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孤独死とは?現状や原因、対策方法などを解説

「孤独死」(こどくし)とは、誰にも看取られず、ひとりで亡くなることです。少子高齢化が進む日本では、今後も単身の高齢者、核家族化の増加が見込まれ、孤独死が問題視されています。しかし、孤独死は高齢者だけの問題ではありません。人と人とのつながりが希薄化しつつある現代において、孤独死は人生のあらゆる場面において、誰にでも起こり得る問題です。孤独死の現状や原因、対策、孤独死の場合の葬儀について解説します。

孤独死とは

孤独死とは、一人暮らしの人が誰にも看取られず、居室内で亡くなることです。孤独死と似た言葉に「孤立死」がありますが、以下のように概念が異なります。

  • 孤独:主観的概念、ひとりぼっちと感じる精神的な状態
  • 孤立:客観的概念、社会とのつながりのない(少ない)状態

亡くなったときにひとりであっても、家族や地域、社会とのつながりがある場合は孤独死とされます。これに対し、孤立死は、他人との交流がない(あるいは少ない)人が亡くなることです。

孤独死の現状

孤独死の現状として、「日本少額短期保険協会」が2022年(令和4年)11月に発表した「第7回孤独死現状レポート」による結果をまとめました。

男女比と平均年齢

孤独死の現状

孤独死者の男女比は、おおよそ8:2と、男性に多い傾向にあります。死亡時の平均年齢は62歳で、ほとんど男女差は見られません。また、我が国の平均年齢である84.36歳に達する前に、孤独死を迎えているのが現状です。

さらに、65歳未満の割合が49.4%と、約半数を占めていることにも注意しなければなりません。「孤独死は高齢者問題のひとつ」とは言い切れない現状を示唆する結果となっています。

男女比と平均年齢
項目 男性 女性 合計
孤独
死者数
5,600人 1,127人 6,767人
構成比 83.2% 16.9% 100%
死亡時の平均年齢 62.1歳 61.2歳 61.9歳
65歳未満者の割合 49.2% 49.8% 49.4%
平均
寿命
81.64歳 87.74歳 84.36歳

(参考「孤独死者の男女比と年齢|第7回孤独死現状レポート」)

男女別死亡年齢の構成比

男女別死亡年齢の構成比は、孤独死全体の40%が現役世代。孤独死は高齢者だけの問題ではなく、全世代にわたる大きな問題であることが伺えます。

男女別死亡年齢の構成比
年齢 男性 割合 女性 割合 合計
20~29歳 243人 4.4% 88人 7.9% 5.0%
~39歳 377人 6.8% 99人 8.9% 7.2%
~49歳 562人 10.2% 126人 11.4% 10.4%
~59歳 985人 17.8% 167人 15.1% 17.4%
現役世代
小計
2,167人 39.2% 480人 43.3% 40.0%
~69歳 1,706人 30.9% 221人 20.0% 29.1%
~79歳 1,158人 21.0% 245人 22.1% 21.2%
80歳~ 491人 8.9% 161人 14.5% 9.7%
合計 5,522人 100% 1,107人 100% 100%

(参考:「孤独死者の男女比と年齢|第7回孤独死現状レポート」)

死亡推定日から発見までの日数

孤独死発生から発見までの平均日数は、18日。しかし、実際は4割が3日以内に発見されています。特に、女性は約半数が3日以内の発見につながっている一方で、男性は8.4%少ないのが現状です。

孤独死発生から発見までの日数
全体 男性 女性
3日
以内
41.2% 39.7% 48.1%
4~14日 27.9% 28.3% 25.7%
15~29日 14.0% 14.6% 11.4%
30~89日 14.1% 14.7% 11.6%
90日
以上
2.8% 2.8% 3.1%
平均
日数
18日 18日 16日

(参考:「発見までの日数|第7回孤独死現状レポート」)

発見者の構成

孤独死の発見者は、親族や友人、いわゆる「近親者」が全体の約4割に過ぎません。職業上の関係者による発見が約5割と、親族など近親者とのつながりが希薄になっていることが示唆されます。

第一発見者の構成
発見者 人数 割合 属性
親族 1,251人 25.5% 近親者
(39.4%)
友人 681人 13.9%
管理 1,281人 26.1% 職業上の
関係者
(49.6%)
福祉 721人 14.7%
警察 431人 8.8%
他人 541人 11.0% 他人
(11.0%)
合計 4,906人 100%

(参考:「第一発見者の構成|第7回孤独死現状レポート」)

孤独死の原因

国土交通省の調べによれば、孤独死の原因として一番多いのは「病死」、次いで「自殺」です。自殺率が高い傾向にあるのは、男性より女性。特に、20代女性が孤独死の自殺者のうち約4割と高い傾向にあります。

孤独死になりやすい人の特徴

孤独死になりやすい人の特徴

孤独死になりやすい人の特徴は、以下の通りです。

  • 一人暮らしの単身者
  • 持病がある
  • 健康管理ができていない
  • 経済的な余裕がない
  • 社会的に孤立している
  • 男性である

日本少額短期保険協会が公表した第7回孤独死現状レポートの結果において、女性に比べて男性は孤独死のリスクが高い傾向にありました。死因の多くを占めるのは「病死」です。持病があるにもかかわらず、健康管理ができていないと、孤独死のリスクが高くなる可能性があります。また、経済的に余裕がなければ、日々の食事管理も困難となり、病気になっても病院に行かず、放置してしまうケースは少なくありません。

孤独死が周囲へ与える問題

孤独死が周囲へ与える問題として考えられるのは、遺された家族や職場など関係者に対する、①「精神的問題」、②「経済的問題」、③「時間的問題」の3つです。それぞれ見ていきましょう。

1精神的問題
親族や関係者が孤独死すると、遺族、周囲の人達に大きな精神的ダメージを与えます。なかには、「なんとか防ぐことはできなかったのか」、「もっと連絡を取っていればよかった」などと、自分を責めてしまう場合も。また、葬儀や警察とのやりとり、遺品整理などによって疲弊することが考えられます。
2経済的問題

孤独死した場合、事後処理にかかる費用が必要です。遺族にかかる経済的な負担は、主に以下のようなものがあります。

  • 葬儀費用
  • 葬儀にまつわる費用(宿泊費や食事代など)
  • 警察に関する費用
  • 特殊清掃の費用
  • 遺品整理にまつわる費用

発見まで日数が経過していると、体液による汚れやにおいが壁や床などに付着。賃貸物件では、原状回復のために特殊清掃を行わなければなりません。想定以上に費用がかさみ、精神的な負担にもつながる可能性があります。

3時間的問題
孤独死の事後処理は、様々な手続きや手配が必要です。普段、家族や親族と連絡を取り合っていない間柄では、遠方に住んでいるケースも考えられます。手続きのために何度も足を運ばなければならず、時間的な負担だけでなく、身体的負担も大きくなりがちです。

孤独死の対策方法

孤独死の対策方法は、高齢者のみを対象範囲とせず、65歳未満にも目を向けなければなりません。ここでは、孤独死を未然に防ぐための対策方法について紹介します。

見守りサービスの活用

孤独死の対策と方法

見守りサービスを活用すると、万が一、病気や事故で倒れていた場合でも、すぐに気付いてもらいやすくなります。主なサービスの種類は、以下の6つです。

  • 訪問型:スタッフが定期的に訪問
  • カメラ型:利用者の自宅にカメラを設置
  • センサー型:利用者の自宅にセンサーを設置
  • 緊急時通報型:本人が身体の異変を感じたときに通報
  • 会話型:利用者と電話で会話
  • 宅配型:食事を配達する際に安否確認

市区町村での見守りの取り組みを把握

消費者安全法に基づき、地方公共団体は「地域協議会」(見守りネットワーク)を設置できることが規定されました。2023年(令和5年)9月末日時点での設置自治体数は469です。住んでいる自治体によって、見守りの取り組み内容は異なるため、事前に把握しておくことが大切だと言えます。

以下は、東京都足立区における見守りの取り組みです。

  • 緊急時に備えた支援(高齢者火災安全システム)
  • 地域で見守り支援(孤立ゼロプロジェクト)
  • おでかけサービス(マッサージ、鍼の無料施術)

ボランティアやコミュニティなど地域の活動に参加する

人とのつながりを保つ上で、ボランティアやコミュニティなど地域の活動への参加は有効な手段のひとつです。また、趣味のサークルなどに参加すれば、自分らしさを感じられ、生きがいにもつながり、孤独、孤立感を和らげる効果が期待できます。

老人ホーム、介護施設の利用

親族が高齢者の場合、老人ホームや介護施設の利用を検討するのも有効な方法です。介護の必要がない高齢者でも入居可能な施設があり、スタッフが常駐しているため、なにかあってもすぐに対応してもらえます。看護師が常駐している施設では、医療ケアを受けることも可能です。

孤独死における葬儀について

孤独死における葬儀

孤独死の場合、葬儀は遺族がいるか否かで異なります。万が一、孤独死してしまったときに備え、以下の流れを把握しておくことは大切です。

  • 遺体を発見したら生死を確認する
  • 確認できない場合、119番で救急車を呼ぶ
  • 明らかに亡くなっている場合、110番で警察を呼ぶ

救急車を呼んだ場合、救急隊員は生死の確認、警察への連絡や病院への搬送を行います。警察が行うのは、事件性を確認するための現場検証。検死、身元確認ののち、遺族への遺体引渡しとなります。

遺族がいる場合の葬儀の流れ

遺族がいる場合、指定場所で死体検案書とともに遺体を引き取り、火葬する流れが一般的です。法律上、遺体の移動はできません。日数が経過しているため、現地で火葬し、葬儀となります。葬儀そのものは、孤独死以外の場合と同じです。

遺族がいない場合の葬儀の流れ

孤独死をした場合、警察が連絡するのは6親等まで。それでも遺族がいない、引き取り手のない場合は、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」(こうりょびょうにんおよびこうりょしぼうにんとりあつかいほう)という法律によって、葬儀は自治体が負担することが定められています。

火葬後、遺骨を引き取る人がいなければ、自治体が一定の期間(約5年)、遺骨と遺品を保管し、「無縁仏」(むえんぼとけ:葬式や供養をする親族や縁者がいない故人のこと)として「無縁塚」(むえんづか:弔う縁者のいない故人のための墓のこと)に埋葬。かかった費用は自治体が一旦負担し、法定相続人や扶養義務者に請求されます。

まとめ

孤独死は、高齢化社会において大きな問題となっています。孤独死した方の平均年齢は60代で、そこまで高齢というわけでもありません。健康管理ができていなかったり、経済的な余裕がなかったりと、孤独死の原因は様々。両親と離れた場所に住んでいる方は、孤独死を未然に防げるよう、あらかじめ対策を練っておくことが大切です。

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