セカンドオピニオンとは?どういうときに使う?分かりやすく解説
「セカンドオピニオン」は、診断を受けた医師から説明された治療方針や治療方法に納得がいかない場合に、他の医師から「第2の意見」を求めることです。医師は専門性を持って病気やケガの診断と治療方針を提示します。しかし、患者は他の選択肢がないのか知りたくなることも少なくありません。また、高齢者で判断能力が不十分な場合には、家族が不安に感じることもしばしばあります。セカンドオピニオンはそういった患者、その家族が納得して治療を受けるための制度なのです。セカンドオピニオンの内容、活用方法について解説していきます。
セカンドオピニオンとは

セカンドオピニオンとは、自身の病状や治療方針について、診断を受けた医師である「主治医」とは別の医師・医療機関から受ける「第2の意見」のことです。
多くの医師は、学んできた基礎知識や治療方法など、ある程度共通の知識と認識をもって医療を行っています。しかし、医師の専門分野や特定の病気についての知見、医師と患者の相性などから、他の医師からの意見を聞きたくなることも少なくありません。セカンドオピニオンは、病気についての幅広い意見や考え方、患者が納得できる医療を提供するために重要とされているのです。
セカンドオピニオンは、病気やケガの治療を行うにあたって、自分が納得して治療を受けるために行われるもの。日ごろから信頼している主治医の診断や治療方針でも、納得がいかない場合、違う意見を聞きたい場合もあります。他の医師からの見解を聞くことは決して悪いことではないため、疑問や不安がある場合はセカンドオピニオンを利用しましょう。
セカンドオピニオンはどういうときに使う?
セカンドオピニオンを受けたいと考えるタイミングは、主に以下のようなときです。順に見ていきましょう。
- 1主治医からの説明だけでは選択に悩むとき
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主治医から、病状や治療方針を説明されたとき、いくつかの選択肢を提示されることがあります。例えば骨折に対して保存的治療をするのか、手術によって治療するのかなど。主治医は状態に応じて、患者に合う方法を推奨しますが、他の意見も聞きたい場合には、セカンドオピニオンを受けると良いでしょう。
- 2主治医からの説明、治療方針に疑問を持つとき
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主治医は検査結果から病状を説明し、治療方針や方法を提示。しかし、医師の説明にどうしても納得がいかなかったり、本当にその治療法が有効なのかと不安になったりすることもあります。そのようなときに、セカンドオピニオンを受けることで、他の医師からの意見をもらうことが可能です。同じ専門分野の医師でも、経験や勉強してきた内容に違いがあることも多いため、客観的かつ違った目線から診断を受けることもあります。
- 3提示された治療法以外の方法がないか知りたいとき
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主治医の説明を聞く中で、他の治療方法がないかと考えてしまう方も少なくありません。しかし、主治医が提示している治療法に、患者側から意見をすることにためらう場合もあります。そのようなときには、セカンドオピニオンを受ける医師に相談し、意見などを聞いてみることも手段のひとつです。自身が納得できるように、失礼のない範囲で相談しましょう。
セカンドオピニオンの料金
セカンドオピニオンは料金が決められていません。セカンドオピニオンは保険適用外となっているため、医療点数が定められていないからです。保険適用外であることから自己負担となり、金額もやや高額。セカンドオピニオンの料金は医療機関によって様々ですが、1万1,000円以上かかる場合がほとんどです。また、相談時間によって料金が加算される医療機関もあり、さらに高額な料金となることもあります。意見を聞きに行く場合は、事前に医療機関ごとの料金を調べましょう。
以下は、愛知県のがんにおける主なセカンドオピニオンの料金(一例) です。
愛知県のセカンドオピニオン料金一覧 | ||
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がん診療 連携拠点病院 |
セカンドオピニオン料金 | |
愛知県がんセンター | 30分1万6,500円 (オンライン診療は2万7,500円) |
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名古屋医療センター | 1時間2万2,000円、以後30分5,500円 | |
名古屋大学医学部附属病院 | 主治医への報告書作成を含め、1時間以内3万3,000円 | |
中京病院 | 1時間1万1,000円、以後30分5,500円 | |
名古屋市立大学病院 | 主治医への報告書作成を含め、30分~1時間程度3万2,430円 | |
日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第一病院 |
1時間1万1,000円、以後30分5,500円 | |
日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院 |
主治医への報告書作成を含め、1時間以内3万3,000円(オンラインは3万3,330円) | |
名古屋市立大学医学部附属西部 医療センター |
本人は保険診療2,000~5,000円程度、家族の場合は自費1万~1万8,000円程度 | |
海南病院 | 1時間1万1,000円、以後30分5,500円 | |
公立陶生病院 | 1時間1万1,000円、以後30分5,500円 | |
藤田医科大学病院 | 主治医への報告書作成を含め1時間以内3万3,000円(オンライン方式も同料金) | |
愛知医科大学病院 | 主治医への報告書作成を含め、1時間以内3万3,000円 | |
一宮市立市民病院 | 30分1万1,000円 | |
小牧市民病院 | 30分1万1,000円、以後30分ごと5,500円 | |
半田市立半田病院 | 30分1万1,000円、以後30分ごと5,500円 | |
豊田厚生病院 | 30分1万1,000円、30分延長ごと1万1,000円 | |
岡崎市民病院 | 30分1万1,000円、以後30分ごと5,500円 | |
安城更生病院 | 30分1万1,000円、以後30分まで延長可能で、1万1,000円の加算となる(原則1時間) | |
豊橋市民病院 | 30分1万1,000円、以降30分ごと5,500円 |
セカンドオピニオンが重要視される理由
セカンドオピニオンが重要であるとされている主な理由には、以下の2つが挙げられます。
- 1他の専門医から意見を聞くことができる
- 同じ分野の専門医であっても、病気に対する考え方、治療方針、患者に対する提案の仕方など、アプローチ方法は様々。そのため、他の専門医から意見を聞くことで、患者自身にとって最適な治療方法を選択することが可能となるのです。複数の専門医から意見を聞くことは、治療方針の決定に役立ちます。
- 2患者が納得した上で治療を受けられる
- セカンドオピニオンは、治療方針や治療方法に患者が納得した上で治療を受けるための手段です。治療を進めると大きな費用が必要だったり、体に負担がかかったりします。提示された治療方法や治療方針に心から納得できなかった場合には、セカンドオピニオンを受けることがおすすめです。
セカンドオピニオンを受ける際の注意点

セカンドオピニオンを受ける際に、心掛けておきたいことや注意点を解説します。セカンドオピニオンは、希望すれば誰でも受けることができますが、主治医や医療機関との関係性を考慮して行う必要があるのです。どのような点に気を付ければ良いのか見ていきましょう。
- 1ファーストオピニオンを大切にする
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セカンドオピニオンを受ける際は、「ファーストオピニオン」(主治医による最初の意見)の内容を尊重して意見を聞くことが大切です。セカンドオピニオンを求める場合には、ファーストオピニオンの医師から得た情報や診断、治療計画を新たに相談する医師と共有することが重要。これにより、両方の意見を比較しやすくなり、より適切な医療判断が可能になります。
また、セカンドオピニオンは新たな視点になりますが、それが常にファーストオピニオンより優れているとは限りません。それぞれの医師達から得た情報を尊重し、自分の考えと照らし合わせ、決断することが肝心です。
- 2主治医に内緒にしない
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セカンドオピニオンを受けるとき、主治医に申し訳ないと思い、内緒にしてしまう人も少なくありません。しかし、セカンドオピニオンでは、主治医からの紹介状、検査結果を用いて他の医師に意見をもらいます。そのため、主治医に内緒でセカンドオピニオンを受けてしまうと、正しい情報が伝わらないということが起こってしまう可能性があるのです。また、内緒で他の医師に意見をもらうことで、自身と主治医との関係を崩してしまうことも考えられます。主治医との関係を良好に保ちながら、正しい情報を得るためにも、セカンドオピニオンを受けることはきちんと主治医に伝えましょう。
- 3信頼できる人と情報を集める
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セカンドオピニオンを聞くためには、意見を聞く医療機関や医師を自分で決める必要があります。しかし、どの医療機関の医師が、自分の病状に最適な意見を出してくれるのかは簡単に判断できません。そのため、セカンドオピニオンを受ける医療機関を決める際には、信頼できる家族、友人、医療機関に詳しい人などに相談するのが良いでしょう。
なお、生命保険に加入している場合、生命保険会社によっては、医療保険に「セカンドオピニオンサービス」を設定している場合があります。セカンドオピニオンサービスは、生命保険会社の担当に、セカンドオピニオンを検討していることを伝えることで、保険会社と提携している医師の意見を聞くことができるサービス。受診する日時の手配も行ってもらえるため、サービスに加入している人は利用するのもおすすめです。
セカンドオピニオンを受ける流れ

セカンドオピニオンを希望する場合は、正しい手順で行うことが重要です。
- 1主治医の意見(ファーストオピニオン)をよく理解する
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まずは最初に検査・診断を行った主治医の意見をしっかりと理解しましょう。ファーストオピニオンは、患者自身の状態、家族構成、現在の生活状況などをもとに、主治医が出した治療方針や治療方法です。内容を正確に理解し、どこに不安や疑問があるのかを整理します。その上で、本当にセカンドオピニオンが必要かどうかを判断しましょう。
- 2受診する病院を決める
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セカンドオピニオンを受ける方針を固めたら、次は受診する病院を決定します。医療機関は自分で調べたり、信頼できる家族、友人から意見をもらったりするなどして、慎重に決定しましょう。主治医に相談することで医療機関を紹介してもらえる場合がありますが、言い出しにくい場合も。そのようなときは、住んでいる自治体Webサイトやインターネットを利用して、セカンドオピニオンを受け付けている病院を検索しましょう。また、任意で加入している医療保険によっては、セカンドオピニオンがサービス内容に含まれている場合があります。自身の加入している生命保険会社のプランを確認し、サービスを活用することもおすすめです。
- 3主治医に紹介状を書いてもらう
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受診先が決定したら、主治医にセカンドオピニオンを受ける意思があることを伝え、紹介状を書いてもらいましょう。紹介状をもらうことで、患者自身が口頭で伝える場合よりも、より正確な情報がセカンドオピニオンの医師に伝わります。レントゲンや検査の結果などを添えてもらい、セカンドオピニオンの医師が正確な情報をもとに判断をできるようにしましょう。
- 4セカンドオピニオンを受ける
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受診先に紹介状や検査データが届いたら、実際にセカンドオピニオンを受けます。セカンドオピニオンを受ける際は、セカンドオピニオン外来専用の申込書に記入することが必要になる場合がほとんど。さらに、相談をするのが患者本人ではなく家族である場合は、相談を代理で行うための「同意書」への記入も必要です。申込みの際に必要な書類や手順は確認するようにしましょう。
セカンドオピニオンでは、主治医から伝えられた検査結果や治療方針に対し、自分がどのようなことに不安を持っているか、何が分からないのかをしっかりと説明します。相談は、短時間で簡潔に伝えられるよう、話す内容を明確にすることが肝心です。
- 5主治医に内容を報告し、今後の治療方針を相談する
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セカンドオピニオンを受け、診断結果を聞いたあとは、最終的にどのような方針で治療を行っていくのか、主治医と相談します。ファーストオピニオンやセカンドオピニオンは、あくまでも医師達の提案する選択肢や意見です。最終的にどの治療方針を選択して、どの治療方法を選択するのかは、患者自身が決定します。医師達の意見から、最も自分が納得できる治療方針を決定しましょう。
まとめ
セカンドオピニオンは、治療方針や治療方法を決定するために重要となる第2の意見です。主治医から提案された内容が納得しきれない場合や、治療方法の選択に悩む場合に活用しましょう。セカンドオピニオンを活用することで、自分の病気に適切な治療方法を選択するためだけではなく、自身が納得して治療を受けることができます。患者自身にとって最適な治療方針を決定するためにも、主治医から提示された治療方針や治療方法に悩んだときには、セカンドオピニオンを検討しましょう。