっては家族の代わりに行うこともあります。

この対応の有無は施設によって異なり、また入院先の医療機関によってもサービス利用の可否が分かれるため、入所前に調べておきましょう。退院後も施設の入所を継続する場合は、入院費と入所費の両方を負担することになる点にも注意が必要です。

なお、多くの施設の場合、3ヵ月以上という長期入院となると、施設の契約解除、もしくは相談の対象となります。短期入院を繰り返す分には問題ありませんが、入院が長期化する場合は、一度退去しなければならないことも気を付けましょう。

5看取りの対応は行っているか

利用者は、施設で最期の瞬間を迎える方も少なくありません。看取りを行っている施設もありますが、人員の問題や施設の方針で看取りを行っていない施設もあります。看取りの際に家族が来られない可能性がある場合、看取りもサービスに含まれている施設を検討しましょう。

看取りを行っている施設では、入所時に家族と様々な確認を行います。具体的には、急変や状態が悪化したとき、延命治療を望むかどうか、職員が看取りをすることに同意するかなど。家族の代わりに最期の瞬間を見守るため、看取りの研修を行う施設もあります。

なお、終末期医療(ターミナルケア)のように、状態が悪化し回復が見込めないと判断された場合には、施設内の多職種が協力体制を敷き、看取りケアを行う施設もあるのです。

医療行為・医療的ケアから見るおすすめの施設

おすすめの施設

施設によって提供される医療行為、医療的ケアは様々です。

入所する方の健康状態に合わせて、必要となる医療行為、医療的ケアの内容も異なります。医療行為、医療的ケアによって施設を選ぶポイントを紹介しましょう。

看護師が24時間常駐している施設

夜間に病状の悪化が考えられる場合、状態がいつ変わるか分からない場合など、夜間にも医療的ケアが必要となる可能性がある方は、看護師が24時間常駐している施設への入所がおすすめです。

介護付き有料老人ホームのように、医療機関と提携している施設は医療体制が整っています。これらの施設は、入所者の健康管理のため、定期的な訪問診療、健康状態のチェックを実施。さらに、急を要する場合に備えて、医師や看護師が対応できる体制が整えられています。しかし、看護師の配置義務は日中のみとされており、夜間に何か起きた際には看護師の対応が得られない場合があるのです。

また、施設によっては看護師が行う中心静脈栄養の管理、褥瘡の処置など、必要なケアが迅速に受けられなくなってしまう場合も。そのため、健康状態や全身状態を考慮し、夜間も医療的ケアが必要となる可能性がある方は、看護師が24時間常駐している施設を選択しましょう。看護師が24時間体制で勤務している施設であれば、夜間の医療的ケアを受けられるだけではなく、状態の悪化、急変が起きた際にも対応して貰えます。

看護師は、介護職員では難しい医療機関へ搬送するかどうかの判断や応急処置も行えるため、何かあった場合も助かる可能性が高くなるのです。注意点としては、看護師が24時間体制で勤務する施設は、他の施設と比較して料金がかかります。しかし、入所する本人や家族にとっては大きな安心材料となるため、看護師による医療行為、医療的ケアを必要とする方は、看護師が24時間常駐している施設を検討しましょう。

医療行為・医療的ケアの内容から施設を絞り込む

施設によって提供される医療行為、医療的ケアの種類は異なります。医師が常駐し、医療機関との連携が取れている施設もあれば、そうでない施設もあるのです。また、介護職員の行う医療的ケアにも差があります。特定の医療的ケアを実施できる介護職員が在籍している施設でなければ、喀痰吸引や経管栄養のケアを受けることはできません。

逆に、看護師が24時間常駐でない施設でも、認定を受けた介護職員がいる施設であれば、喀痰吸引や経管栄養のケアを受けることは可能です。施設選びをする際は、利用者が入所中に必要となる医療的ケアを提供している施設なのかどうかを十分に調査し、検討する必要があります。

緩和ケアを行う「ホスピス」もある

「ホスピス」とは、病気を治癒できない状態になった方の苦しみや辛さを緩和し、可能な限り、安らかに最後を迎えられるような手伝いをすること。終末期医療、緩和ケアと同じように扱われる言葉であり、重度のがんや筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)などの難病を患い、緩やかに死へ向かっていく方の不安や苦しみを和らげるのがホスピスの考え方です。

ホスピスでは、①「身体的ケア」、②「精神的ケア」、③「社会的ケア」の3つにより、利用者が穏やかに過ごせる環境づくりを行います。

1身体的ケア

身体的ケアとは、ケアを行う方の体を衛生的に保ち、健康状態を良好に維持するために行うあらゆるケアのこと。食事、体を清潔にするための清拭、痰の吸引、酸素療法の実施など、医療的なケアや日常生活を快適に送るためのケアが身体的ケアにあたります。

ホスピスを必要とする方の場合、疾患や身体状況によって苦痛を伴うことも。そのため、必要に応じて医師の判断のもと、鎮痛薬、麻薬などの投与を行うこともあります。身体的ケアの中でもっとも緩和しなくてはならないのは苦痛であり、身辺ケアだけで補えない場合は医療行為によって緩和することもあるのです。

2精神的ケア

精神的ケアは、人生の最後に向かっていく方が抱える不安や孤独、恐怖などをできる限り取り除き、安らかに最後を迎えられるようにする心のケアを指します。がんや難病を患っている方は、自分がこのまま死に向かっていくことを理解している方も多く、先の不安から絶望感に苛まれることも。

そのため、ケアを必要とする方の話を聞き、抱えている不安や恐怖を理解しようと寄り添うことで、孤独感、恐怖感を緩和することができます。精神的ケアは目に見えない苦痛を取り除き、穏やかに余生を過ごしてもらうための大切なケアと言えるのです。

3社会的ケア

社会的ケアは、ケアを受ける本人とその家族に対し、経済的なケアを行うことを指します。長期的な施設入所は、利用する施設によって、かなり高額になる場合も。そのため、本人や家族向けに医療費の相談、葬儀の相談、財産分与と相続に関するサポートなどを医療ソーシャルワーカーが担当します。

経済的な悩みは、ときに本人と家族の関係にも影響を及ぼすことも。しかし、ソーシャルワーカーの働きによって、経済的負担に対する不安が軽減すれば、漠然とした先の不安を取り除くことができるのです。

施設に入所する方の多くは高齢であり、さらに病気やケガで思うように動けない方、自宅での介護では難しく、医療的なケアが必要となった方もいます。緩和ケアやホスピスは、人生の最期が辛く苦しいもので終わらないよう、医療に携わる多職種が連携してケアにあたるのです。

まとめ

施設で受けられる医療行為や医療的ケアは、施設ごとの人員配置、介護職員の研修体制によって異なります。施設内で医療行為や医療的ケアを受けられることは、入所生活を安心して送るために重要なポイント。そのため、夜間または緊急時に対応できる職員がいるのか、医療的ケアの研修を受けた介護福祉士が在籍しているかなど、入所を希望する施設で提供されている内容を確認しましょう。

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