在宅介護を始める前に準備すること|費用や利用できるサービスを知ろう
在宅介護をはじめるには、自宅の環境整備や、介護の仕組みを理解するなど、様々な準備が必要です。介護サービスをすべて自費で利用するのは経済的な負担が大きいため、一般的には介護保険を利用して金銭補助を受けますが、そのためには要介護認定など、必要な手続きを経なければなりません。在宅介護をスムーズに進められるよう、必要な準備について見てみましょう。
在宅介護をはじめる前に必要な準備

在宅介護をはじめる前に必要な準備は、大きく分けて以下の3つです。
- 1介護保険制度の理解
- 2自宅の環境整備
- 3費用の準備
在宅介護を行う上で、介護保険のサービス利用はとても重要。介護保険制度やサービスの内容を理解して、何をやってもらえるか、自分達で何をしなくてはいけないのかを把握しておく必要があります。
また、要介護者の症状や状態に応じて、自宅のバリアフリー化が必要。要介護者と共に暮らすにあたって、どのような改修が行われる可能性があるのかを知っておくのが重要です。介護保険サービスの利用や、住宅改修をするには、費用が必要になります。月額で費用負担が生じる介護保険サービスなどは、年金だけではまかないきれないケースがほとんど。年金だけでは足りないときに、どこから費用を捻出するか決めておくと安心です。
介護保険サービスの申請

介護保険サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。本人・家族の負担を軽減できる介護保険サービスは、在宅介護を行う上で必須。介護保険証は、65歳以上になると自宅に郵送されますが、要介護認定を受けていないとサービスを利用できません。
介護保険サービスは3種類
介護保険サービスは、主に以下の3つに区分されます。
介護保険サービスの種類と具体例 | |
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①在宅 |
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②通所 |
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③施設 |
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要介護者の状態や家庭環境によって、ケアマネジャーが必要なサービスを提案してくれます。介護する人の負担を減らすには、要介護者の状態に合ったサービスを利用するのが重要。家庭環境なども考慮して選ぶと、家族間のトラブルが生じにくいです。
介護保険サービスの申請手順
介護保険サービスの申請は、4つの手順で進めていきます。
- 1要介護認定の申請
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役所の介護保険窓口か、地域包括センターで、要介護認定の申請を行います。要介護度とは、日常生活を送るのに、どれだけの支援が必要になるかの指標です。申請内容をもとに調査を行い、要介護度が決まります。申請時に持参する物は以下の通りです。
- 介護保険被保険者証
- 身分証明書
- マイナンバーカード
- かかりつけ病院の診察券
持参した物をもとに、申請書を記入して提出します。要介護の認定調査を行う際には、「主治医意見書の依頼」が行われるため、主治医の氏名や医療機関の記入が必要。申請を行う役所や地域包括センターは、住民票がある市区町村に限定されるため注意が必要です。
- 2訪問・調査
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申請内容と医師からの意見書をもとに、自宅への訪問調査が行われます。具体的な確認内容は、以下の通りです。
- 要介護者の状態(身体機能・認知機能)
- 家族構成
- 自宅の環境
訪問調査では、要介護者がどのような状況にあるかを中心に、生活に関する質問に回答します。移動や入浴などの日常の行為をはじめ、買い物や近所付き合いなどができるかも確認。身体機能や認知機能の状態を把握し、日常生活を送る上で、どの程度支援が必要かを調査します。訪問調査の際は、調査を受ける本人が認知症になっていると、正しい回答ができず介護度が低くなってしまうケースがあるため、家族も同席し、事実をしっかり伝えられるようにしましょう。
- 3要介護度の決定
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申請内容と訪問調査の結果に基づいて、要介護度が決定され、申請から30日以内に認定結果が通達されます。要介護度によって受けられる介護サービスの範囲が決まるため、適正な介護度になっているか確認しましょう。
要介護度が通達されたあと、担当のケアマネジャーから連絡がきて、ケアプランを検討していきます。
- 4ケアプランの作成
- 要介護者の状態や家族の希望を考慮した上で、ケアマネジャーがケアプランを作成。ケアプランは被介護者の生活を左右する重要な要因のため、本人や家族の希望を反映させたプラン作りが大切です。認知症などの場合、症状の進行で必要な介護が変わってくるため、ケアプランはあとからの変更も可能となっています。
家族や専門家などの協力体制の確認

在宅介護をする上で、協力者の存在はとても重要です。ひとりで介護をしようとしても、できることには限界があります。身内や親族に限らず、看護師や介護士なども協力者です。要介護者に携わる協力者とその役割について理解しておきましょう。
関係者同士で協力して介護にあたるためには、事前に家族で話し合ったり、専門家に相談したりしておくと安心です。
家族間で話し合いをする
在宅介護をはじめる際、誰が何をどれだけやるのか、家族で相談しておきましょう。協力体制を確認するにあたって、以下の2つを軸とすると分かりやすいです。
- 1方針を明確にする
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在宅介護を円滑に進めていくためには、協力者間での介護方針を明確にしておく必要があります。以下の例のように、在宅介護には様々な方針があるため、自分の家族ではどのようなスタイルを採用したいか、相談しておきましょう。
<方針の例>
- 在宅時間を長くするために、訪問サービスを多く使う
- 介護が難しいと感じた段階で、施設入所を検討する
- 本人の意思を尊重し、家族の負担になることでも実施する
- 介護者の負担を第一優先にして、定期的に施設サービスを利用する など
方針が決まっていないと、いざ介護をはじめようとしたときに、介護する人達の間で意見が割れることがあります。また、家族が決めた方針について、介護を受ける本人が納得いかずにトラブルになるケースも。どのような方針にしていくかは、本人が元気なときから話しておくことが重要。本人・家族ともに負担の少ない形で進められるように準備しておくと安心です。
- 2役割を明確にする
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在宅介護は長期間に及ぶため、役割分担が重要です。役割分担ができていないと特定の人に負担が集中し、心労や疲労を抱え込んでしまうこともあります。家族間の役割について、在宅介護が始まる前から確認しておくと安心です。
<役割分担の例>
- 日常の介護は妻(夫)が行う
- 病院の受診は子供が車で送迎して付き合う
- 土日や決まった曜日で子供が介護を担当する
- 週に1回親戚が買い物を代行する
- 外部の介護サービスを利用する(入浴・買い物) など
現在は、核家族化が進んだ影響で、介護が必要な夫婦と子供が離れて暮らしている家族も多いです。介護の協力者が遠方に住んでいると、1日の中で役割を分担するのが難しいため、週単位や月単位で役割を決めておくと良いでしょう。また、分野を絞って、介護保険で受けられるサービスに任せるのがおすすめ。家族だけでは補い切れない役割は、介護サービスなどを有効活用しましょう。
専門家に相談する
介護の協力体制で、大きな役割を占めるのがケアマネジャーなどの専門家です。初めての在宅介護では、分からないことや不安なことがほとんど。専門家に相談すると、本人の状態や家庭環境に応じたプランを提案してくれます。特に、介護保険サービスを利用する手続きに関しては、ケアマネジャーが代行してくれるので便利です。
利用できるサービスの確認
在宅介護を行うにあたり、介護保険を使ったサービスをはじめ、様々な支援が受けられます。
介護保険で利用できるサービス | |
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訪問型サービス |
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通所型サービス |
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短期入所型サービス |
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小規模多機能型サービス |
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保険適用外サービス |
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訪問型サービス
訪問型サービスは、在宅介護をする上で、ほとんどの方が利用しているサービスです。自宅にいながら介護保険サービスが受けられます。具体的には、看護師による医療的ケア、ヘルパーによる日常生活援助です。
訪問型サービスは、リハビリから買い物の代行、身体介護まで種類が豊富。家庭環境に適したサービスを提供できるため、在宅介護を行う上で必須の支援です。
通所型サービス
通所型サービスは、送迎付きで病院や施設に通い、レクリエーションや機能回復のための訓練を行うもので、デイサービスやデイケアが代表的です。外出の機会を設けたり、他社との交流場面を増やしたりする目的で利用されます。通所型サービスは、場所によって提供している内容が大きく異なるのが特徴。そのため、ケアマネジャーと相談して、介護を受ける人の性格や希望に合わせた施設選びをしましょう。
短期入所型サービス(ショートステイ)
短期入所型サービスは、短期間施設に入所して受けるサービスで、ショートステイなどのこと。短期の施設入所は、退院後に自宅の準備ができるまでのつなぎや、介護者の負担軽減を目的に利用されるケースが多いです。介護する側の家族の身体的・精神的負担の軽減や、冠婚葬祭、出張などの事情で介護できないときに役立ちます。
小規模多機能型サービス
小規模多機能型サービスは、訪問・通所・宿泊のすべてを組み合わせた介護サービスです。小規模多機能居宅介護と呼ばれ、ひとつの事業所ですべて完結。サービスごとに事業所や施設が変わらないため、住み慣れた環境で慣れ親しんだスタッフから介護を受けられます。
保険適用外サービス
介護保険や医療保険が適用になるサービス以外に、在宅介護をする上で役に立つサービスが多数あります。
- 配食・宅食サービス
- 見守りサービス
- 各種助成金
- 家事代行
配食サービスや見守りサービスは、一人暮らしをしている方を、遠隔地から介護する際に利用されます。配食サービスは毎日同じ時間に来てくれるため、安否確認も可能です。
また、紙おむつ代や交通費、介護リフォームなど、一部費用に助成金が出ることも。対象は市区町村によって異なるため、ケアマネジャーや役所に確認しておくとスムーズに利用可能です。
介護用品の準備

在宅介護をする際には、福祉用具と消耗品の、2種類の介護用品が必要になります。
福祉用具は、杖や歩行器、車椅子など、体が不自由になった際に移動や日常生活を補助してくれる物です。福祉用具は、介護が必要になった際に、ケアマネジャーや理学療法士などの専門家が必要に応じて提案してくれます。そのため、事前に準備して購入などをしておく必要はありません。専門家に相談しつつ、必要に応じて購入していきます。
一方、介護に必要な消耗品は、おむつやウェットシートなど、主に排泄や清潔管理に必要な物です。消耗品も退院時や在宅介護開始時に、看護師や社会福祉士から必要な物を説明されるケースがほとんど。前もって準備しておきたい場合は、在宅復帰の話が出始めた時点で看護師やケアマネジャーに確認が必要です。
介護保険が利用できるか確認
在宅介護に必要なサービスや物品の一部は、介護保険制度の「福祉用具貸与」や「特定福祉用具販売」のサービスを利用して安く利用できます。しかし、すべての福祉用具が介護保険適用となるわけではありません。介護保険が適用される福祉用具は、要介護度によって異なります。
介護保険が適用になる福祉用具は、所得に応じて1~3割の自己負担でレンタル可能。ポータブルトイレや入浴補助装置など、肌に直接触れる福祉用具はレンタルできない代わりに、介護保険適用で購入できます。要介護者の状態に応じて、必要な物を揃えましょう。
要介護度別で利用できる福祉用具 | |
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要介護度 | レンタル可能な福祉用具 |
要介護4以上 |
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要介護2以上 |
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要支援1以上 (介護度に関係なく レンタル可) |
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自宅の介護環境の整備
在宅介護にあたっては、自宅の環境を整えてバリアフリー化する必要があります。転倒など在宅介護中の事故を防ぐには、自宅の環境整備がとても重要です。
自宅の介護環境を整える際、まずは介護を受ける人がメインで過ごす生活スペースを決めます。トイレが近く、階段を上らなくても良い場所にある部屋がおすすめ。要介護者の状態によっては、部屋に介護ベッドが入るスペースがあるかの確認も必要です。メインの生活スペースが決まったら、玄関やトイレまでスムーズに移動できるように、導線を確認します。転倒の原因になりそうな障害物や敷物を移動する他、必要に応じて手すりやスロープ(段差を解消する板)などを設置し、住宅改修も実施。よく行われる住宅改修は、以下の通りです。
- 手すりの設置(階段や廊下)
- 段差の解消(玄関や敷居)
- トイレの洋式化
- 扉の取り換え
- 床材の変更
被介護者の状態によって、必要な環境整備は大きく異なります。最も多い改修内容は手すりの設置で、玄関や階段などを中心に改修される場合が多いです。
また、在宅介護を行う上で最も重要視されるのは、寝室からトイレまでの導線。段差が少なく、夜間でも安全に移動できるように手すりなどを設置する必要があります。事前に準備をする場合は、車椅子やベッドが利用できる通路幅やスペースがあるか確認するのが重要です。
介護保険サービスが適用される場合も
在宅介護は、介護ベッドや車椅子、手すり、スロープなどの福祉用具の利用が欠かせません。福祉用具は高額ですが、介護保険制度を利用すれば保険適用でレンタルできます。
住宅改修費用も介護保険の適応になり、年間200,000円までであれば、費用負担が1~3割で済む制度が存在。高額な住宅改修も、介護保険を使うと費用を削減可能です。また、手すりの設置や段差の解消は福祉用具のレンタルによってまかなえる場合も少なくありません。ケアマネジャーや理学療法士に相談すると、要介護者の状況や経済状況を加味して適切な改修プランを提案してくれます。
費用の確認・準備
在宅介護を行うには介護サービスの利用料や福祉用具のレンタルをはじめ、様々な費用が必要になります。介護に必要な費用は、要介護によって大きく異なるため、目安の金額を知って準備しておくことが重要です。
在宅介護の費用の目安
在宅介護の費用負担は、月々50,000円が目安。介護保険サービスの利用料で16,000円、介護サービス費用以外で34,000円が平均でかかります。
在宅介護費用の内訳 | ||
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種類 | 金額 (平均) |
例 |
介護保険サービスへの支出 | 16,000円 |
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介護サービス以外の支出 | 34,000円 |
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在宅介護の場合は、介護に関連する費用以外に、食費や光熱費、住居費など、生活に関連する出費も生じます。そのため、ひとりあたり約80,000~100,000円程度の費用が月々必要です。また、要介護度が上がるにつれて自分で行えることが減り、介護サービスを利用する機会が増えるため、月々の出費の目安は要介護度によっても異なります。
介護度別の月額費用平均 | |
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全体平均 | 50,000円/月 |
要介護1 | 33,000円/月 |
要介護2 | 44,000円/月 |
要介護3 | 60,000円/月 |
要介護4 | 59,000円/月 |
要介護5 | 74,000円/月 |
介護費用を軽減するポイント
在宅介護の準備の際は、自宅の改修や介護用品の購入などで一時的に大きな出費が発生することも多いです。一時的な介護費用の相場は、同調査によると平均で740,000円ほどかかるとされています。
介護費用を軽減するには、保険制度の活用がおすすめ。費用が軽減できる公共の制度を利用するのが重要です。保険制度を利用すると、全額自己負担で購入したときと比較して、1~3割の負担で済ませられます。年金収入のみで生活している場合、月々の介護費用は大きな出費。費用を軽減するポイントを押さえると、資金不足で困りにくくなります。
減免制度を活用する
介護費用を軽減するには、減免制度の利用もおすすめです。介護保険の減免制度には、以下のような方法があります。
減免制度と対象 | ||
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対象 | 減免内容 | |
負担限度額 認定制度 |
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介護施設を利用する際の住居費と食費の自己負担を軽減 |
特定入居者介護 サービス費 |
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介護保険から居住費と食費が支給される |
高額介護 サービス費 |
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1ヵ月に支払った自己負担額の合計が上限に達した場合、超えた分の費用は払い戻し |
負担限度額認定制度は、介護施設を利用する際の住居費と食費の自己負担を軽減できる制度です。対象は、以下の条件を満たしている人になります。
- 本人を含めて世帯全員が住民税非課税であること
- 別世帯を含めて、本人の配偶者が住民税非課税であること
- 預貯金が基準額以下であること
特定入所者介護サービス費とは、介護保険から居住費と食費が支給される制度です。支払いが一定額を超えた場合に、超えた分の費用が支給されます。対象は、介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホームに入居していて、資産や所得が一定額ある方です。
高額介護サービス費は、1ヵ月に支払った自己負担額の合計が上限に達した場合、超えた分の費用が払い戻しになる制度。それぞれの制度を上手に利用すると、介護費用負担を減らせます。
介護費用を捻出する方法
在宅介護が長期間続くと、費用のやりくりが難しくなることも。資金が不足しないために、介護費用を捻出する方法を知っておくことが重要です。ここでは、持ち家などの不動産を用いた方法を解説します。具体的な方法は、以下の2つです。
リバースモーゲージ
リバースモーゲージは自宅を担保に融資を受けて、死亡時に売却して借入金を返却する方法です。死亡時に自宅を売って借入返済するので、費用の捻出が容易になります。
リバースモーゲージは、持ち家を手放さずに一定額の融資を受けられるのがメリット。施設入所などの際に、空き家を残さないようにできます。一方、不動産価値の減少や金利の上昇により、借入金の一部を返済しなければいけないケースも。持ち家の資産価値に応じて、適切な借入金額を設定するのが重要です。
リースバック
リースバックは、自宅の売却と同時に賃貸借契約を結び、売却した家をそのまま賃貸として住み続ける方法。引越しをせずに自宅に住み続けながら、不動産を売却できるのが特徴です。また、リース会社が持ち家の買い取りを行うので、すぐにまとまった資金が手に入ります。
リースバックは契約時点で売却するため、持ち家の維持や管理コストがかからないのがメリット。一括で買い取ってくれるので、まとまった資金が手に入ります。しかし、売却額が実際の価値よりも安くなりやすかったり、毎月家賃を支払わなければいけなかったりするデメリットもあるため、利用する際は要注意です。
在宅介護を長く続けるポイント
在宅介護を長く続けるには、介護者の負担を増やしすぎないようにするのがポイント。具体的には、以下の3点を意識するのが重要です。
悩みを相談する

在宅介護を長く続けるには、悩みを相談できる環境が必要になります。介護する人は、介護を受ける人の見守りのため、家にいなければいけない時間が長く、社会的に孤立しやすいです。介護の身体的・精神的なストレスによって、追い込まれてしまうケースも少なくありません。
そのため、兄弟や親族をはじめ、ケアマネジャーなどに、こまめに悩みを相談するように心がけましょう。また、身体的なストレスを軽減するために、介護サービスを有効活用するのもポイントです。
ケアプランを見直す
在宅介護を長く続けるには、ケアプランを定期的に見直すことも重要です。在宅介護の期間が長くなるにつれて、加齢などにより要介護者の身体機能や認知機能は低下していきます。特に、認知症などの場合、症状の進行に伴い、必要な介助量は年々増加。適宜ケアプランの見直しをして、介護をする人に無理のない計画に変更していく必要があります。ケアプランを見直すと、要介護度の見直しによる介護保険サービス範囲の拡大や、サービスの削除・追加などが可能です。
便利なサービスを活用する
介護保険の制度以外にも、介助者の負担を減らせる便利なサービスは積極的に利用するのがおすすめです。介護以外に、家事や買い物、外出の手間を減らせるサービスもあります。
- ネットスーパー、通販
- 宅食サービス
- 家事代行
- 安心見守りサービス
介護の時間以外に、買い物や家事にも時間を割かなくてはいけなくなると、生活上のストレスが大きくなります。民間のサービスも上手に利用して、可能な限り負担を減らすのがおすすめです。
在宅介護に限界を感じたら施設への入居を検討しよう

在宅での介護に不安を感じたら、施設への入所を検討してみましょう。
介護施設の種類は、大きく分けて以下の4つです。それぞれ特徴があるため、要望にあった施設を選択する必要があります。
- 1介護付き有料老人ホーム
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介護付き有料老人ホームは、主に要介護度の高い方や認知症の方が入居対象となる民間の介護施設です。食事や入浴などの日常生活上の介護に加え、看護師や理学療法士による医療ケアも受けられます。介護・医療ケアが充実している反面、入居費や月額の利用料は高いのがデメリット。要介護度が高くて、ある程度の資金を持っている方におすすめの施設です。
介護付き有料老人ホームの概要 特徴 - 24時間介護スタッフが常駐
- 介護度が軽い方から認知症の方まで幅広く利用可能
サービス 介護サービス、医療ケア、生活支援サービス、リハビリテーション、レクリエーション 入居条件 自立~要介護5 費用 入居一時金 0~数百万円 月額利用料 150,000~300,000円 - 2住宅型有料老人ホーム
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住宅型老人ホームは、比較的自立度の高い方を対象とした施設です。食事やレクリエーションの提供が充実しているのが特徴。介護サービスは外部の訪問サービスや通所サービスを使うため、必要に応じて選択できます。自立~要介護2までの方におすすめの施設です。
住宅型有料老人ホームの概要 特徴 - 自立から軽度の要介護までの人が多い
- 介護サービスの相談から契約までがスムーズ
サービス 介護サービス、医療ケア、生活支援サービス、リハビリテーション、レクリエーション 入居条件 60歳以上(介護度の条件は施設によって大きく異なる) 費用 入居一時金 0~4,000,000円 月額利用料 100,000~300,000円 - 3サービス付き高齢者向け住宅
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サービス付き高齢者向け住宅は、一人暮らしに不安のある自立状態の人、要支援や要介護度の低い方が対象です。そのため、生活相談サービスや安否確認を提供しています。さらに、外出や外泊も基本的に自由なので、自由度の高い暮らしが可能。ひとりで生活できて、何かあったときの対処が不安な方におすすめの施設です。
サービス付き高齢者向け住宅の概要 特徴 - 安否確認や生活相談がメイン
- 介護度の低い自立度が高い方向けの施設
サービス 生活支援サービス、レクリエーション 入居条件 自立かつ60歳以上 費用 入居一時金 0~300,000円 月額利用料 100,000~300,000円 - 4特別養護老人ホーム
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特別養護老人ホームは、特定の疾患や認知症など、社会的に困難がある方を対象とした公的な介護施設です。介護職員が多いため、十分な介護サービスが受けられ、公的施設なので費用も安く済みます。
ただし、入居条件が厳しいのがポイント。夜間に看護師がいないこともあるので、医療的なケアが常時必要な方は退去させられてしまう可能性もあります。要介護度が高くても一人暮らしをしている方や、看取りが必要な方など、特別な事情がある方におすすめの施設です。
特別養護老人ホームの概要 特徴 - 公的施設なので他の施設よりも費用が安い
- 入居条件が厳しい
サービス 介護サービス、生活援助サービス、看取り 入居条件 65歳以上かつ要介護3以上 費用 入居一時金 なし 月額利用料 100,000~150,000円
まとめ
在宅介護は、介護保険制度の理解や環境整備など様々な準備が必要になります。具体的な手続きや物品のレンタル・購入だけでなく、家族間で方針を決めておくことも重要です。在宅介護は、介護者への負担が大きいため、家族やケアマネジャーなどの専門家に相談できる協力体制が必要。負担軽減を目的に様々なサービスを利用し、限界を感じたら施設への入所も視野に入れましょう。