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認知症サポーターとは?仕事内容や養成講座の内容も解説

「認知症サポーター」とは、認知症の人、及び家族が地域社会でより自立した生活を送ることを支援するボランティアのことです。認知症サポーターは、認知症についての深い理解と、それに対する適切な対応を学んだ上で、地域社会における支援に取り組みます。認知症サポーターは偏見や誤解を取り除き、認知症の人々が地域社会で尊重されながら生きられる環境を作り上げることを目指しているのです。これは、高齢化社会を迎える我々が直面する課題に対するひとつの答えであり、各々が手を差し伸べることで地域全体が包括的なケアを提供できるようになることが目標。認知症サポーターについて詳しく解説します。

認知症サポーターとは

地域をもささえる認知症サポーター

認知症サポーターとは、認知症の人、及び家族に対して正しい知識と理解を持って手助けをする人のことです。

地域や職場で認知症の人に出会ったときに偏見なく温かく見守り、できることから支援することが役割。ボランティア活動で認知症についての知識を学び、それを社会に広め理解を促進することで、認知症の人達が生活しやすい環境を作ることを目指します。

具体的には、認知症サポーターは認知症についての講習会を受け、その症状、影響、対応法について学習。そして、それらの知識をもとに認知症の人達、及び家族が抱える課題、困難に対して理解と支援を提供します。また、認知症サポーターは単にサポートをするだけでなく、認知症に優しい「まちづくり」にも貢献するのです。

認知症サポーターが生まれた背景

政府が認知症サポーター養成に力を入れている理由として、高齢化社会に伴う認知症患者の増加に加え、医療、及び介護業界における人材不足が挙げられます。

高齢化社会

高齢者人口の増加に伴い、認知症を持つ高齢者の数も増加傾向。内閣府の高齢社会白書によれば、2025年(令和7年)までに65歳以上の高齢者のうち、約5人に1人が認知症になると推測されています。

医療・介護の人材不足

医療・介護業界ではすでに人手不足が指摘されており、認知症高齢者の増加に対する対応が課題。これらの認知症高齢者を家族と介護職員だけでサポートするのは困難で、社会全体での支援体制が求められています。

認知症サポーターに期待される5つの役割

上記の理由から、国は2005年(平成17年)より「認知症を知り地域をつくるキャンペーン」を開始し、認知症サポーターの育成に注力。

認知症高齢者及び家族、そして介護従事者が抱える困難を軽減し、認知症高齢者がより自分らしく生活できる環境を作り上げることを目指すようになったのです。

さらに、地域全体での認知症に対する理解と対応力を高め、認知症高齢者の生活の質を向上させることも期待されています。

認知症サポーターに期待される役割と活動

認知症サポーターに期待される役割

厚生労働省は、認知症サポーターに期待する役割として、以下の5つを挙げています。

1認知症に対して正しく理解し偏見をもたない
認知症サポーターの最も重要な役割のひとつは、認知症について正確な知識を身に付け、それを周囲に広めることです。偏見や誤解は認知症の人々を孤立させることがあります。そのため認知症サポーターは、認知症に対する理解を深め、それを周囲に伝えることで偏見を取り除き、認知症の人々が社会に適応しやすくする役割を担うのです。
2認知症の人や家族に対して温かい目で見守る
認知症サポーターは、認知症の人々、及び家族を思いやり理解して支える存在。それは彼らの生活を支援するだけでなく、安心感や信頼感を与えることも含んでいます。
3近隣の認知症の人や家族に対して、自分なりにできる簡単なことから実践
認知症の人、及び家族への気遣いとサポートを通じて、日々の生活に役立つことを提供。例えば、買い物の手伝い、散歩、雑談などです。
4地域と連携して支援のネットワークをつくる
認知症サポーターは、地域内での支援ネットワークの構築と強化に貢献します。地域の組織、団体、企業と協力し、認知症の人々、及び家族を支えるための活動を共同で実施。これには、情報の共有、資源の調整、共同イベントの開催などが含まれるのです。
5まちづくりを担う地域のリーダーとして活躍

認知症サポーターは、地域社会における認知症対策の推進役として、具体的な行動計画の策定や、地域の資源を最大限に活用するための戦略を立案します。地元におけるルール作り、認知症に関する教育と啓発活動に関与することで、認知症に優しい環境を持つ、まちづくりを推進。

認知症サポーターの活動は、地域コミュニティ全体の理解と対応力を向上させ、認知症の人々が安心して生活できる社会を構築するための重要な一環となります。

認知症サポーターの活動

認知症サポーターの活動は多岐にわたり、地域特性や対象者のニーズに応じて実施されています。主な活動としては、認知症の人々とのコミュニケーションを促す「認知症カフェ」(オレンジカフェ)の運営や参画、認知症の人々の安全を見守る活動、認知症の人々の話を傾聴し理解を深める活動、外出支援などです。

さらに、生活に密接な職業を持つ人々も認知症サポーターとしての知識を活用し、それぞれの分野でサポートを提供。これには、警察官、消防士、銀行員、小売業者、公共交通の運営者などが含まれます。

なお、認知症サポーターとしての役割を象徴するオレンジリングは、「手を差し伸べます」という意志を示すリストバンドです。ただし、オレンジリングの配布は2020年(令和2年)をもって一旦終了し、2021年(令和3年)4月以降は認知症サポーターカードへと変更。しかし、一部の組織や企業では、現在もオレンジリングの配布を継続しています。

認知症サポーターになる方法

認知症サポーターになるには、「認知症サポーター養成講座」を受けることが必須となります。

認知症サポーター養成講座

認知症サポート講座

認知症サポーター養成講座とは、認知症について正しく理解をし、地域に暮らす認知症の人、及び家族に対して可能な範囲で手助けをするサポーターになるための講座。約90分の講座を受けることで、認知症サポーターになることができます。

認知症サポーター養成講座は、都道府県・市町村などの自治体、全国規模の職域団体などが実施。地域住民、職域、学校、広域の団体、企業の従事者などが受講対象です。

認知症サポーター養成の講座内容

認知症サポーター養成の具体的な講座は、基本的に認知症サポーター養成講座の専用教材をもとに進められます。ただし、開催主体者が独自のリーフレット等を活用しても良いとされており、自治体によっては一部内容に違いが出る可能性も存在。

認知症サポーター養成講座では、認知症の基本的な知識、認知症の人が抱える問題や困難、認知症の人、及び家族に対する適切な対応と支援方法などを学び、日常生活で直面する困難について理解力を深めていきます。

認知症サポーター養成講座の内容
項目 具体的な内容
認知症サポーター
キャラバンとは
認知症サポーター制度の概要や目的を説明
認知症を理解する① ・認知症の原因や種類、症状を学ぶ
・認知症の人の中核症状(記憶障害、見当識障害、理解・判断力の障害、実行機能障害、感情表現の変化)について理解する
認知症を理解する② ・認知症の診断や治療法について学ぶ
・認知症の経過と専門家との関係について理解する
・成年後見制度や地域福祉権利擁護事業など、認知症の人、及び家族を支援する制度について学ぶ
・認知症予防についての考え方を学ぶ
認知症の人と接するときの心がまえ 認知症の人と対話するときや、困っているときに気を付けることを学ぶ
認知症介護をしている人の気持ちを理解する 認知症介護の現実や課題、家族の心情、悩みについて理解する
認知症サポーターとは 認知症サポーターに期待されることや役割を確認する
認知症サポーターの
できること
地域や職場で認知症サポーターとしてできる活動の例から学ぶ

キャラバン・メイトによる出張講座

「キャラバン・メイト」とは、認知症サポーター養成講座の講師として活動する人のことです。普段働いている人のなかには、認知症サポーター養成講座への出席が難しいケースもあります。そのようなケースに対して、キャラバン・メイトが企業に出向いて出張講座を開催。また、地域で複数人が集まれば、キャラバン・メイトによる講義を受けることが可能です。

認知症サポーター養成の講座費用

認知症サポーター養成講座は、原則無料で受講することができます。自治体や職域団体が実施する養成講座は、行政が費用を負担。ただし、一部の企業や団体では、受講者に対して教材費、会場費などを請求する場合があります。その場合は、事前に受講料、その他の費用について確認しましょう。

また、認知症サポーター養成講座を受けたあとは、「認知症サポーターカード」、「オレンジリング」(認知症を支援する意思を示すリストバンド)などがもらえます。これらは無料で配布されますが、一部の企業や団体では有料で提供する場合があるため、事前に料金について確認が必要です。

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