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親の介護が限界!原因や対処法を解説

親の介護が限界でしんどいと感じるときは、介護の負担を減らし、心と体を休ませることが大切です。とはいえ、親の介護を続けていると、「心身ともに限界でしんどい」、「あとどのくらい続くのか先が見えない」と悩む方は多いのではないでしょうか。親の介護が限界でしんどいと思う原因、限界になったときに起こりうること、介護が辛くなったときの対処法を紹介します。

親の介護をしんどいと思う原因

介護に疲れている人は多い

親の介護をしんどいと思う原因は、主に精神的、肉体的ストレスです。環境や体調、人間関係など、あらゆるストレスが強すぎると、心と体に不調が出始めます。

親の介護が限界でしんどいと思う主な原因は、以下7つです。

1肉体的な負担が大きい

在宅介護では、ベッドからの起き上がり、食事、排泄、入浴などの介助(かいじょ)をしなければなりません。

親が寝たきりや意思の疎通が取れない場合、介護者の足腰に大きな負担がかかります。そして、24時間介護を続けていると、疲れが蓄積して足腰に痛みが出てくるケースも。

自分の体をケアする余裕がなければ、痛みによるストレスによって、しんどさを感じてしまうのです。

2生活リズムが乱れている

生活リズムの乱れは、親の介護をしんどいと思う原因です。介護をしていると深夜の排泄介助のために、睡眠が十分に取れないケースがあります。

さらに、親の徘徊や脱走などがあれば、夜中でも探しに行かなければなりません。睡眠不足のために気が休まらず、疲労によるイライラが増強する可能性があります。

3ひとりで抱え込んでいる

親の介護をしんどいと思っていても、周りに協力してくれる人や相談できる人がいない場合、ひとりで抱え込んでしまいます。

親の介護は、同居や近くに住んでいる家族に偏りがちです。また、兄弟によって負担の大きさが異なるケースも。身内が協力してくれないと、中心となる介護者は「なぜ自分だけが」と不満を感じやすくなります。

4心理的な距離が近い

親の介護がしんどいと思うのは、親との心理的な距離が近いからです。小さなことが受け流せず、きつい言い方をしてしまった、と感じる方も多いのではないでしょうか。親が元気だった頃を知っている分、苛立ちや悲しさを感じ、親の老化を受け入れにくくなります。

また、介護を受ける親が介護者に対して不満や苦情を口にする場面も。介護者は責められているように感じ、ストレスが溜まっていきます。

5自分の時間を確保できない

介護のために自分の時間を確保することが難しい場合も、しんどさを感じる原因です。家族構成や親の体調などによっては、自分ひとりで24時間、親を見守らなければならないケースが出てきます。

ときには、引越しや転職、退職などを検討しなければならないことも少なくありません。子育てや仕事があれば、自分のために使える時間が取れず、ストレスが溜まります。

6介護に終わりが見えない

「いつまで続くのか先が見えない」という先行きの不透明さは、介護のしんどさを感じる理由のひとつです。

寝たきりや意識障害がある親の介護を続けていると、介護の終わりは「亡くなること」と結び付けてしまいがち。そのため、介護のしんどさから解放されたい気持ちとは裏腹に、親に対する罪悪感を持ってしまうのです。

7経済的な余裕がない

経済的な余裕がない場合、親の介護をしんどいと思うことがあります。親を在宅で介護するためには、おむつや清拭剤などの消耗品、介護ベッドや車椅子など、多くの介護用品が必要です。医療処置が必要な場合、経済的な負担が大きくなります。

また、介護のために仕事を辞めたり、介護休暇を取得したりすることで、より家計を圧迫。介護費用の負担、収入の減少は、大きなストレスにつながります。

親の介護が限界になったときに起こりうること

限界になったときに起こりうること

親の介護が限界でしんどいと感じる強さは、人によって大きく異なります。ストレスへの反応は、受け止める人の体質や性格、考え方などに左右されるためです。

親の介護が限界になったときに起こりうることは、以下の2つです。

1介護うつ状態になる

親の介護が限界に達すると、介護うつ状態になる可能性があります。介護うつの主な症状は、以下の通りです。

  • 食欲不振
  • 睡眠障害
  • 疲労感
  • 焦燥感など

他にも、「考えがまとまらない」、「やる気が起きない」、「趣味や好きなことを楽しめない」などの症状が現れます。真面目な人ほどストレスに弱く、疲れやすいものです。

介護を続けていると、誰でも介護うつになる可能性があります。疲れている自分を否定せず、まずはありのまま受け止めてみることも肝心です。

2要介護者への虐待につながる

親の介護が限界に達すると、虐待につながる可能性は少なくありません。厚生労働省の調査では、高齢者の世話をしている家族や親族、同居人による虐待相談、通報件数は、年々増加傾向です。

養護者による高齢者の虐待相談と
通報件数
養護者による
高齢者虐待の
相談・通報件数
2019年
(令和
1年)
34,057件
2020年
(令和
2年)
35,774件
2021年
(令和
3年)
36,378件

厚生労働省養護者による高齢者虐待の相談・通報件数と虐待判断件数の推移」)

なかでも、虐待を受けた人の約55%に「認知症の症状」があり、さらに虐待者の「介護疲れ・介護ストレス」(約52.4%)、「精神状態が安定していない」(約48.7%)という結果が出ています。

なお、虐待者の続柄は息子が38.9%と多く、続いて夫22.4%、娘19.0%となっており、半数以上が男性の介護者です。仕事をしていた男性が、慣れない介護によってストレスを感じ、虐待に発展すると考えられています。

親の介護が辛くなったときの対処法

介護に行き詰まったときの対処法

親の介護に行き詰まることは、誰にでも起こります。介護うつや虐待などへ発展しないために、周囲の力を借りて未然に防ぐことが大切です。

親の介護が辛くなったときの対処法は、以下の7つの方法があります。

1「何がしんどいのか」を自覚する

まずは、自分にとって何がしんどいのか、疲れの原因を考え、自覚しましょう。毎日我慢し続けていると、本当の気持ちを感じにくくなります。

そのため、「夜の排泄介助が辛い」、「食事の介助に時間がかかって他のことが何もできない」という風にしんどい理由を探り、介護者として変えられること、変えられないことを分けて考え、自分で工夫できる点を介護に取り入れてみれば、辛さが和らぎます。

2同じ悩みを持つ人と交流する

同じ悩みを持つ人と交流するのもひとつの方法です。「家族の会」や「介護講習会」など、相談できる地域の施設は数多く存在。ストレスや介護の辛さを分かち合うことで、気分がスッキリし、解決法を見つけることもできます。

3民間企業のサービスを利用する

民間企業の介護サービスには、宅食や家事代行、外出先への付き添い、訪問理容などがあります。親の介護でしんどいと感じることを外部に任せることは、有効な手段です。ただし、民間企業のサービスは介護保険外になるため、継続して利用するのが難しい場合は、負担にならない程度で利用しましょう。

4専門家に相談する

親の介護が辛くなったときは、ひとりで抱え込まず、専門家や専門機関に相談するのがおすすめです。しかし、介護保険制度は複雑なので、自身で理解しサービスを選択するのは難しいと言えます。

そのため、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センター、居宅介護支援事業所に相談しましょう。また、デイサービスやショートステイなどのサービスを利用すれば、自分の時間を確保でき、気持ちにゆとりを持つことができます。

5介護サービスを利用する

介護サービスを利用すれば、介護の負担が軽減されます。介護サービスには、ホームヘルパーが居宅を訪れる訪問サービスや、デイサービス、ショートステイなどの通所サービスなどがあります。

ただし、介護サービスを利用するには、「要介護認定」を受けていなければならないケースが大半です。もし、要介護認定を受けていない場合は、市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談することをおすすめします。

6レスパイトケア入院を利用する

レスパイトケア入院とは、介護者の介護疲れや辛さの軽減を目的とし、代理の機関や公的サービスなどが介護者に代わって一時的に介護を行うことです。

レスパイトケア入院は、介護者が休息する以外にも、病気や入院、出産、冠婚葬祭、旅行などで在宅介護が困難な場合にも受け入れ可能となっています。1回の入院期間は原則14日以内。親の介護はしばらく専門家に任せることで、介護者は普段頑張っている心身をゆっくり休めることができるのです。

7介護施設の入居を検討する

介護の辛さを軽減する方法に、介護施設の入所があります。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院

介護認定の要介護度によって、上記の施設いずれかが利用可能。親の介護は大切ですが、介護者自身の健康や生活、仕事を守ることも重要です。親の希望を聞いたり、家族と話し合ったり、専門家に意見を聞いたりして、後悔しない手段を選びましょう。

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