豊かな老後生活を送るための高齢者の家計見直し4ポイント
高齢者にとって「家計の見直し」は、豊かな老後生活を送るために重要です。老後に必要な生活費は家族構成、ライフスタイルによって異なります。年を重ねると予期せぬケガ、病気などで医療費が増えるケースも少なくありません。老後も安心して生活するためには、収入と支出のバランスを考えることが大切です。老後の生活に必要となる費用を把握するために、高齢者世帯の平均支出額、生活費の目安、家計の見直しポイントだけでなく、資産活用のひとつである「リースバッグ」についても解説します。
高齢者世帯の平均支出額
高齢者夫婦の平均支出額
総務省の家計調査年報2022年(令和4年)によると、65歳以上で無職の夫婦世帯の月平均支出額は消費支出、非消費支出を合わせて268,508円でした。これをひとりあたりに換算すると、134,254円となります。
高齢者夫婦の平均支出額 | |
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消費支出 | 236,696円 |
非消費支出 (税金・社会保険料) |
31,812円 |
合計 | 268,508円 |
単身の平均支出額
一方で、総務省の家計調査年報2022年(令和4年)によると、65歳以上(無職)単身世帯の月平均支出額は、以下の通りになります。
高齢単身者の平均支出額 | |
---|---|
消費支出 | 143,139円 |
非消費支出 (税金・社会保険料) |
12,356円 |
合計 | 155,495円 |
夫婦世帯と比べて単身世帯では、ひとりあたり21,241円も多い結果となっています。
高齢者世帯の生活費の目安
老後必要となる生活費は、ライフスタイルによって異なります。総務省の家計調査年報2022年(令和4年)から導き出された、65歳以上(無職)夫婦世帯における1ヵ月の生活費の内訳は、以下の通りです。
1ヵ月における生活費の内訳(夫婦世帯) | |
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食費 | 67,776円 |
住居費 | 15,578円 |
光熱・水道費 | 22,611円 |
家具・家事用品費 | 10,371円 |
被服及び履物費 | 5,003円 |
保健医療費 | 15,681円 |
交通・通信費 | 28,878円 |
教養娯楽費 | 21,365円 |
その他の消費支出 |
49,430円
|
一方、65歳以上の単身世帯における1ヵ月あたりの生活費の内訳は、以下の通りとなっています。
1ヵ月における生活費の内訳(単身世帯) | |
---|---|
食費 | 37,485円 |
住居費 | 12,746円 |
光熱・水道費 | 14,704円 |
家具・家事用品費 | 5,956円 |
被服及び履物費 | 3,150円 |
保健医療費 | 8,128円 |
交通・通信費 | 14,625円 |
教養娯楽費 | 14,473円 |
その他の消費支出 |
31,872円
|
夫婦・単身世帯ともに、生活費の上位を占めるのは「食費」と「その他の消費支出」。その他の消費支出の中でも、特に「交際費」の割合が高い傾向にあるのです。また、単身世帯では「光熱・水道費」が高く、これは一人暮らしで外出の機会が減るために、在宅時間が増えて費用がかさむものと想定されます。
さらに、単身でも夫婦世帯でも、ひとりあたりにかかる負担が大きく異なるのが「住居費」。持ち家では住宅ローンの返済、リフォームが必要となるケースが考えられ、賃貸であれば賃料の支払いが存在。そのため老後の生活費のうち、住居費の減額については見直すべき大きなポイントになるのです。
高齢者世帯でもできる家計の見直しポイント

高齢者世帯でもできる家計の見直しポイントは、①「固定費を見直す」、②「食費や交際費などを抑える」、③「車の処分を検討する」、④「無駄な買い物をしない」の4点が挙げられます。
- 1固定費を見直す
-
少しの工夫で、大きな節減効果が期待できるのは、毎月決まって出ていく固定費の見直し。具体的な費目と見直し方法を以下にまとめてみました。
固定費の見直し方法 費目 見直し方法 保険費 - 保障、特約をシンプルなものへ
- 医療保険の解約を検討
- 子どもが独立したら死亡保障を減らす
通信費 - 携帯電話の料金プランを変更
- 格安SIMへ乗り換え
- 固定電話の使用頻度が低ければ解約を検討
居住費 賃貸の場合
- 家賃の安い物件へ住み替え
- 公営住宅へ住み替え
- 高齢者向け優良賃貸住宅に住み替え
持ち家の場合
- 住宅ローンの借り換えを検討
- リースバックを検討
その他、
趣味費など- 民間の習い事の費用を見直す
- 公的機関の習い事を利用する
- 2食費、交際費などを抑える
-
生活する上で食費は必要不可欠ですが、高齢者で特に注意したいのが「食品ロス」です。若いときに比べ、食事摂取量が減っているにもかかわらず、同じ分量で食材を買ったり、すでにある物を買い足してしまったりするケースがよくあります。買い物リストを作って、重複を防いだりするのが効果的です。
また、支出で大きな割合を占める交際費も抑えることができます。年齢を重ねても、気心の知れた友人との交流は大切。とはいえ、定年後は時間に余裕があるため、頻繁に出かけたりすると、出費がかさむことになります。会う回数を減らしたり、なるべく費用がかからない場所へ出かけたりするなど、支出を抑えていきましょう。
- 3車の処分を検討する
-
家計の見直しにおいて非常に大きな課題が、車の処分です。車を保有していると税金、保険料、ガソリン代、駐車場代などの維持費が発生し、大きな出費につながります。
しかし、住んでいる地域によっては、車を手放すことで移動手段がなくなり、通院や買い物など日常生活に支障をきたす場合も少なくありません。そのため自治体によっては、高齢者向けの外出支援の取り組み、バス回数券購入費の助成などを行っているところもあります。
車を処分する際は、のちの交通手段が確保できるか、交通費が負担にならないかなど総合的な判断をしてから行いましょう。
- 4無駄な買い物をしない
-
無駄な買い物をしないようにするのも、家計の見直しポイント。避けるためには、以下のことを心掛けていきましょう。
- 外出する際、財布に買い物に必要な金額以上入れない
- 週に3回など、買い物に行く回数を決める
- 買い物リストを作り、買い過ぎを防ぐ
- 買う前には「本当に必要か」、「似たような物を持っていないか」を検討する
- 買いだめをしない
- 宅配サービスを利用して、1ヵ月に使用する金額を決めておく
自宅を資産活用する「リースバック」
老後における資金の不安を一挙に解消する方法として、家計の見直し以外に「リースバック」を活用するのも手段のひとつです。リースバックとは、自宅をリースバック会社へ売却したのち、月々リース料を支払いながら、自宅に住み続けられる資産活用です。なお、売却した自宅を再度購入することも可能です。リースバックでは売却代金を一時金として受け取れるため、まとまった資金を調達して老後資金の補填、住宅ローンの返済資金、老人ホームの入居金など目的を問わず活用できます。
ただし、手続きがやや煩雑で、契約内容についての理解が不十分なまま契約締結されるなどのトラブルも発生していることから、情報収集をしっかり行った上でリースバックの活用をしましょう。
まとめ
豊かな老後生活を送るために必要なのは、まず高齢者世帯の平均的な月の生活費と内訳を知ることです。生活費の平均額を知れば、自身の支出における問題点、改善点などが見つかります。
固定費、食費、光熱費など、節減のための見直しポイントにはいくつかありますが、生活の質は急には下げにくいもの。どうしても生活の質を下げずに、まとまった老後資金が必要ならば、自宅を活用したリースバックを利用するのもひとつの方法です。