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年金とは?国民年金・厚生年金などを簡単に分かりやすく解説

「年金」とは、高齢になったときに安心して生活できるよう、月々給付金が受け取れる仕組みのことです。年金には様々な種類があり、すべての国民に支給される年金、任意で加入できる年金、障害を負ったときに支給される年金、死亡時に遺族が受け取れる年金などが存在します。「年金とは?国民年金・厚生年金などを簡単に分かりやすく解説」では、年金の仕組みについて解説。平均的な受給額、受け取れる時期、受給資格などを分かりやすく説明していきます。

年金とは?年金制度の仕組み

年金手帳を確認する女性

そもそも年金とは、将来の生活のために、資金を貯めておく制度です。「高齢者が安定した生活を送るために給付されるお金」というイメージはあるものの、実際に、年金制度の内容は詳しく分からないまま、毎月保険料を支払っている方も多いのではないでしょうか。なお、この年金は3階建ての構造として例えることができます。

1階部分は、すべての年金における基礎的役割を果たす「国民年金」で、2階部分は被保険者の区分によって加入できる「厚生年金」と「国民年金基金」です。1階部分と2階部分は、国が運営していることから「公的年金」とも呼ばれています。3階にあたるのは、企業及び個人の判断で加入できる「私的年金」で、会社及び個人が任意に加入する「確定給付企業年金」、「確定拠出年金」などが相当。私的年金は加入することで、年金受け取り時に上乗せして給付されるため、老後への手厚い備えになります。

仮に年金制度自体がなければ、加齢による病気、ケガによる障害、死亡といった場面において、自分、家族だけで必要なお金を用意しなければなりません。自分だけで賄える費用には限界があるため、老後の様々なリスクに対し社会全体で支える仕組みとして、この年金制度が存在しているのです。

公的年金とは

公的年金には、国民のすべてが加入する国民年金、公務員及び会社員が加入する厚生年金、亡くなった方の家族を支援するための「遺族年金」、障害が残った際に給付される「障害年金」などがあり、状況によって異なった種類が存在します。

国民年金とは

国民年金は、別名「基礎年金」とも呼ばれ、20~65歳未満の国民のすべてが加入するように義務付けられている年金。老後の経済的な安定を提供し、高齢者の生活を保障する生活の基盤となるお金です。国民年金保険料を納めるのは、本人または世帯主、配偶者のいずれかになり、かつ国民年金の加入者は、下記の通り職業によって第1~3号に分類されています。

国民年金における被保険者の分類
対象者 特徴
第1号
被保険者
  • 農業
  • 自営業
  • 無職
  • 学生
自分で保険料を納める義務があるものの、経済状況しだいで一定期間支払いの免除、猶予が発生する
第2号
被保険者
  • 公務員
  • 会社員
勤務先から保険料を納付する
第3号
被保険者
公務員、会社員に扶養されている方 年収130万円以下の方が対象で、保険料は、世帯主が加入している厚生年金から支払われる

厚生年金とは

国民年金における、第2号被保険者の会社員及び公務員は、国民年金だけでなく厚生年金にも加入。国民年金に上乗せして厚生年金が受け取れるため、国民年金のみ加入している第1号被保険者に比べると、月々に受け取れる受給額が高くなるのです。

なお、厚生年金は、1ヵ月でも加入実績があれば受け取ることが可能になります。また、受給額は加入していた期間と、現役時代の収入によって決定。現役時代に多く収入を得ていた場合は、受給額も高くなります。

遺族年金とは

遺族年金は、国民年金または厚生年金に加入している方が、亡くなった際に遺族へ支払われる年金です。遺族年金には、国民年金に加入している遺族が受け取れる「遺族基礎年金」と、厚生年金に加入している遺族が受け取れる「遺族厚生年金」があり、それぞれ受給対象者の要件が異なります。

例えば、亡くなった方が、厚生年金保険に加入し受給条件を満たしている場合には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を給付。なお、遺族厚生年金は遺族のなかでも、優先順位の高い方が給付の対象です。また、死亡する前に国民年金、厚生年金の加入期間で3分の2以上の保険料を支払っていなければ、遺族へ給付されません。

障害年金とは

疾病、ケガによって障害が残り、障害認定を受けた際に給付されるのが障害年金です。国民年金に入っている方は「障害基礎年金」、厚生年金に入っている方は「障害厚生年金」が給付されます。

障害基礎年金は、年金加入期間に初診を受けた病気、ケガなどで障害等級が1級もしくは2級だった場合に給付。一方、障害厚生年金では、年金加入期間中に初めて病気あるいは障害が判明し、障害等級が1~3級のいずれかに該当した場合に、給付が可能です。障害厚生年金の受給額は、障害等級だけでなく、他の年金と同様に加入期間、申請時の収入の額によって決定されます。

私的年金とは

私的年金のひとつイデコ

私的年金とは、企業が福利厚生として用意する年金、個人で加入する年金のことです。私的年金の主な種類は、「企業年金」などのように、企業が退職金制度の一環として実施する年金と、個人が任意で加入する年金の2種類。

私的年金は、老後に不安を感じる方が加入するケースが多く、運用の仕方によっては、給付額が増えるメリットがあります。

企業年金

企業年金は、企業が私的に設けている制度です。企業年金には「確定給付企業年金」(DB)と「企業型確定拠出年金」(企業型DC)が存在。なお、企業年金の内容と積立金の支払い額、年金の受け取り額などは、勤めている企業によって様々です。

確定給付企業年金

確定給付企業年金は、会社が拠出から給付まで責任を負う年金です。あらかじめ約束された給付額を、委託された生命保険会社、信託会社が管理から給付まで行う「規約型」と、企業年金基金が運用から給付まで行う「基金型」の2つに分けられます。なお、確定給付企業年金は、2002年(平成14年)に設置された新たな年金制度で、企業と従業員があらかじめ給付額を決め、従業員が退職後に給付されるのです。

企業型確定拠出年金

企業型確定拠出年金は、勤めている企業から提供される年金であり、毎月の積み立てや、株式あるいは不動産などへ投資して、資産を増やしていく年金制度です。高齢になったときや、退職の際に受け取りが可能。しかし、積み立てた年金資産は、基本的に60歳まで引き出せず、掛金の額は役職、他の企業年金の有無によって左右されます。

確定給付企業年金との違いは、掛金の運用を自分で行い、受け取れる年金額が運用成績に応じて変動する点です。企業型確定拠出年金は、将来の資金を賢く運用する、年金制度のひとつとされています。

個人が任意で加入する年金

個人が、自らの老後資金を準備するために、任意で加入する年金には「個人型確定拠出年金」(iDeCo:イデコ)、「国民年金基金」があります。私的年金は厚生年金、企業年金の加入対象ではない、フリーランス及び自営業の方が資産を増やしたい際にも有効です。

個人型確定拠出年金

個人型確定拠出年金は、加入者が毎月掛金を拠出し、用意された金融商品で運用を行う年金制度。60歳以降に一時金または年金として受け取れる、いわゆる自分で資金を作る年金です。積み立てた金額は所得控除の対象となり、所得税及び住民税の負担を軽減できる他、運用した利益も非課税になるメリットがあります。

2022年(令和4年)に、確定拠出年金法が改正されたことで、受け取れる時期が60~75歳となり、加入できる年齢の幅も広がったことで、より活用しやすくなりました。しかし、給付額は運用成績によって変動し、一度拠出した掛金は原則60歳まで引き出せません。

国民年金基金

国民年金基金は、国民年金の第1号被保険者が、将来の所得を保障するために任意で加入する年金制度。フリーランス及び自営業に有益な年金です。国民年金制度は、例えるなら国の貯金箱。国民から集めたお金を政府が保管し、将来に備えて運用します。毎月決まった保険料をもとに、株式あるいは債券などの運用で増えた資金が給付される仕組みです。

年金の平均受給額

年金の受給額とは

年金の受給額は、年金の種類によって異なります。国民年金の平均受給額は、20~60歳までの40年間に収めた月数によって算定。40年間の保険料をすべて納めることで、満額の国民年金を受け取れます。日本年金機構によると、2023年(令和5年)における、月あたりの受給額は6万6,250円です。

厚生年金の受給額は、加入していた時期の報酬額、加入期間に応じて計算されます。また、60~65歳までの間に、繰上げて減額された年金を受け取る「繰上げ受給」、66~75歳までの間に繰下げて増額された年金を受け取る「繰下げ受給」の制度も存在。平均的な収入で40年にわたり就業した場合、厚生年金における、月あたりの受給額は約9万1,982円です。つまり、国民年金と厚生年金を合わせると、月当たり約15万8,232円が受給額となります。なお、厚生年金の受給額には個人差があるため、正確な加入実績、将来の見込み額を知りたい場合は、「ねんきん定期便」を確認しましょう。

遺族基礎年金における平均受給額は67歳以下の場合、年あたり79万5,000円に子供の加算をした額、68歳以上は79万2,600円に子供の加算をした額となっています。また、遺族厚生年金の受給額は、【亡くなった方が加入していた厚生年金における報酬比例部分4分の3】と、【報酬比例部分2分の1に自身が加入している厚生年金額の2分の1を合算した額】とを比較し、高い方の額が給付されるのです。

障害年金の金額は毎年変わりますが、2023年(令和5年)における障害基礎年金の月あたり平均受給額は、障害1級では8万2,812円に子供の加算をした額、障害2級では6万6,250円に子供の加算をした額とされています。さらに、障害厚生年金の月あたりの受給額は、配偶者がいる2人世帯で障害1級の場合で約12~15万円、障害2級では約10~12万円。なお、私的年金の平均受給額は、生命保険文化センターの調査によると、世帯において年間で約97万円でした。

年金がどのくらい受け取れるかは、自分でシミュレーションできるため、事前に把握しておくのが大切です。シミュレーションしておくと、必要な年金額にいくら足りないかの目安が分かり、後々、私的年金の加入を検討する材料になります。

年金を受け取る時期について

楽しい老後生活

公的年金は、65歳から受け取るのが原則ですが、受け取るには条件を満たす必要があります。国民年金では、保険料を納めた期間と、保険料を免除した期間を合わせた受給資格期間が10年以上ある際に、65歳からの受け取りが可能です。厚生年金では、国民年金を受け取れる方に厚生年金の加入期間がある場合において、国民年金に上乗せして65歳から受け取れます。

障害年金は、障害を認定した翌月分から受け取りが可能。遺族年金は、亡くなったときに申請すると、目安として申請から110日後の偶数月に受け取れます。なお、生命保険文化センターの調査では、私的年金の受け取り開始の年齢は、夫婦ともに60歳でした。

また、退職してから企業年金を受け取る際は、年齢に関係なく基本的に手続きを自分で行う必要があります。企業年金は、退職金を分けて支払う形にしたもので、企業のルールによって受け取り方は様々。退職したら自動的に給付が開始される訳ではないため、手続きを忘れないよう注意が必要です。

まとめ

「老後の必要資金は2,000万円」と言われる将来において、「国民年金」または「公的年金」だけでは、老後の資金を賄うのは困難とされています。人によってどのような収入を得てきたのか、どれくらいの年金を受け取れるかは違うため、年金制度を把握して受給額を事前に調べておくことが大切です。

また、老後のために、公的年金に加えて私的年金への加入を検討するのもひとつの方法であり、将来の経済的なゆとりにもつながります。老後に備えて、賢く年金を選択して活用していきましょう。

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