薬を飲まないとどうなる?自己判断の中止は危険!飲みたくない場合の対処法
長く薬を飲んでいると、「もう薬を飲みたくない」、「本当に飲み続ける必要があるのか」と悩まれる方も少なくありません。自己判断で薬をやめたり、飲んだり飲まなかったりするのは避ける必要があります。症状の悪化や別の副作用を招くなど、体に影響が出る場合があるからです。「薬を飲まないとどうなる?自己判断の中止は危険!飲みたくない場合の対処法」では、薬を飲みたくない様々な理由と、飲まないと何が起こるのか、減らしたい場合の考え方などを紹介します。これから薬と付き合っていくための参考にしていただけます。
薬を飲みたくない理由は?

2013年(平成25年)度の厚生労働省保険局医療課委託調査「薬局の機能に係る実態調査厚生労働省の調査」によると、医師から処方された薬が余ったことがある人は、回答をした人のうち半数以上が該当する というデータがあります。
薬を飲まない理由は、「飲みたくない」とする場合と「飲まない」に大別。飲みたくない理由についてはさらに「服薬拒否」、「服薬困難」の2つに分けられます。服薬拒否は、副作用が怖い、長期の服用に不安があるなどの理由から薬を受け付けない状態です。
服薬困難は、薬が飲み込みにくい形をしている、嚥下機能の問題で飲みたくても飲み込めないなどの理由から起こること。また、飲まない理由となる「服薬不良」は、うっかりや認知症などによる飲み忘れがほとんどです。
薬を飲まないと持病の悪化につながることも
持病があっても自覚症状がない場合や、数値が安定している場合などに、「もう薬を飲まなくても良いのでは」、「減らした方が体も楽なのでは」と思う人も少なくありません。確かに、薬には必ず副作用があり、体に負担となる場合も。
しかし、きちんと薬を飲んでいるからこそ体調が安定している可能性があるのです。例えば、調子が良いと思い服薬をやめてしまうと、糖尿病の場合は、体の中では血糖値が高い状態が続き、血管へのダメージが蓄積されます。目の血流が悪くなれば網膜症を起こし、最終的には失明に到る可能性も。
これが腎臓ならば、徐々に腎機能が落ちていき、移植や人工透析を必要とする場合も出てきます。そして脳の血管が、ダメージを受け続けると、突然脳卒中を起こす可能性も上がるでしょう。先々の悪化を防ぐことこそ薬の大切な役割。副作用より、飲まないことによる症状悪化の方が、大きな問題となる場合が多いのです。
薬を飲まないことによる副作用や心身への影響
自己判断で薬を飲まないときのデメリットは、抑えられていた症状が戻ってくるだけではありません。薬を飲まないことによる思わぬ副作用や、心身への影響を見ていきましょう。
リバウンドや副作用の可能性がある

薬によっては、突然服薬を中止すると、想定外の不調を招くケースがあります。
一部の薬で知られているのが、突然中止することで以前よりも症状が悪化する「リバウンド現象」、血圧の薬や胃潰瘍(いかいよう)の薬などが代表的です。
高血圧の場合、反動で血圧が跳ね上がり、脳出血を起こすことも考えられます。また、元々の症状がリバウンドするのとは別に、薬をやめると副作用が強く出る場合も。こうした薬は、体への負担を小さくするために、少しずつ減らしてから中止するよう定められています。例えば、ステロイド薬やパーキンソン病の薬、抗うつ薬や睡眠薬などです。
抗生物質も治ったと思って自己判断で服用を止めると、薬が効きにくい「耐性菌」が残る場合も。こうなると再び同じ抗生物質を飲んでも効かず、治療が長引くこともあります。抗生物質は必ず飲み切って、体内の菌を完全にやっつけることが大切です。
病状が安定せず治療が複雑になる
治療が複雑化するのも、薬を飲まないデメリットのひとつ。例えば高血圧の薬を飲み忘れたり、飲む時間が大きくずれたりすると血圧の数値は安定しません。ふらつきや頭痛が出ることも。
こうした場合、医師は症状が安定していないと判断し、薬を変更したり追加したりと治療が複雑になる可能性があります。どうしても飲み忘れてしまう場合は、忘れにくいタイミングに服用時間を変えられないかなど、相談することをおすすめします。
薬が効いているかの判断が難しくなる
医師は、薬を正しく飲んでいることを前提に、薬の効果や病気の状態を判断します。自己判断で飲んだり飲まなかったりしていると、この判断が正しくできません。糖尿病の薬の場合は効果を判断する指標として、過去数ヵ月の血糖値を反映する数値があり、薬を頻繁に忘れていると数値も評価も変わります。正確に飲めなかった場合は、正直に申し出ることで医師は正しい診断や処方ができるのです。
病院に行きづらくなり、病気の発見が遅れる
薬を飲んでいないことを医師に打ち明けるのは、勇気がいるもの。言いづらい、話したくない、と思うと病院から足が遠のいてしまうこともあるでしょう。しかし、自分で感じる症状が出てきたときには、病気がかなり進行している場合も多いのです。
定期的に病院へ行き検査を受けていれば、病気は早い段階で見つけられます。かかりつけ医に行きづらい場合は、薬をもらっている薬局で相談するのもおすすめ。余っている薬を持っていき、整理してもらいながら相談しましょう。薬剤師から、かかりつけ医に相談してもらうこともできます。
薬を飲みたくない・減らしたいときは医師に相談
医師に正直に相談する
薬を飲むことに疑問があれば、治療は苦痛になります。薬を飲みたくない、あるいは減らしたいときは、理由を添えて正直に医師に相談しましょう。副作用と疑われる症状が実際に出ていたり、量や形が飲みにくくて困っていたりする場合は、対策を考えなければいけません。医師の側からは患者の困っていることが見えないと、減らす提案もできないため、患者さんから言ってもらえると助かるのです。
薬を減らす場合も、急にすべてをやめるのではなく、1種類ずつ徐々に減らします。減らして問題が起きないかなど、体の状態を医師と確認しつつ、安全に減らしていくのが大切です。
薬を飲む目的を確認する
医師は目的を持って薬を出します。咳止めなら、咳を抑えて体を楽にするという目的。糖尿病の薬なら、血糖値をコントロールして合併症を予防するという目的です。こうした目的や目指す数値、どうすれば薬を減らせるかという判断基準を詳しく知れば、飲み続けることに対して漠然とした不安も軽くなるでしょう。薬以外の治療法はあるのかなども聞いてみるのがおすすめです。
かかりつけ医は変えないことがおすすめ
かかりつけ医は、できれば変えないのが理想です。続けて同じ医師に診てもらうことで、病状の変化をきちんと把握し、きめの細かい治療につながります。もし「薬を飲みたくない」という不安に向き合ってくれない医師ならば、他の医師にセカンドオピニオンを求めるのも選択肢のひとつです。
まとめ
薬を飲みたくないという悩みは、誰にでも起こり得ること。薬の疑問や不安は、ぜひ医師や薬剤師に聞きましょう。薬が飲みにくい、多いと感じる場合も相談することをおすすめします。困っていることが分かれば、一緒に対策を考えてくれるはず。かかりつけ医と馬が合わないときはセカンドオピニオンを求めても良いでしょう。治療に前向きに向き合うためにも、ぜひ話しやすい専門家を見つけて、頼ることをおすすめします。