保険アドバイザーから見た介護・医療
第30回時代で異なる最適な保障
入院の短縮化に注意
厚生労働省から12月初旬に『平成20年患者調査の概況』の調査結果が発表されました。この調査は3年毎に行われ、保険会社がその結果を商品パンフレットで使用する等、とても注目されている調査です。今回は平均入院(在院)日数の調査結果から最適な保障についてお話します。
65歳以上の平均入院日数が15年で22日も短縮!
調査日である平成20年9月に退院した患者の全年齢の平均入院(在院)日数は、病院で37.4日(前回39.2日)、一般診療所で18.5日(21.6日)、総数で35.6日(37.5日)となり、3年前の調査に比べて僅かな短縮となりました。ただ、その前からの推移や高齢者の入院日数をみると短期化傾向が顕著に現れています。
細川内閣が発足した平成5年には、全年齢で43.7日、65歳以上で71.0日だったので、この15年の間に、全年齢では1週間程度ですが、65歳以上では22日も短縮しています。
平成2年比では実に32日もの短縮になります。
高齢化が進んでいるにもかかわらず、これだけ入院日数が短期化しているのは、医療技術の進歩や社会的入院の減少、入院しない治療の選択増、財政事情等が大きく影響していると考えられます。
フリックによる横スライド仕様となります。
S62年 | H2年 | H5年 | H8年 | H11年 | H14年 | H17年 | H20年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
全年齢 | 47.3日 | 47.4日 | 43.7日 | 43.4日 | 41.8日 | 40.1日 | 39.2日 | 37.4日 |
65歳 以上 |
88.6日 | 81.1日 | 71.0日 | 65.7日 | 60.9日 | 55.1日 | 52.1日 | 49.0日 |
資料:厚生労働省平成20年患者調査の概況
入院日数の短縮により保障内容に不具合が生じる恐れも
私的な備えである保険会社や共済の医療保険(共済)には、入院した時に1日あたり5千円や1万円の給付金が支払われる入院給付金保障があります。この保障には1回の入院で保障対象となる日数に制限があり、商品によって異なりますが30日・60日・120日・360日・720日・1,000日等を限度としています。
また、入院初期の保障についても制限があり、日帰り入院や1泊2日から保障対象となるのもあれば、4日免責や病気の場合8日以上入院で初日から保障対象、30日免責等もあります。
仮に現在加入している保険の入院給付金保障が1入院の限度日数1,000日だとすると、必要度が低くなってきている長期入院保障の分も保険料を払っている事になり、4日免責だと対象外の短期入院が増えてくる事も考えられます。
人によって最適な保障内容は違いますが、平均の入院日数が短くなってきている現実を知り、いつの時代でも無駄のない安心できる保障を確保していてほしいものです。