筋肉疲労の症状と予防|筋肉痛との違いや回復方法を解説
筋肉疲労は、長時間の運動や重い物の持ち上げなど、筋肉を疲れさせることで起こる現象です。この疲労は、筋肉がエネルギーを消費し、乳酸やその他の代謝物質が蓄積することで引き起こされます。筋肉疲労の症状は、筋肉の痛みや痙攣、動きの制限、筋力低下、疲労感など。「普段あまり動かしていない筋肉を使った」「同じ姿勢を続けている」などのときに、筋肉疲労を感じる高齢者の方も多いのではないでしょうか。これらの症状は、身体を動かすために必要な筋肉の働きを妨げるため、日常生活やスポーツにおいて、支障をきたす可能性があります。「筋肉疲労の症状と予防|筋肉痛との違いや回復方法を解説」では、筋肉疲労の基本事項、予防や対処法についてまとめました。
筋肉疲労の症状
ここでは、筋肉疲労の仕組みや原因を解説します。
筋肉疲労とは?

筋肉疲労とは、筋肉の使い過ぎによって筋肉が疲労した状態のことです。筋肉疲労が起きていると、筋肉を伸ばしたり、縮めたりすることができません。
そのため、体を動かすことでだるさを感じたり、引きつったような痛みが出たりなど、様々な症状を引き起こします。
筋肉痛と筋肉疲労の違い
筋肉痛と筋肉疲労は症状が似ていますが、大きな違いは筋肉に損傷があるかどうかです。筋肉痛はトレーニングや運動、スポーツなどで筋肉に負荷がかかり、筋肉の繊維が傷付くことで痛みが発生。
一方、筋肉疲労は、筋肉繊維に傷がないものの、筋肉を酷使し続けることで、動きがにぶくなったり、こわばりや痛みが生じたりします。
筋肉疲労が起こる原因
- 1日常生活での動作
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日常生活での動作が筋肉疲労の原因となることがあります。例えば、長時間、同じ姿勢を保ったり、階段を上り下りしたりすることなど。これらの動作は、特定の筋肉を過剰に使い続け、筋肉疲労を引き起こす原因になります。
- 2習慣的なトレーニング
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ジョギングやウォーキングなど身体を動かすことは、健康状態をキープする上で非常に重要です。しかし、高負荷の運動を頻繁に行うことで、筋肉の修復が間に合わないまま、疲労を持ち越してしまうことがあります。筋肉の使用と回復に必要な休息のバランスが乱れてしまえば、健康のためにやっていた習慣がむしろ悪影響を及ぼしてしまう場合もあるのです。
- 3長時間のデスクワーク
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同じ姿勢による長時間のデスクワークは、筋肉疲労につながりやすいと言えます。椅子に浅く座る、覗き込むように画面を見る、何時間も座りっぱなしで作業をしているということを繰り返していると、筋肉が緊張している状態から抜け出せずに、筋肉疲労が起こるのです。
- 4運動不足や筋力不足
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普段から運動をしていない人が急に体を動かしたり、高負荷な運動を行ったりした際に、筋肉疲労の症状を感じることがあります。普段の運動水準を超えて、対応できない強度の運動をしてしまうことも疲労筋肉の原因と言えます。
また、筋力不足の場合、同じ動作をしていても、筋肉が持久力を欠いているため、すぐに疲れてしまうのです。
筋肉疲労を予防するには
筋肉疲労を防ぐには、こまめな筋肉へのケアが重要です。回復を促す予防方法について詳しく解説します。
こまめなストレッチを行う
ストレッチや柔軟など、筋肉を伸ばしたりする運動は、筋肉疲労の予防に有効です。筋肉が伸びることで血行不良が解消され、酸素や栄養分が細胞に行き渡りやすくなります。これにより、筋肉の休息を早める効果が期待。また、肩こりや腰痛などの予防にもつながります。
身体を温める
身体を温めると血流が良くなるため、筋肉の疲労回復に効果的。毎日、肩までお風呂に浸かる、疲労を感じている筋肉を温めるなどで、血行が良くなり筋肉がほぐれます。また、お湯と水を順番に浴びることで血管が拡張と収縮を繰り返し、より血行が良くなることも。
ただし、患部に熱感や強い痛みがある場合は、まず患部を冷やし、熱や痛みが落ち着いてから温めることが肝心です。
しっかりと睡眠を取る

筋肉の疲労回復には、しっかり睡眠を取ることも重要。良質な睡眠では体内の生活リズムが整い、脳の情報の整理や筋肉の疲労回復など、様々な恩恵をもたらしてくれます。
また、睡眠を取ることで、自律神経の調整や、身体の疲労を回復してくれるホルモンの分泌がされます。
日頃から睡眠時間を十分に確保できていると、筋肉疲労の自覚症状がない部分の回復も見込まれ、症状を感じる前に、筋肉疲労の予防にもつながるのです。
バランス良く食事を摂る
栄養バランスの整った食事は身体の機能を向上させる効果があるとされています。例えば、身体の中では、食事で得られた栄養分を分解したり、新たなエネルギーに作り変えたりする「化学反応」を行って、生命活動に利用。
この化学反応には様々な栄養素が必要です。しかし、必要な栄養素が足りないと化学反応の過程が滞ってしまい、筋肉の疲労回復に影響を及ぼす可能性があります。
また、糖質の多い食事や濃い味付け、肉中心の食生活では、生活習慣病のリスクが高くなる傾向に。高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病では血液がドロドロになる、血管が硬くなるといった弊害が起き、血行が悪くなることで別の病気を引き起こす可能性もあります。
血行が悪くなると筋肉疲労にもなりやすくなりますので、可能な限りバランスの取れた食生活を送り続けるのが望ましいと言えるのです。
筋肉疲労になったらどうすれば良いか
日頃から気を付けていても、十分な疲れが取れず筋肉疲労になってしまう可能性はあります。ここでは、筋肉疲労になった場合、どのようにすれば良いかをまとめました。
安静にする
筋肉疲労を感じた際には、それ以上、筋肉を酷使しないように心がけましょう。すでに症状が起きているにもかかわらず、さらに筋肉を酷使し続けてしまうと、症状を悪化させるだけではなく、炎症を引き起こす可能性もあります。
痛みや熱感があるときには、氷のうや濡れタオルなどで冷やし、腫れが引くまで体を休めましょう。腫れがない場合でも、筋肉に負荷がかかるような動作は避け、安静にすることが大切です。
マッサージをする

マッサージは疲労回復を促進させる効果があります。
マッサージを行うと筋肉を伸び縮みさせ、血行不良を改善。血行改善によって、筋肉の疲労物質などを排出し、休養に必要な酸素や栄養分を運びやすくなるため、疲労回復につながります。
ただし、腫れや熱感がある場合、マッサージを行うことで痛みが出たり、炎症を悪化させたりする恐れがあるため、腫れや痛みが引いてからマッサージを行いましょう。
医療機関に行くことも検討
一般的に筋肉疲労は、十分な休養を取ることで改善が期待できます。しかし、様々な方法を試してみても症状が改善されない場合には、医療機関で診てもらうこともおすすめです。痛み止めや飲み薬によって、症状が改善する場合があります。
また、筋肉疲労とは別の大きな病気が隠れている可能性もありますので、長期間に亘って症状が改善されない場合には、受診すると良いでしょう。