息子が父を介護する場合に知っておくべき3つのポイント
息子が父親を介護する場合、気を付けたいポイントがあり、互いの心情によって父親が頼りにくくなってしまうこともあるのです。また、介護が始まると生活も変化し、自分だけで何とかしようと思うと、仕事との両立が困難になるため、ひとりで抱え込まないことも大切なこと。父親を介護する前に理解しておきたい注意点について解説します。
息子が父を介護するときのポイント
父親を介護するとき、息子にかかる責任と重圧はかなりのもの。以下の3つのポイントを理解して、事前に備えておきましょう。
- 1介護される側の心情を理解する
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息子が父親の介護をする際に注意したいポイントとして最も重要なのは、介護される側の心情を理解すること。
介護が必要な場面では、父親の心を傷付けかねないことも多いとされます。例えば、トイレの介助、おむつ交換が必要になった場合。息子に介護されているという事実だけで、すでに傷付いている父親も少なくありません。父親の自尊心を損なわないよう、常に尊敬の気持ちを忘れずに接するよう心掛けましょう。
- 2父親の言動、行動を否定しない
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父親の言動、行動を否定しないことも、介護するうえで最も重要です。例えば、父親が認知症を患っている場合、同じような質問を何度も繰り返されることがあります。しかし、不快感を出さず、いつもと同じように冷静に会話を続けることが大切。頭ごなしに否定するのではなく、父親をいつも受け入れる姿勢で接しましょう。
また、身体的な介助が必要な場合、本人のペースに合わせて行動すること。否定的な発言は控え、歩行が遅い場合は急かさずに、ゆっくりとした歩調に合わせて移動します。父親の自立心を尊重して、父親自身が行えることをサポートする姿勢で介助するのがポイントです。
- 3自分ひとりで抱え込まず、周囲に協力を仰ぐ
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介護はひとりで抱え込まず、周囲の人の協力を得ながら進めていきましょう。息子が父親を介護する際によく見られるのは、何でも自分ひとりで解決しようとする傾向があること。しかし、介護問題はひとりで解決できないことが多いとされています。自分ですべてを完璧に行おうとすると、身体的・精神的に負担が大きく、結果的にストレスから体調を崩す場合も。
さらに、介護に関する専門的なスキルが不足しているため、気が付いたときには父親の健康状態が悪化しているという場合も存在します。周囲の人や専門機関に頼ることは、快適な介護生活を過ごす上で重要なポイントであり、父親と自分自身の健康を守ることにもつながるのです。
介護の相談をしたい場合は地域包括支援センターに連絡しよう
介護について自分で調べたり行動したりすることは、決して悪いことではありません。しかし、状況が改善されず不安に感じている場合は、「地域包括支援センター」など介護の専門家へ迷わず相談することが重要です。
地域包括支援センターは、市区町村に設置された介護に関する様々な相談を受け付けている介護の窓口。相談できる内容は、日常のちょっとした心配ごとから、金銭的な問題まで多岐にわたり、保健師、社会福祉士、ケアマネジャーといった専門知識を有するスタッフが対応します。困りごとが漠然としていて、言葉で明確に説明できなくても構いません。地域包括支援センターの専門スタッフが問題点を整理し、適切なサポートを一緒に考え、アドバイスしてくれるのです。
在宅での介護が難しい場合は施設介護も検討
様々な介護保険サービスを利用しても、父親を在宅で介護するのは、限界だと感じている方もいるでしょう。その場合、施設介護を検討してみることも適切な選択肢のひとつです。代表的な3つの介護施設について紹介します。
サービス付き高齢者向け住宅

「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)は、生活相談、安否確認などのサービスが受けられる高齢者向けの賃貸住宅です。
サ高住には「介護型」と「一般型」と呼ばれる分類がありますが、正式な分類ではなく、介護型は「特定入居者施設生活介護」の認定を受けた施設を指しています。
介護型は、要介護度が高くても入居でき、施設に常駐しているスタッフから介護保険サービスを受けることが可能です。それ以外の一般型と呼ばれるサ高住の場合、介護保険サービスが必要になった際は、外部の介護事業者を利用できます。一般型では生活の自由度も高いため、「まだ介護は必要ないけれども、将来の備えに利用したい」という方におすすめの施設です。
介護付き有料老人ホーム
「介護付き有料老人ホーム」は24時間介護スタッフが常駐し、身の回りの世話、食事、入浴などの介助サービスを受けられる高齢者向けの施設。入居要件は施設によって異なりますが、介護度が比較的軽い方から日常生活の多くを自力で行えない方、認知症など高度な介護が必要な方まで、幅広く受け入れています。看取りまで対応している施設もあるため、終のすみかとして探している方が多いことも特徴です。
主に民間企業が運営しているため、入居要件だけでなく、サービス内容、強みも施設によって異なります。介護付き有料老人ホームの場合、介護保険サービス費は介護度別に定額。介護度が重くなったとしても、支払いの目途が立ちやすいことが大きなメリットです。
住宅型有料老人ホーム
「住宅型有料老人ホーム」は、主に民間企業によって運営されている高齢者向け施設。自立している方から要支援、要介護の方まで受け入れています。要介護者の場合、外部の介護事業者を利用しながら生活できるため、利用中の介護保険サービスを継続して受けることも可能です。入居要件は施設によって様々で、「身元引受人が必要」、「伝染病などの疾患がない」などを受け入れ条件にしている場合もあるため、詳細は希望の施設に確認しましょう。
また、住宅型有料老人ホームでは、イベントやレクリエーションが充実していることも特徴。入居者様同士で交流しながら楽しんで生活できるため、心身機能、コミュニケーション能力を維持させる効果も期待できます。
まとめ
息子が父を介護するときは、父親の心情を理解し、言動、行動を否定しないことがポイント。介護に悩んだらひとりで抱え込まず、専門家が在籍する地域包括支援センターまで相談してみましょう。専門スタッフが問題点を整理し、適切なアドバイスをしてくれます。
また、介護は長期間にわたることが多いため、在宅での介護が難しいと感じた場合は、施設介護を検討することも選択肢のひとつ。より良い介護が実現できるよう、介護保険制度や専門機関を活用していきましょう。