保険アドバイザーから見た介護・医療
第15回アメリカ発金融危機への対応
リーマン・AIG国内生保への影響
アメリカではサブプライムローン問題等に端を発した金融市場の混乱の中で、2008年9月15日にリーマン・ブラザースの破綻、2008年9月16日にはアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)救済の為にアメリカ政府による850億ドル(約9兆円)の緊急融資が起こりました。
AIGについては複数のグループ会社が日本で保険事業を営んでおり、アメリカでの出来事とはいえ、我々の生活にも今後何らかの影響がでてくる可能性があります。そこで、我々はどのような事に注意しておけばよいか、生命保険について考えてみました。
掛け捨ての保険で選ぶ
日本の生命保険業界には保険契約者保護制度があり、仮に保険会社が破綻しても、破綻時点の補償対象契約の責任準備金等の90%まで補償されます。
責任準備金とは「将来の保険金等を支払う為に保険料の中から積み立てる準備金」の事です。また引受会社へ保険を移転する際に、契約条件の算定基礎となる基礎率が変更されて、保険金額等の減少や早期解約控除制度が設けられる可能性があります。過去の破綻例をみると定期保険よりも終身保険や養老保険(特に予定利率の高い保険)の方が影響を受けています。
保険会社が破綻しても保険そのものが消滅することはないので、過度に心配する必要はありませんが、あまり巻き込まれたくない場合は、掛け捨てタイプの定期保険を選んでおくと影響を軽減できそうです。
影響大きい大手は破綻させられず
チカラのある保険会社を選ぶ
AIGのような世界的な保険会社でも今回のような経営危機が起こりえます。そうなると安心して加入できる保険会社はないとも言えますが、ポイントになるのは、今回アメリカ政府は破綻させずに救済したことです。金融市場や世界経済への悪影響が計り知れないからです。
つまり、日本でも経済に大打撃となるような保険会社を政府は破綻させられないと考えられます。また政府に頼らないまでも、いざと言う時に親会社やグループ会社等の支援が期待できる、チカラのある保険会社なら比較的安心できると考えられます。
対応力の高い商品を選ぶ
死亡や医療の保障をプランニングする際は、超長期の経済的リスクに対する備えを考えますが、あわせて保険自体の使い勝手も考慮しておくと、保険会社の経営リスクを回避しやすくなります。
必要な保障を必要な期間備えるために、少しでもお得な保険商品を選択する事はとても重要ですが、何十年も先の保険会社の経営状況は想像できません。もしかしたら経営が心配になって途中で保険を解約するかも知れません。それに対処するには最初から途中解約の可能性も含めた上での最適な商品選択が必要です。解約以外の策も含めて対応力の高い商品を選んでおく事は破綻リスクの回避にもつながります。
現在日本で保険会社が破綻するような話はありませんが、このような機会に、加入している生命保険の内容を再度確認し、安心に備えておきましょう。