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要介護2とはどの程度?要介護1・3との違いや受けられるサービスなどを解説

要介護2とは、日常生活動作のすべてに介助が必要ではないものの、家事、食事、排泄など日常生活動作の一部に見守りや介助が必要な状態です。要介護2の状態では、様々な介護保険サービスを利用することで安心して日常生活を送ることができます。「要介護2とはどの程度?要介護1・3との違いや受けられるサービスなどを解説」では、高齢者に多く見られる要介護2の状態や認定基準、受けられるサービスについて、他の介護度との違いについて見てみましょう。

要介護2とは

介護度の違いとは

要介護2は、日常の様々な動作において部分的な介護が必要な状態です。要介護2では、立ち上がる動作や歩行に支援が必要で、自分の力だけで行うのが困難。また、食事や排泄の際にも、見守りや援助が求められることが一般的です。要介護2は、介護の必要性を測るための基準である「要介護認定等基準時間」に基づいて判定。要介護2の場合、この基準時間は50分以上70分未満と定められています。

要介護1との違い

要介護2と要介護1の違いは、身の回りの介助が必要かどうかです。要介護1の方は、排泄や入浴などの日常生活動作に一部介助や見守りが必要ですが、食事など身の回りのことはほとんど自分でできます。一方、要介護2の人は、食事や身だしなみなどの日常生活動作に監督や介助が必要です。また、要介護1に比べて認知症の症状が進行しているため、調理や服薬、金銭管理、爪切りなどの動作が困難なケースが多数。

他にも、レンタルできる福祉用具に違いがあり、要介護1では手すりや歩行器などに限られますが、要介護2では車いすや介護用ベッドもレンタルが可能です。

要介護3との違い

要介護3は要介護2に比べ、食事、排泄、入浴などの日常生活動作にほぼ全面的な介助が必要な状態です。認知症が進行すると、多くの方が見当識障害や実行機能障害を経験するようになります。また、徘徊、暴力、暴言、妄想などの症状も特徴的。そのため、要介護度3の人が長時間ひとりで過ごすことは、要介護2の人よりも困難になります。なお、内閣府が発表した「平成29年版高齢社会白書」(全体版)によると、要介護2は「手がかかる程度」(50.2%)が最も多く、要介護度3は「ほぼ終日」(32.4%)が最も多いという結果でした。

要介護2で受けられるサービス

要介護2で利用できるサービス、主な内容は次の通りです。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

訪問型サービス

訪問サービスとは、在宅で利用できるサービスで、看護職員や介護福祉士、ヘルパーなどの有資格者が自宅を訪問し、サービスを提供するものです。訪問型サービスには、従来の訪問介護サービスに加えて、A~Dまでの4つの分類があり、サービス内容が異なります。

「訪問型サービスA」では、主に訪問介護員が日常生活を送るうえで生活援助としてのサービスを提供。「訪問型サービスB」は、地域の住民が中心となって行うボランティアの支援サービスです。「訪問型サービスC」は、短期間で集中的に行われる予防的なサービスで、市区町村の保健師等がプログラムを組んで実施。「訪問型サービスD」では、移動支援を中心としたサービスで、外出時の移送の前後に対するサービスが展開されます。

通所型サービス

利用できるサービスは複数

訪問サービスは、施設に出向いて受けるサービスです。利用者が可能な限り自立した日常生活を営むことができるよう、生活するうえでの体の機能を向上させることを目的としている他、人間関係の維持、心身機能の維持、家族の介護負担の軽減も図っています。

通所型サービスは、A~Cの3つに分類されており、サービスの内容は以下の通りです。

通所型サービスA

通所型サービスAは、雇用された労働者やボランティアが中心となって、事業所内で様々な活動を提供する「ミニデイサービス」の実施、運動やレクリエーションの機会などを提供するサービスです。高齢者が社会的に孤立することを防ぎ、彼らの自立を支援することを目的としています。

通所型サービスB

通所型サービスBは、地域のボランティアや住民が主体となって運営し、高齢者が集まるための場を設け、様々な体操や運動プログラムを提供するサービスです。趣味活動や日中の居場所づくり、交流会、サロン、共同での食事の機会なども整備されています。

通所型サービスC

通所型サービスCは、市区町村の保健師等によって運営される短期間の健康増進プログラムです。このサービスは、公民館などの地域施設で行われ、3~6ヵ月の期間を通じて、特に運動機能の向上や栄養状態の改善に焦点を当てて実施。利用者の個々の状況やニーズに合わせてカスタマイズされ、日常生活での困難を軽減することを目的としています。

短期入所生活介護(ショートステイ)

短期入所生活介護(ショートステイ)とは、介護を必要とする高齢者が可能な限り自宅で自立した生活が送れるよう、老人ホームをはじめとする施設に短期間入所する介護サービス。介護サービスの主な目的は、介護や機能訓練、日常生活の支援を通じて、高齢者の療養生活の質を向上させると同時に、家族の負担を軽減することです。

短期間入所型サービスは、「医療型ショートステイ」や「療養型ショートステイ」とも呼ばれ、通常の介護サービスに加えて医師や看護師による医療的なサポートを受けることが可能です。介護者が病気や急な用事、休養などで一時的に自宅での介護ができない場合に利用します。

地域密着型サービス

地域密着型サービスとは、認知症高齢者や中重度の要介護高齢者が、住み慣れた地域で引き続き生活できるよう支援するサービスのことです。2006年(平成18年)4月の介護保険制度改正で創設され、市町村が指定した事業者が住民に様々なサービスを提供。指定された市町村の被保険者のみが利用でき、事業所は地域住民と交流できる場所にあります。

地域密着型サービスの特徴は、地域のボランティア、地域の医療機関と連携し、高齢者や要介護者の日常生活支援を行うこと。小規模な施設のため、利用者のニーズにきめ細かく対応できることが期待され、住み慣れた地域で暮らしたい方にとっては貴重なサービスと言えます。なお、地域密着型サービスの介護給付を受けられるのは要介護認定を受けた方で、指定された市町村に住んでいる方です。

提供されるサービスは自治体によって異なるため、詳しくはケアマネジャーや地域包括支援センター、役所などに問い合わせましょう。

施設サービス

施設サービスとは、老人保健施設や介護医療院などの介護保険施設に入所して受けるサービスのことです。施設によって異なりますが、介護や生活支援、機能訓練などのサービスを受けることが可能。要介護2の方が入居できる主な施設は、以下が挙げられます。

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設(老健)は、病院などで医療を受けている高齢者が、在宅復帰を目指してリハビリテーションや身体介護などを行う施設です。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設とは、食事や排泄、入浴などの介護をはじめ、医療やリハビリテーションを総合的に提供する施設です。

介護医療院

介護医療院は、2024年(令和6年)3月に廃止の介護療養型医療施設に代わって、新たに介護保険施設サービスに加えられました。介護療養型医療施設と大きな違いはなく、介護や医療、リハビリテーションなどを受けることが可能です。

ただし、介護療養型医療施設とは異なり、地域の人々との交流や日常生活の場であることを重視しており、地域のボランティアがレクリエーションを担当という側面もあります。

有料老人ホーム

有料老人ホームとは、介護(入浴・排泄・食事)、洗濯・掃除などの家事、健康管理のなどのサービスを提供する民間の施設です。「介護付」、「住宅型」、「健康型」の3つに分類され、施設の種類によって入居対象者が変わるのが特徴。民間が運営する施設であることから、入居時に入居費用が発生する場合があり、施設によっては数億円ということもあります。

その他(福祉用具のレンタルなど)

介護認定を受けると、要介護度に応じて福祉用具のレンタルや購入ができます。要介護2の認定を受けた場合にレンタルできる福祉用具は以下の通りです。

福祉用具 主な活用法
車いす 自力での移動が困難な人のための移動補助用具。自走式と介助式があり、自走式はハンドリムを回して自力で移動できるが、介助式は人に押してもらわないと移動ができない
車いすの付属品 車いすに取り付ける付属品。杖ホルダー、シートベルト、転倒防止バーなど様々な種類がある
特殊ベッド 一般的に介護用ベッドと呼ばれることが多い。背上げ機能や高さ調節機能があるため、被介護者の生活のしやすさを向上させ、負担を軽減することができる
特殊枕木の付属品 手すりやサイドレールなど、特殊枕木に取り付けられる付属品。立ち上がり動作のサポートや転倒防止などの効果がある
床ずれ防止マットレス 一ヵ所に負担を分散させることで床ずれ防止に効果がある
体位変換器 寝返りなどの体位変換をサポートする福祉用具。クッションタイプやシートタイプなどがあり、体位変換をしやすくすることで床ずれなどの予防になる
手すり 工事を伴わない手すりの設置では、立ち上がりや歩行が困難な高齢者の日常生活をサポートできる
スロープ 工事を伴わないスロープの設置では、段差部分に設置することで、生活環境の改善や事故防止などの効果が期待できる
歩行器 転倒しやすい高齢者の歩行を補助する福祉用具。両腕で体重を支えられるため、脚の負担や痛みが軽減されるなどの効果がある
歩行補助杖 安定した歩行が困難な高齢者の歩行をサポートする福祉用具。歩行器同様、脚の負担を軽減できる
認知症高齢者徘徊検知装置 認知症患者に見られる初期の徘徊行動を検知する装置。ベッドの周囲に設置することで、「ベッドから降りる」、「部屋から出る」といった徘徊の兆候を察知することができ、徘徊・転倒防止に効果が期待できる
移動用リフト 自力で起き上がることが困難な人の立ち上がりや、車いすへの移乗を補助する福祉用具。被介護者の体を持ち上げることもでき、介護者の身体的負担を軽減する
自動排泄処理装置 自力でトイレに行くことが困難な人の排泄を助ける福祉用具。受器に排尿することで、受器とつながっている本体に尿が吸い込まれる

要介護2の方がかかる費用の例

要介護2になった場合、どのくらいの費用がかかるのか、自宅で過ごす場合、施設で過ごす場合の費用例を紹介します。

要介護2の支給限度額

自宅と施設の費用例

要介護2の支給限度額は、19万7,050円です。支払限度額内で介護サービスを利用した場合、サービス単価の1割または2割を支払います。支給限度額を超えた分は、全額自費。施設サービスを利用する場合、施設の種類、要介護度によって定められた介護報酬の1割または2割の他、生活費や会費などが利用者の負担です。

福祉用具購入費、住宅改修費については、通常の介護サービスとは別で上限が定められています。

自宅の場合

在宅介護では、介護ベッド導入などの初期費用と、月々の介護サービス利用費用を分けて考えます。初期費用については、生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」によると、介護ベッドの購入や家の段差解消などの住宅リフォーム、ポータブルトイレやシャワーチェアなどの福祉用具の購入にかかる費用は平均74万円でした。

月々の介護サービス利用費について、公益財団法人家計経済研究所の「在宅介護のお金と負担2016」によると、平均費用は月額5万円です。平均費用には、介護サービスの自己負担分と介護保険料が含まれています。

施設の場合

野村総合研究所の「高齢者の住まいに関する調査」によると、老人ホームへの入居にかかる初期費用の平均は、184万6,118円です。介護施設にかかる費用は、入居費用、通院時の医療費、各種レクリエーションに参加する際の材料費など。なお施設によっては敷金・保証金・前受金が不要なケースもあり、敷金・保証金の負担率が0円の施設が全体の61%を占めています。

公的介護施設の場合、利用料は月額合計で5~15万円程度。利用する居室の広さ、また、タイプによっても金額は大きく異なります。一方、民間企業が運営する施設では、月額15万円から30万円程度が相場。加えて、入居時に支払う入居一時金が数十万円から数千万円かかるケースも少なくありません。

要介護2の方におすすめの施設

要介護2の方へのおすすめの施設は、介護老人保健施設(老健)と有料老人ホームです。

介護老人保健施設(老健)

快適で楽しく過ごせる施設

介護老人保健施設(老健)は、在宅復帰を目的としたリハビリテーションを行う施設です。介護老人保健施設の入所期間は3~6ヵ月程度で、在宅復帰が可能と判断された場合は退所します。入所の条件は、要介護1以上の認定を受けていること。また、施設によっては、病状が安定していて入院の必要がないことや、感染症にかかっていないことなど、追加の条件を設けている場合もあります。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、厚生労働省が定める人員や設備などの基準をクリアし、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設で、ホームの介護スタッフから24時間介護を受けることができます。介護サービスの費用は、要介護度に応じた月額定額制で、すべてのサービスが定額で利用可能です。各施設には、看護師が24時間常駐する充実した医療体制や、レクリエーションや旅行の機会の豊富さなど、様々な特徴があります。

要介護2の認定をされても一人暮らしはできる?

一人暮らしは不可能ではない

要介護2の認定を受けた場合でも、一人暮らしは可能です。しかし、その可否は個々の状況によります。要介護2では、日常生活の一部で介助やサポートが必要とされますが、介護の程度はさほど高くありません。

したがって、以下のような条件やサポートが整っていれば、一人暮らしを続けることが可能であるとされるのです。

適切な介護サービスの活用

定期的な訪問介護サービスやデイサービスなどの利用で、日常生活の支援を受けましょう。「要介護2」の状態では、日常生活における一部の介助が必要になるため、一人暮らしをしている場合、家族と同居している状況と比べて、訪問介護などのサービス利用の頻度が高くなる傾向があります。

住環境の整備

体の状況に合わせて住宅改修することで、安全で自立した生活の支援が可能です。例えば、手すりの設置、段差の解消などが挙げられます。住宅改修を行う場合、まず、住宅改修の必要性を説明する書類を添えて、住んでいる市区町村の窓口に申請書を提出。工事が完了したあとには、領収書など工事費用が発生したことを証明する書類を提出し、実際の住宅改修費用の9割に相当する金額の支給を受けます。

緊急時の対応を決めておく

家族や信頼できる近隣の人と定期的に連絡を取り合い、緊急時の連絡先を共有しておくことが大切です。信頼できる人に合いカギを渡しておくと、緊急時にすぐに家に入ってもらうことが可能。また、家に緊急通報装置を設置することで、事故や体調不良が起きた際に迅速に助けを求めることができます。

特別養護老人ホームは利用できない?特例ケースについても

特例入所とは、要介護度3以下でも特別養護老人ホームに入所できる制度です。2015年(平成27年)に制定された「医療介護総合確保推進法」に基づき、介護老人福祉施設の入所基準が変更されました。限られた資源をより必要とする人々に効率的に配分することを目指し、原則として特別養護老人ホームは、要介護3以上の高齢者のみが新規入所対象となったのです。

ただし、要介護1または2の状態の高齢者でも、他の選択肢がなく生活に著しい困難があると認められる場合は、例外的に入所が認められる場合も。この特例入所は、市町村の関与のもと、各施設の入所検討委員会の判断に基づき行われます。

介護サービスを利用するまでの流れ

各サービスを利用するためには、要介護認定を受け、ケアプランを作成しなければなりません。介護サービスを利用するまでの流れを6つのステップに分けて紹介します。

1要介護認定の申請

介護保険のサービスを利用するためには、住んでいる市区町村の窓口に行って、「介護保険要介護・要支援認定申請書」を提出し申請。申請には介護保険証が必要ですが、40~64歳までの人で介護保険証がない場合は、医療保険症を持っていきます。

2自治体による聞き取り調査(認定調査)

市区町村の調査員が自宅や施設を訪問し、心身の状況を確認する認定調査を実施。また、かかりつけ医から対象者の身体状況を確認するための「介護保険主治医意見書」は、市区町村から直接主治医に依頼されます。

3一次・二次判定

調査結果と介護保険主治医意見書の一部をコンピュータに入力し、全国一律の判定方法で要介護度を判定(一次判定)。また、一次判定結果と介護保険主治医意見書をもとに、介護認定審査会が要介護度を判定します(二次判定)。

4要介護度の認定

市区町村等は、介護認定審査会の結果に基づき、要介護認定を行い、申請者に通知。申請から認定通知までは原則30日以内です。認定は要支援1・2から要介護1~5、非該当の7段階に分かれています。

5サービス計画書(ケアプラン)を作成

介護予防サービスを利用する場合は、介護予防サービス計画(ケアプラン)を作成する必要があります。予防給付の対象となる方、要支援1・2と認定された場合は、地域包括支援センターにケアプランの作成を依頼可能です。

また、要介護1~5と認定された場合で、居宅介護サービスを利用するときは、居宅介護支援事業者(介護支援専門員)にケアプランの作成を依頼できます。施設のサービスを利用する場合は、施設の介護支援専門員がケアプランを作成し、サービス開始です。

6サービスの利用開始

介護サービス計画に基づき、様々なサービスが受けられます。介護サービスを適切に利用することは、要介護者の生活を支えるだけでなく、家族の負担を軽減することにもつながるでしょう。

まとめ

「要介護2とはどの程度?要介護1・3との違いや受けられるサービスなどを解説」では、要介護2の現状や認定基準、受けられるサービスについて、他の介護度との違いを解説しました。要介護2は、日常の様々な動作において部分的な介護が必要な状態です。要介護2では、立ち上がる動作や歩行に支援が必要で、自分の力で行うのが困難。また、食事や排泄の際にも、見守りや援助が求められることが一般的です。要介護2になると、使える介護保険サービスの幅や限度額が広がるため、担当のケアマネジャーに相談しながら、適切にサービスを活用していきましょう。

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