老人ホームにおけるレクリエーションの目的は?期待できる効果を解説
「老人ホームにおけるレクリエーション」は、身体機能の維持や認知症予防、社会性の促進など高齢者の方における、生活の質を向上させるための重要な役割を果たしています。高齢者向け施設選びの際には、レクリエーションの充実度や内容を考慮することで、より豊かな老後生活を実現できる可能性が高まるのです。「老人ホームにおけるレクリエーションの目的は?期待できる効果を解説」では、介護施設でのレクリエーションの目的や効果について、具体的に見ていきましょう。
老人ホームにおけるレクリエーション

老人ホームにおけるレクリエーションとは、心身の健康維持を目的とした活動です。施設内で行われる運動や遊びなどが含まれ、脳の活性化、身体機能の向上、入居者同士のコミュニケーション力の促進が期待できます。
身体を動かす機会が減っていく高齢者の方にとって、機能訓練としての側面も持つレクリエーションは、重要なサービスのひとつ。施設ごとに様々なレクリエーションが行われているため、レクリエーションの内容にも注目して施設を選びましょう。
老人ホームにおけるレクリエーションで期待できる効果

老人ホームにおけるレクリエーションでは、以下のような効果が期待できるのです。
・脳の活性化
・身体機能の維持・向上
・コミュニケーションの促進
・生活の質の向上
なかでも、手は「第二の脳」とも呼ばれており、手先を動かすことによって脳血液量が増加し脳が活性化したとの研究結果も報告されています。外出機会が減りやすい環境下でも、レクリエーションによって手先や体を動かすことで、身体機能の維持・向上を期待できるでしょう。
また、複数人で行うレクリエーションは、入居者同士のコミュニケーションを促進し、孤立感を減らすことが可能。日々の生活に楽しみや刺激が加わることで、全体的な生活の質が向上するのです。
老人ホームで行うレクリエーションの種類
老人ホームで行われるレクリエーションの種類は、以下の通り4つに分けられます。
身体を動かすレクリエーション
「身体を動かすレクリエーション」は、高齢者の健康維持に欠かせません。激しい運動ではなく、座ったままでもできる軽い体操や運動を中心に行います。身体を動かすレクリエーションの例とその効果は、以下の通りです。
レクリエーション名 | 遊び方 | 期待できる効果 |
---|---|---|
ピンポン玉送り | ピンポン玉をスプーンですくって容器へ移す | 手先の運動と集中力の向上 |
棒サッカーゲーム | 手に持った棒を用い、相手のゴールにボールを打つ | 腕力、反射神経、動体視力の維持 |
ペットボトルボウリング | 通常のボウリングと同じルールで、座ったまま行う | 足と腕の筋肉を鍛えられる |
ボール渡し | 紙コップの上にボールを乗せ、落ちないように次の人へ渡す | 身体運動と脳のトレーニングを同時に行える |
バトンつなぎゲーム | 順にバトンを渡していき、音楽が止まった際にバトンを持っていた人が負けとなる | 握力の維持 |
これらのレクリエーションは身体機能の維持だけでなく、楽しみながら行われることでストレス解消にもつながり、メンタルケアの効果も期待できます。
脳を動かすレクリエーション
「脳を動かすレクリエーション」では、手先の器用さや思考力を使う活動が中心であり、認知機能の維持・向上の効果が期待。脳を動かすレクリエーションの例とその効果は、以下の通りです。
レクリエーション名 | 遊び方 | 期待できる効果 |
---|---|---|
連想ゲーム | 問題に沿った言葉を連想して紙へ書きだしていく | 思考力の向上 |
野菜の重さ当てクイズ | 野菜を持ち重さを当てる | 思考力と五感を刺激 |
暗記ゲーム | 複数のイラストを定められた時間内で暗記し、何が描かれていたかを答える | 記憶力を鍛える |
漢字・カタカナ変換 クイズ |
漢字とひらがなで外来語を表現し、もとのカタカナ語を推測する | 想像力を養える |
間違い探しゲーム | 2つの絵を並べて、違いを探す | 認知機能の維持 |
音楽を用いたレクリエーション
「音楽を用いたレクリエーション」は、認知機能や身体機能、精神面をバランス良く刺激します。音楽のリズムに合わせて体を動かすことによって筋肉を使うため、身体機能の向上にもつながるのです。
また、懐かしい曲を聴いたり、歌ったりすることで聴覚が刺激されると同時に、過去の思い出への振り返りにもなるため、心に良い影響をもたらすことも。音楽には、癒しの効果もあるため、ストレス解消やメンタルケアにも、役立つレクリエーションとされています。
みんなで楽しむレクリエーション
「みんなで楽しむレクリエーション」を行うと、自然に入居者同士で会話が生まれ、人とのつながりを感じやすくなるのです。また、コミュニケーションが促進され、孤立を防ぐことも。みんなで楽しむレクリエーションには、以下のような例があります。
レクリエーション名 | 遊び方 | 期待できる効果 |
---|---|---|
糸電話伝言ゲーム | 糸電話を使って伝言し、最後の人まで正確に伝える | 協調性やコミュニケーション力を維持 |
紙コップリレー | 棒の先に紙コップをはめ、落とさないように、棒を使って紙コップを渡していく | 集中力と器用さを維持 |
連想衰弱 | 問題を連想させる単語を書いたカードを各チームに配り、1枚ずつめくってより少ない数で問題を当てたチームが勝つ | チームワーク |
回想ゲーム | 「子どもの頃よく遊んだ場所は?」のように昔の思い出を質問カードとして作り、カードに書かれた質問に答える | 認知機能の維持 |
体力が衰えてくると、自然と外出の機会や人とのかかわりが減少。その影響により、認知機能の低下や孤立感を引き起こし、認知症やうつ病を招く恐れがあります。そのため、集団で行われるレクリエーションは、心身ともに健康を目指す方法として非常に重要なのです。
老人ホームのレクリエーションは参加必須?

いずれの老人ホームでも基本的に、様々なレクリエーションが実施されています。レクリエーションへの参加は必ずしも強制ではなく、体調が悪いときや気分が乗らない場合は、無理に参加しなくても良いでしょう。
また、たびたびレクリエーションへの参加を拒否する場合、子ども扱いされているようで嫌だという心理的な理由や、認知症の進行による意欲低下などが背景にあることも考えられます。このような状況が続く場合は、家族から施設へ相談しましょう。レクリエーションの目的や意義を理解し、なるべく自主的な参加を促すことが理想と言えます。
レクリエーションが充実している老人ホームを選ぶ?
レクリエーションの充実度を老人ホーム選びの基準にするかどうかは、入居者本人の性格・希望に基づいて判断すると良いでしょう。社交的で活動的な生活を望む方や、身体を動かすことが好きな方にとっては、レクリエーションの充実した施設が向いています。
一方で、ひとりの時間を大切にしたい方やコミュニケーションが苦手な方の場合、レクリエーションの充実度は優先順位として低くなるもの。このように、老人ホーム選びでは、個人の生活スタイルを尊重することが大切です。
レクリエーションの内容も老人ホーム選びの参考に
老人ホームでのレクリエーションは、心身の健康維持と生活の質向上に欠かせません。身体を動かす活動や脳を刺激する遊び、音楽を用いた楽しみなど、様々な種類があります。そのため、レクリエーションへの参加は、認知機能の維持や身体機能の向上、社会性の促進につながるはずです。ただし参加は強制ではないため、個々の状況や希望によって柔軟に対応しましょう。
また、老人ホームを選ぶ際は、レクリエーションの充実度も検討項目のひとつです。「ホームメイト介護」では、施設レポートや口コミ、写真などから、各施設の雰囲気を知れます。ご自身や家族に合った理想の老人ホームを見付けるために、ぜひご活用ください。