居宅介護サービスとは?サービスの種類や費用を解説
「居宅介護サービス」とは、介護保険制度を利用した自宅で受けられる介護サービスを指します。日常生活を送る上で必要な料理、掃除、洗濯、入浴といった補助、排泄やベッドからの移動などのサポートを提供。自宅で暮らしながらも安心して受けられる介護サービスにはどんなものがあるのか、居宅介護サービスの種類や費用について解説していきます。
居宅介護サービスとは

介護保険制度による介護サービスのうち、自宅で行われるものが居宅介護サービスです。
ベッドから起き上がる、部屋を歩くなどの補助から、料理、入浴、排泄、おむつ交換、買い物、掃除、洗濯まで、あらゆるサポートが行われるため、これまでの生活レベルの低下を防ぐことができるでしょう。
基本的に自宅へ専門スタッフが訪問しますが「住宅型有料老人ホーム」、「サービス付き高齢向け住宅」でも、居宅介護サービスは行われています。
居宅介護サービスの利用料金
居宅介護サービスの利用料金は、介護保険の給付と自己負担で賄われます。例えば、居宅介護サービスの利用金額が10,000円だった場合、自己負担額は負担割合に応じて1,000~3,000円となるのです。
介護保険の支給限度額
介護保険には、支給限度額が存在します。支給限度額は、要介護度に合わせて決められており、事前に把握しておくことが大切です。要介護度ごとの支給限度額については、以下のようになっています。
要介護度 | 介護保険の支給限度額 (1ヵ月あたり) |
---|---|
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
支給限度額内で発生した居宅介護サービスにおいては、一部の自己負担分のみで利用可能。支給限度額を超えた場合には、超過分が自己負担となるのです。
居宅介護サービスの種類
居宅介護サービスには様々な種類があり、具体的な内容、利用時間などが分からず、どれを選んで良いか悩んでいる人もいるかもしれません。居宅介護サービスは、大きく「訪問サービス」、「通所サービス」、「短期入所サービス」、「その他のサービス」の4つに分類されます。
- 1訪問サービス
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訪問サービスは、自宅へ専門スタッフが訪問し、日常生活をサポートします。訪問サービスの最大のメリットは、すべての介護サービスが自宅で受けられることです。住み慣れている家なので利用者も安心できることや、施設への移動といった負担がありません。
なお、訪問サービスには「訪問介護」(ホームヘルプ)、「訪問入浴介護」、「訪問看護」、「訪問リハビリテーション」、「居宅療養管理指導」、「特定施設入居者生活介護」が含まれます。
訪問介護(ホームヘルプ)
訪問介護は、介護士やホームヘルパーなどの資格をもつ医療スタッフが、自宅へ訪問して介護サービスを提供。料理、洗濯、掃除などの家事全般から買い出しまで行います。また、排泄や着替えの介助なども対応します。日常生活を送る上での最低限必要な援助は、ほぼすべて受けられると考えて良いでしょう。以下は、訪問介護で受けられるサービス内容です。
身体介護 安否確認、健康チェック、排泄介助、
食事介助、入浴介助、更衣介助、
体位変換、外出介助、服薬介助など生活援助 掃除、洗濯、ベッドメイク、料理、
整理整頓、買い物、薬の受け取りなど訪問入浴介護
訪問入浴介護は、自宅での入浴が難しい方に適している介護サービス。医療スタッフが入浴設備を持つ専用の自動車で自宅へ訪問し、利用者の入浴を介助します。そのため、比較的介護度が高い人に適している介護サービスと言えるのです。
訪問看護
訪問看護は看護師によって、療養上必要な看護、医療行為が自宅で受けられる介護サービス。入浴介助、食事介助、排泄介助にも対応している他、健康診断や医師の指示による処置なども行われます。
訪問リハビリテーション
訪問介護リハビリテーションは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーションにおける専門知識を持つスタッフが自宅を訪問し、日常生活における動作や自立能力を養うリハビリテーションを実施。食べ物をしっかりと飲みこめる練習をする「嚥下[えんげ]訓練」、言葉を上手く話すための「言語訓練」にも対応しています。その他、福祉用具の活用方法、自宅におけるバリアフリーへの改修についても、相談を受け付けているのです。
居宅療養管理指導
居宅療養管理指導は通院が難しい場合、医師や薬剤師、管理栄養士などが自宅を訪問し、診察、及び指導を行う介護サービス。医学的な管理、薬学的管理を継続的に受けられるのです。また、管理栄養士によって、利用者の嚥下状態に応じた食事相談、献立の作成、情報提供なども行っています。
特定施設入居者生活介護
特定施設入居者生活介護は、高齢者施設へ入居し介護が必要な人を対象に行われる介護サービス。療養上の世話や機能訓練、日常生活上のサポートを行います。介護サービスの形態は「一般型」と「外部サービス利用型」に分けられ、一般型は施設に勤務するスタッフによって提供。外部サービス型は、外部スタッフによる訪問サービスを施設内で提供する形態です。要介護1以上の介護認定を受けた人が対象となります。
- 2通所サービス
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通所サービスは、利用者が可能な限り自立した日常生活を営めるよう、日帰りで施設へ行き、入浴、食事などの介助、リハビリテーション、レクリエーションを行います。訪問サービスとは異なり、多くの人達と触れ合う機会が増えるので、孤立・孤独といった状態が起こりにくくなります。また、利用者の家族も自由な時間が取れ、介護における負担を軽減することも可能になるのです。
通所サービスには「通所介護」(デイサービス)、「通所リハビリテーション」(デイケア)、「短期入所サービス」、「短期入所生活介護」(ショートステイ)、「短期入所療養介護」(ショートステイ)が含まれます。
通所介護(デイサービス)
通所介護は日常生活の介助を行いつつ、レクリエーションなどで生きがいや、楽しみなどを感じてもらうことを目的とする介護サービスです。そのため、日常生活に対する介助を中心に行われます。基本的には施設スタッフが自宅から施設まで送迎し、日帰りで介護サービスを提供。希望すれば、そのまま宿泊することも可能です。
通所リハビリテーション(デイケア)
通所リハビリテーションは、専用スタッフが常駐している施設へ通い、医師の指示のもと本格的なリハビリを中心に行い、日常生活のレベルの維持と向上を図る介護サービス。自宅から施設までスタッフが送迎し、日帰りでサービスを提供してもらえる点はデイサービスと似ていますが、機能の維持などのリハビリテーションがメインとなる点が異なります。
- 3短期入所サービス
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短期入所サービスは老人ホームなどの高齢者施設へ短期的に入所して、日常生活における介護、及び医療的ケアが受けられる介護サービスです。短期間泊まりながら介護サービスを受けられるので、家族の介護負担の軽減やリフレッシュなどを目的として利用されることもあります。
短期入所生活介護(ショートステイ)
短期入所生活介護は、老人ホームなどの高齢者施設へ短期間泊まりながら日常的な介助が受けられる介護サービス。将来的な高齢者施設への体験入所としても利用されます。
短期入所療養介護(ショートステイ)
短期入所療養介護は、短期入所生活介護で受けられるサービスに加え、病気に対し必要な治療やリハビリテーションなどが受けられる介護サービス。そのため、医師が常駐する施設で行われます。
- 4その他のサービス
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介護保険制度を利用する人は、日常生活でしばしば不便を強いられるケースも存在。そういった際には「福祉用具」を使用するのも良いでしょう。福祉用具とは、自立した日常生活を営めるよう補助する器具を指し、レンタルと購入には介護保険制度が適応されます。また、バリアフリーなど自宅を改修した場合も、改修費に介護保険制度が利用できるのです。
福祉用具貸与
「福祉用具貸与」は、適切な福祉用具を借りることが可能な介護サービス。日常生活の便宜を図り、利用者、及び家族の介護に関連する負担の軽減を目的としています。指定を受けた事業者が利用者の生活環境や病気の現状などを調査したのち、生活をサポートする福祉用具を貸与します。
特定福祉用具販売
「特定福祉用具販売」は福祉用具貸与と同様、日常生活での利便性を向上させ、利用者や家族の負担軽減を目的としている介護サービス。福祉用具は基本的にレンタルですが、再利用しにくい便座、浴槽、移動用リフトの際のつり革などは、購入する必要があります。
住宅改修費の支給
「住宅改修費の支給」は自立した日常生活を送る目的のもと、自宅の改修を行った際に費用の一部を負担してくれる介護保険制度。改修する内容については審査が必要ですが、修繕費の8~9割を負担。
具体例としては、「手すりの取り付け」、「段差の解消」、「床滑り防止、及び移動円滑化等のための床や通路の材料の変更」、「便座の交換」、「扉の交換」などです。それ以外にも日常生活での不便を解消できる項目においては、住宅改修費の支給の対象となります。