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サ高住の問題点は深刻!?
介護サービスや入居者の現状について解説

「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)には、介護サービスの不足や高額な追加費用など、いくつか問題点があります。一人暮らしを続けたい高齢者の方にとって、サ高住は暮らしやすい老人ホームのひとつですが、どの施設でも自由度が高く在宅に近い環境で生活できるとは限りません。「サ高住の問題点は深刻!?介護サービスや入居者の現状について解説」では、サ高住が抱える問題点や入居前に確認すべきポイントをまとめました。サ高住選びで失敗しないための具体的な対策も解説します。

サ高住の問題点4つ

サ高住は、高齢者の居住環境を改善する目的で制度化されました。しかし、急速な普及に伴い、数々の問題点が浮き彫りになっています。

自由度の高くない施設もある

サ高住の問題点とは

サ高住は、高齢者の自立した生活を支援する施設ですが、実際には自由度の低い施設もあるのが問題です。

サ高住が、「自由度が高い」と言われる理由のひとつとして、居室の広さと居室内設備の充実度が関係しています。

サ高住における各居室の床面積は、原則25㎡(約15.5畳)。しかし、国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」の資料によると、2022年(令和4年)8月末時点で、25㎡(約15.5畳)以上のサ高住は全体の2割程度とされています。これは、共用スペースが十分な面積を有する場合、個室の最低面積が18㎡(約10畳)まで縮小可能なためです。さらに、各居室に必要とされる設備(台所や水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室)も、共用部分に適切な設備があれば省略できるとされています。

このような状況下では、居室内に日常生活に必要な設備が整っていないケースも少なくありません。他の入居者と設備の使用時間を調整しなければならず、自分の望むタイミングで自由に利用できないという不便さが生じる可能性をはらんでいます。

参考:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅について-高齢者の住まいについて-」

介護サービスの需要と供給が成り立っていない

サ高住は本来、自立した高齢者を対象とした住居施設であり、介護サービスは外部の事業者を利用することが基本。しかし、要介護認定を受けた高齢者の増加に伴い介護サービスへの需要が急速に増大しています。多くのサ高住では施設での介護サービスの提供が求められるようになりました。それに対し、適切に対応できる体制が整っていない施設は少なくありません。見守りの頻度も増加し、施設によっては手が回らない状況なのです。

また、現状では、介護サービスが受けられる介護型サ高住は全体の1割にも満たず、需要と供給のバランスが取れていません。

参考:国土交通省住宅局安心居住推進課「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」

認知症の人が増加し対応しきれていない

サ高住は本来、自立した高齢者を対象としていますが、認知症の方も入居可能。ただし、各施設における認知症への理解や対応力にばらつきがあり、サ高住の大きな問題のひとつとされています。

国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」の資料によると、サ高住に入居する4割以上の方が「認知症自立度Ⅱ」(※)に該当するとのデータもあるのです。認知症は、進行を緩やかにするための継続的な治療とケアが必要。適切なケアが提供されない場合には認知症状が悪化し、サ高住より退去を余儀なくされることもあります。

※認知症自立度Ⅱ:日常生活に支障をきたすような症状行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる状態を指す。

参考:サービス付き高齢者向け住宅運営情報公表システム 説明会 資料|国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」

利益重視の運営でサービスの質が悪い施設もある

サ高住は、「有料老人ホーム」よりも安価に入居できる高齢者向け施設です。さらに、介護事業者への補助金制度の後押しもあり、施設数が急増。そのため、入居者獲得の競争が加速し、多くのサ高住が付加価値を盛り込もうとする傾向にあります。

しかしながら、すべてのサ高住が高品質なサービスを提供しているわけではありません。なかには追加費用を請求しているにもかかわらず、サービスの質が期待に添わないサ高住もあります。

そのため、入居を検討する際には、見学や体験入居を踏まえた慎重な調査が不可欠。重要なのは、家賃以外にかかる費用を把握し、それらの費用に対して具体的にどのようなサービスが提供されるのかを確認することです。表面的な魅力だけでなく、サービス内容・質をしっかりと把握することで、入居者本人に合った適切なサ高住を選択できます。

データから分かるサ高住の現状

サ高住の実態を正確に把握するには、客観的なデータを確認することが大切。最新の調査結果から浮かび上がる現状は、これからサ高住へ入居しようと考えている方の過ごしやすさや、利便性に影響していくのです。

要介護認定を受けている入居者が多い

データからサ高住の現状を見る

サ高住では、自立した高齢者を対象としていましたが、現状は大きく異なっています。

国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅について-高齢者の住まいについて-」の資料によると、2021年(令和3年)時点で入居者の大半が要介護認定を受けており、最も多いのは要介護1の方、次いで要介護2の方です。自立した入居者は全体の10%程度という実態とされています。

この状況は、一般型サ高住にとって大きな課題です。一般型では介護保険における介護サービスを提供できないため、入居者は外部の介護事業者と個別に契約する必要があります。多くの施設が「要介護者のための設備が不十分」、「入居者の需要に十分に応えられない」と感じており、サ高住の本来の目的と現実の需要との差が顕著なのです。

参考:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅について-高齢者の住まいについて-」

交通の便が良くない施設もある

サ高住では高い自由度がメリットとされていますが、実際の立地条件を見ると、必ずしも理想的とは言えないサ高住もあります。

国土交通省住宅局安心居住推進課「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」の資料によると、「市街化区域内」(すでに市街地を形成している区域、今後優先的にインフラが整備される区域)に立地するサ高住は、2017年(平成29年)3月時点で全体の約3分の2にとどまっているのが現状です。

また、同資料では交通の便の問題も明らかになっています。駅・バス停のいずれからも遠い位置に立地するサ高住が、全体の20%近くを占めているのです。こうしたサ高住では、入居者の外出や家族の訪問が困難になる可能性があります。自立した生活を望む高齢者にとって交通の便は日常生活の質に直結する要素となるため、立地条件はきちんと確認しておくべきポイントです。

参考:国土交通省住宅局安心居住推進課「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」

介護サービスを提供する施設は半数

国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅について-高齢者の住まいについて-」によると、2022年(令和4年)8月末時点で、サ高住全体の約49.5%が入浴等の介護サービスを提供しています。これは、半数のサ高住において何らかの介護サービスを提供していると示しているものです。要介護認定を受けている入居者が増加するなか、サ高住内における介護サービスの提供は追い付いていません。外部の介護事業者から介護サービスを受ける場合は介護施設まで通う必要があるため、入居者本人や家族の負担が大きくなると考えられます。

参考:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅について-高齢者の住まいについて-」

サ高住の問題点に対する行政の動き

サ高住には、前述の通り下記の問題点が指摘されています。

  • 自由度の高くない施設もある
  • 介護サービスの需要と供給が成り立っていない
  • 認知症の人が増加し対応しきれていない
  • 利益重視の運営でサービスの質が悪い施設もある

これらの課題に対して行政も対策を講じており、2017年(平成29年)度からは、新規に補助金を受けるサ高住に対し、「安否確認」と「生活相談」サービスについて情報を提供するよう義務付けました。さらに、国の2018年(平成30年)度予算案では、既存建物のサ高住への改修支援を拡充しているのです。

また、一般社団法人「高齢者住宅協会」では、「行動規範遵守宣言書」を発行しており、サ高住を運営する企業が守るべき行動規範を定めています。行動規範遵守宣言書では、「介護・医療サービスについて、外部事業者を入居者本人が自由に選択できるようにすること」を記載。これにより、入居者本人が適切な介護サービスを受けられるようになります。

この行動規範遵守宣言書を承認しているサ高住は、その証としてロゴマークをホームページやパンフレットに載せているため、サ高住への入居を検討している人にとって、施設選びの判断基準となるでしょう。

サ高住に入居して後悔しないために確認すべきこと3つ

サ高住選びで特に注意すべき3つの点について、詳しく見ていきましょう。

費用に対するサービスは見合っているか

サ高住への入居で後悔しないために

入居者本人と家族が納得したサービスを提供しているサ高住を見極めるためには、費用とサービス内容の妥当性を吟味する必要があります。

サ高住の家賃相場は、一般型サ高住で5~25万円程度ですが、注意すべきは追加費用。例えば、月額家賃5万円という低賃料で一見魅力的に見えても、生活支援サービスとして数万円の追加費用がかかる場合もあるのです。その上、サービスが金額に全く見合わないことも。そのため、毎月かかる費用に見合うサービスを提供しているかどうかを事前に把握することが重要なのです。

月額料金の上限額を確認する

サ高住の月額料金には家賃だけでなく、生活支援サービスや食費、共益費なども含まれます。入居前に月額料金の上限額を確認することで、予想外の高額な費用負担を避けることが可能。また、入居者本人が必要とするサービスに対して、具体的にいくらの月額料金が発生するかも事前に把握しましょう。サ高住側に詳細な見積もりを求め、経済状況と照らし合わせて、長期的な入居が可能かどうか判断してください。

3件以上の施設を見学する

サ高住への入居を検討する際、最低でも3件以上の見学をすることがおすすめです。複数のサ高住を比較することで、費用やサービス内容の相場感を掴め、不当な料金設定やサービス不足が見えてきます。サ高住見学の際は、単に設備や部屋を確認するだけでなく、入居者の表情やスタッフの対応にも注目。入居者が生き生きとしているか、スタッフの態度は丁寧かという点からも良し悪しを判断できます。

サ高住にこだわりすぎず選択肢を持っておこう

サ高住は魅力的な選択肢ですが、将来的な健康状態の変化に対応できない場合があります。長期的な視点で住まいを考える際は、サ高住以外の選択肢も視野に入れ、柔軟な計画を立てることが重要です。

介護が必要になった場合

サ高住のなかでも、介護型と一般型では介護サービスの提供が大きく異なります。介護型サ高住では施設内で介護サービスを受けられますが、一般型サ高住の場合は外部事業者と個別に契約する必要があるのです。そのため、一般型サ高住では入居者の要介護度が上がると、退去を求められるケースも少なくありません。

そのような事態に備えて、要介護度が上がったあとの入居先を事前に検討しておきましょう。なお、介護サービスを受けられる上、終身利用できる有料老人ホームは、以下の通りです。

認知症になった場合

サ高住では一般的に、認知症に特化したケアを提供していません。認知症が進行すると、退去を求められる可能性が高くなります。認知症の方を受け入れているサ高住もありますが、認知症の進行によって以前より見守りが必要になると、施設側が対応できなくなる場合もあるのです。

そのため、認知症となった場合を想定し、他の高齢者向け施設も事前に検討しておきましょう。なお、認知症の方が入居でき、終身にわたって利用できる有料老人ホームは、以下の通りです。

サ高住選びで失敗しないために

サ高住は、高齢者の新たな住まいの選択肢として注目されていますが、いくつか問題点もあります。入居を検討する際は、費用とサービスのバランス、将来的な介護ニーズへの対応、施設の立地条件などを慎重に確認することが重要。複数のサ高住を比較検討し、入居者本人に合った施設を選びましょう。

なお、サ高住の施設情報を知りたい方は、「ホームメイト介護」の利用がおすすめです。豊富な物件情報にアクセスでき、条件に合った物件を簡単に探せます。実際の入居者による口コミや施設の写真などの情報も閲覧可能です。

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