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一人暮らしの家族が認知症になってしまったら?利用できる支援や介護サービスを紹介

もしも一人暮らしをしている高齢者の家族が認知症になってしまったら、これまで通りの暮らしが困難になるかもしれません。認知症になると様々な症状が出現し、日常生活におけるリスクが非常に高くなってしまうのです。また、大きなケガや事故、事件につながることも考えられます。「一人暮らしの家族が認知症になってしまったら?利用できる支援や介護サービスを紹介」では、認知症の人が一人暮らしをする際に起こるトラブル、家族の対応、利用できるサービスなどについて解説。一人暮らしをしている家族に不安を抱えている方は、参考にしてみましょう。

認知症の方の一人暮らしによるトラブル

行方不明などに繋がる

認知症の人が一人暮らしをする場合、トラブルは家庭内だけでなく、家庭外にまで及びます。認知症の主な症状は、記憶障害、見当識障害、思考力の低下、遂行機能障害(すいこうきのうしょうがい:物事を順序立てて遂行する能力の低下)など。

これらは認知症のなかでも中核症状と呼ばれます。この中核症状に加えて不適切な環境、本人が抱える不安の影響により、妄想や幻覚、暴言、暴力、徘徊などの「周辺症状」も出現。これらの症状によって、日常生活で多くのトラブルを起こす可能性が高いのです。

火の不始末

認知症になると、記憶力や注意力が低下してしまい、ガスコンロの火の不始末、暖房器具の付けっぱなしなどを引き起こしてしまうことも。火災により、命を落としてしまう危険性が大きいため、最も危険なトラブルのひとつなのです。

行方不明や事故

認知症による見当識障害、徘徊の症状は、行方不明や事故につながることがあります。見当識障害があると、外出時に現在の場所が分からなくなり、道に迷ってしまう可能性が存在。また、無目的な徘徊を深夜に行い、帰れなくなることもあるのです。さらに、これらが要因で交通事故の被害のリスクも高まります。

金銭トラブル

認知症の影響により、自らの金銭管理ができなくなるケースは少なくありません。生活費の管理が困難になると、賃料、光熱費の滞納、不必要な物への過剰な支払いなどが発生。また、悪質な詐欺商法に騙されてしまう可能性も大きいのです。

食生活の乱れ

認知症になると、食べたことを忘れてしまうことによる過剰なカロリー摂取や、自己管理ができないことによる栄養失調、水分摂取の乏しさによる脱水などが起こりやすくなります。食生活の乱れは、病気などの引き金になり、生活の自立度を下げてしまうのです。

近所トラブル

周囲に住む人たちから、認知症に対する理解が得られていないと、近所トラブルになることもあります。物を盗られたとの妄想により近所の方を疑ったり、深夜に徘徊して騒ぎ立てたり、さらには、周囲に暴言や、暴力を振るってしまうことなどが起こりえるのです。

一人暮らしの家族の認知症に気づいたら

一人暮らしをしている家族の認知症に気づいたら、できるだけ早期に対応することが重要になります。

かかりつけ医や医療機関に受診する

まずは早急に受診を

認知症は早期発見が大切。発症後、即対応することで、症状の進行を抑えることに繋がります。

まずは、かかりつけ医や医療機関を受診し、認知症であるかどうかの診断をしてもらう必要が存在。

これは、認知機能の低下が、他の脳における疾患でも出現することがあるためです。そのため異変を感じたら、まずは早急に受診をさせましょう。

要介護認定を申請する

認知症と診断された場合、「要介護認定」を申請すると、介護保険制度による介護保険サービスを利用することができます。申請により、要支援1~2もしくは要介護1~5までの要介護度が決定。なお、要介護度は、数字が大きいほど症状が重い状態を示し、利用可能な介護保険サービスの種類、補助を受けられる金額が異なるのです。

また、要介護度認定は、市区町村の職員による実態調査、コンピューターによる判定、専門職達による話し合いを経て決定。そのため、要介護認定の申請をしてから、要介護度が決定するまでに、最長で1ヵ月ほどかかります。

認知症についての相談先

認知症の一人暮らし家族について悩んでいるのであれば、専門家に相談をしましょう。専門家に相談をすることで、最適な対処が可能となり、その後の負担も軽減されます。

地域包括支援センター

地域包括支援センターへ相談

「地域包括支援センター」は、市区町村が運営する介護の窓口です。地域包括支援センターでは、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員など様々な専門スタッフがチームを組み、相談者一人ひとりに合わせた支援を提供。なお、地域包括支援センターの利用対象者は、65歳以上の高齢者ですが、その家族も相談することが可能です。

また、介護以外にも成年後見制度の手続き支援、高齢者の迷惑行為に対する解決など幅広い対応を行っています。

公益社団法人 認知症の人と家族の会

「公益社団法人認知症の人と家族の会」は、認知症の方々を支える家族が、互いの経験を共有して助け合い、励まし合う場を提供するために設立された機関です。現在、全国の47都道府県に支部を持ち、広く活動を展開しています。認知症の方を介護する家族だけでなく、認知症患者本人、関心のある一般の方々も参加することが可能。なお、認知症の人と家族の会では、電話相談の受付も行っています。

全国若年性認知症支援センター

「全国若年性認知症支援センター」は、2018年(平成30年)4月に設立され、若年性認知症に関する知識を広め、啓発活動を行う機関です。なお、都道府県や指定都市に設置されている相談窓口から、必要な支援を提供しています。

認知症疾患医療センター

「認知症疾患医療センター」は、認知症に関する詳しい鑑別、相談、認知症患者本人と家族の不安軽減に向けた支援を行っている医療機関。認知症に詳しい専門スタッフに相談できるだけでなく、介護施設との連携にも対応しています。かかりつけ医がいるのであれば、相談して認知症疾患医療センターへの紹介状をお願いしましょう。

もの忘れ外来

「もの忘れ外来」とは、認知症とされる症状が、加齢に伴う単なる物忘れなのか、認知症による症状なのかを判別する専門の医療機関です。物忘れが増えることで、認知症ではないかと不安に思う方もいますが、すべてが認知症の症状とは限りません。誰しも加齢に伴い脳の機能は衰えてしまうため、認知症とは関係なく物忘れをしてしまうことはあるのです。

もの忘れ外来にて正式な診断を受けることで、認知症でないことが分かれば、不安の解消に繋がります。もし、認知症にかかっていたのであれば早期の発見に繋がり、早い段階から治療を受けて症状の緩和も期待できるのです。

利用できるサービス

一人暮らしの家族が認知症になった場合に備えて、前述の介護保険サービスの利用だけでなく、他にも支援サービスがあることを知っておきましょう。

日常生活自立支援事業

支援サービスを受ける

「日常生活自立支援事業」は、障害を抱えた人が地域で自立した生活を送ることを目的とした支援事業で、認知症の方も対象となります。日常生活自立支援事業では、障害を抱えた方に対し、以下のようなサポートを行っているのです。

  • 介護保険制度利用時のサポート
  • 賃貸や住民票の届出など行政手続きのサポート
  • 家賃や光熱費の支払い、金融機関からの金銭の引き出しといった基本的な金銭管理
  • 金融機関、年金に関する重要書類の預かり
  • 日常生活における見守りサポート

見守りサービス

「見守りサービス」では民間企業が運営する、離れて住む一人暮らしの高齢者を家族に代わって見守り、トラブルの際には対応を行うサービス。見守りサービスにはいくつかの種類があり、「訪問型」、「カメラ型」、「センサー型」、「宅配型」、「オート電話・メール型」などを使用しています。訪問型では、スタッフが利用者の家を直接訪問して安否確認を行います。その他の見守りは以下の通りです。

  • カメラ型
  • 利用者の自宅にカメラを設置し、生活状況を確認します。

  • センサー型
  • 自宅にセンサーを取り付け、センサーに感知した場合や、一定期間センサーに感知がないときに家族へ連絡のいくシステムです。

  • 宅配型
  • 食事、郵便物などを家に届けるサービスと並行して、利用者の安全確認をします。

  • オート電話・メール型
  • 定期的な電話とメールを行い、利用者の安否を確認するサービスです。

まとめ

一人暮らしの家族が認知症になった場合は、火の不始末や金銭問題、近所迷惑など、沢山のトラブルが発生してしまう可能性があります。そのため、地域包括支援センター、医療機関にて早急な相談、診断を受けましょう。

また、介護保険サービスや日常生活自立支援事業を利用することで、生活のサポートを受けることができ、負担軽減にも繋がります。いざというときにすぐに対応できるよう、日頃から相談先や利用可能なサービスについて学んでおくべきなのです。

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