アルツハイマー型認知症とは?症状や原因から、余命・治療について解説
「アルツハイマー型認知症」は、脳の神経細胞が徐々に損傷を受け、死滅することにより引き起こされる神経変性疾患です。アルツハイマー型認知症は加齢に伴い発症リスクが高まり、主に60歳以上の高齢者に多く見られます。最も一般的な認知症タイプであり、認知症患者の約60~80%。そのため、原因や対処法を知っておくことが重要です。アルツハイマー型認知症の基本知識、症状、進行、原因、治療法、診断について解説し、対応方法やアルツハイマー型認知症に対応している介護施設の種類を紹介します。
アルツハイマー型認知症の概要
アルツハイマー型認知症の特徴

アルツハイマー型認知症は、記憶喪失や思考力、判断力、言語能力、そして日常生活能力の低下といった症状が特徴的です。これらの症状は徐々に進行し、最終的に患者は自立した生活が困難となります。
アルツハイマー型認知症は通常、初期症状が現れてから数年後に診断されることが多いのが現状です。
アルツハイマー型認知症における余命
アルツハイマー型認知症の診断後の平均余命は、約4~8年とされています。しかし、アルツハイマー型認知症における余命は個人差が大きく、症状の進行スピードによっても変化。それは、アルツハイマー型認知症が原因でなく、他の病気や老化によって合併症が発生する場合があるためです。そのため、アルツハイマー型認知症の余命を予測することは非常に困難。しかし、早期の診断や適切な治療、ケア、家族や周囲の支援などがある場合、患者の生活の質を改善し、余命を延ばすことができる可能性が多分にあるのです。
レビー小体型認知症との違い
「レビー小体型認知症」は、アルツハイマー型認知症と並んで、高齢者に多く見られる認知症の一種で、どちらも共通点もありますが、症状や病態にはいくつかの違いが存在。アルツハイマー型認知症は、主に「記憶喪失」から始まりますが、レビー小体型認知症では、「視覚幻覚」、「運動機能の障害」、「睡眠障害」、「思考力の変動」などが初期症状として現れることが多いのです。また、レビー小体型認知症は、パーキンソン病と症状が類似しているため、しばしば混同されることがあります。
また、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症は、脳内の異常タンパク質の蓄積によって引き起こされますが、それぞれ異なるタンパク質が関与。アルツハイマー型認知症では、「アミロイドβ」が脳内に沈着して神経細胞を破壊します。一方、レビー小体型認知症では、「α-シヌクレイン」が細胞内に異常沈着して、神経細胞の機能障害を引き起こすのです。
そのため、治療法も異なり、アルツハイマー型認知症では、脳内の神経伝達物質の濃度を調節することを目的とした薬物治療が一般的。一方、レビー小体型認知症では、抗パーキンソン病薬、抗精神病薬、あるいは非薬物療法を用いた治療が行われます。
アルツハイマー型認知症の症状
アルツハイマー型認知症は、様々な症状が現れる神経変性疾患であり、「中核症状」と「BPSD」(行動・心理症状)が主な特徴。これらの症状は、患者の日常生活、人間関係に大きな影響を及ぼすことがあるのです。
中核症状とは
中核症状とは、認知機能の低下で起きる症状を指します。短期記憶の障害が最も一般的で、新しい情報を覚えることが困難。病状が進行すると、長期記憶も影響を受けることもあるのです。また、言葉を見付けられず会話が困難となり、文章を理解する力も衰えます。また、適切な判断を下すことが難しくなることから、物の位置や距離を把握できず方向感覚が麻痺していくのです。
さらに、注意力や計画能力の低下も含まれます。これにより日常生活での決められた行動を起こすことができず、簡単な料理、買い物などの家事全般が適切に行えなくなることも。また、人間関係や社会的な状況を適切に理解する力も低下し、他人の感情や意図を読み取り辛くなります。中核症状は患者の生活の質を著しく低下させる要因となり、家族、及び介護者にも大きな負担をかけることになるのです。
BPSDとは
BPSDとは、認知症における行動・心理症状を指し、「周辺症状」とも呼ばれます。BPSDは、ケアの不適切さ、身体的な不快感、ストレスなどの心理的な状態が引き金となり、短気になる、幻覚が見える、やる気が失せて元気がない、ひとりでさまよう、興奮して罵声や暴力を振るうなどの症状が発生。これらは、中核症状が誘発する二次的な症状なのです。
例えば、中核症状によって時間や場所を見分ける能力が失われた場合、「ここはどこだろうか」、「あなたは誰なのか」といった不安とストレスが生じます。患者が本来心配性、孤独感に弱い性格であれば混乱や不安はさらに深刻化。さらに不安や混乱が続くと徘徊、興奮、暴力といったBPSDが現れます。そのため、患者本人がリラックスでき、混乱しないように周囲が適切な対応をすることができれば、平穏な日常を過ごすことが可能なのです。
アルツハイマー型認知症の進行
アルツハイマー型認知症の進行速度

アルツハイマー型認知症の進行速度は、個人差が大きく一概には言えません。平均的には、診断から死亡までの期間が4年から8年程度とされています。
しかし、進行速度は患者の年齢、健康状態、遺伝的要素、生活習慣などが影響。また、早期発見、及び適切な治療、ケアにより進行を遅らせることができる可能性も高いのです。
さらに、アルツハイマー型認知症の進行速度は病状の段階によっても変化。初期段階では症状が軽度で進行速度が遅いことが一般的ですが、中期から終末期にかけては進行速度が速くなります。その場合、患者と家族は急速に変化する症状に適応することが必要。アルツハイマー型認知症と判断された場合、医療機関と一刻も早く連携して、より良い生活を送れるようサポートを受けましょう。
アルツハイマー型認知症の前兆
アルツハイマー型認知症の前兆には、主に以下のような症状があります。
- 物忘れが増える
- 会話が支離滅裂になることがある
- 仕事や家庭での判断力が低下する
- 気分の変動が激しい
- 見慣れた場所で道に迷うことがある
加えて、計算能力の低下、物事の順序を理解するのが難しくなることも。例えば、日常的な買い物での支払い、レシピに従って料理を作ることが急にできなくなったりします。また、趣味や興味を持っていた活動に対する喪失、家族、及び友人との交流する機会が減少していくことも前兆のひとつです。
早期発見が治療、ケアにおいて重要であるため、これらの症状に気づいた場合は早めに医療機関を受診し、専門的な診断を受けることが大切。特にアルツハイマー型認知症の前兆は、高齢者だけでなく若年者にも現れることがあり、年齢に関係なく注意が必要です。
アルツハイマー型認知症の初期症状
アルツハイマー型認知症の初期症状には以下のようなものがあります。
- 最近の出来事を思い出せない
- 日常の動作をこなすことが難しくなる
- 単語を見付けるのが困難になる
- 顔や物を認識できなくなる
- 複雑な問題を解決できなくなる
アルツハイマー型認知症の初期症状として、前兆時期よりも判断力の低下や自己管理能力の喪失が挙げられ、金銭の管理ができなくなったり、身だしなみに無頓着になったりすることがあるのです。また、感情のコントロールが難しくなり、イライラしやすくなることや、過度の不安、抑うつ症状を抱えることもあります。
なお、アルツハイマー型認知症の初期症状は、加齢による変化と見間違えられることがしばしば。しかし、症状が日常生活に影響を与えるようであれば、アルツハイマー型認知症の可能性が高いとされます。早期診断と適切な治療が病状の進行を遅らせることへとつながるため、疑わしい症状に気付いたら、すみやかに医療機関へ相談しましょう。
アルツハイマー型認知症の中期症状
アルツハイマー型認知症の中期症状では、以下のような症状が現れます。
- 時間や場所の認識が困難になる(見当識障害)
- 会話が難しくなり、言葉を理解できなくなる
- 服装や食事、入浴などの自立が難しくなる
- イライラしたり、無関心になったりして性格、行動が変化する
- 家を出て歩き回ることが増える(徘徊)
この段階では介護が必要となることが多く、徘徊が原因で行方不明になることも。そのため、患者自身と家族の負担も非常に厳しくなっていくのです。すみやかに医療機関と連携して、専門病院、及び介護施設への入院・入居などが必要とされます。
アルツハイマー型認知症の終末期症状
アルツハイマー型認知症の終末期には、以下のような症状が現れます。
- ほとんど話さなくなるなどの、言語能力の喪失が見られる
- 寝たきりになることが多くなる
- 食べ物を飲み込めなくなることがある
- 免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなる
- 親族や友人をまったく認識できなくなる
終末期の患者には、痛みや不快感を和らげる「緩和ケア」が何より必要です。患者が安心して過ごせる環境(病院、ホスピス、介護施設など)を整える必要があります。
アルツハイマー型認知症の原因
アルツハイマー型認知症の原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与。主な要因としては、タンパク質の異常蓄積、遺伝的要素が挙げられます。
タンパク質の異常蓄積
アルツハイマー型認知症の発症と進行には、脳内でのタンパク質の異常蓄積が原因のひとつ。主に2種類のタンパク質が関与しているとされています。
アミロイドβ(Aβ)
アミロイドβ(Aβ)は、通常無害なタンパク質ですが、異常な構造へ変化すると、脳内で「アミロイドプラーク」と呼ばれる硬い塊を形成。アミロイドプラークが神経細胞間の信号伝達を阻害し、神経細胞の機能低下、死滅を引き起こすと考えられています。
タウタンパク質
タウタンパク質は神経細胞内で働くタンパク質ですが、異常な構造へ変化すると糸状の構造である「神経原線維変化」を形成。この神経原線維変化により、神経細胞の構造が壊れ脳機能が低下するとされています。
遺伝的要素

アルツハイマー型認知症には遺伝的要素も関与。特に、50歳前後で発症する「早期発症型アルツハイマー型認知症」では、「APP[アミロイド前駆体タンパク質]遺伝子」、「PSEN1[プレセニリン1]遺伝子」、「PSEN2[プレセニリン2]遺伝子」の変異によって引き起こされることが確認されているのです。
一方、65歳以降に発症する「遅発型アルツハイマー型認知症」においては、資質の代謝に影響する「アポリポタンパク質E遺伝子」の一種である「APOEε4[アポイーイプシロン4]アレル遺伝子」が、発症のリスクを高めるとされています。APOEε4アレル遺伝子を持っている人は、持っていない人に比べて遅発型アルツハイマー型認知症になる可能性が高いとされているのです。ただし、この遺伝子を持っていても必ずしも認知症になるわけではなく、持っていなくても認知症になることがあります。
他の要因
加齢、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、肥満などの生活習慣病、心血管疾患がアルツハイマー型認知症の発症リスクを上昇。これらの要因は相互に関連し、アルツハイマー型認知症の進行度合いにも多大な影響を与えるのです。
アルツハイマー型認知症の治療方法
アルツハイマー型認知症の治療は、薬物療法と非薬物療法の2つの方法があります。治療の目的は、症状の進行を遅らせ、患者の生活の質を向上させることです。治療方法は、症状の程度や個人の状況に応じて選択されます。
薬物療法
アルツハイマー型認知症に対する薬物療法は、症状の進行を遅らせることが目的。主に以下の2つの薬が使用されます。
コリンエステラーゼ阻害薬
「コリンエステラーゼ阻害薬」は、脳内のコリンエステラーゼという酵素を阻害することで、神経伝達物質である「アセチルコリン」の量を増やし、神経細胞間のコミュニケーションを改善。「ドネペジル薬」、「リバスチグミン薬」、「ガランタミン薬」などが該当し、主に軽度から中等度の認知症に対して処方されます。
NMDA受容体拮抗薬
「NMDA受容体拮抗薬」は、神経伝達物質である「グルタミン酸」の過剰な放出を抑制し、神経細胞の損傷を防ぐのが目的。「メマンチン薬」が代表的な薬とされ、中等度から重度の認知症に対して処方されます。
非薬物療法
非薬物療法は、薬を使わずにアルツハイマー型認知症の症状を緩和し、患者の生活の質を向上させる目的で行われるのです。
認知療法
認知機能の維持や向上を目指すために、記憶力や注意力、思考力をトレーニング。このトレーニングには、主にパズル、言葉遊び、計算問題などが活用されます。
家族や介護者への教育
家族や介護者に対し、アルツハイマー型認知症の知識を提供。適切な対応やケア方法に関する教育を行い、患者の生活の質を向上させるのです。また、家族と介護者自身のストレス緩和、サポートも同時に行っていきます。
瞑想、音楽療法
うつ症状、不安感は、アルツハイマー型認知症の患者に顕著。改善方法として心身の緊張を緩める瞑想法の「マインドフルネス」、「音楽療法」などが効果的とされています。特に音楽療法は、「音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて心身の障害の軽減回復、機能の維持改善、生活の質の向上、問題となる行動の変容」と、「日本音楽療法学会」にて定義されており、汎用性の高い療法として注目されているのです。
生活習慣の改善
健康的な食生活、適度な運動、十分な睡眠、社会的なつながりの維持など、生活習慣の改善が認知症の症状、進行具合にプラスの影響を与えると言われています。
環境調整
安全で刺激の少ない環境を整えることで、患者のストレスや不安を軽減。具体的には、部屋の照明や家具の配置、騒音の低減などが挙げられます。
アルツハイマー型認知症の診断
アルツハイマー型認知症は、正確な診断が重要です。適切な診断によって、症状の進行を遅らせる治療法やケアが開始され、余命や患者の生活の質が向上します。
かかりつけ医、専門外来への相談から
アルツハイマー型認知症の疑いがある場合、まずはかかりつけの医師に相談することが良いでしょう。相談後に「神経内科」(脳、脊髄、神経系の疾患を専門に扱う診療科)、「精神科」、「老年医学科」(高齢者の健康管理・予防、疾患治療、医療福祉などを専門的に扱う診療科)など、認知症の診断や治療に専門性のある医師を紹介されることが少なくありません。また、認知症専門の外来や診療所、認知症疾患医療センターも存在するため、そちらへ相談するのも良いでしょう。
アルツハイマー型認知症診断の手順
- 1病歴の聴取
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患者、家族からの症状と経過、家族歴、生活習慣などの情報を収集し、鑑別診断(他の疾患と比較しながら診断すること)や病状の評価が行われます。
- 2身体検査
- 脳神経系、心血管系、内分泌系などの身体機能のチェックを行い、他の疾患との関連性や影響を診断。
- 3認知機能検査
- 「ミニメンタルステート試験」(認知症が疑われるときに行われる神経心理検査)、「クロックドローイングテスト」(医師の指示に従い、数字と針のある時計の絵を描く検査)など、認知機能の低下を評価する検査を実施します。これにより、記憶、言語、計算、空間認識などの機能低下の程度が把握されるのです。
- 4血液検査
- 腎機能や肝機能、甲状腺機能、栄養状態などの基本的な健康状態を評価し、他の疾患との鑑別診断に役立てるのです。
- 5画像診断
- 頭部の「CT」(コンピュータ断層撮影)、「MRI」(磁気共鳴画像法)などの画像診断を行い、脳の構造や機能に異常があるかどうかを確認。アルツハイマー型認知症では、脳の萎縮が特徴的に見られることが多く、これらの画像検査によって病態の評価が行われます。
- 6脳波検査
- 「脳波検査」(EEG)は、脳の電気活動を測定する検査です。アルツハイマー型認知症では、脳波の特徴的な変化が見られることがあります。
- 7脳脊髄液検査
- 脳脊髄液検査では、アルツハイマー型認知症に関連するタンパク質の変化を評価。脳脊髄液検査は、他の認知症との鑑別診断に有効ですが、体に負担がかかる検査であるため必要に応じて行われます。
これらの検査により、アルツハイマー型認知症の診断が行われますが、現在の医学技術でも確定するには難しい面も存在。アルツハイマー型認知症と診断された場合でも、定期的な診断が行われ、病状の変化、及び他の疾患の発見に細心の注意が払われます。
アルツハイマー型認知症の方への対応
アルツハイマー型認知症の患者に対する適切な対応は、症状の進行を緩やかにし、患者や家族が快適に過ごすために重要です。環境の整備や本人への接し方について解説します。
生活環境の整備
安全性の確保

認知症患者が、安全に過ごせる環境を整えることが大切です。家具の配置を見直し、転倒のリスクを減らす工夫を行います。また、誤飲しないよう、薬などは手の届かない場所に保管しましょう。
把握しやすい環境づくり
認知症患者は見当識障害があるため、場所や時間が判断できないことがあります。大きな時計、カレンダーを設置し、目に付く場所へ家族の写真や名前を貼ることで、物事を把握しやすい環境を作りましょう。
精神状態に配慮
騒音や混雑は認知症患者の不安や混乱を増長させることがあります。静かで落ち着いた環境を整えることで常に患者がリラックスし、心身のストレスを軽減することが可能です。
日常生活パターンの確立
認知症患者に対しては、日常生活パターンを決めて行動することで、安心感を与えることできます。起床・就寝時間や食事の時間を一定にして、認知症患者が状況をいつも把握できるようにしましょう。
本人への接し方
分かりやすいコミュニケーション
認知症患者は、言語の理解が難しくなることがあります。簡潔で明確な言葉を使い、ゆっくりと話すことが大切です。また、話す際には患者の目を見ることが重要で、患者が理解できたか確認しましょう。
時間をかける
認知症患者は、行動や思考が遅くなりがちです。慌てずに時間をかけて対応し、患者本人ができることをサポートしながら、適切な補助を提供しましょう。
ストレスや不安を軽減する
認知症患者は、混乱や不安を感じることが多々あります。患者の気持ちに寄り添い共感を示し、安心感を与えることも重要。患者が自身の意見、感情を表現できるように耳を傾けていきましょう。
患者の能力を活かす
認知症患者でも得意なこと、楽しめることがたくさんあります。患者の能力、趣味を活かし日常生活へ取り入れることで、自己肯定を高めて生活の質を向上させることが可能です。
このようにアルツハイマー型認知症の患者への対応は、個々の状況に応じて変わります。適切な環境整備と接し方により、患者や家族がより良い生活を続けることが可能です。しかし、何事も自己判断で行わず、まずは医療機関へ相談することから始めましょう。
アルツハイマー型認知症に対応する介護施設
アルツハイマー型認知症の患者に対応する介護施設は、様々なタイプが存在します。それぞれの施設の特徴を理解し、患者や家族のニーズに適したものを選びましょう。
グループホーム

「グループホーム」は、認知症の高齢者を対象とした共同生活の施設です。通常、8人程度の入居者様がひとつの家庭的な環境で生活することが特徴。家庭的な雰囲気、少人数での生活により患者へ安心感がもたらされるのです。
なお、施設スタッフは24時間体制でサポートし、家事、食事、入浴などの日常生活における介護が行われます。
介護付き高齢者施設
「介護付き高齢者施設」は、24時間体制で介護を受けることができる高齢者施設です。患者が安心して過ごせるよう、専門スタッフがサポートします。個室で生活し、食事の提供、リハビリ、レクリエーションなど、生活のあらゆる面で介護を受けることが可能。ただし、費用が高額になり経済的な負担が大きい面が存在します。
住宅型高齢者施設
住宅型高齢者施設は、アパートやマンションのような形態で、一定の介護が必要な高齢者向けの施設です。個別の生活空間が提供され、プライバシーが守られる環境で暮らせます。ただし、介護スタッフが24時間体制ではないことが多く、入居には注意が必要です。
サービス付き高齢者向け住宅
「サービス付き高齢者向け住宅」は、一般的なマンションやアパートへ、高齢者向けの補助サービスが提供される形態。基本的には入居者様が自立した生活を送ります。アルツハイマー型認知症の初期段階の方には適していますが、症状が進行すると専門施設への移転が必要になるでしょう。
ケアハウス
「ケアハウス」は、介護が必要な高齢者向けの住宅型施設で、個別の部屋を提供。サービス付き高齢者向け住宅同様に、基本的には入居者様が自立した生活を送りますが、必要に応じて、しっかりとした専門的な介護が受けられる環境が整っています。
特別養護高齢者施設
「特別養護高齢者施設」は、介護、及び医療が必要な高齢者を対象とした施設です。アルツハイマー型認知症の患者に対して、24時間体制で専門的な介護を提供。また、看護師やリハビリテーションスタッフが常駐し、医療ケアも受けられます。しかし、入居希望者が多く、なかなか空かないのが難点です。
介護老人保健施設
「介護老人保健施設」は、短期間の入所や日帰りで利用される施設で、アルツハイマー型認知症の患者に対してリハビリテーション、介護が提供されます。数日間滞在する「ショートステイ」、日中だけ介護を受ける「デイケア」が利用可能です。
介護医療院(介護療養型医療施設)

「介護医療院」は、医療機関と介護施設が一体となった施設で、アルツハイマー型認知症の患者に対して、医療ケアと介護を提供。患者の病状が重い場合や、高度な医療ケアが必要な場合に入居が可能です。看護師や医師、リハビリテーションスタッフなど専門スタッフが常駐し、最大限のサポートが行われます。
各施設の特徴を理解し、患者のニーズに合った選択を行うことが重要。また、入居前に施設を見学し、スタッフと相談することも大切です。提供するサービスや環境、費用面などを比較検討して、最適な施設を見付けましょう。
アルツハイマー型認知症の予防
アルツハイマー型認知症は、高齢化が進む現代社会において、ますます増加傾向にある疾患。ですが、予防方法を知っておくことで、快適な生活を続けることが可能となるのです。アルツハイマー型認知症予防に役立つ生活習慣の改善、運動、睡眠について解説します。
生活習慣病の予防
生活習慣病は、アルツハイマー型認知症のリスクを高める要因。特に、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの病気は、認知機能低下に関与しています。生活習慣病の予防には、以下のポイントが重要です。
健康的な食事
野菜や果物を中心にバランスの良い食事を心がけましょう。特に、脳機能に働きかけると言われている「オメガ3脂肪酸」が豊富な魚、抗酸化作用のある果物と野菜が認知症予防に役立ちます。
禁煙・節酒
喫煙、過度な飲酒は、生活習慣病やアルツハイマー型認知症の発症リスクを増加させるため、禁煙と節酒を心がけましょう。
ストレスコントロール
ストレスも生活習慣病、アルツハイマー型認知症の要因とされています。不安やストレスを抱えている場合は、趣味や運動など自分に合った解消法を見付け、軽減するのが重要です。
適度な運動
適度な運動は、アルツハイマー型認知症の予防に役立ちます。運動を行うことで、心血管系の健康が向上し、脳への血流が促進。これにより、脳の機能維持や神経細胞の損傷を防ぐことができます。運動のポイントは以下の通りです。
定期的に行う
週に数回、適度な運動を継続して行うことが大切。定期的に運動を行うことで、脳の血流量が増え、神経細胞に栄養や酸素が十分に供給されます。また、運動はストレスを軽減し、睡眠の質を向上させることで認知機能の改善につながるのです。
身体に無理のない範囲で行う
高齢者者や運動経験の少ない方は、無理のない範囲で運動を行いましょう。ウォーキング、体操、ヨガなどの軽い運動から始めることがおすすめです。
楽しむこと
長期間続けるためには、何より運動を楽しむことが重要。単独よりも友人や家族と一緒に行ったり、スポーツクラブへ入会したりすることでモチベーションを高め、楽しく運動を続けることができます。
十分な睡眠
十分な睡眠は、アルツハイマー型認知症の予防に欠かせません。睡眠中には、脳内の老廃物が排出され、脳細胞の回復が行われるため、睡眠不足は認知機能の低下を招く可能性があります。良質な睡眠を確保するためのポイントは以下の通りです。
環境の整備
寝室は静かで暗く、適切な温度を保つことが大切。また、寝具やマットレスは快適な物を選びましょう。
睡眠リズムを整える
毎日同じ時間に就寝・起床することで、睡眠リズムを整えます。規則正しい生活を保つことで、体内時計が整うのです。これにより、認知症患者に見られる「昼夜逆転」などの症状の予防が期待できます。
睡眠前のリラックス
睡眠前にリラックスして、ストレスを解消しましょう。就寝前の入浴や読書、軽めの体操、深呼吸などが効果的です。
アルツハイマー型認知症の予防には、健康的な生活習慣への改善、適度な運動、十分な睡眠が重要。これらを日常生活に取り入れることで、認知症リスクを低減することができます。予防方法を実践して質の高い充実した生活を送りましょう。