かかりつけ薬剤師(薬局)とは?条件やメリット、加算される料金を解説
「かかりつけ薬剤師」とは、薬を処方された人の服薬状況の管理、健康相談などの様々なサポートをする、薬局に所属する薬剤師です。薬は高齢になるほど使用する種類や量が増える傾向にあり、高齢者の増加する日本では薬に関する相談や健康に関する悩みを抱える方が多い傾向。かかりつけ薬剤師がついていれば、そのような悩みを解決する手助けをしてもらえます。「かかりつけ薬剤師(薬局)とは?条件やメリット、加算される料金を解説」では、かかりつけ薬剤師についての概要と、サポートを受けるための方法を解説します。
かかりつけ薬剤師制度とは?
かかりつけ薬剤師制度とは

かかりつけ薬剤師制度とは、安全に薬を使用し、健康的に生活できるよう、担当の薬剤師や薬局を決めるよう定めた制度です。
そのなかで、「かかりつけ薬剤師」とは、薬を処方された人に対して、薬の効果や副作用、飲み合わせなどの相談に乗る薬剤師のこと。かかりつけ薬剤師には、薬を使用するひとりひとりの服薬状況を把握し、薬に関する疑問や健康についての相談に応じます。
かかりつけ薬剤師制度が誕生した背景
かかりつけ薬剤師制度ができた背景として、現代における「医薬分業」の推進があります。医薬分業とは、医師が診断・処方した薬を薬局等で薬剤師が調剤すること。
以前は、医師が薬を出すところまで担当していた「院内処方」が基本でした。しかし、医薬分業により薬を「院外処方」することで、薬をダブルチェックすることが可能になり、よりひとりひとりに合わせた安全な薬の処方ができるようになったのです。
かかりつけ薬剤師になれる条件
かかりつけ薬剤師は、薬局に所属している誰もがなれるわけではありません。かかりつけ薬剤師として活動するためには、以下に挙げる実績が必要です。
- 薬剤師として薬局での勤務経験が3年以上
- その薬局に週32時間以上勤め、かつ1年以上在籍している
- 医療に関する地域活動に参画している
- 薬剤師研修認定等を取得している
これらの条件を満たしているかかりつけ薬剤師は、一定以上の知識・経験を備え、地域住民とのコミュニケーションを図れる薬剤師です。
かかりつけ薬剤師を持つメリット
かかりつけ薬剤師を持つことには、以下のような3つのメリットがあります。
- 1担当薬剤師として相談できる
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かかりつけ薬剤師は、ひとりひとりの服薬状況を管理しています。かかりつけ薬剤師からは、薬の効果の確認や副作用の有無、重複や飲み合わせなど、担当薬剤師としての薬に関する様々なサポートを受けることが可能。
かかりつけと言うだけあって、長い期間同じ薬剤師が担当することが前提となっており、信頼関係ができることで話しやすく、安心して任せられます。
- 224時間いつでも対応して貰える
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かかりつけ薬剤師は、薬局が開いていない時間でも稼働しており、夜間や休日でもいつでも相談可能です。
相談者が薬局に直接いけない状況だとしても、電話やオンラインで薬についての相談に対応して貰うことができます。また、自宅に直接訪問し、薬の説明や管理を行うことも可能です。
- 3医療機関と連携し対応して貰える
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かかりつけ薬剤師は、薬を処方した医師と連携し、ひとりひとりに最適な薬を提供するよう働きかけます。処方内容の確認や問い合わせ、提案などを連携して行うことにより、安心して薬を使用できる体制を整えているのです。
薬の使用状況や副作用などを処方医に連絡することで、薬が合っているかどうかの判断もできます。また、健康に関する相談に広く対応しており、状況や状態によっては医療機関への受診も進めることが可能です。
「かかりつけ薬剤師」を利用する手順

かかりつけ薬剤師は自身で指定することができます。
すべての薬剤師がかかりつけ薬剤師として活動できるわけではないため、薬局で相談してみましょう。
ここでは、かかりつけ薬剤師を利用する手順を紹介していきます。
- 1まずはかかりつけ薬局を持つことから始めよう
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まずは、「かかりつけ薬局」を選ぶことから始めます。かかりつけ薬局は、自分が薬を購入するときや医師から処方箋をもらったときによく行く薬局がおすすめ。
薬局そのものがかかりつけとなるので、かかりつけ薬剤師が不在でもひとりひとりに合わせた対応をしてもらえます。様々な医療施設から処方される薬を服用している場合、薬の組み合わせに注意することが必要です。
似た効果を持つ薬の重複、相互作用により効果が低下する組み合わせの見逃しがあると、期待される効果が得られなかったり、副作用のリスクが増加したりする可能性があります。かかりつけ薬局では、すべての薬を1ヵ所で管理することができるため、このような見逃しのリスクを減らすことが可能です。
- 2かかりつけ薬剤師になってほしい人を決める
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かかりつけの薬剤師は、過去に服用した薬や、現在服用している薬、健康食品などの情報を把握し、薬の効果が正しく発揮できるようサポートします。かかりつけ薬局を決めたら、そこに所属している薬剤師の中から、かかりつけ薬剤師を指名しましょう。よく対応してくれたり、話しやすいと感じたり、薬の説明が上手だと感じる薬剤師がおすすめです。
- 3説明を聞き、同意書に署名する
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かりつけ薬剤師を決める際は、5~10分ほどの説明を受ける必要があります。かかりつけ薬剤師がいることを他の医療機関で説明することなどをはじめとする内容を、書面を用いて説明され、最後に同意書に署名をすれば完了です。
かかりつけ薬剤師を利用する際の負担額
かかりつけ薬剤師を決めると、薬の代金を支払う際に、自己負担割合によって変わりますが、60円、もしくは100円ほど負担金額が増えます。これは「かかりつけ薬剤師指導料」という医療点数が適応されるためです。かかりつけ薬剤師指導料は、通常の服薬管理指導よりも手厚いサポートを受けているために発生する費用負担。わずかに料金は増えますが、より丁寧なサポートを受けられることが期待できます。
かかりつけ薬剤師・薬局を探す方法
かかりつけ薬局は、従事している薬剤師がかかりつけ薬剤師の条件を満たしていれば、基本的にどの薬局でも良いです。よく行く病院やクリニックに併設されている薬局でも、ドラッグストア内の薬局でも問題なく利用可能。自分が相談するのに訪問しやすい薬局や、信頼できる薬剤師がいる薬局を選択することがおすすめです。
まとめ
かかりつけ薬剤師は、薬や健康についての相談を気軽に行うことができ、穏やかで健康な生活を送るための手助けが可能。高齢になるほど使用する薬の種類や量は増える傾向で、薬ごとの注意点や飲み合わせ、副作用なども増えていく懸念があります。かかりつけ薬剤師に相談し、安全に薬を服用するためのサポートをしてもらいましょう。