サ高住に入るには?サ高住の種類別に入居条件を解説
サービス付き高齢者向け住宅(以下:サ高住)の入居条件は、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」により定義されます。条件は種類によっても様々であり、認知症や感染症に関しては、施設独自の条件を追加している場合も。サ高住は老人ホームに比べて暮らしの自由度が高いこと、初期費用が比較的安いことなどが魅力です。「サ高住に入るには?サ高住の種類別に入居条件を解説」では、サ高住の2つの種類、入居条件、退去の条件についても解説します。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は2種類

サ高住は、暮らしに不安のある高齢者向けのバリアフリー賃貸住宅です。老人ホームと比較すると自由度が高く、費用は安いというメリットがあります。
人気の高さゆえ、2012年(平成24年)3月には889棟しかありませんでしたが、2023年(令和5年)11月には、8,259棟まで増加。サ高住の2種類のタイプについては、以下に解説します。
一般型(自立・支援タイプ)
「一般型」は、自立した暮らしを送ることのできる高齢者が対象であり、メインのサービスは、安否確認と生活相談です。2023年(令和5年)8月のデータでは、サ高住のうち90.5%が一般型で占められています。ひとりで暮らせる方が対象ということもあり、基本的には自分のペースで生活を送ることが可能で、自由に外出もできる点が魅力。さらに住宅内ではイベントが開催されることもあり、他の居住者とコミュニケーションを積極的に取ることが可能です。
多くのサ高住では、追加料金を払えば食事の提供も受けられますが、これは義務ではありません。よって食事を希望する方は、事前に確認しましょう。また、身の回りのことを自分ですることが難しくなったり、介護が必要な場合などは、外部サービスの利用が必要です。施設によっては、一人暮らしが困難になると退去を命じられる場合があります。退去条件については施設によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
介護型(介護・認知症タイプ)
「介護型」は、その名の通り介護を必要とする方が対象の施設。スタッフから介護サービスを受けられる、「特定施設入居者生活介護」に指定されています。特定施設入居者生活介護とは、特定施設に入居している要介護者を対象に行われる、日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話のことです。介護型では介護・看護サービス、食事や排泄、入浴の介助などが提供可能。ただし、外出や面会などに制限がある施設も多く、一般型より自由度が低い点は注意が必要です。
サ高住の入居条件
入居条件は、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」で定められており、一般型と介護型で異なります。それぞれの詳細は、以下の通りです。
介護サービスを必要としない一般型サ高住の入居条件
- 独立した暮らしのできる60歳以上の高齢者
- 60歳未満の要介護1、2認定を受けている方
- 認知症の受け入れは基本的に不可だが応相談
一般型では、原則介護サービスを提供していないため、ひとりで暮らせる必要があります。また、60歳未満の方では要介護1、2であれば対象。上記の条件に加えて、連帯保証人や身元引受人が必要です。
介護サービスを受けられる介護型サ高住の入居条件
- 自立~要介護5の方
- 認知症の受け入れが可能
介護型は24時間介護サービスを受けられるため、ひとりで暮らせる方だけではなく、要介護5認定を受けた方や、認知症の方も入居できます。介護型も、連帯保証人や身元引受人が必要な場合が多いです。
サ高住は夫婦でも入居可能!同居人の条件
老老介護になることが不安で、夫婦で入居したいという方もいるでしょう。サ高住は、夫婦での入居が可能です。ただし同居人の条件は、以下のいずれかに当てはまる必要があります。
- 入居者の配偶者(届出はしていないが事実婚の場合も含む)
- 60歳以上の親族
- 要支援、要介護認定を受けている60歳未満の親族
- 特別な理由により同居させる必要があると知事が認める者
夫婦2人の生活を不安に感じたり、病気やケガにより2人での暮らしが困難になっている場合は、サ高住なら夫婦で入居できるので安心です。
施設独自の条件がある場合も…事例を紹介
施設によっては、独自の入居条件のあるところもあります。以下に、具体的な事例を紹介しましょう。
連帯保証人・身元引受人がいる
ほとんどの施設で、「連帯保証人」と「身元引受人」が必要。保証人や引受人が必要な理由は、以下の通りです。
- 費用の支払いが滞った場合に経済的な保証が必要
- 認知症などにより、今後の方針について
意思決定ができなくなる可能性がある - 定期的な状況報告や緊急時、死亡時に連絡が必要

単身であり、親族にも保証人や引受人になってくれる人がいない場合には、「家賃債務保証制度」の利用を検討するのがおすすめです。
「家賃債務保証制度」とは高齢者世帯、障害者世帯などの家賃債務を保証し、連帯保証人の役割を担ってくれる制度。保証料は、2年間保証の場合で月額家賃の35%であり、契約時に支払います。
連帯保証人がいなくても、制度を利用すれば入居可能なこともあるので、事前に施設に相談するのがおすすめです。
自分で身の回りのことができる
一般型では、自分で身の回りのことができる必要があります。施設によっては、ひとりで暮らすことが困難になると、退去しなければならないケースも。介護型の場合には、介護サービスの提供があるため、身の回りのことはできなくても問題ありません。
事前に、要介護状態になったら退去が必要かどうか、医療ケアについて確認しておくと安心して入居できます。
認知症ではないこと
一般型では、介護サービスの提供がないので、認知症の方を受け入れていません。認知症の症状があり、サ高住を利用したい方は、介護型の施設を探すのがおすすめ。介護型であれば生活上の介助や援助を受けられるので、安心して暮らせます。
感染症にかかっていないこと
感染症にかかっている方は入居できません。高齢者は免疫機能が下がっている方が多く、施設内で感染症が広がるのを避けるためです。感染症にかかっている方は、病気を完治させてから、施設を探すようにしましょう。
退去となる条件も確認しておこう
以下のような場合には、退去となる可能性が高いです。
- 要介護度が上がった
- 体調や持病が悪化した
- 入居費用の滞納をしている
- 他の入居者や施設に対する迷惑行為を繰り返している
- 自傷他害行為があった
- 入院した
入居途中に認知症になった場合、一般型のサ高住では退去を求められる場合があります。しかし、介護型であれば、認知症でも施設スタッフから食事や入浴、排泄時の援助を受けつつ、生活を続けられる可能性も。将来、どのような病気になるかは誰にも予想できません。事前にどのような場合には退去になるかを確認しておけば、安心して過ごせるでしょう。
まとめ
サ高住の入居条件は法律で定められており、施設の種類によって条件が異なります。施設独自の条件を定めている場合も多いので、事前に確認しましょう。一緒に入居する同居人にも条件がありますが、夫婦で同じ場所に住める可能性が高い、便利なサービスです。
ひとりや2人での暮らしを不安に感じている方は、サ高住への入居を考えるのがおすすめ。さらに、退去になる条件も確認しておけば、安心して過ごせるはずです。