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認知症の方が歯みがきを拒否したときの介助・対応方法

認知症の方は、歯みがきがなぜ必要なのか、またはどのように行うのかを理解するのが難しくなり、歯みがきを拒否することがあります。拒否が強い場合、家族の介助では歯みがきが行えないケースは少なくありません。高齢者に多く見られる認知症は、思考力や意欲を低下させてしまうため、生活に必要な整容動作に対して拒否してしまうのです。認知症の方の介護では、このような拒否行動に悩まされることが多くあります。認知症の方が歯みがきを拒否する理由や、拒否した際の対策方法について解説しているため、認知症の方の介護に悩んでいる方は参考にしていただけます。

認知症の方が歯みがきを拒否する理由

認知症の方が、歯みがきを拒否してしまう理由を確認しましょう。なぜ認知症の方が歯みがきを拒否するのか、どのような感情で拒否しているのかを理解しておくことで、より適切な介助をすることができるのです。

歯みがきの必要性を理解できない

認知症の方は判断力、様々な物事に対する意欲が低下してしまいます。そのため、そもそも歯みがきをすることの必要性が分からなくなっている可能性があるのです。歯みがきを家族が執拗に促したり、無理に口に歯ブラシを入れようとしたりしても、必要性を感じていない本人は簡単に受け入れないでしょう。

「歯みがき」そのものが理解できていない

歯みがきのことがわからない

認知症による理解力の低下が進行することで、歯みがきという日常生活動作自体が理解できなくなっている可能性もあります。

周りの方が歯みがきを促しても、歯みがきが何のことなのか分かっていなければ、本人は歯みがきの動作をすることができません。また、家族が歯みがきの介助をしようとしても、何をされるのか不安を感じると、簡単には受け入れないでしょう。

何をされるのか分からず不安を感じてしまう

認知症の方は、歯みがきそのものが理解できないことがあり、歯みがきをしようとしても、不安や恐怖心を感じます。そのため、歯みがきの介助をする人からの説明や、声かけが少ないと、これから何をされるのか分からなくなり、歯みがきに対して良い感情を抱かないのです。

口腔内に痛みがあるが上手く伝えられない

認知症の方は、口腔内に痛みを感じていてもそれが伝えられず、歯みがきを拒否している可能性があります。口腔内は人間にとってデリケートな部分。認知症の方は思考力が低下しているため、自身の考えをまとめることや、適切に気持ちを伝えることができず、拒否するという表現をしてしまう可能性もあるのです。

歯みがきを拒否されてしまったときの対応方法

歯みがきを拒否する方の介助を行うためには、適切な対応方法を理解しておく必要があります。認知症の方の特徴を理解した上で、工夫しながら促しや介護をすることで、スムーズな歯みがきの介助が可能です。

一緒にやってみる

適切な声かけが大切

ひとつ目の対応方法は、一緒にやってみることです。歯みがきの動作は、言葉での説明が効果的なこともありますが、言葉だけでは理解できないケースも少なくありません。

その場合、動作を実際に見せながら説明した方が、認知症の方には理解しやすいこともあるのです。介助する人が歯みがきの動作を一緒にやってみることで、認知症の方は「自分がしていることは間違いではない」と理解でき、安心感につながります。

ひとつずつ動作について説明する

2つ目の対応方法は、ひとつずつ動作について説明することです。認知症の影響により、歯みがきの手順が分からなくなっている可能性があります。加えて、介助する人が動作をまとめて説明してしまうと、思考力の低下した方には難しくて理解することができないこともあるのです。

介助する人が歯みがきの動作をひとつずつ分割して、説明を行い、ひとつひとつの動作を見守るといった対応が効果的なこともあります。認知症の方の歯みがきは、相手のペースに合わせて促すことが大切。相手が理解できるペースに合わせて、介護や促しを行いましょう。

声のかけ方を工夫する

3つ目の対応方法は、声のかけ方を工夫することです。介助される認知症の方が安心できる、これから何をするのか分かるような声かけをしましょう。「これから歯をきれいにしますね。よろしくお願いします」など丁寧に伝えます。

歯みがきをすることを伝えないまま「口をあけて下さい」など無理強いするような声かけをすると拒否につながることもあるのです。これから歯みがきをすること、はみがきにはどれくらい時間がかかるのかも伝えておくと、相手が不安や恐怖心を感じにくくなります。

機嫌が良いときなど声かけのタイミングを変えてみる

4つ目の対応方法は、機嫌が良いときなど声かけのタイミングを変えてみることです。歯みがきをするときは、声かけのタイミングも意識する必要があります。

機嫌の悪いときや、別のことに集中しているときに歯みがきの声かけをしても、本人は歯みがきを拒否してしまうかもしれません。機嫌の良いときに声かけをする、気分が落ち着いているときに行うなど、工夫が必要。歯みがきのタイミングは固定せず、できるタイミングで行うことが大切です。

難しい場合は介護のプロに頼ろう

介護保険サービスを利用することで、在宅での「口腔ケア」を受けることができます。口腔ケアは、歯科医師の指示のもと、歯科衛生士が自宅に出向き、サービス利用者の歯みがきを行ってくれるもの。口腔ケアとは単に口腔内の清掃をするだけではありません。口腔のストレッチやリハビリまで、歯科衛生士が行ってくれるのです。また、介護士が家に出向く訪問介護、通いで介護が受けられる通所介護を利用することで、介護士の介助の下、口腔ケアを受けることもできます。

このようなサービスを使うためには、まずは介護認定を受けることが必要。認知症の家族がいるのであれば、市区町村の窓口で介護認定の申請を行いましょう。認定を受けたのちは、ケアマネジャーに口腔ケアの支援を受けたい旨を相談し、サービス利用に向けた手続きを行います。

まとめ

認知症の方は、歯みがきの必要性を理解していないことや、何をされるのか分からないことによる恐怖心、口腔内に痛みがあることを上手く伝えることができず、口腔ケアを拒否することがあるのです。認知症の方が歯みがきを拒否した場合、声かけやタイミングを工夫することで、解決につながることがあります。しかし、いくら工夫をしても、家族の力だけではどうしようもないこともあるでしょう。そのようなときは無理をせず介護保険サービスを利用することをおすすめします。プロにお願いすることで、適切な口腔ケアや家族の介護負担の軽減につながるでしょう。

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