緑内障とは?症状・原因・治療法をチェック
「緑内障」は、主に眼圧の異常な上昇によって視神経が損傷し、視野が徐々に失われる疾患です。緑内障は、適切な治療を行われない場合、視力が永久的に失われることにつながる可能性があります。また白内障とともに、高齢者に多い疾患としても知られており、早期発見が非常に重要であり、定期的な眼科検診が欠かせません。「緑内障とは?症状・原因・治療法をチェック」では緑内障の概要、原因、治療法などを解説します。
緑内障とは

緑内障とは、視神経に障害が生じる疾患で、その結果、視野が次第に狭まっていく症状を指します。
緑内障により、視野の狭窄(きょうさく:狭まること)が進行すると、最終的には失明する可能性も存在。緑内障の主な症状は、視野の狭窄ですが、進行速度が遅いため、進行しても自覚症状を感じにくいのが特徴的です。
そのため、初期段階での発見が難しく、症状が出た際にはかなり進行してしまっていることが少なくありません。特に高齢者の方に多く見られる緑内障は、定期的な眼科検診が大切であり、早期発見と治療が重要視されているのです。
緑内障の種類
緑内障は、「原発開放隅角緑内障」(げんぱつかいほうぐうかくりょくないしょう)、「続発性緑内障」(ぞくはつせいりょくないしょう)、「発達緑内障」(はったつりょくないしょう)の3つに大きく分類されます。
- 1原発開放隅角緑内障
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原発開放隅角緑内障は、特定の原因が明確に分からない緑内障。視野の一部が欠け、時間をかけて徐々にその範囲が広がっていくのです。
この原発開放隅角緑内障のなかでも、眼圧が正常範囲にもかかわらず発症するタイプを「正常眼圧緑内障」と呼び、緑内障の中でも特に患者数が多いとされています。
- 2続発性緑内障
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続発性緑内障とは外傷、ぶどう膜炎、糖尿病などの疾患、副腎皮質ステロイドなどの薬物の使用によって眼圧が上昇し、発症する緑内障です。
続発性緑内障も初期症状がなく、ゆっくりと進行していきます。そのため定期的な眼下診断を受けることが求められているのです。
- 3発達緑内障
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発達緑内障は、隅角(ぐうかく:角膜の境目にある部分)の発育異常が原因で眼圧が上昇し、視神経が損傷する緑内障。日本における発症率は約30,000人に1人とされています。
この緑内障はさらに分類され、「早発型発達緑内障」では1歳までに約80%が発症。生まれたときから存在する場合は「先天緑内障」とも呼ばれます。
また、「遅発型発達緑内障」は、隅角異常が比較的軽度で、主に10代から20代で発症。これらのタイプは、それぞれ異なる進行具合を持ち、適切な診断と治療が重要です。
緑内障の症状
緑内障は、見える範囲が狭まる現象が、主な症状として現れます。また、一部の患者は、強いまぶしさ、視界にかすみを感じることもあるのです。
しかし、初期段階での自覚症状が非常に少ないため、緑内障は自分で気付きにくい病気。このため、病気の進行に気づいたときには、すでに視野の障害がかなり進行していることがあります。
緑内障の原因
緑内障の具体的な原因は、まだ完全に解明されておらず、眼圧の上昇が主な要因として存在。眼圧の正常範囲は10~20mmHgとされており、この眼圧の範囲を大きく超えると、目の奥の視神経が傷つき、それが緑内障へと繋がるとされているのです。
しかし、この眼圧の正常範囲内であっても緑内障を発症する方もいることから、眼圧だけが緑内障の直接の原因ではないとされています。また、緑内障の家族歴がある方は発症リスクが高く、糖尿病患者、強度の近視の方、ステロイドホルモン剤を服用している方、以前に目に外傷を受けた経験がある方も緑内障のリスクが高いのです。
加えて高齢者、高血圧、貧血、片頭痛の経験がある方、痩せている男性も緑内障の発症リスクが増加するとされています。
緑内障は治る?
緑内障は視神経が眼圧の影響で損傷する病気であり、一度失われた視神経の機能は回復することはありません。そのため、早期の発見と治療が非常に重要です。
早期の段階で適切な治療を始めることで、緑内障の進行を大きく遅らせることが可能。そのため、緑内障の治療の目的は視野と視力を維持することに注力されます。
緑内障では、長期的な視点での治療計画を立てることが大切になるのです。特に、眼圧がとりわけ高くないタイプの緑内障の場合は、継続的な治療が生涯にわたって求められるでしょう。
緑内障の治療方法

緑内障の治療の目的は、病気の進行を止め、さらなる視野の欠損を防ぐことにあります。
眼圧を適切な範囲に保つことが、緑内障の進行を抑えるための主要な方法です。
薬物療法
緑内障の治療では眼圧のコントロールが中心。そのため、「薬物療法」では、様々な点眼薬が用いられることが一般的です。
点眼薬は大きく分けて、房水(ぼうすい:水晶体周りを満たす透明な液体)の産生を減少させる物と、房水の排出を促進する物の2つのタイプがあります。
効果や副作用、患者の状態などを考慮して、適切な点眼薬が選択され、必要に応じて複数の薬を併用することもあるのです。点眼薬だけで眼圧のコントロールが難しい場合、内服薬も服用します。
また、緑内障の発症、進行には眼圧だけでなく、血流障害も関与するとの考えから、血流を改善する薬が処方されることもあるのです。なお、緑内障の治療は、眼圧の管理だけでなく、視神経や網膜の保護も重要。そのため、ビタミンB12、視神経や網膜の機能をサポートするサプリメントなどが併用されます。
外科療法
緑内障における外科療法としては、「レーザー治療」が存在。レーザーを用いて虹彩(こうさい)の根元に小さな穴を開けることで、房水の新しい排出ルートを作成します。これにより、眼内の房水の流れが改善され、眼圧が低下するのです。また、房水の自然な排出口である場所にレーザーを照射し、房水の排出抵抗を減少させる方法もあります。
この治療によっても、眼圧が下がる効果を期待。これらレーザー治療は、比較的短時間で行われるため、治療を受けたあとの生活に、大きな制限が加わることはほとんどありません。
まとめ
しかし、目に優しい生活習慣を心掛けることで、発症のリスクを低減することも可能。早期発見と治療が、目の健康を維持する上での鍵となりますので、1年に1回は眼科にて受診することをおすすめします。