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認知症予防に効果的な食事方法や食べ物を解説

認知症の予防に関して、食事の役割が注目されています。健康的な食生活は脳の健康を保つだけでなく、心血管疾患のリスクを低減することもでき、間接的に認知機能の低下リスクを減少させることが期待できるのです。「認知症予防に効果的な食事方法や食べ物を解説」では、認知症に予防効果が期待できる効果的な食事方法や食べ物、認知症のリスクにつながる食べ物などを詳しく紹介します。

認知症予防に効果的な食事の方法

認知症予防に効果的な食事

認知症の多くは、脳内に「アミロイドβ」と呼ばれるたんぱく質が蓄積することで脳を委縮させる「アルツハイマー型認知症」です。アミロイドβたんぱく質が蓄積する原因は明らかになっていませんが、生活習慣が影響していると考えられています。

また、病気などが原因で発症する認知症に対しても、生活習慣を見直すことで、予防効果として期待できるのです。認知症予防に効果的な食事方法について解説しましょう。

1バランス良く食べる

すべての病気につながることではありますが、「栄養素をバランス良く摂取する」のはとても大事です。身体の中では様々な化学反応が繰り返されています。その過程においてもたくさんの栄養素を必要としており、足りない成分があれば、正常に行われないことがあるからです。そのようなことから、健康な状態を維持するためには、これらの化学反応が正常に行われ、身体の機能が保たれる状態にしておくことが必要と言えます。

2塩分を摂りすぎない

塩分と言われている「塩化ナトリウム」は、体内の水分調整、細胞内外の圧力のバランス調整、筋肉を動かす電気信号など、なくてはならない成分。しかし、塩分を取りすぎてしまえば、体内の体液調整、バランス調整がうまくいかず、「高血圧」、「動脈硬化」を引き起こしてしまう可能性があります。高血圧では「動脈瘤」や「脳出血」、動脈硬化では、「脳梗塞」、「心筋梗塞」など大きな病気のリスクとなるのです。

3摂取カロリーを守る

カロリーとは、人間にとってエネルギーの源なので、不足していれば健康状態は損なわれてしまいます。ただし、摂りすぎたエネルギーは体の中に溜まっていくため、エネルギー過多に。摂りすぎたカロリーは肥満を引き起こし、「糖尿病」(とうにょうびょう:血液中の糖分が多い病気)、「脂質異常症」(ししついじょうしょう:コレステロール値が高い病気)などの生活習慣病につながります。いずれも動脈硬化を合併する可能性を持っているのです。

4間食、糖分を控える

菓子類は、カロリー、塩分、糖分が多く含まれています。間食することで、摂取する糖質、炭水化物、脂質が増え、エネルギー過多になってしまいかねません。また、エネルギー過多になることで、必要な栄養素が摂りにくい傾向に。糖質、炭水化物は糖尿病や肥満を、脂質は脂質異常症を、塩分の多い物は高血圧など多くの生活習慣病を引き起こしてしまうことも考えられます。

認知症のリスクを高める食べ物

認知症のリスクとなり得る食べ物について解説します。

ファーストフード・ジャンクフード

間食やジャンクフードは悪影響

ファーストフード・ジャンクフードには、塩分や「トランス脂肪酸」(脂質の構成成分である脂肪酸の一種)などが含まれており、多く摂取すると脳へ大きな負担になると言われています。脳の構成成分の60%は脂肪。トランス脂肪酸を多量に摂取すると、脳を構成する脂肪の材料に用いられ、ホルモンの分泌や神経伝達物質の働きを狂わせるのです。

また、トランス脂肪酸は、身体に悪影響があるとされ、アメリカなどでは使用禁止となっているほど。塩分も多いため、高血圧などになりやすく、動脈硬化のリスクにもなってしまうのです。

赤身肉・脂身

赤身肉は血圧を上昇させ、高血圧のリスクになると考えられています。赤身肉には赤血球の源である「ヘム鉄」が多く入っており、赤血球が増えていくと血圧は上昇。高血圧の状態が続くと、アルツハイマー型認知症で知られているアミロイドβたんぱく質が増えると言われており、認知症のリスクにつながるのです。脂身には「飽和脂肪酸」が多量に入っており、摂りすぎると、脂質異常症や動脈硬化につながるおそれがあります。

マーガリン

マーガリンには、トランス脂肪酸が多く含まれています。そのため、悪玉コレステロールを増やし、脂質異常症、動脈硬化のリスクがあると言われているのです。その他、がんや心臓病の発症率を上昇させるという報告も。また、トランス脂肪酸の摂りすぎは、認知症の発症を助長させるため、過度な摂取は控えましょう。

アルコール

アルコールの多量摂取によって「アルコール性認知症」になることがあります。アルコールを摂取することで、「ビタミンB1」が大量に消費。その結果、「ウェルニッケ脳症」を発症し、意識障害、見当識障害、記憶障害などの症状を引き起こしてしまう可能性があります。

認知症の予防となる食べ物

認知症のリスクを下げることが期待できる食べ物を紹介します。栄養バランスを意識しながら摂取していくことで、認知症対策としての効果が期待できるのです。

緑黄色野菜

菜食中心の食事も有用

緑黄色野菜は、トマト、にんじん、ピーマン、小松菜、ほうれん草などのこと。これらの野菜は、「ビタミンC」、「ビタミンE」、「カリウム」、「葉酸」などの栄養素を含んでいます。

また、ビタミンEやビタミンCは抗酸化作用を持っており、動脈硬化を予防する効果が期待。なお、カリウムはナトリウム同様に、循環器や体内の水分調整にかかわる機能もありますが、ナトリウムとは異なり、血圧を下げる方向へと働きかけます。

魚には、「EPA」(エイコサペンタ塩酸)、「DHA」(ドコサヘキサエン酸)などを含む「オメガ3脂肪酸」という成分を含有。EPAとDHAは、血液をサラサラにする働きがあり、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中のリスクを低減する可能性が報告されています。オメガ3脂肪酸は脂肪分の分解を助ける働きがあるため、コレステロール値の改善、それに伴う動脈硬化の予防、血流の改善に有用です。また、DHAは脳の構成成分ということもあり、記憶力や判断力の向上が期待され、アルツハイマー型認知症に対しても予防効果があると言われています。

豆類

日本食に深く関係している大豆は「レシチン」を多く含有。レシチンは細胞の代謝機能を向上、自律神経の緊張を和らげる、肝臓の機能を高めるなどの効果を秘めています。特にアルツハイマー型認知症に関しては、神経伝達物質である「アセチルコリン」の減少が症状の誘発につながると考えられており、治療薬においてもアセチルコリンの量を増やす作用がある薬が存在。アセチルコリンの原料には、レシチンが活用されていることから、積極的な摂取によってアセチルコリンの減少を防げる可能性もあります。

果実類

りんご、レモン、みかん、キウイ、バナナなどは、ビタミンC、ビタミンE、葉酸などを多く含んでいます。これらの果実類は、緑黄色野菜と同様に抗酸化作用を持っており、動脈硬化や生活習慣予防への効果が期待できるのです。ただし、緑黄色野菜と異なり、果糖が含まれるため、食べすぎには注意しましょう。

カレー

カレーには、「ターメリック」と呼ばれる香辛料が含有。ターメリックは「クルクミン」という成分があり、認知機能の向上と維持に役立つと言われています。実際に、カレーを習慣的に食べているインド人は、アメリカ人よりも認知症の発症率が低いと報告もあるのです。また、クルクミンは「ポリフェノール」に該当し、肝臓における解毒機能の向上、脳内への認知症の原因となり得る物質の蓄積を予防する効果も。カレーに、トマト、緑黄色野菜、魚などを入れることで、さらに予防効果を期待できます。

コーヒー・緑茶

コーヒーや緑茶は、「カフェイン」を多く配合。利水効果(水滞を改善する作用のこと)によって血液の流れを促進します。カフェインには、体内の水分を外へ排出させる利尿作用の効果があるため、これによって、余分な水分を体外へと排出。不要なたんぱく質の排出も促すことから、脳の神経伝達を阻害するようなたんぱく質を除去し、脳の働きを維持するのです。

赤ワイン

赤ワインには、ポリフェノールと呼ばれる抗酸化物質が多量に含まれており、強い抗酸化作用があります。抗酸化物質は、体内で発生する活性酸素を中和。実際にワインを愛飲するフランスなどでは、認知症の発症率が低いことも報告されているのです。ただし、ワインはアルコールも含んでいます。そのため、赤ワインの過度な摂取は、アルコールの摂取量が増加し、健康に悪影響を及ぼす可能性も。赤ワインの摂取量には、注意が必要です。

オリーブオイル

オリーブオイルには、アルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβたんぱく質を除去する作用があると最新の研究で明らかになってきました。オリーブオイルには、不飽和脂肪酸である「オレイン酸」が含まれており、血中のコレステロールや中性脂肪が過剰になるのを抑制。動脈硬化、脳血管障害などのリスクを軽減します。

また、「オレオカンタール」と呼ばれる成分は、炎症や酸化を防ぐ効果があるとされ、認知症の発症予防として知られているのです。

認知症予防効果が注目されている「地中海食」とは

地中海食とは?

「地中海食」とは、イタリアやスペインなど、地中海沿岸部の国々で食べられている伝統料理。この伝統料理は、認知症の予防効果があるとして注目されています。

地中海食の特徴は、以下の通りです。

  • 野菜やフルーツなどの植物由来の物を豊富に取り入れている
  • 肉類は鶏肉がほとんどであり、魚介類の比率が高い
  • 豆類や乳製品などの摂取頻度が多い
  • 地中海料理では、赤ワインを飲むシーンが多い
  • 加工食品、ケーキなどのデザートは少なく、天然由来の食品が多く並ぶ
  • オリーブオイルを使用している

地中海食は、菜食の比率が多く、抗酸化作用の強い赤ワイン、認知症予防効果の報告があるオリーブオイルなど、認知症予防においては有用な食べ物が組み合わされています。赤身肉やトランス脂肪酸などを避けていることから、動脈硬化、脂質異常症のリスク低減にもつながることが期待できるのです。地中海食は、日本人にとってはあまりなじみのない料理ですが、認知症対策としては有用な要素が多く、日々の食生活に取り入れてみることのメリットは多いと言えます。

料理すること自体も認知症の予防に

自分で料理をすることも、認知症予防には効果が期待できるとされています。料理を作る際には、「材料は何が必要か」、「分量はどれくらいか」、「栄養バランスはどうか」など、料理の工程、手法を考えることで、脳を刺激。また、料理を作り上げた際の感動や達成感も、認知症の予防に良い影響を与えます。料理を通して、ストレスの発散、リラックス効果なども得られるのです。

まとめ

高齢化が進む日本では、認知症はすでに他人事ではなく、誰もが発症するリスクを抱えています。認知症の原因については不確かな部分もありますが、日々の生活習慣や食生活が発症率に大きく関連。また、暴飲暴食、多量な飲酒は生活習慣病をはじめ、動脈硬化そして認知症の発症を助長するのです。これらの習慣をできるだけ避け、菜食、魚介類などの食べ物を意識的に取り入れながら、バランス良く食べていくのが健康維持、向上に大きく役立ちます。

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