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親の介護と自分の仕事・生活を両立する方法は?ポイントを解説

元気に過ごしていた親が病気やケガで介護状態になったときに、子どもは親を家で介護したり、施設に預けたりする必要があります。しかし、親の介護が始まると、仕事、私生活との両立、介護にかかるお金の問題などで精神的な問題が出てくることは否めません。親の介護と自分の生活を両立する方法を、時間、費用、ストレスに分けて、詳しく解説します。

親の介護と自分の生活を両立する方法(時間編)

親の介護

親が介護状態になると、どうしても自分の仕事や私生活の時間に影響が出ます。

厚生労働省の「国民生活基礎調査の概要」によると、介護者の介護時間について、在宅で介護している人は「必要なときに手を貸す程度」が最も高く、「ほとんど終日」、「2~3時間程度」の順となっていますが、要介護度が上がるにつれて「ほとんど終日」の割合が高くなり、介護負担が増える結果となりました。

また、生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」では、介護期間は平均5年1ヵ月となっており、4年以上介護している人の割合は5割以上。このことから、介護によって自分の仕事や私生活への影響は避けられないことが分かります。

ここでは、どのようにして親の介護時間を確保し、自分の生活を両立すれば良いのかについて、まとめました。

介護休業制度を利用する

介護休業制度とは、様々な理由で2週間以上の「常時介護」が必要な家族(配偶者、父母、配偶者の父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫)を介護する場合に取得できる休暇です。

育児介護休業法で定められている制度で、育児休業制度と同様に仕事を休んで介護に専念できます。休業中には、休業開始時賃金月額約67%の「介護休業給付金」が支給されて、対象家族1人につき3回、通算93日まで休業可能です。

働いている会社の介護支援制度を利用する

会社のなかには、介護による離職を防止するための対策を行っている会社が増えています。例えば、東京都産業労働局によれば、ある企業では、従来の介護休業制度の休業期間を最大3年間まで取得可能としていたり、介護休暇を有給で取得できたりする支援制度を導入。

その他にも、国の制度だけではなく、会社独自で従業員の介護を支援している会社もあるので、勤務している会社に介護支援制度があれば、積極的に利用しましょう。

ショートステイを利用する

ショートステイは、介護認定を受けている方であれば、介護施設に1泊から最大30日間預けられるサービスです。仕事との両立が難しい場合には、親を定期的にショートステイに預ければ、自分の時間を確保できます。

親の担当ケアマネジャー(介護支援専門員)に相談し、ショートステイの申込みをすれば利用可能。親のいない時間にリラックスした時間を取れたり、友達と旅行に行ったり、じっくり仕事に取り組んだりすることができます。

親の介護で時間に余裕がなくなると、精神的な負担も増えていくため、ゆっくりできる時間を積極的に取ることが大切です。

親の介護と自分の生活を両立する方法(費用編)

費用を確保

介護費用は、要介護度によってかかる費用に幅があります。介護保険の自己負担割合は基本的に1割負担で、親本人の所得が一定以上になると2~3割を負担しなくてはなりません。

介護費用が親の貯金や年金内で収まれば問題ありませんが、親の資金が不足していると、子どもに負担がかかってくることもあります。その場合は、次のような対策がおすすめです。

公的な費用軽減制度を利用する

公的な費用軽減制度には、高額介護サービス費制度、高額医療・高額介護合算療養費制度、特定入所者介護サービス費、医療費控除があります。

高額介護サービス費制度は、1ヵ月に支払った介護費用の合計が限度額(一般的な所得の人は月額44,400円)を超えたときに、超過分を払い戻してくれる制度です。また、高額医療・高額介護合算療養費制度では、医療保険と介護保険における1年間の自己負担の合算額が、限度額を超えた場合に超過分を支給してくれます。

そして、特定入所者介護サービス費は、施設を利用する際に所得や資産が一定以下の場合に、負担限度額を超過した居住費と食費の負担額が介護保険から支給される制度です。

なお、医療費控除は、1月1日~12月31日までの医療費が一定額を超えた際に、所得税を控除できる制度であり、介護保険を利用している場合でも医療に関するサービスは医療費控除の対象になります。特別養護老人ホームでは介護費用の5割、その他の公的施設(介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設、介護医療院)では介護費、食費、居住費の自己負担額の全額が医療費控除可能です。

費用の安い公的施設を利用する

費用の安い公的施設とは、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、ケアハウスといった施設のこと。公的施設は、民間が運営する老人ホームよりも安く利用できるというメリットがあります。

それぞれの施設によって、入所できる介護度の違いや、入所できる期間が決まっているため、自分の親がどの施設に入所できるかどうかは担当のケアマネジャーに相談してみましょう。

安い老人ホームを探す

公的な施設が利用できない場合には、民間が運営する老人ホームに入所する方法があります。ただし、親の資金が足りない場合には、子どもの負担が多くなってしまいがち。少しでも負担を減らしたい方は、なるべく安い老人ホームを探しましょう。安い老人ホームの条件とは、以下の通りです。

  • 住居型の有料老人ホームである
  • 規模が大きくて、入所者が多い
  • 既存の施設を建て替えている
  • 立地が良くない(駅から遠いなど)

住居型の有料老人ホームは、親の健康状態によって介護サービスを選べるため、介護があまり必要なければ金額を抑えられます。また、規模が大きくて入所者が多いと、様々なコストを安くできるため、1人当たりの費用が低く設定されていることがほとんどです。

また、駅から遠いなど立地が良くない場合も、その分料金が安くなる傾向にあります。立地が良くないのは一般的に不便ですが、例えば自家用車を持っている方なら、問題なく通えることも。自分や親の状況を踏まえた上で、なるべくコストをかけずに利用できる老人ホームを探すことが大切です。

親の介護と自分の生活を両立する方法(ストレス編)

親の介護

親を介護していると、どうしてもストレスを感じる方も少なくありません。

ここでは、なるべくストレスを溜めずに介護を進める方法を紹介します。

友達や知り合いに話をする

介護の悩みを友達や知り合いに話すのは、ストレスの軽減におすすめです。人に話をすることで心が軽くなることは十分にあるので、聞いてくれる人に話をしてみましょう。近くに話ができる人がいなければ、SNSなどで同じ悩みを抱えているコミュニティーに属すのも手段のひとつです。

ケアマネジャーに相談する

介護の困りごとは、親の担当のケアマネジャーに相談することで、解決につながることがあります。ケアマネジャーは、介護のプロです。1人で解決できない問題でも、プロの立場からアドバイスしてくれます。親身になって相談に乗ってくれるため、ストレス面からも利用はおすすめです。

施設に預ける

在宅で親の介護をしていて、時間的にも精神的にも負担が大きくなった場合には、施設の利用を検討しましょう。在宅よりも費用はかかりますが、ストレスによって自分の生活に支障が出た結果、仕事がうまくできず、収入が下がる状態になっては元も子もありません。

公的な費用軽減制度を利用すれば負担を減らせるため、担当のケアマネジャーに相談することをおすすめします。

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