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介護老人保健施設から在宅復帰をするまでの期間や条件?復帰後におすすめの施設も紹介

「介護老人保健施設」(老健)から在宅復帰するまでの期間は、一般的に3~6ヵ月です。介護老人保健施設では、医師、看護師、介護士、支援相談員、栄養士、理学療法士などのサポートを受けながら、自立を目的に機能訓練を行い、日常生活上の困難を克服していくことを目指します。入所者の日常生活動作(ADL)が向上することで、親族の負担も軽くなり、本人もできることが増え、老後の暮らしの支えとなる介護サービスです。介護老人保健施設から退所して、在宅復帰するまでの期間と、在宅への復帰後におすすめの施設について詳しく見てみましょう。

介護老人保健施設(老健)から在宅復帰までの期間

介護老人保健施設での生活

介護老人保健施設から在宅復帰するまでの期間は、原則は3~6ヵ月ですが、現場の実態は、9ヵ月近く入所しているのが現状です。

その理由は、入所者が自宅に帰れる状態になったにもかかわらず、自宅で療養するための受け入れ準備が整っていなかったり、介護する身内の負担が増えることを懸念して受け入れを拒否されたりして、復帰期間を超えてしまうケースがあるため。

厚生労働省の「令和2年介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、介護老人保健施設の平均入所期間は本来の入所目安である6ヵ月(180日)から大幅に超える281日間です。

介護老人保健施設の入所者回転率の悪化が顕著となっており、2021年(令和3年)においても、平均入所期間は2020年(令和2年)と変わりません。

介護老人保健施設(老健)は在宅復帰を目的とした施設

介護老人保健施設では、入所している高齢者に対してリハビリや治療を行いながら、在宅復帰を目指します。具体的には、2017年(平成29年)に改訂された介護保険法によって定義されているため、詳細をまとめました。

自立を目的としながら在宅療養を目指す

介護老人保健施設への入所者の定義は、介護保険法で「居宅における生活を営むための支援を必要とする者」とされています。つまり、終身利用される施設ではなく、リハビリや治療を通じて自立を目指し、在宅復帰を目標に健康面の回復と身元引受人(身柄を責任もって引き取る人)との調整を図る場ということです。

復帰期間経過後の選択肢

介護老人保健施設から復帰する際は、身元引受人のもとへ戻ることになります。しかし、在宅療養の準備が整わず、復帰の目安である3~6ヵ月を大きく超えて9ヵ月近く在所しているケースが多いのが現状。在宅復帰の準備が整わない場合、特別養護老人ホームや有料老人ホームに転居するのもひとつの選択です。自宅へ戻ってもまだ治療が必要な場合は、介護保険を活用して、日中は施設で過ごす「デイサービス」を利用する方もいます。

介護老人保健施設(老健)から復帰後におすすめの施設

介護老人保健施設でリハビリや治療を受けることで心身ともに回復が見られ、医師から復帰可能と判断されれば、自宅へ戻ることになりますが、そのまま老人ホームなどの施設に転居することもできます。介護老人保健施設から復帰後におすすめなのは「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)と「有料老人ホーム」です。

自由度が高めの「サービス付き高齢者向け住宅」

サービス付き高齢者向け住宅での生活

サービス付き高齢者向け住宅は、介護保険法に基づき、バリアフリーの高齢者用賃貸住宅で生活しながら、外部の介護サービスを活用して高齢者の安定した暮らしをサポートする施設。

歩行や排泄、食事、入浴など生活に必要な動作ができると判断された高齢者が、介護老人保健施設から転居する際に、おすすめされることが多い介護サービスのひとつです。

サービス付き高齢者向け住宅の概要
特徴 ・外部による介護サービスを受給しながら、自由度の高い自立した生活を営むことができる
・日中はケアマネジャー、介護福祉士、社会福祉士などの職員が安否確認と生活相談を行う
・住宅内はバリアフリー構造
サービス 介護サービス、医療ケア、生活支援サービス、リハビリ、レクリエーション
入居条件 ・60歳以上の方、あるいは要介護認定(1~5)を受けた40~60歳未満の方
※夫婦入居の場合、夫婦のどちらかが上記ならOK
※特定入所者生活介護(もしくは予防特定入所者生活介護)の認定を受けている
・認知症:受け入れる施設もあり
費用 入居
一時金
平均23.1万円
月額
利用料
平均16万円

サービス付き高齢者向け住宅は、一般型(自立型)と介護型の2つに分類されます。一般型(自立型)は、自立している高齢者向けのサービスで、医師や看護師、社会福祉士、介護福祉士、介護職員初任者研修課程修了者、介護支援専門員が連携を図り、入所者に対して安否確認と生活相談などの見守りを提供。原則は日中のみの支援で、夜勤体制はありませんが、自立した高齢者が自由度の高い暮らしを送れる施設です。

一方、介護型は介護保険サービス適用の介助やリハビリ、レクリエーションのサービスがありますが、一般型(自立型)と比較すると自由度は低くなります。

選択できる介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホーム

介護老人保健施設から復帰したあとにおすすめの施設として、「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」もあります。なかでも、介護付き有料老人ホームは介護サービスを受けられるため、介護老人保健施設を退所してすぐの高齢者にとって、安心した暮らしができる施設です。

介護付き有料老人ホームの概要
特徴 ・24時間介護スタッフが常駐
・介護度が軽い方から認知症の方まで幅広く利用可能
サービス 介護サービス、医療ケア、生活支援サービス、リハビリ、レクリエーション
入居
条件

・原則65歳以上
・自立から要介護
・年齢例外入所:自立型は独自基準あり
(60歳からでも入所できる施設あり)
・認知症:可能(軽度から重度)

費用 入居
一時金
平均650万円
月額
利用料
平均30万円

介護付き有料老人ホームは、介護資格を有する専門スタッフが24時間常駐しており、入浴、食事、清掃、排泄などの介助支援が可能です。他に、住宅型有料老人ホームも挙げられますが、住宅型有料老人ホームは自立した方が対象の施設なので、介護付き有料老人ホームとは受けられるサービスが異なります。

介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違い
介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム
特徴

・24時間介護スタッフが常駐

・自立した生活のためのサポートを行う

・生活の自由度が高い

・介護サービスの提供がなく、自分で委託する必要がある

サービス 介護サービス、医療ケア、生活援助、リハビリ、レクリエーション 生活援助、レクリエーション
入居条件

・原則65歳以上

・年齢例外入所:自立型は独自基準あり
(60歳からでも入所できる施設あり)

・自立から要介護

・認知症:可能(軽度から重度)

・原則60歳以上

・独自基準で 65歳以上の施設もある

・年齢例外入所:独自基準で60歳未満でも入所できる施設あり

・自立から軽度(要介護2程度)まで

・認知症:軽度から中度

費用 入居
一時金
平均650万円 平均70.4万円
月額
利用料
平均30万円 平均13.5万円

介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの大きな違いは、入居対象者の介護度です。比較的、自立に近い軽度の介護度と判断されれば住宅型をおすすめしますが、介護度が高く、介護保険サービス受給が必要な方は、介護付き有料老人ホームを検討することをおすすめします。

介護老人保健施設から復帰後の生活は、早めに検討しよう

介護老人保健施設の復帰期間は、一般的な目安は3~6ヵ月とされています。しかし、入所者の病状や家族の受け入れ体制が整わず、厚生労働省が定めているリハビリの標準算定日数(最大180日間)を超えてしまっているのが現状です。介護老人保健施設で治療やリハビリを行ったあとは、病状が安定してきたら復帰して在宅療養へと切り替えることができます。

復帰後、また状態が悪化するのではないかと懸念がある場合は、有料老人ホームに転居することもおすすめです。日常生活への不安を払拭するためにも、復帰後の選択肢について検討してみましょう。

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