認知症保険とは?メリット・デメリットやどんな人に必要かを解説
「認知症保険」とは、万が一認知症になってしまったことを考え、事前に備える保険です。認知症に特化した保障内容が特徴で、介護が必要になったときに保険金が給付されます。認知症は、通常の介護よりも時間と費用がかかるケースは少なくありません。なお、老後に備えて、認知症保険に加入する際は、自分に合った条件の商品を選ぶのが重要です。保障内容を理解しておくと、認知症の介護における負担を減らすことも期待できます。
認知症保険とは

認知症保険とは、被保険者が認知症になった際に対応する保険です。主に生命保険会社などの民間企業が販売しており、医師から認知症と診断されると保険金が給付されます。
認知症は要介護度が低くても、周囲のサポートが必要で、通常より費用や時間のかかるケースが多いもの。しかし、身体的な支障が少なく要介護度が小さいと判断されるため、公的介護保険では十分な介護保険サービスが受けられないこともあります。そのため、公的介護保険ではカバーできない状況に備えるのが、認知症保険の役割となっているのです。
認知症保険と公的介護保険の違い
認知症保険と公的介護保険の大きな違いは、「給付される条件」と「給付内容」。公的介護保険は、介護認定を判断されたあとに給付されます。一方、認知症保険は、医師から認知症の診断を受けた際に給付される保険商品が多いのです。認知症保険は、要介護状態にならなくても給付を受けられる点に大きな違いがあります。
また、公的介護保険は介護保険サービスが1割負担で受けられる現物支給に対し、認知症保険は現金で支給。直接的に介護保険サービスが受けられる訳ではありませんが、介護に関する、幅広い用途の出費に対応できます。
認知症保険の保障内容
認知症保険における、保障の対象及び保険金の支払い条件は、保険商品によって様々です。基本的には、特定の条件を満たした際に一時金もしくは年金の形で給付されます。また、認知症保険は「医師により認知症と診断されたとき」が条件になっている、保険商品が一般的。
なお、認知症と診断されたとき以外に保険金が給付される商品もあり、その場合、以下の保障内容が付いていることが多いとされています。
- 骨折をしたときの保険金の給付
- ケガが原因で亡くなった際の見舞金の給付
- 第三者に損害を与えたときの賠償金の給付
なお、保障範囲が広い保険商品には、追加条件が記載されている場合も。加入の際は保障内容だけでなく、給付条件も必ず確認することが大切です。
認知症保険のメリット・デメリット
認知症保険を賢く利用するためには、メリットとデメリットを押さえておく必要があります。自分に適しているかを判断するためにも把握しておきましょう。
メリット
認知症保険のメリットは、以下の3つです。
- 認知症に特化した保障
- 現金で給付してもらえる
- 保障内容が幅広い
認知症保険は、認知症への備えに特化した保険。公的介護保険では対象にならない状態でも、保険金が給付される可能性があります。また、現金で給付されるのも大きなメリット。用途の指定がないため、介護保険外のサービス費、医療費、介護用品の購入費にあてられます。認知症による間接的なケガ、損害に対する保障があるのもメリットです。保険商品によって様々な保障内容に対応しているので、不安な点に絞って対策もできます。
デメリット
認知症保険のデメリットは、以下の2つです。
- 給付金はすぐに受け取れない
- 解約返戻金がない
認知症保険は認知症と診断されたのち、即座に給付されない保険商品がほとんど。給付には「一定期間介護が必要な所定の状態にある」などの条件があり、認知症と診断されてから給付までに、半年間ほどかかります。そのため、入院などが原因で認知症を発症し、急にお金が必要になった場合でも、即対応できない可能性があるのです。
また、ほとんどの保険商品は「掛け捨て保険」となるため、解約をしても支払ったお金は戻ってきません。さらに、保障期間内に認知症にならなかった場合も、同じく支払ったお金が無駄になってしまうことは覚えておく必要があります。
認知症保険への加入におすすめの方
認知症保険への加入は、以下のような方におすすめです。
- 将来的に介護費用が足りるか不安な方
- 家族の介護負担を軽減したい方
- 親の認知症介護が心配な方
認知症保険は、現金支給で保障されている保険商品が多く、状況に合わせて利用できます。預貯金、年金支給額の少ない方は、認知症保険を利用すると経済的な余裕をもって老後の生活を送れることが多いのです。
また、家族にかかる介護負担を軽減したい方にも適しています。認知症の介護は、通常よりも介護を必要とする時間と費用が多く、家族に身体的、経済的な負担が生じるケースが少なくありません。認知症保険による保険金があれば、介護保険外のサービス利用によって、家族にかかる負担を軽減できるのです。
さらに、自身だけでなく、親が認知症になった際の保障をする保険商品もあります。そのため、親に介護が必要になったときに不安がある方にもおすすめです。
認知症保険を選ぶときのポイント
認知症保険は、保険商品及びプランごとに保障内容が異なります。加入を検討する際は、保障内容と保険料のバランスを見て、自分の条件に合った内容であるかを把握することが重要です。
保障の対象となる認知症の種類

認知症には、様々な種類が存在。認知症保険を選ぶ際は、どのタイプの認知症になった際に保険金が給付されるのかを確認しておくのが重要です。軽度の認知症でも保障が適用になるかなど、どこまでの症状が保障範囲なのかを事前にしっかりと把握しておきましょう。
保障の条件
認知症保険の保障条件は、保険商品によって異なります。医師から認知症と診断される以外に、「要介護1以上の認定を受けている」などの追加条件がある場合も存在。診断以外の条件がないかも、しっかり確認しましょう。
受取方法(一時金型、年金型 )
認知症保険の受取方法には「一時金型」と「年金型」があります。一時金型は、保障の条件を満たした際に一括で保険金を受け取る方法。一方の年金型は、月々に決まった保険金が給付されます。
一時金型は施設の入所費、住宅改修費(介護リフォーム費)のように介護初期の際の費用負担へ使われることが多いとされ、年金型では、月々の介護費用の支払いなどに利用されているのです。
保障の範囲
認知症保険は、商品によって保障される範囲が異なります。ケガによる死亡保障、入院・手術が必要なときの保障まで様々。認知症は直接的な症状だけでなく、他人に損害を負わせてしまうリスクなどがあります。そのためにも保障範囲の広い商品を選んでおくと、不測の事態にも対応可能です。
認知症保険に加入したら家族へ伝える
認知症保険に加入したら、家族に伝えておくのが大切。認知症になると判断能力が衰えてしまい、自身で保険金請求の手続きができない場合があります。認知症になった際に、自分以外の人が保険金を請求できるように、「指定代理請求人」を設定しておきましょう。保険会社ごとに違いはありますが「被保険者の戸籍上の配偶者」、「3親等以内の親族」の方を指定代理請求人として指定でき、保障期間内ならば何度でも変更できます。
まとめ
認知症保険に加入することで、認知症に特化した備えができます。なお、認知症保険の内容を検討する際は、認知症の種類及び程度、給付条件など具体的なポイントを確認してから、最適なプランを見極めることが重要です。また、保障範囲が認知症の介護に適しているか、自身及び家族の生活スタイルに合っているかも考慮して、認知症保険の商品を慎重に選びましょう。