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老老介護・認認介護とは?現状や問題、解決策を簡単に解説

少子高齢化に伴い、老老介護(ろうろうかいご)・認認介護(にんにんかいご)が社会問題になっています。老老介護とは、介護をする側とされる側がどちらも高齢者の状態、認認介護はどちらも認知症になっている状態です。高齢者による介護は、身体的・精神的ストレスが大きいため、介護疲れによって共倒れしてしまう可能性があります。介護が始まってから苦労しないために、老老介護と認認介護の定義や現状、対策方法を知っておきましょう。

老老介護とは

老老介護の様子

老老介護とは、65歳以上の高齢者同士で介護しあっている状態を指します。老老介護の関係は夫婦間だけではなく、兄弟や親子など様々です。老老介護は、高齢者同士で介護を行うため、介護する人の身体的・精神的ストレスが大きくなります。介護する側に過剰なストレスが生じて、介護うつや被介護者への虐待につながることも。少子高齢化は今後も進行するため、改善が必要な問題です。

老老介護の現状の割合

2022年(令和4年)の国民生活基礎調査によると、介護が必要な世帯のうち、老老介護を行っている世帯は6割以上に及びます。老老介護が必要な世帯の経年的な推移は、以下の通りです。

「要介護者等」と「同居の主な介護者」の年齢組合せ
60歳以上同士(%) 65歳以上同士(%) 75歳以上同士(%)
2010年
(平成22年)
62.7 45.9 25.2
2013年
(平成25年)
69.0 51.2 29.0
2016年
(平成28年)
70.3 54.7 30.2
2019年
(令和元年)
74.2 59.7 33.1
2022年
(令和4年)
77.1 63.5 35.7

参考:厚生労働省令和4年国民生活基礎調査Ⅳ介護の状況

2022年(令和4年)に65歳以上同士で老老介護を行っている世帯は、2010年(平成22年)と比較して1.5倍になっています。高齢者の人口増加とともに、老老介護を行う世帯は増加している傾向です。また、介護者側の状況は同居している配偶者が最も多く、次いで子供の割合が多くなっています。

「要介護者等」からみた「主な介護者」の
続柄別構成割合
介護者 構成割合(%)
配偶者 22.9
16.2
事業者 15.7
別居の家族等 11.8
子の配偶者 5.4
父母・その他親族 1.3
不詳 26.0

参考:厚生労働省令和4年国民生活基礎調査Ⅳ介護の状況

核家族化が進んだ影響で、夫婦間で老老介護をするケースが最も多いです。また、親が80歳くらいになると、子も65歳以上のことが多く、親子間でも老老介護になるケースは少なくありません。

実際の医療・介護現場でも老老介護は多く、ホームヘルパーや訪問看護など、在宅介護サービスなしでは介護できない状況が見受けられます。老老介護は都心部から離れた地方ほど多く、子供が家を出ているため、高齢者同士で介護を行うしかないケースが多いです。

認認介護

認認介護は双方とも認知症

認認介護は、認知症高齢者の介護を行う人も認知症になっている状態を指します。

人間は加齢に伴い認知機能の低下が生じ、認知症になりやすいです。そのため、老老介護の割合増加に伴い、認認介護も増加傾向。老老介護の過程で認知症を発症し、いつの間にか認認介護になっているケースも多いです。

認認介護は、お互いに認知症になっているため、体調管理や服薬管理が行えず、健康に害を及ぼす可能性があります。認知症の進行や、健康上の異常に気づかず、外部の人が気づいたときには事態が悪化していることも少なくありません。老老介護と同様に、対処が必要な問題です。

認知症高齢者の割合

認知症の有病率は年齢とともに高まることが知られています。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計では、65歳以上の認知症患者数は2020年(令和2年)に約602万人、2025年(令和7年)には推定約675万人(有病率18.5%)です。5.4人に1人程度が認知症になると予測されています。

また、要介護者の割合の中で、認知症が第1位で約23%。80~84歳の認知症出現率が21.8%というデータもあります。老老介護のうち、夫婦ともに要介護者である場合は、2人とも認知症であるケースも珍しくありません。

MCI(軽度認知障害)

MCI(軽度認知障害)とは、認知症患者と健常者の間の、認知機能に問題が出始めているけれど、認知症とは診断されない状態のことです。記憶や理由付けなどの認知機能に問題は生じ始めていますが、徘徊や妄想などがなく、日常生活を送るうえで問題のない状態を指します。

MCIになっている人は65歳以上の14%、本格的な認知症へ移行する人の割合は年平均10%ほど。MCIは、はた目には分かりにくく、日常生活に支障が出始めても気づかないことが問題になっています。明らかな認知機能の低下が生じていなくても、加齢に伴う変化に注目しておくのが重要です。

老老介護・認認介護の問題点

老老介護や認認介護では、介護生活を送るうえで様々な問題が生じます。老老介護や認認介護の問題点を知り、事前に対策をしておくのが重要です。

老老介護の問題点

老老介護で起こる問題

体力的・精神的負担が大きい

高齢になると、筋力や体力の衰えが生じるため、若い人が介護を行う場合よりも、体力的・精神的な負担が大きくなります。

特に介護を受ける人の状態が悪い場合は、食事やトイレのために起き上がらせたり、立ち上がらせたりする介助が必要。老老介護は体への負担が大きく、介護者が膝や腰、肩を痛めてしまうケースが多いです。また、老老介護では体力的な負担だけではなく、以下のような精神的負担も生じます。

  • ケアマネジャーなどとの人間関係
  • 夜間も介護することによる睡眠不足
  • 慣れない家事や介助
  • ひとりで介護をしなければいけないというプレッシャー

相性が合わない人と接したり、多くの人とかかわったりしすぎると、精神的な負担が生じます。また、男性の場合は食事の準備や洗濯など、慣れない家事にストレスを抱えるケースもあるのです。

共倒れが起こる

老老介護では、介護をする人に負担が積み重なった結果、共倒れになる恐れがあります。高齢だと、心身の負担に耐え切れず、ケガや介護うつに陥るケースも少なくありません。また、介護生活に追われた結果、介護をする人自身に体の不調が生じても通院ができず、持病や軽度の障害が悪化してしまうことも。介護をする人が活動できなくなると、介護を受ける人も生活できなくなってしまうのです。

介護する人が家にこもりがちになる

老老介護の場合、介護生活に追われて外部との接触が減り、介護する人が家にこもりがちになってしまいます。特に、要介護3以上の場合は、付きっきりの介護が必要で、排泄の介助や緊急事態への対応を行わなければいけません。外出の機会や家族以外の人との交流が減ると、筋力や体力が低下してさらに意欲がなくなり、心身の負担が増加して、介護うつになる危険性が高まります。

認認介護の問題点

食事・栄養の管理ができない

認認介護になると、記憶や感情の抑制障害で、食事・栄養の管理ができなくなります。賞味期限などを確認できなくなり、腐った物を食べて体調不良になったり、好きな物や手軽に食べられる物ばかり選んでしまい、栄養状態が偏ったりするのです。栄養の偏った食生活を続けた結果、健康状態が悪化し、認知症がますます進行するケースもあります。

また、記憶障害の影響で、食べたことを忘れて過食になったり、逆に食べることを忘れて低栄養に陥ったりすることも。認認介護を続けた結果、過剰に太ってしまう方や、痩せすぎになっている方が多いです。

服薬管理ができない

認知症で記憶に障害が出ると、服薬管理が行えません。高齢になると処方される血圧の薬などは、1日の服薬回数や錠数が決まっています。薬の効果を得るには、用法・用量を守ることが重要です。

認認介護では、薬を飲んだことを忘れて、過剰に飲みすぎてしまったり、飲み忘れが続いたりして体調を崩してしまう恐れがあります。場合によっては、命にかかわるような事態に陥ることも。夫婦で老老介護をしていて、配偶者の分の薬を誤って飲み続けてしまい、双方ともに体調を崩してしまうこともあります。

緊急事態の対応ができない

認認介護になると、緊急事態への対応ができず、不慮の事故に陥ってしまう危険性があります。認知症で記憶障害が出ると、介護を受ける人の体調不良や急変時に正しい対応が行えません。緊急事態になっていることにさえ気づかない場合もあります。認知機能の障害で適切な対処が行えなくなってしまうのは、認認介護の大きな問題です。

老老介護・認認介護の対策

プロ・専門家に相談する

老老介護は相談が重要

老老介護や認認介護で苦労しないためには、プロや専門家に相談して、意見を聞くことが大切です。

老老介護や認認介護をしている人は、介護サービスの存在を知らず、適切な対処ができないために苦労しているケースがあります。おすすめの相談先として、地域包括センターと医療機関の相談室について見てみましょう。

地域包括支援センター

地域支援包括センターは、高齢者が住み慣れた場所で自分らしく生活できるように、日常生活に関する様々なサービスを案内してくれる機関です。全国の自治体にあり、委託を受けた社会福祉法人や医療法人、NPO法人が運営しています。

地域包括支援センターには、ケアマネジャーや保健師などの専門職が在籍しており、該当地域に住む高齢者及びその家族の相談に対応。要介護認定の申請や介護離職の相談などを通して、適切な介護サービスや環境整備を受けられるように手続きをしてくれます。介護に関することで困ったら、はじめに地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。

医療機関の相談室

病院などの医療機関には、医療ソーシャルワーカーや相談員が常駐しており、地域連携室の窓口となって介護や生活全般の相談に乗ってくれます。介護保険を利用しておらず、手続きの方法が分からない場合には、かかりつけの病院に相談してみるのがおすすめです。

医療機関の相談室は、急な病気やケガによる入院などで介護が必要になった際に手続きしてくれるケースがほとんど。退院し、自宅に戻る際に 在宅介護が行えるように案内してくれます。一方、認知症などで症状の進行とともに徐々に介護が必要になってくるケースでは、地域包括支援センターに相談したほうがスムーズな場合も多いです。

在宅介護サービスを利用する

老老介護の負担を軽減するには、在宅介護サービスの利用がおすすめ。在宅介護サービスとは、要介護認定されると介護保険を受けられるサービスで、日常生活の援助から医療ケアまで幅広いサービスを受けられます。在宅介護サービスの具体例は、以下の通りです。

在宅介護サービスの種類と一例
サービス 内容
訪問介護(ホームヘルパー) 入浴・排泄の介助、買い物の代行
訪問看護 服薬管理、医療ケア
訪問リハビリ 身体機能の維持、介護負担の軽減

在宅介護サービスは、ケアマネジャーを通して事業所と契約して利用できるようになります。体力的な負担から精神的な負担まで、様々な負担を軽減できるサービスがそろっているため、積極的に利用して介護者の負担を減らすのがおすすめです。

介護施設に入居する

在宅での老老介護や認認介護に限界を感じたら、無理せずに老人ホームなどの介護施設への入居を検討してみましょう。介護施設に入居すると、生活を手厚く援助してもらえます。在宅介護よりも費用がかかりますが、介護負担を大幅に軽減することが可能です。

また、介護施設の種類によっては、夫婦2人で入居できるところや、認知症専門で受け付けてくれるところもあります。費用や入居の可否は要介護度や家庭環境によって変わってくるため、必要に応じてケアマネジャーに相談するのがおすすめです。

老老介護・認認介護の負担を軽減する介護サービス

老老介護や認認介護では、介護者ひとりができることに限界があります。高齢者同士で介護を行う際は、自分の負担を減らせるように、介護サービスを利用すると安心です。

訪問介護・訪問看護

介護サービスの利用

訪問介護(ホームヘルパー)を利用すると、食事や排泄、入浴など、身体介助、日常生活の援助が受けられます。訪問看護は、服薬管理や特別な処置が必要な場合の医療ケアを行ってくれるのです。

訪問介護や訪問看護のような在宅で受けられる介護サービスは、介護者の負担を大幅に軽減。そのため、高齢者同士で介護をする老老介護や認認介護の場合は、特に心強いサービスです。一般的には、1週間のスケジュールを組んだ利用になるため、共倒れのリスクを軽減できます。また、専門的な知識を持った人が定期的に訪問してくれるため、心身の異常や体調に変化があった際に、早期の対処が行える点もメリットです。

ショートステイ

ショートステイは2日~1週間程度、介護が必要な人を施設に預けられるサービスです。最大30日まで延長でき、入所中は食事や入浴、排泄の介助など、生活にかかわる介護を受けられます。そのため、介護する人の負担を、一時的に大幅に軽減できるのです。ショートステイは、介護する人の疲労に配慮した利用以外に、介護する人の急な用事・入院などで利用されるケースもあります。

ただし、ショートステイは予約が込み合っていることが多く、すぐに利用できないことも。予定が分かった時点で、ケアマネジャーに早めに相談しておくとスムーズです。

デイサービス・デイケア

デイサービスやデイケアでは、家から施設に通って介護サービスを受けることが可能です。介護が必要な人は、半日もしくは1日中施設で介護サービスを受けられるので、介護する人はその間を休息にあてられます。デイケアでは介護サービスの他に、リハビリも受けられるため、身体機能の維持も期待できるのがメリット。送迎付きなので、老老介護の世帯にとっては利用しやすいサービスです。

老老介護・認認介護でお悩みの方におすすめの施設

老老介護や認認介護に限界を感じた場合は、施設への入居もおすすめです。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームは、特定の疾患や認知症、社会的に困難がある方を対象とした公的な介護施設です。介護職員が多いため、十分な介護サービスが受けられ、公的施設なので費用も安く済みます。ただし、入居条件が厳しいのが難点で、夜間に看護師がいないこともあるので、医療的なケアが常時必要な人は退去を強いられることも。要介護度が高いのに一人暮らしをしている人など、特別な事情がある方におすすめの施設です。

特別養護老人ホーム(特養)の概要
特徴
  • 公的施設なので他の施設よりも費用が安い
  • 入居条件が厳しい
サービス
  • 介護サービス
  • 生活援助サービス
  • 看取り
入居対象 65歳以上かつ要介護3以上
費用 入居一時金 なし
月額利用 平均100,000~150,000円

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、主に要介護度の高い人や認知症の人が入居対象となる民間の介護施設です。食事や入浴などの日常生活の介護に加え、看護師や理学療法士による医療ケアも受けられます。介護・医療ケアが充実している反面、入居費や月額の利用料は高いのがデメリット。要介護度が高く、ある程度の資金を持っている方におすすめの施設です。

介護付き有料老人ホームの概要
特徴
  • 24時間体制で介護サービスが受けられる
  • 主に要介護者向きである
  • 施設のスタッフが提供する介護サービスを利用する
サービス
  • 生活支援
  • 食事提供
  • 介護
  • 看護
  • 医療機関との連携
  • リハビリテーション
  • レクリエーション
  • 看取り
入居対象 60歳以上の要支援1~要介護5
費用 入居一時金 平均0~数百万円
月額利用 平均100,000~400,000円

住宅型有料老人ホーム

住宅型老人ホームは、比較的自立度の高い方を対象とした施設です。食事やレクリエーションが充実しているのが特徴。介護サービスは外部の訪問サービスや通所サービスを使うため、必要に応じて選択できます。自立~要介護2までの方におすすめの施設です。

住宅型有料老人ホームの概要
特徴
  • 自立から要介護者まで対象者が幅広い
  • ライフスタイルに応じた生活支援が受けられる
  • 介護が必要な場合は個別で外部サービスを契約する
サービス
  • 食事提供
  • 生活支援
  • プールやカラオケなどの娯楽施設の提供
入居対象 60歳以上の自立~軽度の要介護
費用 入居一時金 平均0~数百万円
月額利用 平均100,000~300,000円

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者住宅は、一人暮らしに不安のある自立状態の人、要支援や要介護度の低い方が対象です。生活相談サービスや安否確認を提供していますが、外出や外泊も基本的に自由なので、自由度の高い暮らしが可能。自分のペースで生活しながらも、何かあったときにサポートしてもらえる施設となっています。

サービス付き高齢者向け住宅の概要
特徴
  • 賃貸住宅である
  • 主に自立した高齢者向けである
  • 一般型(自立型)と介護型があり、一般型(自立型)では介護が必要な場合は外部サービスを利用する
サービス
  • 安否確認
  • 生活相談
  • その他、オプションまたは個別契約で生活支援、身体介護、医療行為、レクリエーション、リハビリテーション、看取りなどが受けられる場合がある
入居対象 60歳以上または60歳未満で要介護者認定を受けた人
費用 入居一時金 平均0~数十万円
月額利用
  • 一般型は数万~800,000円
  • 介護型は150,000~400,000円

グループホーム

グループホームは認知症の方を専門に受け入れている介護施設です。5~9名の少人数で共同生活をしながら、それぞれ家事などを分担して暮らします。認知症に関する専門知識を持ったスタッフのもとで、生活リハビリを実施し、症状の進行を穏やかにする目的の施設です。介護保険の地域密着サービスに属しているため、入居条件が厳しく、施設がある市区町村に住民票がある人のみが入居対象になります。

グループホームの概要
特徴
  • 専門家のもと、数名での共同生活を行う
  • 認知症の方のみ入居可能
  • 認知症の進行を抑えるための生活プログラム
  • 掃除などの家事は自分で行う
サービス
  • 生活援助
  • 排泄援助
  • 入浴介助
  • レクリエーション
入居対象 要支援2以上の認定を受けている認知症の人
費用 入居一時金 平均0~150,000円
月額利用 80,000~140,000円

老老介護・認認介護が増加している原因

健康寿命はまだ短い

老老介護・認認介護が増えている原因は、以下の3つです。

  • 平均寿命と健康寿命の差が開いている
  • 核家族や子供のいない夫婦が増えた
  • 経済的な問題でサービスが受けられない

2019年(令和元年)に厚生労働省が発表した2018年(平成30年)のデータでは、男性の平均寿命が81.25歳、女性が87.32歳で過去最高の数字となっています。医療の進歩や衛生環境の整備により、平均寿命は年々延び続けており、2050年(令和32年)には男女ともに平均寿命が90歳を超えるという予想もあるほどです。

平均寿命が延び続ける一方、日常生活で介護を受けずに生活できる「健康寿命」は、2016年(平成28年)で男性72.14歳、女性74.79歳。平均寿命の差と健康寿命の差が、介護が必要な期間ということになります。男女ともに介護が必要な期間は10年前後あり、全体的な高齢化も進むことで、老老介護が増えていくのです。

また、高齢者夫婦のみの世帯が増えているのは、核家族化が進んだことと密接に関係しています。厚生労働省の2022年(令和4年)国民生活基礎調査によると、65歳以上の高齢者世帯は全体の約30%。65歳以上の方がいる世帯のうち、夫婦のみの世帯が約30%です。若い介護者が家にいないため、高齢の夫婦で介護しあわなければいけない状況になっています。

在宅介護を受けるうえで介護サービスは必須で、在宅介護の限界を迎えた場合は、施設への入居を検討することになりますが、十分な資金がないと施設へ入居もできません。年金のみでは介護費用を賄えなくなることも、老老介護が増える原因となっています。

老老介護を未然に防ぐためにできる対策

老老介護で困らないためには、できるだけ予防策を講じておくのが安心です。また、高齢者同士での介護が必要になった際に、ひとりで困らないように準備をしておく必要があります。老老介護を未然に防ぐためにできることは、以下の通りです。

家族と事前に話し合いをする

老老介護で困らないためには、家族と事前に話し合いをして、介護に関する方針を決めておきましょう。介護は、急な病気やケガでいきなり必要になるケースが多いため、介護に関する方針を決めておくと、トラブルになりにくいです。

介護の方針は、以下のように介護する側とされる側、双方の意見を考慮して決めていくと分かりやすくなります。


介護を受ける人:

  • 今の家で妻(夫)に面倒を見て欲しい
  • 子供と同居して、介護してもらいたい

介護をする人:

  • 仕事や体力的な問題で介護は厳しいので、施設に入って欲しい
  • 都心部に引越してきてもらって、一緒に住んでもらいたい

このように、介護を受ける人・する人両者の意見を整理することによって、このままいくとどのような問題が起きそうか、どのようにしたら老老介護を回避できるか、そのためにはどのような調整が必要かなど、要点が明確になります。

健康な生活を意識して送る

老老介護を防ぐための初歩として、介護が必要な状態に陥らないことが大切です。そのためには、適度な運動をし、健康的な食生活を心がけ、コミュニケーションが取れる趣味を持つように意識してみましょう。

介護が必要になる病気やケガを予防するためには、適度な運動や健康的な食生活が役立ちます。基本的な生活習慣以外にも、趣味などで頭を使う習慣を身に付けると認知症の予防に効果的です。趣味はグランドゴルフや体操教室など、体を動かしながら周囲とコミュニケーションが取れる内容がベスト。人とのつながりを持つと、些細な異変にも気づきやすくなる点がメリットです。

地域コミュニティやご近所付き合いなどのかかわりを持つ

老老介護や認認介護は、社会的に孤立してしまうことが大きな問題です。家の中でふさぎ込まないように、地域コミュニティやご近所付き合いなどのかかわりを持つのが重要。核家族化が進んで子供が近くにいない場合でも、外部の人とのかかわりを持つことで、安否確認や問題の早期発見につながります。

ボランティアやシルバー人材センターによる高齢者の見守り活動を行っている自治体も多いので、日頃からコミュニティに所属する意識を持って生活してみましょう。

まとめ

少子高齢化や核家族化が進んだことで、高齢者同士が介護しあう老老介護の割合は増え続けています。老老介護や認認介護は、身体的・精神的ストレスから共倒れになってしまう恐れがある危険な状態です。無理をして介護疲れしないように、行政へ相談したり、介護サービスを利用したりするのがポイント。要介護者の状態によっては、施設への入居を考えることも必要です。

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