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介護医療院と介護老人保健施設(老健)の違いとは?メリット・デメリットを比較

要介護認定を受けている方が、自立、療養することを目的に入所できる施設として、介護医療院と介護老人保健施設(老健)が挙げられます。どちらも医師の方針に基づき、入所者に対して機能訓練を実施しますが、利用目的には違いがあるため、施設を選ぶ際には注意が必要です。介護医療院と介護老人保健施設の特徴、サービス内容、設備基準の違いなどについて見ていきましょう。

一覧表で見る介護医療院と介護老人保健施設の特徴

介護医療院と介護老人保健施設

介護医療院と介護老人保健施設(老健)は、施設サービスを提供する介護保険施設に該当します。それぞれの施設が目的とすることは大きく異なるため、入居申請をする前に、施設の内容と合っているか確認が必要です。

介護医療院は、主に要介護認定1~5を受けている原則65歳以上の高齢者、かつ長期療養が必要な方に適切な医療ケアや介護、生活支援を提供します。

一方、介護老人保健施設(老健)は、要介護認定1~5を受けている65歳以上の高齢者が原則で、いずれ自宅復帰を目指す方のための施設。どちらの施設に入るべきか悩んでいる場合は、長期療養が必要か、自宅で生活できることを目指すのかを、ひとつの基準として考えましょう。

介護医療院と介護老人保健施設の違い
介護医療院 介護老人保健施設
特徴 ・長期療養を前提にした医療ケアや介護、生活支援などを提供するのが主な目的
・充実した医療ケアや介護、看護サービスの提供
・リハビリや介護を通して在宅復帰を目指すのが主な目的
・入居期間が9ヵ月ほど
原則3ヵ月の入居期間とするも実態として超過傾向
サービス ・入浴介助
・排泄介助
・食事介助
・機能訓練
・医療ケア
・喀痰吸引(かくたんきゅういん)や経管栄養など、日常生活における医療ケア
・看護ケア
・レクリエーション
・薬剤管理指導
・リハビリテーション
・看取り対応
・入浴介助
・排泄介助
・食事介助
・機能訓練
・医療ケア
・レクリエーション
・看護ケア
・リハビリテーション
・ターミナルケア
入居条件 ・要介護度1~5
・65歳以上
・特定疾病が認められた40~64歳
・要介護度1~5
・65歳以上
・特定疾病が認められた40~64歳
・リハビリなど施設のサービスを必要としている
費用 入居
一時金
0円 0円
月額
利用料
6~17万円 6~17万円

介護医療院と老健の違い①サービス内容

介護医療院では、喀痰吸引など、常に医療ケアが必要な方へ医療や介護と生活支援を提供。一方、介護老人保健施設(老健)は、いずれ自宅に帰ることを目標に据えて、リハビリなどを提供します。

介護医療院のサービス

入居者のレクリエーション

介護医療院は、長期間の療養を必要とする方向けの施設で、介護療養型医療施設に代わる施設として創設されました。病気などが原因で入院を必要とする方が、24時間体制の充実した医療ケアを受けながら介護、看護サービスを利用できるのが特徴。看取りやターミナルケアまで対応しているため、最期まで施設で過ごせる環境が整備されています。

また、療養だけでなく生活支援も重視。地域に開かれた施設としても期待されており、地域住民との交流なども施設の役割のひとつです。さらに、入居者様のプライバシーを確保するために、多床室であってもパーティションなどで一人ひとりの空間を確保。掃除や洗濯など、日常生活におけるサポートを受けることが可能です。

なお、入居者様の状況に合わせて、介護療養病床にあたるⅠ型と、介護老人保健施設にあたるⅡ型の2種類が存在しています。Ⅰ型では、特に医療ケアを常時必要とする要介護度の重い方、Ⅱ型ではⅠ型よりも心身の状態が安定している方が対象です。

老健のサービス

介護老人保健施設(老健)は、自宅での生活に復帰することを目的に、リハビリを提供するための施設です。入院後など、すぐに自宅生活に戻ることに不安を覚える方などが利用します。

介護老人保健施設(老健)では、在宅復帰のためのリハビリに加え、食事介助や入浴介助などの介護や看護、生活支援も提供。入居者様に合わせたリハビリプログラムが組まれ、アクティビティなどレクリエーションを実施している施設もあります。3~6ヵ月を目途に退所するのが規則ですが、実際は9ヵ月ほど入居し続ける場合も少なくありません。

介護医療院と老健の違い②設備

介護医療院は、入所者に対して長期療養を受けながら、できるだけ自立した生活が送れることを目標としています。一方で、老健は居宅復帰を目指す施設です。この違いから、仕組みや入所者への療養のアプローチ方法が異なる他、設備にも違いがあります。

介護医療院と介護老人保健施設における設備の違い
介護医療院 介護老人保健施設
設備 ・療養室(居室)
・診察室
・処置室
・機能訓練室
・談話室
・食堂
・浴室
・レクリエーション・ルーム
・洗面所
・トイレ
・サービス・ステーション
・調理室
・洗濯室または洗濯場
・汚物処理室
・療養室(居室)
・診察室
・機能訓練室
・談話室
・食堂
・浴室
・レクリエーション・ルーム
・洗面所
・トイレ
・サービス・ステーション
・調理室
・洗濯室または洗濯場
・汚物処理室

介護医療院や老健の施設は、構造設備上、建築基準法や消防法を遵守し、採光、日照、換気について十分配慮されています。また、入所者の防災や保健衛生にも考慮した造りが義務付けられているのです。

介護医療院の設備基準

介護医療院は、充実した医療ケアと生活支援、自立支援を行っているため、設備基準も細かく定められています。特に、医療設備は他の介護施設と比べても充実しており、調剤施設やエックス線装置を使用できる施設、臨床検査ができる施設などもあるのが特徴です。

なお、介護療養型医療施設から転換し、もとが多床室であった場合でも、家具やパーティションなどで仕切ることが義務付けられています。

介護医療院の設備基準
設備 設備基準
療養室(居室) ・1部屋の定員は4人以下
・入居者様1人あたりの床面積が8㎡以上
・地下に設置しない
・出入口は廊下や広間、避難に有効な空地に面して設置する
・入居者様のプライバシーを確保できる療養病床を備える
・入居者様の身の回り品を保管する場所がある
・ナースコールを設置する
診察室 ・医師が診察を行う施設を設置する
・喀痰や血液などの通常行われる臨床検査ができる施設を設置する
・調剤施設を設置する
処置室 ・入居者様への処置が適切に行われる広さのある施設を設置する
・診察用の10kV以上メガ電子V未満のエックス線装置を設置する
(これらの設備は診察室の施設と兼用が可能)
機能訓練室 ・内法測定で40㎡以上の面積を有する
・必要な器械や器具を備える
談話室 ・入居者様同士や入居者様と家族が談話を楽しめる広さを有する
食堂 ・内法測定で入居者様1人あたり1㎡以上の面積を有する
浴室 ・体の不自由な方が入浴するのに適した広さにする
・一般浴槽とは別に入浴介助を必要とする方のための特別浴槽を設置する
レクリエーション
・ルーム
・レクリエーションを行うのに十分な広さを有する
・レクリエーションに必要な設備を備える
洗面所 ・体の不自由な方が使用するのに適した広さにする
トイレ ・体の不自由な方が使用するのに適した広さにする
サービス・
ステーション
・療養室のある階ごとに近接して設ける
調理室 ・食品衛生を徹底し防鼠または防虫対策を行う
洗濯室または洗濯場 ・入所者の必要数に応じて設備する
汚物処理室 ・他区画と区別したスペースを要する

出典:厚生労働省 介護医療院公式サイト「介護医療院とは」

老健の設備基準

介護老人保健施設(老健)は、リハビリにかかわる施設を整えています。特に機能訓練室の基準は、介護医療院と少し違うのが特徴です。リハビリのための機器もそろっており、専門スタッフの指導のもと入居者様に合ったリハビリを受けられます。

介護老人保健施設の設備基準
設備 設備基準
療養室(居室) ・1部屋の定員は4人以下である
・入居者様1人あたりの床面積が8㎡以上
・地下に設置しない
・出入口は廊下や広間、避難に有効な空地に面して設置する
・寝床もしくはこれに代わる設備を有する
・入居者様の身の回り品を保管する場所がある
・ナースコールを設置する
診察室 ・必ず設置する
機能訓練室 ・入居定員数×1㎡以上の面積を有する
・必要な器械や器具をそろえる
談話室 ・入居者様同士や入居者様と家族が談話を楽しめる広さを有する
食堂 ・入所定員数×2㎡以上の面積を有する
浴室 ・体の不自由な方が入浴するのに適した広さにする
・一般浴槽とは別に入浴介助を必要とする方のための特別浴槽を設置する
レクリエーション
・ルーム
・レクリエーションを行うのに十分な広さを有する
・レクリエーションに必要な設備を備える
洗面所 ・療養室のある階ごとに設置する
トイレ ・療養室のある階ごとに設置する
・ブザーもしくは代わりになる設備を設置する
・体の不自由な方が使用するのに適した広さにする
・常夜灯を設置する
サービス・
ステーション
・療養室のある階ごとに近接して設ける
調理室 ・食品衛生を徹底し、防鼠または防虫対策を行う
洗濯室または洗濯場 ・入所者の必要数に応じて設備する
汚物処理室 ・他区画と区別したスペースを要する

出典:平成十一年厚生省令第四十号介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準「第三章 施設及び設備に関する基準 第三条」

なお、具体的にどのような設備があるかは施設によって異なります。入居前の見学や施設の方に質問をするなどして、確認しておくことが大切です。

介護医療院と老健の違い③入居条件

介護医療院と老健の違い

介護医療院と老健で共通している入居条件は、要介護度1~5であること、65歳以上であること、特定疾病が認められた40~64歳であることの3つです。

介護保険施設を利用するには、要介護認定を受けていることが必須条件で、要介護認定されるのは65歳以上の方。しかし、40~64歳の方でも、医療保険を受けていて特定疾病を認められれば、要介護認定を受けられます。また、介護老人保健施設(老健)の場合、リハビリなど施設のサービスを必要としていることも条件です。

特定疾病とは

特定疾病とは、心身の病的加齢現象と医学的関連があり、加齢に伴って生じる心身の変化が原因で要介護状態の原因となる、以下の16疾患を指します。

  • がん
    (医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがない状態に至ったと判断した場合に限る)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
    (きんいしゅくせいそくさくこうかしょう:ALSとも呼ばれる)
  • 後縦靱帯骨化症
    (こうじゅうじんたいこっかしょう)
  • 骨折を伴う骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
  • 初老期における認知症
    (アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症など)
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症(だいのうひしつきていかくへんせいしょう)及びパーキンソン病、パーキンソン病関連疾患
  • 脊髄小脳変性症
    (せきずいしょうのうへんせいしょう)
  • 脊柱管狭窄症
    (せきちゅうかんきょうさくしょう)
  • 早老症(そうろうしょう)
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

出典:厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」

ただし、特定疾病を発症したからといって、必ず要介護認定されるわけではありません。同じ病名だったとしても、特定疾病診断が下されない場合もあるためです。また、要介護認定の際は、担当医の意見書をもとに特定疾病かどうかを確認します。

必須条件の他に求められる可能性のあること

必須条件ではありませんが、施設によっては身元保証人を求められる場合があります。身元保証人とは、入居者様が何かしらの理由で自己判断ができないときなどに、入居者様に代わって手続きや判断したりする人のこと。緊急時の連絡先でもあります。また、入居者様が亡くなったときに身柄を引き受けたり、利用料を支払えない場合に代わりに払ったりすることも役割のひとつ。身元保証人がいなくても入居を断られることはあまりありませんが、何かあったときの対応をスムーズにするためにも、用意しておくのがおすすめです。

また、ある程度の支払い能力があると、急な出費にも対応できます。公的介護施設は、生活保護受給者でも利用できますが、全く支払いがないわけではありません。居住費や食費、日常生活費などの支払いは必要なので、いくらくらいかかるか調べておく必要があります。場合によっては、費用負担を抑えられる制度を利用するのもおすすめです。

介護医療院と老健の違い④人員配置

医療ケアや生活支援が充実している介護医療院と、リハビリが充実している介護老人保健施設(老健)とでは、置かれているスタッフの役職に差があります。介護医療院では医療に関するスタッフが多く配置されていますが、介護老人保健施設(老健)では理学療法士など、リハビリの専門家が配置されているのが特徴です。

介護医療院の人員配置

介護医療院の人員配置は、医療機関を併設しているかどうかと、Ⅰ型かⅡ型かで異なります。特に、医療ケアを必要とするⅠ型のほうが、スタッフの配置は手厚いです。また、医療機関を併設している場合は、診療放射線技師などが医療機関と兼任している場合もあります。介護医療院は施設内にⅠ型とⅡ型を併設しており、両方の組み合わせにより柔軟な対応が可能です。

介護医療院の人員配置基準
役職 介護医療院 医療機関併設型
介護医療院
Ⅰ型 Ⅱ型 Ⅰ型 Ⅱ型
医師 入居者様48人に対して1人(施設内で3人以上) 入居者様100人に対して1人
(施設内で1人以上)
入居者様
48人に対して1人
入居者様
100人に対して1人
看護
スタッフ
入居者様6人に対して1人 入居者様6人に対して1人
介護
スタッフ
入居者様
5人に対して1人
入居者様
6人に対して1人
入居者様
5人に対して
1人
入居者様
6人に対して1人
薬剤師 入居者様
150人に対して1人
入居者様
300人に対して1人
入居者様
150人に対して1人
入居者様
300人に対して1人
リハビリ
専門職
施設に必要な数 施設に必要な数
栄養士/
管理栄養士
施設定員100人以上で1人 施設定員100人以上で1人
介護支援
専門員
入居者様100人に対して1人
(施設内で1人以上)
入居者様100人に対して1人
(施設内で1人以上)
診療
放射線技師
施設に必要な数 併設施設で兼務をするスタッフがいる等で適正なサービスが確保できるなら配置しなくても問題ない
調理員
事務員など
施設に必要な数 併設施設で兼務をするスタッフがいる等で適正なサービスが確保できるなら配置しなくても問題ない

病院などの医療機関に併設される併設型小規模介護医療院では、入所者の医療と介護ケアが十分に対応できると認められた場合に限り、医師、リハビリ専門職、薬剤師、栄養士または管理栄養士、診療放射線技師、調理員、事務員を配置しなくても良いとされています。ただし、介護スタッフと看護スタッフは入所者6人に対して1人、配置しなければなりません。また、介護支援専門員(ケアマネジャー)は、適当数、必要に応じた人数を配置する義務があります。

老健の人員配置

介護老人保健施設(老健)では、リハビリの専門職でもある理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の、最低でもいずれか1人を配置することが義務付けられています。専門的な知識をもとに、入居者様に応じたリハビリのプログラムを組んでくれるのが特徴です。

介護老人保健施設の人員配置基準
役職 基準
医師 ・入居者様100人に対して1人
看護スタッフ ・入居者様3人に対して看護スタッフもしくは介護スタッフが1人
・看護スタッフと介護スタッフ全体の7分の2程度
介護スタッフ ・入居者様3人に対して看護スタッフもしくは介護スタッフが1人
・看護スタッフと介護スタッフ全体の7分の5程度
薬剤師 ・施設に必要な数(300対1を標準とする)
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
・100対1以上
介護支援専門員 ・入居者様100人に対して1人が標準
支援相談員 ・入居者様100人に対して1人
栄養士 ・入所定員が100人以上なら1人以上
調理員、事務員
その他従業員
・施設に必要な数

介護医療院と老健の違い⑤費用相場

介護医療院と介護老人保健施設(老健)の費用に大きな違いはありません。ただし、要介護度などによって介護サービス費に違いがあります。また、居室タイプや所得などによっても異なるので、注意が必要です。

入居一時金

費用相場

介護医療院、介護老人保健施設(老健)ともに公的施設のため、入居一時金はかかりません。入居一時金とは、施設に入居する際、終身利用をする権利をもらう代わりに支払う前払い金のことです。

月額利用料金の一部は、入居一時金から徐々に支払われます。民間施設の有料老人ホームでは入居一時金を払うことが多く、施設ごとに料金が異なるのが特徴。一時入居金を採用していない有料老人ホームもありますが、その分月額利用料が高くなる傾向があります。

しかし、介護医療院や介護老人保健施設は、介護保険施設に該当するため、初期費用はかかりません。

月額利用料

月額利用料は、要介護度によって異なります。介護保険の支給は要介護度ごとに限度額が決まっており、超えた分を自分で支払う必要があるためです。1割負担の場合の月額支給限度額をまとめました。

要介護度別サービス費月額支給限度額
要介護度 区分支給限度額 費用
要介護1 1万6,765単位 16万7,650円
要介護2 1万9,705単位 19万7,050円
要介護3 2万7,048単位 27万480円
要介護4 3万938単位 30万9,380円
要介護5 3万6,217単位 36万2,170円

※単位:単価は1単位10円が基本。サービスの種類ごとに設定された人件費率、地域ごとに設定された割合や比率に合わせて、11.40円まで加算される。

なお、費用を抑える方法として、制度を利用する方法があります。所得の低い方が利用できる制度から、所得に関係なく利用できる制度まであるので確認してみましょう。

例えば、高額介護サービス費は、食費や居住費の一部などを除く月額利用料が一定基準を超えた場合に、市区町村へ申請することで、介護保険から超えた分を支給してもらえる制度です。高額介護サービス費の所得別負担上限額は、次のようになっています。

段階別高額介護サービス費月額負担上限額
段階 条件 月額負担上限額
第1段階 生活保護受給者等 個人:1万5,000円
第2段階 市区町村民税非課税世帯で公的年金の収入とその他の合計所得が合計80万円以下 個人:1万5,000円
世帯:2万4,600円
第3段階 市区町村民税非課税世帯で第1段階・第2段階に該当しない 世帯:2万4,600円
第4段階① 市区町村民税課税世帯~課税所得380万円未満 世帯:4万4,400円
第4段階② 課税所得380~690万円未満 世帯:9万3,000円
第4段階③ 課税所得690万円以上 世帯:14万100円

出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索「サービスにかかる利用料」

これらの他に、所得の低い方を対象にした、特定入所者介護サービス費なども利用できます。

介護医療院

介護医療院の月額費用の目安は6~17万円で、基本的な月額費用は一定です。介護医療院では、「特定入所者介護サービス費」を利用できます。特定入所者介護サービス費とは、所得が一定基準以下の方が、負担限度額を超えた分を支給してもらえる制度です。所得ごとに段階分けされており、支給対象の1~3段階①、3段階②と、支給対象外の4段階があるのが特徴。居室タイプや段階によって限度額は異なります。各段階の所得基準は、次の表の通りです。

特定入所者介護サービス費段階表
段階区分 所得 預貯金条件
第1段階 生活保護受給者等 条件なし
世帯全員が市区町村民税非課税かつ老齢福祉年金受給者 単身:
1,000万円以下
配偶者あり:
2,000万円以下
第2段階 世帯全員が市区町村民税非課税かつ本人の公的年金収入とその他収入の合計が80万円以下 単身:
650万円以下
配偶者あり:
1,650万円以下
第3段階① 世帯全員が市区町村民税非課税かつ本人の公的年金収入とその他の収入合計が80~120万円以下 単身:
550万円以下
配偶者あり:
1,550万円以下
第3段階② 世帯全員が市区町村民税非課税かつ本人の公的年金収入とその他の収入合計が120万円を超える 単身:500万円
配偶者あり:
1,500万円

出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索「サービスにかかる利用料」

これらの段階をもとに、居室タイプごとに負担限度額が定められています。介護医療院の特定入所者介護サービス費は、次の表の通りです。

介護医療院を利用した場合の負担限度額
日額
基準費用
段階別日額負担限度額
第1 第2 第3① 第3②
食費 1,445円 300円 390円 650円 1,360円
居住費 ユニット型
個室
2,006円 820円 820円 1,310円 1,310円
ユニット型
個室的
多床室
1,668円 490円 490円 1,310円 1,310円
従来型個室 1,668円 490円 490円 1,310円 1,310円
多床室 377円 0円 370円 370円 370円

出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索「サービスにかかる利用料」

また、介護医療院では新聞代や理美容代など、日常生活費が加わります。

介護老人保健施設

介護老人保健施設(老健)の月額費用目安は、6~17万円です。介護医療院と同じく、基本的な月額利用料は一定。ただし、医療サービスなどによっては費用が加算される場合もあります。なお、特定入所者介護サービス費で費用負担を軽減可能で、介護老人保健施設(老健)の負担限度額は、介護医療院と同じです。

介護医療院と介護老人保健施設のメリット・デメリット比較

介護医療院と介護老人保健施設のメリット、デメリットをご紹介します。

介護医療院

メリット

メリット・デメリットを考える

介護医療院のメリットは、充実した医療ケアを受けられることです。喀痰吸引や経管栄養が必要な方、寝たきりの方など、要介護度が重い方でも利用できます。生活施設としての機能を有するため、談話室やレクリエーション・ルームがあることも魅力。ターミナルケア、看取り対応も行っているため、症状や要介護度の変化により退去を求められることもありません。

デメリット

医師や看護師が他の施設より多いため、人員配置が手厚い分、利用料金が高くなる場合があります。また、規定ではプライバシーに配慮した空間づくりを義務付けられていますが、すべて個室というわけではありません。ユニット型個室的多床室など、多床室をパーティションで仕切った形の場合もあります。完全個室が良い場合は、事前に確認しておきましょう。

介護老人保健施設

メリット

介護老人保健施設(老健)は、機能訓練などのリハビリテーションが充実しています。理学療法士などの専門スタッフがいるので、入居者様に合わせたリハビリプランを組んでもらえるのが魅力。医師や看護師も配置されているので、緊急時も対応してもらえます。

デメリット

介護老人保健施設(老健)では、長期入所はできません。また、居室は多床室が多いため、個室が良い場合には施設を見付けにくい可能性もあります。

介護医療院・介護老人保健施設はどんな方におすすめ?

入所する施設を選ぶ際は、要介護度や心身の状況に応じた施設を選ぶことが大切です。

医療ケアや看取り対応が必要な方は「介護医療院」がおすすめ

介護医療院では、手厚い医療ケアに加え、ターミナルケアや看取りなどもしています。長く療養を必要としており、最期まで手厚い対応を受けたい方は、介護医療院がおすすめです。

退院後に在宅復帰を目指す方は「介護老人保健施設」がおすすめ

介護老人保健施設では、専門スタッフなどによる機能訓練やリハビリを通して在宅復帰を目指します。ゆくゆくは施設を出て自宅で過ごせるようになりたい方におすすめです。

イベントも楽しみたい方は「介護付き有料老人ホーム」がおすすめ

介護付き有料老人ホームは、自治体から許可を得て民間企業などが運営している介護施設です。料金設定は施設ごとに大きく異なり、月額数十万~百万円を超えるところまで様々。要介護度の重い方も受け入れており、看護師や医師からの医療ケアも受けられます。季節ごとに様々なイベントを楽しめるのが魅力です。

目的に合った介護施設を選ぼう

向いている人

介護医療院は長期的な療養が必要な方向けの施設、介護老人保健施設(老健)はリハビリをして自宅での生活に復帰することを目指す施設です。長期療養が必要な方が介護老人保健施設に入所申請をすると断られる場合もあるため、目的に合う施設に申請を出すようにしましょう。療養目的か、リハビリ目的か判断に迷ったら、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談してみるのもおすすめです。

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