特養の種類(地域密着型・広域型・サポート型・ユニット型)を解説!それぞれの特徴・入所条件は?
特別養護老人ホームは、有料老人ホームと比べて費用を抑えて利用できる人気の施設です。特別養護老人ホームの種類には、①「広域型」、②「地域密着型」、③「サポート型」、④「ユニット型特養」(新型特養)の4種類があり、施設の種類ごとに入居条件、特徴、サービス内容にも違いがあります。4種類ある特養の特徴と入居条件の他、居室ごとの居住費の目安などを詳しく見てみましょう。
特別養護老人ホーム(特養)の種類を一覧で比較

特別養護老人ホーム(特養)は、かつては広域型、地域密着型、サポート型の3つに分類されていましたが、新型特養と言われるユニット型特養(新型特養)が新しく加わり、現在では大きく4つに分類されます。
特別養護老人ホーム(特養)の基本的な入居条件は以下の通りです。
- 要介護度3以上かつ65歳以上の方で、感染症などの医療的措置が不要
- 要介護度3以上の40~64歳までで、特定疾患が認められる
- 要介護度1~2で、特例による入居が認められる
これらの基本条件とそれぞれの施設に定められた条件に該当する方が、特別養護老人ホーム(特養)へ入居が可能。施設ごとに特徴は異なり、提供されるサービスも異なります。そのため、利用を考えている方はどのような施設が合っているのかを事前にチェックしておきましょう。
特別養護老人ホーム(特養)の種類別比較 | ||||
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入居条件 | 特徴 | サービス | ||
広域型 | 居住地に関係なく申込み可能 | 居住地の制限がないため、場所にこだわらなければ比較的早く入居できる可能性がある | 食事や掃除、洗濯などの生活支援の他、入浴、排泄の介助、機能訓練、レクリエーション活動など | |
地域密着型 | サテ ライト型 |
施設が立地している自治体に居住している方のみ申込み可能 | 本体施設に隣接し、人員配置基準や設備基準が緩和されている | |
単独 型 |
本体施設を持たず、小規模、少人数制 | |||
地域 サポート型 |
介護や見守りを必要とする方 | 在宅で自立した生活を送りたい方へ向けたサポートを実施 | 巡回訪問や緊急時の対応、24時間見守りなど | |
ユニット型 | 基本的な入居条件に該当する方 | 全室個室、または準個室で在宅に近い環境でケアを受けられる | 広域型、地域密着型と同様のサービスを提供 |
一般的に、特別養護老人ホーム(特養)は定員が30名以上の広域型の施設を指します。一方で、定員数が29名以下の地域密着型は、小規模・少人数制。入居条件の地域を限定し、地域や家族とのつながりを大切にしている点が特徴的です。
広域型特養
広域型特養とは、定員30名以上の特別養護老人ホーム(特養)で居住地に制限がないのが特徴です。医師や看護師、介護士、機能訓練士なども配置されているため、日常生活でも安心できます。
地域密着型特養
地域密着型特養は、定員29名以下で、原則として施設が立地している自治体に居住している方のみが利用できる施設です。入居者様ができる限り自立した生活を送れるように少人数制で運営しています。また、タイプとして単独型とサテライト型の2種類がある施設です。
単独型
単独型は、定員29名以下で広域型特養と比べて、人員や設備基準が緩和されており、本体施設を持たずに小規模、少人数制で運営しています。少人数でアットホームな環境で介護が受けられるのが特徴です。
サテライト型
サテライト型は、定員29名以下で本体施設と密接に連携しながら、本体施設と隣接した別の場所で運営している施設のこと。単独型と同じく、人員や設備基準が緩和されている施設です。
地域サポート型特養
地域サポート型特養では、介護を必要とする方が自立した生活を長く営めるように介護サービスを提供しています。サービス対象となる地域は決まっている場合もあるため、地域サポート型を利用するなら施設に確認しておくと安心です。
ユニット型特養
ユニット型特養では、入居者様へ個室もしくは準個室が与えられるため、在宅に近いかたちで介護サポートを受けながら生活が可能です。プライバシーを守りながら生活を送れるため、人気が高く、入居までの待機期間が長期化する場合もあります。
特別養護老人ホーム(特養)は居室の種類で費用が異なる
特別養護老人ホーム(特養)には様々な種類の居室があり、居室のタイプによって居住費は大幅に異なります。入居の際は毎月どのくらいの費用が必要になるのか、事前に金額を確認しておくと安心です。
負担限度額の利用者負担段階の要件は、以下の通りです。
利用者負担段階の要件 | ||
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利用者 負担段階 |
対象となる要件 | |
第1段階 | ・生活保護受給者 ・世帯全員が市町村民税非課税、及び老齢福祉年金受給者 世帯分離している配偶者を含む |
かつ、預貯金等が単身で、1,000万円(夫婦で2,000万円以下) |
第2段階 | ・世帯全員が市町村民税非課税で、年金収入金額+合計所得が800,000円以下 世帯分離している配偶者を含む |
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第3段階 | ・世帯全員が市町村民税非課税で、第2段階該当者以外 | |
第4段階 | ・世帯に課税者がいる ・市町村民税本人課税者 |
― |
特養に入居すると、居住費の他に食費や日常生活費、施設介護サービス費、介護サービス加算がかかります。どの居室タイプでも食費は一律、日額1,392円です。
居住費は、国が定めた基準費をベースに設定されています。居住費は、所得に応じて負担限度額が第1~第4段階まで設けられており、同じ居室タイプに入居していても、利用者それぞれで金額が異なることを把握しておきましょう。
従来型個室
従来型個室は、介護施設で一般的な個室のことで、ユニット型個室と区別するために用いられる呼び方です。従来型個室の居住費は、日額1,171円。負担限度額は、第1段階は日額320円、第2段階は420円、第3段階は820円となり、居住費は変動します。
ユニット型個室
ユニット型個室は完全個室のことで、居住費が最も高額の日額2,006円になっています。負担限度額の割合も高く、第1段階は日額820円、第2段階は820円、第3段階は1,310円です。
多床室
多床室は、病院の大部屋のように1室に2~4台のベッドが配置されている居住空間になっています。個室ではないため、特養のなかでは最も居住費が安価で、日額855円です。負担限度額は、第1段階は日額0円、第2段階は370円、第3段階は370円と設定されています。
ユニット型個室的多床室(ユニット型準個室)
ユニット型個室的多床室は、改装によって多床室に仕切りなどを設け、個室のように区切ったタイプの居室です。居住費は、日額1,668円とユニット型個室よりも安価で、第1段階は日額490円、第2段階は490円、第3段階は1,310円になっています。
特別養護老人ホームがおすすめの方は?
特別養護老人ホーム(特養)は、様々な支援や介護サポートなどが提供される一方、多くの制約もあります。人気が高く、入居待機期間が長いため、まずは入居予定の方の意向に沿っているか確認が必要です。
費用を抑えたい方

特別養護老人ホーム(特養)は、施設の入居条件を満たし、少しでも費用を抑えて終身利用ができる施設に入居したい方に特におすすめです。施設介護サービス費や介護サービス加算は変動しますが、居室費はリーズナブルなため、有料老人ホームに入居するよりも毎月の利用料が抑えられます。
また、収入や資産によって負担限度額認定が適用対象となったり、利用者負担軽減制度を利用したりと、様々な制度を活用できるのも魅力。そのため、年金だけで毎月の利用料をまかなうことも可能です。施設への入居を検討する際は、どのような制度を利用できるのか、事前に相談しておくことをおすすめします。
医療措置が不要な方
特別養護老人ホーム(特養)に入居できるのは、「医療措置が不要な方」です。そのため、医療的ケアが必要な方は入居できません。医療措置の必要がなく、健康な状態で介護サービスを利用したいと考える方には、特別養護老人ホーム(特養)がおすすめ。
特別養護老人ホーム(特養)の基本的な入居条件のひとつに「要介護度3以上」があります。介護度の高い方が安心して暮らせるよう設計されているため、緊急時もスムーズに対応できるのも特徴です。
看護ケアが必要ですぐに入居したい方
特別養護老人ホーム(特養)は、「医療措置が不要な方」が入居の条件ですが、医療的ケアや看護ケアを必要とし、すぐに施設へ入居したいと考えている場合は、「介護付き有料老人ホーム」がおすすめです。
また、介護専用型の介護付き有料老人ホームは「要介護度1以上」からの入居が可能。介護度が高い方でも安心して暮らせるよう設計されているため、緊急時もスムーズに対応できる強みがあります。施設も多くあり、特別養護老人ホーム(特養)に比べ待機期間が少ないのも魅力です。
特別養護老人ホームの4つの種類を知って利用を検討しよう
特別養護老人ホーム(特養)は大きく4種類に分けられ、それぞれに特徴があります。基本的な入居条件に加え、それぞれの施設で定められた条件もあるため、利用を検討する際は条件に該当するのかチェックが必要です。
また、どのようなサービスを受け、どのように暮らしていきたいのかも考える必要があります。ご家族や地域包括支援センターなどの公的機関に相談して、希望に合った施設を探してみましょう。