保険アドバイザーから見た介護・医療
第20回振込め詐欺に要注意
被害者の86%が60歳以上
高齢になったときのライフプランの特徴は、収入は年金等に限られ、支出は病気や介護の可能性が高くなるので、なかなか予定が立てづらいと言えます。そのため、多くの人は、若い頃からコツコツと貯蓄をしたり、医療保険や介護保険に加入したりして備えています。しかし最近(2009年)は、せっかくコツコツと貯めた貯金をあっという間に失ってしまう出来事が起きています。昨今の株安や円高で資産が目減りしている人もいるでしょうが、最も怖いのは振り込め詐欺に遭うことです。取り返す時間も手段もない高齢者にとっては致命的になりかねません。被害に遭わないよう、振り込め詐欺の現状や注意点を確認しておきましょう。
振り込め詐欺は減っていない
振り込め詐欺と一言で言っても、実は「いわゆるオレオレ詐欺」「架空請求詐欺」「融資保証金詐欺」「還付金等詐欺」など多くのタイプが存在しています。
これらの中で高齢者が被害に遭いやすいのが「いわゆるオレオレ詐欺」です。
下の表は振り込め詐欺全体とそのうちのいわゆるオレオレ詐欺の認知件数と被害総額(ともに既遂のみで未遂は含まず)をまとめたものです。
警察や自治体等でいろいろと対策を講じていますが、いわゆるオレオレ詐欺は若干減ってきているものの、全体では件数も被害額もこの5年間でほとんど減っていません。
いわゆるオレオレ詐欺の被害者の約7割が60歳以上の女性
平成21年1月の年齢・性別ごとの被害者状況をみると、60歳以上で約86%(60歳代29%、70歳代34%、80歳代以上23%)にもなります。特に女性の被害者が多く、そのうちの約8割(全体の約7割)にもなります。同様に還付金等の詐欺も高齢者が被害にあう割合が高くなっています。
被害を防止するには?
「一人ですぐに振込みに行かない」「自分からさきに息子等の名前を言わない」「相手が息子等の本人かどうかよく確認する」等が挙げられますが、それらを紙に書いて電話機の傍に貼っておくと良いです。そして、不審な電話や訪問等があったら、一旦は切るなり帰ってもらうなりして、その後すぐに親族等へ相談できる体制を整えておきましょう。さらに心配な場合は、警察の相談窓口「#9110」へ電話して下さい。自分は大丈夫だと思っていても被害に遭ってしまうほど、今の振り込め詐欺の手口は巧妙です。安心して医療や介護への備えができるよう、日頃から油断せずに細心の注意を払っておきましょう。
フリックによる横スライド仕様となります。
H16年 | H17年 | H18年 | H19年 | H20年 | H21年 1月 |
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振り込め詐欺全体認知件数 既逐のみ |
20,194件 | 19,840件 | 18,662件 | 17,671件 | 20,124件 | 764件 |
被害総額 (既逐のみ) |
283億円 | 251億円 | 254億円 | 251億円 | 275億円 | 9億円 |
いわゆる オレオレ詐欺 (恐喝) 既逐のみ |
9,515件 | 5,682件 | 6,797件 | 6,300件 | 7,407件 | 305件 |
被害総額 (既逐のみ) |
191億円 | 128億円 | 146億円 | 145億円 | 155億円 | 5億円 |
資料:警視庁「振り込め詐欺恐喝の認知・検挙状況等について」※被害総額は1億円未満切捨て