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まだら認知症とは?特徴や初期症状、進行について解説

高齢者に多い認知症の中でも、「まだら認知症」は、行動の内容や時間帯によって症状がまだらに出る認知症です。一般的に認知症は、判断力、記憶力の低下、場所や時間が分からなくなる見当識障害など、生活において様々な障害を引き起こします。しかし、まだら認知症は、他の認知症と異なり、症状に偏りがあるため、周りから気づかれにくく、病状が進行しやすいという特徴があるのです。「まだら認知症とは?特徴や初期症状、進行について解説」では、まだら認知症の特徴、初期症状、接し方についてまとめました。

まだら認知症とは

まだら認知症は症状にムラがある

まだら認知症は、「脳血管性認知症」のひとつです。まだら認知症は、時間帯において症状が軽くなったりひどくなったりすると言われています。

一般に認知症と呼ばれる病気では、判断力、記憶力、認識力が症状の進行とともにゆっくりと低下。これに対し、まだら認知症では、脳機能の低下に偏りが見られることが特徴です。

まだら認知症では、血管障害が起こる部分によって症状は異なります。そのため、脳内で出血を起こした、あるいは血管が詰まるなどして細胞がダメージを受けた部位によっては、認知症の症状が、全般的に現れるか、一部分だけが現れるかなど、差が出るのです。

まだら認知症の症状

まだら認知症は、出現する症状に偏りがあることが特徴です。損傷部位によって違いがあるため、運動機能が低下するのか、記憶力、判断力が低下するのかなど、症状も様々。ここでは、まだら認知症で起こる症状について、解説していきます。

頭痛、めまい、手足のしびれ

脳血管障害では、脳細胞の損傷部位によって、頭痛、めまい、手足のしびれなどが起こることがあります。脳は体をコントロールするため、様々な機能が集約されている器官だからです。

これらの症状が出るのは、脳の神経が障害されることにより、平衡感覚に問題が起きていることが原因。また、しびれ以外にも、力が入りづらくなる、麻痺が出ることもあります。脳の出血部位、梗塞部位によっては頭痛などの痛みを伴う可能性もあるのです。

記憶力の低下

脳の前頭葉で脳血管障害が起きると、記憶力に影響が出てきます。ただし、「アルツハイマー型認知症」、「レビー小体型認知症」(れびーしょうたいがたにんちしょう:レビー小体と呼ばれるタンパク質が脳内に溜まり、脳が障害を受ける病気)と比べ、まだら認知症は認識力や見当識、理解力などにおいて、障害が少ない傾向です。

記憶力の低下はあっても、その他のことはしっかりしているため、「加齢による物忘れ」と間違えられやすいこともあります。

タイミングによってできたりできなかったりする

まだら認知症は、季節の変化、時間帯の変化によって、症状の度合いが変化することが特徴です。具体的には、「昨日はできていたことが今日はできなくなってしまった」、「夜になるにつれて意欲が低下してきた」、「寝不足やストレスが重なると歩行に支障が出る」などといった症状が出現。これらの症状は、脳血管障害の性質上、脳内の血流が影響していると考えられています。

まだら認知症の原因

脳血管トラブルや体調不良も

まだら認知症では、脳血管障害が原因によって引き起こされると言われており、脳の損傷部位、損傷程度によって、現れる症状は様々です。ここでは、まだら認知症が起こる原因について解説しましょう。

1脳のダメージ

脳血管障害のひとつとして、「脳出血」が考えられます。脳出血は、脳内の血管が高血圧や動脈硬化によって破れてしまい、出血する状態です。脳内で出血した血液が「血腫」(けっしゅ:血のかたまり)になり、脳の細胞を圧迫。そして、時間の経過とともに、むくみが起き、さらに脳内を圧迫して障害を引き起こすのです。

また、「脳梗塞」も原因として挙げられます。脳梗塞は、動脈硬化や血液がドロドロしていることが影響して血栓ができ、脳内で血管を詰まらせ、脳細胞への酸素や栄養分の供給を阻害。それによって、機能低下を起こします。いずれの症状においても、脳へのダメージは大きく、認知症、運動機能の低下など、生活状況において重大な障害をもたらすのです。

2血流の変化

脳内の血流によって、脳への栄養が正しく供給されないことが原因で、まだら認知症を引き起こす場合があります。特に高齢者では、脳内の血管が破れる、血管が詰まるといった症状が起こりやすい傾向です。なお、まだら認知症は、血流の変化によって症状にムラが出ると言われています。食後の血圧変動、起床時、就寝時、汗をかいたときなど、血圧はその状況によって絶えず変動。これにより、脳内への血液の流れにも影響を及ぼし、症状を悪化させることがあるのです。

3自律神経の乱れ

認知症では、自律神経が正しく機能していないことがあります。脳は体のあらゆる事象をコントロールする重要な器官です。まだら認知症を含め、アルツハイマー型認知症などで脳の機能が低下することによって、コントロール機能が低下。血圧の乱れ、意欲の低下などが見られます。さらに、自律神経の乱れにより、認知症の症状が悪化することも。自律神経は、早朝、または夕方から夜にかけて入れ替わるため、この時間帯に症状がばらつくことがあります。

4体調不良

まだら認知症は、体調の変化が原因となる場合も。水分摂取量が少ない、気候の変動で汗をかいて体内の水分が減少しているなどの状況では、脳内の血流量に変化が出るため、まだら認知症の症状が現れることもあります。その他、ストレス、睡眠不足、疲れによっては自律神経にも影響することから、症状が悪化する場合もあるのです。

まだら認知症の進行

段階的に症状が進行

まだら認知症は、症状が段階的に進行するのが特徴です。症状が少しずつ進行していくアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などの認知症とは異なります。

まだら認知症では、脳血管障害が起きるごとに、症状も進行する性質があるため、昨日まではできていたことが、今日はできなくなってしまうなどといった症状が見られることもあるのです。

まだら認知症を予防する方法

まだら認知症の主な予防方法について解説しましょう。

1高血圧の改善

高血圧は放置しておくと脳出血、動脈硬化、動脈瘤などの大きな病気へと発展する可能性があります。血圧が高いと分かった段階で、必要な対処をしましょう。血圧を下げる薬を服用することで数値の改善も期待できますが、生活習慣の見直しも大切です。塩分を控え、濃い味の食事を減らし、適度な運動を心掛けましょう。

2適度な運動
まだら認知症の予防方法

適度な運動とは、息がはずみ、軽く汗をかく程度の運動を週に1時間ほど行えば良いとされている運動のことです。「運動強度」(うんどうきょうど:運動による負荷、きつさなど)は高くありません。

20分程度の散歩を週に3回、または1時間の運動を週末に行うだけでも、十分な効果が得られます。長距離のマラソン、サイクリングなどは有酸素運動として効果が期待できますが、過度な運動は体を壊してしまうことも。毎週欠かさずに続けることが大切です。

3体調の変化を観察・記録する

アルツハイマー型認知症などと比べ、まだら認知症は加齢による物忘れと似ていることから、気づきにくい特徴があります。そのため、体調の変化などを記録しておくのが良いでしょう。日々の体調においても、どのタイミングで症状がひどくなるのかが分かりやすくなります。

水分量が少ないときに症状がひどくなるのであれば、水分摂取が有効。血圧の変化が症状に関連するのであれば、食後など血圧が変動するタイミングでは無理をしないなど、対処がしやすくなります。

まだら認知症の人との接し方

まだら認知症の人との接し方

まだら認知症をはじめとした認知症を発症している人は、外からの情報において困惑しやすい性質を持っています。認知症であることについても、本人が一番不安に陥っている場合があるため、十分な理解が大切です。

ここでは、まだら認知症の人とどのように接すれば良い関係性を保てるのかについて、ご紹介します。

医療機関を受診する

まだら認知症の症状が出た場合、脳に何らかのトラブルが生じている可能性があります。放置すれば、症状が悪化する可能性も高く、場合によっては死に至ることも。そのため、早めに病院に受診し、脳内がどのような状態なのかをしっかりと見てもらう必要があります。

また、高齢者での脳血管障害は、無症状で進行するケースもあるため、症状が進んでいない場合でも、定期的な検査を怠らないようにしましょう。

コミュニケーションを欠かさない

まだら認知症の人は環境の変化などに過敏に反応しやすい傾向です。状況に戸惑いやすく、自信をなくす、不安が溜まっているなどの可能性も考えられます。認知症の人とは常にコミュニケーションを絶やさないようにしましょう。声を掛けたり、コミュニケーションを取ったりすることで、安心感が芽生え、本人も落ち着いて過ごせるようになります。

介護する側の協力的な姿勢、頼れる存在であることが、まだら認知症患者にとって、心の支えになるのです。

症状に波があることを理解する

まだら認知症は、日によって症状の有無も異なります。具体的には、昨日できていたことが今日はできない、など。このことを知らないと介護する側は困惑し、本人に当たってしまうこともあります。

まだら認知症の症状について理解を深め、本人のペースに合わせながらじっくりと関係性を保っていきましょう。

まとめ

まだら認知症では、脳血管障害が大きくかかわっており、血管トラブルが起きている部位によって起きる症状も様々。損傷部位によっては認知機能だけではなく、言語機能、身体機能においても何らかの症状を引き起こす可能性も十分に考えられます。

また、血液の流れや体液量によって症状にムラがあることも特徴。昨日までできていたことが急にできなくなってしまうこともあります。日によって症状が異なるため、本人の言動などを注意深く観察し、症状がひどくなるタイミングで必要な対応を取ることが肝心。家族や近しい人が認知症に対して十分な理解を持ち、本人のペースに合わせてじっくりと接していくことで良好な関係性が保てるようになります。

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