ミドルステイとは?料金やショートステイとの違いを解説
在宅で介護をする人が、長期入院や、長期出張などで家を空けることになった場合、介護を受ける人は在宅介護を継続できずに困ってしまう方が多いのではないでしょうか。ショートステイを利用したいと思っても、滞在期間が最大1ヵ月のため、利用できない場合もあります。そこで、より長期間の入居を必要とする人に向けたサービスがミドルステイです。ミドルステイの特徴、利用方法、費用の相場、ショートステイとの違いを解説します。
ミドルステイって何?

ミドルステイとは、最長1ヵ月の滞在期間「ショートステイ」よりも長く、1~3ヵ月程度の期間、連続して施設に入居するサービスのことです。
ただし、介護保険サービスのなかにミドルステイは存在せず、定義が曖昧な部分があります。ここでは、ミドルステイの特徴について詳しくご紹介しましょう。
ミドルステイの特徴
ミドルステイを実施している場所は、自治体、有料老人ホームなどです。自治体では、ミドルステイを利用する際に、制限を設けていることがあります。例えば、介護をする人が病気になったり、やむを得ない事情がある場合にしか、ミドルステイの利用ができないなど。
また、自治体のなかには、ミドルステイを実施していない場合や、利用できる対象者を障害者しか認めていない場合もあるため、利用時には居住する自治体での確認が必要です。
有料老人ホームのミドルステイでは、1ヵ月以上の滞在期間になると、介護サービスの部分が介護保険を適用できるようになる点がショートステイとは異なります。通常、ショートステイでは介護保険が適用されず、介護サービス部分は全額自己負担しなくてはなりません。
そのため、1ヵ月以上滞在する場合には、ミドルステイを利用した方が介護サービス部分の費用を軽減することができます。
ミドルステイの利用期間
ミドルステイの利用期間は、自治体の場合、1~3ヵ月で設定していることが多く、ショートステイの滞在期間1日~1ヵ月と比較して、長く滞在することが可能。
また、有料老人ホームでは、施設によって利用可能な期間が異なり、1週間~数年間という期間があるため、希望に応じた期間を選択することができます。
ミドルステイの利用方法
自治体が実施するミドルステイを利用する場合は、申請書を提出する必要があります。自治体によって実施の有無や申請方法も異なるため、担当ケアマネジャーに確認することがおすすめ。介護保険の認定を受けていない方は、居住する地域包括支援センターに直接相談しましょう。
有料老人ホームのミドルステイを利用したい場合は、直接施設に相談することで、条件やプランの説明を受けることが可能です。
ミドルステイの相場費用

自治体が実施しているミドルステイでは、定額で料金を設定している場合と、ショートステイの料金設定を適用している場合の2通りがあります。自治体の相場費用は、1日2,000~5,000円程度です。
また、有料老人ホームが実施しているミドルステイの場合、施設によって金額は異なりますが、1日約5,000~30,000円と幅広い設定になっています。
ミドルステイの利用料金が決まる要件
自治体実施の料金が定額の場合には、介護認定を受けているか否かで費用が変わります。また、ショートステイと同様の設定である場合には、要介護度と部屋のタイプで料金が異なることも。なお、収入に応じて介護保険負担額が変わります。
有料老人ホームのミドルステイでは、立地条件や介護体制、部屋のタイプで料金に差が生じることがほとんど。要介護度によって介護保険負担額も変わる他、レクリエーションなどに参加する場合は、追加費用が必要となります。
自治体のミドルステイ料金
自治体実施のミドルステイでは、料金がショートステイと同様の設定である場合、基本費、加算費用、滞在費、食費が含まれます。加算費用の内訳は、夜間看護体制加算、医療連携強化加算、夜勤職員配置加算、個別機能訓練加算などです。滞在費や食費は介護保険の適用外であり、施設によって異なります。
- 1定額の場合
- ミドルステイの料金が定額の場合には、介護認定の有無で負担額が異なる。
- 2要介護認定を受けている人
- 要介護認定を受けている場合、指定短期入所生活介護事業所(特別養護老人ホームや介護老人保険施設)の利用で、1日2~3,000円の負担額。
- 3要介護認定を受けていない人
- 要介護認定を受けていない場合、特別養護老人ホーム、軽費老人ホームなどの利用で1日1,700円程度。
- 4ショートステイと同様の設定である場合
- ショートステイと同様の料金設定の場合には、併設型と単独型で料金が異なる。
併設型施設の場合(1日あたりの自己負担料金) | |||
---|---|---|---|
個室 | 多床室 | ユニット型個室/ ユニット型個室的 多床室 |
|
要支援1 | 446円 | 523円 | |
要支援2 | 555円 | 649円 | |
要介護1 | 596円 | 696円 | |
要介護2 | 665円 | 764円 | |
要介護3 | 737円 | 838円 | |
要介護4 | 806円 | 908円 | |
要介護5 | 874円 | 976円 |
(参考:厚生労働省、「介護報酬の算定構造、介護サービス」)
単独型施設の場合(1日あたりの自己負担料金) | |||
---|---|---|---|
個室 | 多床室 | ユニット型個室/ ユニット型個室的 多床室 |
|
要支援1 | 474円 | 555円 | |
要支援2 | 589円 | 674円 | |
要介護1 | 638円 | 738円 | |
要介護2 | 707円 | 806円 | |
要介護3 | 778円 | 881円 | |
要介護4 | 847円 | 949円 | |
要介護5 | 916円 | 1,017円 |
(参考:厚生労働省、「介護報酬の算定構造、介護サービス」)
有料老人ホームのミドルステイ料金
有料老人ホームのミドルステイ料金には、居住費、管理費、食費、介護保険負担分が含まれます。家賃相当分の居住費が月額50,000~300,000円程度、設備・建物のメンテナンス費、水道光熱費、人件費などの管理費で月額50,000~200,000円、食費として月額40,000~70,000円ほどです。
介護保険負担分は、特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム)の場合の金額を月30日で計算しています。
介護保険負担分(月額) | |||
---|---|---|---|
1割 負担 |
2割 負担 |
3割 負担 |
|
要 支援1 |
5,460円 | 10,290円 | 16,380円 |
要 支援2 |
9,330円 | 18,660円 | 27,990円 |
要 介護1 |
16,140円 | 32,280円 | 48,420円 |
要 介護2 |
18,120円 | 36,240円 | 54,360円 |
要 介護3 |
20,220円 | 40,440円 | 60,660円 |
要 介護4 |
22,140円 | 44,280円 | 66,420円 |
要 介護5 |
24,210円 | 48,420円 | 72,630円 |
(参考:厚生労働省、「介護報酬の算定構造、介護サービス」)
ミドルステイとショートステイの違い
ミドルステイとショートステイは、以下の点で違いがあります。
利用する理由

ミドルステイを利用する際は、各自治体では利用する条件を制限していることが多いため、人によっては、利用できない場合もあります。
一方でショートステイは、利用する理由に制限はありません。なお、有料老人ホームでは理由に制限がないことが一般的です。
利用できる期間
自治体が実施するミドルステイの場合、施設の利用可能な期間は、1~3ヵ月ですが、ショートステイは1日~1ヵ月までと設定されています。また、有料老人ホームのミドルステイでは、1週間~数年と様々な期間設定が可能です。
介護保険の自己負担額
自治体が実施しているミドルステイでは、細かい料金設定があります。有料老人ホームでは、介護サービス部分が介護保険制度の対象になり、自己負担額1割で利用可能です。
有料老人ホームで実施するショートステイでは全額自己負担になるため、ミドルステイでは費用負担を大幅に減らせます。
実施している施設
自治体が実施しているミドルステイは、特別養護老人ホーム、軽費老人ホームで利用可能です。有料老人ホームのミドルステイは、施設によって異なります。