肩こりの症状と予防|原因や治し方を解説
肩こりは、幅広い世代の方々の悩みのひとつ。慢性的な肩こりに悩む高齢者の方は少なくありません。主な症状は、肩、首周辺にある筋肉の張りや硬さ、疼痛(とうつう)、頭痛、めまいなど。これらの症状が長期化すると、生活の質を低下させる原因となります。肩こりを予防するためには、適切な姿勢を維持するとともに、あまり身体を動かす機会のない高齢者の方も定期的にストレッチや運動を行い、筋肉の柔軟性を保つことが重要です。ホームメイト・シニアでは、肩こりの症状と予防法について詳しく解説しました。
肩こりの症状
肩こりのしくみや症状とは

肩こりとは、首や肩、背中、肩甲骨付近の筋肉が緊張し続け、血液の流れが悪くなって凝り固まることです。代表的な症状としては、コリやハリ、重い、だるい、痛いといった症状があります。
肩や首付近の筋肉は、頭を支えるために筋肉が密集している部分。成人の頭は4~6㎏、腕の重さは体重の約3%と言われており、肩にかなりの負荷がかかっています。
また、筋肉の緊張が起こると血液は血管を通りにくい傾向に。血流が悪くなり、筋肉内に疲労物質も溜まっていくため、次第に筋肉は凝り固まっていくのです。
肩こりが起こる原因とは
肩こりが起こる原因は、人によって様々。なかでも「長時間同じ姿勢のまま」、「眼精疲労」(がんせいひろう)、「運動不足」、「ストレス」などは、肩こりの4大原因とされています。
例えば、デスクワークでは、長時間、同じ姿勢で作業に集中するため、血行が悪くなりますし、パソコンの画面を見続けることで、眼精疲労を起こしやすい傾向に。さらに画面をのぞき込む際に、首が前に動くことで、身体の重心がずれてしまい、肩こりを起こす要因につながります。
また、運動不足による筋力の低下は、筋肉が緊張しやすくなる原因です。筋肉は血流にかかわっているため、緊張することで血行不良を誘発し、肩こりを引き起こしてしまいます。
その他、ストレスのため過ぎも要注意です。過度なストレスが身体にかかると、神経が興奮状態のままとなり、筋肉が緊張し、血管が収縮しやすくなります。肩や首だけでなく全身の血行が悪くなるため、肩こりだけでなく他の病気を引き起こしてしまう場合があるのです。
病気が原因で起こる肩こりについて
肩こりは普段の生活習慣によって起こることもあれば、病気が原因で肩が凝るといったこともあります。
- 1高血圧症
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血圧が高い人は、常に「交感神経」(こうかんしんけい:自律神経のひとつで、身体の動きが活発になるような役割を持つ)が優勢になるため、血管が収縮して、血流が悪くなりがちです。血行不良によって、肩こりを引き起こす場合があります。
- 2心臓の病気
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心臓になんらかの異常があり、痛みが生じると肩こりを感じることも。これは、「知覚神経」(ちかくしんけい:痛みなどを感じる神経)が同じ経路を通るため、心臓と肩の痛みが関連すると考えられています。
- 3骨や関節による病気
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「変形性関節症」(へんけいせいかんせつしょう:骨が変形してしまう病気)、「椎間板ヘルニア」(ついかんばんへるにあ:背骨の組織の一部が飛び出てしまう病気)など、骨や組織の一部が神経を圧迫することにより、しびれや痛みを感じることも。肩や首の他、腕、腰などにもしびれを伴うケースもあります。
肩こりを予防するには
正しい姿勢をキープ
猫背や巻き肩などの姿勢が悪い状態を見直し、正しい姿勢でいることが重要です。姿勢が正しいと背骨が綺麗なS字を描き、自身の体重を身体全体で支えられるようになります。首や肩付近の筋肉がリラックスでき、血行の改善が期待できるのです。
こまめなストレッチ、適度な運動

適度にストレッチや柔軟などを行うことにより、肩こりの原因となる筋肉の緊張をほぐすことが期待できます。
そのため、こまめに運動を行い、肩周りの筋肉を動かすことも大切です。
筋肉の緊張を和らげることは、血流改善、栄養や酸素の供給、筋力増強にも効果があり、肩こりの予防につながります。
長時間のパソコンやスマートフォンの操作を控える
デスクワークなど、長時間、同じ姿勢で画面を見続ける作業の際には、1時間に1回ほどの休憩をはさみましょう。また、パソコンやスマートフォンを見続けると、目周辺の筋肉が凝り固まるため、時々、目を休ませることも重要です。
日常での癖を見直すこと
カバンを同じ肩で持ち続けたり、足を組む際に同じ向きで組んだりするなど、日常的な癖も肩こりを引き起こす要因に。左右両方が均等になるように身体の筋肉を使うことで、筋肉の緊張を和らげ、肩こりの予防につながります。
ストレスをためない
ストレスのため過ぎは、身体に様々な病気を引き起こす原因です。そのため、定期的にストレス発散をし、充分な睡眠を心がけましょう。
身体を温める
肩こりには血行の悪さが大きく影響します。そのため、肩や首を温めることもおすすめです。肩、首を温めることで、血管が拡張し、血行が良くなるため、肩こりの予防効果が期待。また、エアコンなどで過度に体を冷やさないことや、湯船に浸かるだけでも、肩こりの予防につながります。
肩こりになったらどうすればいい?
肩こりにならないように、日頃から気を付けていても、肩に痛みやだるさを感じることがあります。万が一、肩こりになった場合、どのようにすれば良いかをまとめました。
日常でも体を動かすように意識する

肩こりは、筋肉が緊張したままの状態が原因です。そのため、肩をたたいたり、ストレッチを行ったりして、筋肉をほぐしましょう。
また、日常生活でも、肩や首の筋肉が動くように意識することも肝心。デスクワークが中心であれば、こまめに休憩をはさみ、簡単なストレッチをすることもおすすめです。
医療機関や接骨院、整体院などで診てもらう
肩こりがつらいときには、医療機関や接骨院、整体院などで診てもらうことも選択肢のひとつ。肩こりによる不快な圧迫感や痛み、しびれといった症状を和らげる効果が期待できるのです。
また、薬によって筋肉の凝りや張りをほぐす効能がある「処方せん医薬品」もあります。ただし、鎮痛剤などはあくまで「対症療法」(表面的な症状を緩和させ、苦痛を和らげる治療法のこと)であるため、普段の生活を見直していくことが大切です。